サンフランシスコとか韓国にはよく派遣される海外担当記者だが、何気に中国取材は先日のNVIDIA Gaming Festivalが初めて。そんなわけで、上海で見てきたゲームと関係あることないこと、しまいにゃ上海にも関係ないことまで、雑多なネタを一気に放出しよう。ゴールデンウィークの暇つぶしにでもなりゃコレ幸い。
謎の熊トム
トムとの出会いはNGF開幕前日、各社の取材班が宿に到着し、遅い昼飯でも食べましょうかと近所のモールにくり出した時のことであった。
特徴的な耳と口の形、女キャラの方には頭にリボン……思わず「ダメだって!」と彼らの身の危険を心配してしまう出で立ちに軽くノックアウト。名前は、男がトムで女がジョイ。そうかいそうかい、ラッキーとかハッピーとかそういう紛らわしい名前じゃなくて良かったよ……。
実は彼らは、モールの中に入っていたゲームセンター“トムズワールド”のマスコットキャラクター。西洋文化に毒されっぱなしの記者の頭では黒いお耳のネズミっぽく見えるが、どちらかというと熊らしい。公式サイトでは、ちゃんと茶色でふさふさしているのであった。最初からそうしておきなさいよ……。ちなみに某メディアの事情通氏に教えてもらったのだが、トムズワールドは台湾資本とのこと。NGFの会場となっていたSuperBrand Mallにも1店舗入っていた。
ゲーセン事情は割と普通……じゃなかった
というわけでトムの世界に潜入してきたのだが、内部は割と普通。ぬいぐるみの真贋まではよくわからないが、『三国志大戦』の台に張り付いてる子供もいたし、各種音ゲーも人気。『太鼓の達人』を小学生がお母さんと遊んでたり、『Jubeat』をかわいい女の子がやっていたりしていいじゃない。まぁダンスゲームはステップが前後左右じゃなくて斜めに置いてある、日本でよく知るアレとは違うゲームだったけど……。
それでもまぁ、基本的には日本のアーケードが愛されているのはいいものです。「湾岸ミッドナイト」の筐体で風になっていた人もいたしね……なんてのん気に眺めていると、予想外のものに出くわした。
アーケード版『プラント VS. ゾンビ』だって!? キングオブカジュアルゲーム『BeJeweled』のPopCap Gamesから超マルチプラットフォーム展開されている名作じゃないですか。大型筐体だし、スゴいなぁ……と思って情報を集めてみたら、どうやらこれ、PopCapに承認を得ていないアウトな代物。その後正式ライセンスを取得した可能性もあるけど、筐体にはPopCapのロゴがないような……。トム、すごいもの仕入れたね。
えーと、コレ以上トムの闇に深入りするのは怖いので、植物と戦うゾンビの事は一度忘れて、台湾製の『機甲英雄(ヒーロー オブ ロボット)』(公式サイトhttp://www.igs.com.tw/product/herorobots/en/)はおもしろそうだった、という感想でお許し下さい。
ちびまる子ちゃんに遭遇
トムに別れを告げてモールを散策すると、周囲は子供服やおもちゃのコーナー。巧虎ことしまじろうや、櫻桃小丸子ことちびまる子ちゃん、ミラーナイトやらグレンファイヤー(ウルトラマンゼロ)に遭遇。いろいろテレビでやってるらしい。まぁ、ちびまる子ちゃんブランドの服はちっともちびまる子ちゃんぽくなかったわけですけども……。
ちなみにおもちゃコーナーで最強だったのは変形金剛ことトランスフォーマー。新しいものから懐かしいデザインのものまで、あらゆる擎天柱(コンボイ)フィギュアが売ってました。
不夜城的i-cafe
プレスツアーでは、i-cafeと総称されるらしいインターネットカフェも訪問した。やってきたのはCYWKというチェーン店で、2ヶ月前にオープンした比較的新しい店舗。開店記念のディスカウントで一時間2元(約25円)というビックリ価格なこともあって、172席あるというシートはほぼ満員。ちなみに通常は大体4元だというのだから破格のプライスなわけだ。
なぜインターネットカフェがプレスツアーに含まれているかというと、中国国内に16万のi-cafeがあり、普通の店舗なら80から100台、超大規模店だと3000台ものPCを抱えていたりするので、i-cafeが調達するPCパーツが完全にバカにならない量なのだ。事実、i-cafe専門のシステムインテグレータ(調達屋と言ったほうがかっこいい)などもいるという。
お店の入り口に「(本物の)銃やグレネードとかを持ってはいかん」といったような意味と思われる注意書きが書いてあったので、「まさかの中国版ゲーム脳論? それとも、深夜までやっているから、青幇やら上海マフィアのたまり場でもあったりするのか……」と思い、恐る恐る現地スタッフに聞いてみると「それポリスが置いていっただけだから(笑)」と笑い飛ばされてしまった。
どうも日本の銭湯で言う「刺青の方入店お断り」的なアレというよりも、単純に若い人が集まるゆえ「実物に手を出すアホンダラは国家が怒っちゃうよ」という警告を当局が出しているだけであり(それでも十分物騒だが)、逆に、16歳以下の未成年を排除するために、ちゃんとIDカードで身分確認しているぐらいだという。
リサーチによると、利用形態は70%がゲームで、残りはオンデマンドビデオサービスやチャットやメッセンジャーなど。全国のi-cafeの9割のマシンにグラフィックカードが入っており、うちさらに9割がGeForceだという。グラフィックカードは大体GTX 550Tiから560Tiの辺り。訪問したお店で見せてもらったマシンでは、CPUがi3 2120の3.3GHzで、OSはXP SP2だった。人気があるゲームはBlizzardのタイトルや、日本ではアラリオが運営するオンラインFPS『クロスファイア』など。『地下城与勇士』こと『アラド戦記』をプレイしている人も何人か見かけた。
黄金周に金盾を食らう
ちなみに滞在中は、かの有名なチャイニーズグレートファイアウォール“金盾”の影響下にあり、TwitterやらFacebookに繋がらなう、もとい、繋がらなかった(VPNを張ると繋がる)。なぜ中国では微博とかいうTwitter風ミニブログが流行っているのかと思ったが、遮断されてたのね……。
金盾と金繋がりでは、滞在期間がメーデー(祝日)直前で、中国のゴールデンウィーク“黄金周”でもあった。そんなわけで、モールや電気街はとんでもない人出。しかもGalaxy TabletやHTCのスマートフォンなんかへの食いつきもいい。これが“中国の勢い”って奴か、と驚いた次第であります。