ベセスダ・ソフトワークスの新作『Dishonored』の最新情報を、4月にサンフランシスコで行われたプレスイベントの模様を交えてお届けする。独特のアートスタイルに、一人称視点アクション&スニーキングと、トリッキーな要素勢揃いの意欲作がこの記事を読めばまるわかり。ビデオインタビューもあるぞ!

まずは基本情報をドサッとお届け

『Dishonored』仮面の暗殺者と暗黒都市の秘密を解明! 最新デモ&ビデオインタビュー_09

【基本】
 一人称視点のスニーキングアクション。ベセスダ・ソフトワークスと同じゼニマックス傘下のArkane Studiosが開発している。ゲームエンジンはアンリアルエンジンを採用。日本ではプレイステーション3とXbox 360で2012年発売予定(海外ではPC版の発売も予定している)。

【ストーリー・舞台設定】
 主人公コルヴォ・アッターノは、女王Jessamine Kaldwin暗殺の汚名を着せられて窮地に陥るが、謎の存在“アウトサイダー”により超常能力を与えられ、仮面の暗殺者となる。舞台となる街“ダンウォール”は、ネズミによって媒介される疫病に悩まされている。

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【ゲームプレイ・基本&ステルス編】
 ゲームはミッションごとに分かれており、安全な小島でミッションを受け、小舟に乗ってダンウォールに向かうという形で進行する。“~~を殺害せよ”といった目標に対して、何とか侵入して近付き、目標を達成しなければならない。
 鍵穴から部屋の内部を覗く、障害物の影から体を傾けて覗く(いわゆるリーン)、死体を隠すために運ぶといったステルス用アクションが用意されており、後述の超常能力とこれらのアクションを組み合わせてステルスを行う。自分がどの程度隠れられているかなどは画面上に表示されているが、物陰などの暗闇に隠れている時はかなり発見されにくい印象。
 お金の概念や収集要素もあり、プレイヤーはフィールド上でさまざまなものを回収できる。貯めたお金はミッションの合間にアイテムや武器などを買うのに使用する。

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【ゲームプレイ・戦闘編】
 短剣などの近接武器のほかにも、ピストルやボウガンなどの遠距離武器、その他各種ガジェットなどの武器を使用できる。なお、銃やボウガンには特殊な弾・矢が取り揃えてあるほか、アップグレードも可能。これに加えて、アウトサイダーによってもたらされた超常能力を組み合わせて戦う。ステルス(隠れ)状態で接近した際には、一撃必殺のアクションを発動することもできる。
 超常能力は、ルーンを集めてアンロック・強化していく。使用すると専用のパワーを消費し、アイテムなどを使って回復する。超常能力には戦闘系のもの、ステルスに役立つものなどが各種用意されており、短い距離を瞬間移動するBlink、対象を吹き飛ばすWindblast、対象に憑依するPossession、時間を止めるBend Time、敵の場所と視界を表示するDark Vision、ネズミを大量に召喚してけしかけるDevouring Swarmなどがある。
 また、ボーンチャームと呼ばれる『Fallout』シリーズのPerkのようなものがあり、スロットに入れて装備することでさまざまな能力やボーナスが得られる。全部で50個あるが、1回のゲームプレイでは20個しか手に入らず、またランダムに登場するため、リプレイ性を高める一要素ともなっている。

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【アートスタイル】
 ダンウォールは架空の街だが、イメージとしてはヴィクトリア朝期イギリスにおける暗黒のロンドンを参考にしている。
 手掛けたのは、『ハーフライフ2』のビジュアル面を手掛けたことで名高いヴィクトル・アントノフ氏(ゼニマックス・メディア所属)。彼がビジュアルデザインディレクターを務め、アートディレクターのセバスチャン・ミットン氏らArkane Studiosのスタッフとともに、陰謀が渦巻くダンウォールの暗く沈んだ雰囲気を見事に描き出している。

ビデオインタビュー

 ゲーム部分のプレゼンテーションを行った、共同クリエイティブ・ディレクターを務める、ラファエル・コラントニオ氏とハーヴェイ・スミス氏へのビデオインタビューを、本作の最新映像を交えてお届けする。

最新デモリポート!

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 プレス向けデモはまず、“Golden Cat Bathhouse”内でモーガンとマーカスのペンデルトン兄弟を殺害するミッションが2通りの方法で行われた。この兄弟は摂政官の支援者とのこと。復讐を果たすべく、ダンウォールの重要人物たちをひとりずつ消していくのだ……。

 最初の方法はステルス重視。物陰からリーンを使って覗いて街路の護衛の様子を探り、背後から近付いて絞め落とす。そしてボディを物陰に片付けて、建物の近辺に。建物内への侵入は、超常能力のPossessionを使って魚に憑依し、排水口のようなところを通って行われた。ビデオインタビューでも答えているように、ネズミに憑依して侵入するルートもあるらしい。
 建物内部は護衛や、“特殊なサービス”をしているに違いない下着姿の女性たちがうろうろしており、プレイヤーは彼らの動向に気を配りながら移動しなくてはならない。鍵穴を覗いたり、超常能力のDark Visionを使って注意深く周囲を観察しながら進んでいく。
 部屋を漁ってさまざまな物を回収しながら進み、トラップとなるガジェット“Spring Razer”(床に投げて設置し、敵が近付くと刃が飛び出て殺害する)で護衛を片付け、ついには浴場近くへと潜入。ここでコルヴォはスチームが噴き出るパイプの弁を締めて、モーガンを蒸し焼きにするという戦略に出る。マップに配置した罠を使った暗殺方法は、ほかにもいろいろありそうだ。

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 モーガンを片付けたらお次はマーカス。瞬間移動能力のBlinkを駆使してうまく移動し、お目当ての部屋へと迫っていく。ここで面白かったのが、“正面からのステルス攻撃”。スニーキングアクションのゲームでは、ステルス状態で背後からくり出す必殺攻撃があったりしても、隠れている最中に敵の正面に出てしまうと、即警戒&戦闘になってしまうことが多い。しかしここでは、正面から口をふさいで刺し殺すという必殺ムーブをくり出していた。もちろん増援を呼ばれる前に即座に間合いを詰めて始末しなければいけないのだが、このアクションがあることで綺麗に切り抜けられる場面も多そうだ。
 最後はマーカスに憑依して、人目のないバルコニーへと歩いたところで解放して殺害。超常能力とガジェットをステルス寄りに活用したプレイとなっていた。

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 もうひとつの方法は、ひたすらバイオレンスに正面突破。Bend Timeで時間を止めてから銃で殺害したり、ネズミをけしかけて骨も残さずに殺したりと、能力の使い方もひたすらオフェンシブ。ラストのマーカスはWindblastを使って一気に吹き飛ばし、バルコニーから転落死させるというアイデア賞モノの処刑を行なっていた。
 同じミッションをふたつの方法で見せたのは、ステルスに失敗したらいたって普通の戦闘が続くというのではなく、最初からアクション寄りにプレイすることもでき、しかも戦闘自体が独特で楽しいことの証明だろう。実際、時を止めながらの戦闘は、能力を解除すると“そして時は動き出す”ってな感じに倒せて気持ちいい。

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 そしてデモの最後には、舞台を廃墟に移して、いかにもアントノフ氏らしいデザインの敵“TallBoy”との戦闘が行われた。この敵の正体は長い竹馬のような足を履いている人間で、理由は「ネズミの伝染病を避けるため」だというのがおもしろい。非常に不安定だと思うのだが、見た目のインパクトは圧倒的だ。ただ歩いているだけなのに、見る者をそれこそ『ハーフライフ2』のストライダーと遭遇した時のような不安な感じにさせるのだ。
 しかもコイツ、中々攻防に長けていて強い。ここで出てきた能力はWindblast。Tallboyの発射した砲弾を撃ち返してその巨体を轟沈させていた。

鬼才アントノフの描く暗黒都市ダンウォール

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 アントノフとミットン氏による、本作におけるアートデザインのプレゼンテーションも行われた。プレゼンテーションでは、肖像画、そしてクルマからアップグレードしたクロスボウまで、さまざまなアートワークが示された。アートチームがこだわったのは、この世界がどんな歴史を持っており、どういった年代で、そしてどうすればリアルに見えるか。サスペンションひとつに至るまで細部にこだわりデザインしているという。
 また、建物やキャラクターデザインのために、ロンドンだけでなく、アイルランド、スコットランド、パリ、デトロイトなど、さまざまな街を訪れ、建物や人物の写真を撮ったり、日中の光の具合に至るまでリサーチを重ねたほか、図書館で歴史的資料にあたり、ヴィクトリア朝期のファッションやスタイルなども参考にしたとのこと。

 結果として本作では、人々の神経質そうな顔、どこか不安感にさせるスチームパンク風の工業デザインなどが、まさにアントノフ氏流の絶妙なバランス感覚でトータルコーディネートされ、プレイヤーを陰鬱としたダンウォールの闇へと引きずり込む。
 要は暗いのだが、アントノフ氏が参考にしたという映画「メトロポリス」や「ブレードランナー」、暗黒のヴィクトリア期ロンドンという点ではアラン・ムーアのコミック「フロム・ヘル」、そしてスチームパンクなど、ダークなテイストの都市デザインが好きな人は一見の価値があることを保証しておこう。なお、このプレゼンテーションについては後日ビデオが公開されるとのことなので、気になる人はそちらもお待ちいただきたい。

(C) 2012 ZeniMax Media Inc. Developed in association with Arkane Studios SAS. Dishonored, Bethesda, Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are registered trademarks or trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. Arkane and related logos are registered trademarks or trademarks of Arkane Studios SAS in the U.S. and/or other countries. All Rights Reserved.