デュアルKeplerカードが登場
2012年4月29日、NVIDIAは中国の上海でNGF(NVIDIA Gaming Festival)の初日を開催した。本イベントは、基調講演を始めとする各種発表と、PCゲーム大会“GeForce LAN”を合体させた複合イベント。
2日間のイベントの開幕を飾ったのは、同社CEO(最高経営責任者)のJen-Hsun Huang氏による基調講演。朝から大会場を埋め尽くしたPCゲームファンのためにHuang氏が用意したのはふたつのサプライズだった。
中でも大きかったのはGeForce GTX 690の発表だ。最新のKeplerアーキテクチャのGPUを2基を内部的にSLI接続したというグラフィックカードで、コア数は合計3072。資料によると、GTX 680のSLI構成の680ともほぼ同等のフレームレートを出すことが可能でありながらも、消費電力はGTX 680のSLI構成よりも低く、静かに動作するという。また、Framerate Meteringという技術が導入され、2基のGPUが交互にフレームをなめらかに処理できるようフレームの流れを調整する仕組みがドライバに盛り込まれているとのこと。
5月3日から限定的に出荷が始まり、5月7日からカードメーカーへの提供が行われ、想定価格は999ドルとしている。
CUDA コア
3072
ベースクロック
915 MHz
ブーストクロック
1019 MHz
メモリ構成
4GB / 512ビットGDDR5
メモリ速度
6.0 Gbps
パワーコネクター
8ピン+8ピン
TDP
300W
出力
3x DL-DVI Mini-Displayport 1.2
バスインターフェイス
PCI Express 3.0
PCゲームの設定の最適化を行う人はたった5分の1?
家庭用ゲーム機とPCゲームで大きく違うのが、細かなグラフィック設定。家庭用ゲーム機は、ほとんどの場合、同じプラットフォームは同じ性能だが、PCでは千差万別だ。だから解像度からアンチエイリアシングのオンオフやらシャドウ(影)をどうするかとか、まぁ一杯設定項目がある。
自分の環境に設定を最適化することで、最適なゲーム体験をできるというのがPCの醍醐味のひとつである……が、Huang氏によると、実は設定の最適化を行うのはゲーマーの中で18%しかいないのだという。残りの82%は、動けばまぁいいかと最適化を行わないのだ。
それじゃもったいないということで発表したのが、“GeForce Experience”なるクラウドサービス。プレイヤーのマシンのスペックをサーバーに送ると、そのマシンでそのゲームに最適な設定を自動的に判断してくれ、“Optimize(最適化)”ボタンを押すだけで、快適かつ見栄えも一番いい感じにセットアップしてくれるのだ。
6月6日よりβサービスを開始する予定で、今年末サービス予定のメカFPS『Hawken』(別途取材してきたのでそれは別記事で)では最初から搭載する模様。これでPCの設定に詳しくなくても、横山宏リスペクト(開発者談)の燃えるメカ魂を最高の形で堪能できるってワケだ。イェイ!
記者会見でのHuang氏の発言によると、F2P(基本無料ゲーム)を遊ぶ比較的“カジュアル”なゲーマーにも、よりよいグラフィックでのプレイを提供できることをメリットと考えているようで、NVIDIAのもうひとつの事業領域であるスマートフォンでも、将来的にはGeForce Experienceによる最適化サービスを行いたいとの展望を示していた。