手触りは『デビル メイ クライ』そのもの

 現地時間の2012年4月3日~4日、イタリアのローマにて、欧米メディアに向けたカプコンのプライベートイベント“CAPTIVATE 2012”が開催された。本記事では、カプコンとニンジャセオリーが共同で開発を行っている『ディーエムシー デビル メイ クライ』(以下、『ディーエムシー』)の詳細について、開発陣を代表し、カプコンの江城元秀プロデューサーへインタビューを敢行。見どころをうかがった。

『ディーエムシー デビル メイ クライ』で江城プロデューサーにインタビュー【CAPTIVATE 2012】_02
▲左から、プロデューサーのアレックス・ジョーンズ氏(カプコンアメリカ)、ディレクターのタミーム・アントニアデス氏(ニンジャセオリー)、江城元秀氏。

──試遊が可能となったのは、今回が初ですよね?

江城元秀氏(以下、江城) そうですね。今回プレゼンテーションでお見せした技はすべて入れています。コンボをくり出すときにボタンを押すタイミングを遅らせると“ディレイコンボ”となって出せる技が変化するのですが、そういったことも試せるようになっています。“ディレイコンボ”はもともと『デビル メイ クライ3』などでも搭載していたのですが、監修はシリーズを手がけていた伊津野(『ドラゴンズドグマ』ディレクターの伊津野英昭氏)といっしょに行っています。海外ですとディレイのタイミングをシビアにしがちな傾向があるのですが、そこを気持ちよく出せるように、細かな調整をしていますね。

──『デビル メイ クライ3』でディレクターを務めていた伊津野さんの監修は、ファンにとっては心強いですね。

江城 監修というと、通常はできたものに対してアドバイスをする程度なのですが、それよりも深くゲームに携わってもらっています。開発途中のロムが新しくなるたびに遊んでもらって、ここはこうしたほうがいい、というアドバイスをもらっています。ただ、僕らが強制的にこうしろ、ああしろ、と言うのではなくて、ニンジャセオリーのゲーム作りのスタンスは活かしつつ、スタイリッシュさなどの部分に関しては細かくレクチャーをしているという形です。いろいろと学んでもらって、それをゲームデザインに活かしてもらうということですね。そうしなければ、日本のやりかたを押しつける形となり、海外の開発会社にお願いしている意味がありません。僕らが言うことを彼らが理解したうえで、コンセプトや考えかたをどうやって活かそうか、とつねに考えています。

──以前にも、海外とガッチリ組んで開発を行うことが、『ディーエムシー デビル メイ クライ』のチャレンジのひとつとおっしゃってましたよね。ニンジャセオリーに制作を依頼するうえで、ほかにお願いしていることなどはありますか?

江城 アート関係については、こちらから注文をつけるのではなく、できるだけ彼らのアイデアを尊重しようと思っています。ただ、ダンテの造形については調整してもらいました。ライティングでよりカッコよく見せたり、モデリングに関しても「こうしたいのであれば、こうしたほうがその方向に近づくよ」というようなアドバイスをしています。あとは細かいところだと、戦闘面で敵との絡みや、ゲームの手触り感ですね。

──具体的にはどのようなことでしょうか?

江城 日本のアクションゲームの作りかたは、プレイヤーのアクションに対して、敵のリアクションをきちっと作ることが重要なんです。プレイヤーがこうしたときに敵がこうリアクションする。するとプレイヤーが学習して「じゃあこうしよう」と異なる動きをする。これが攻略につながるのです。ですから、リアクションはとくに細かく注文しています。ニンジャセオリーのスタッフは、アクションに対するリアクションという考えかたではなく、“プレイヤーはこういうアクションで敵はこう動く”と単体で考えがちで、複数の種類の敵を配置したときにどうプレイヤーが遊ぶか、というところをイメージしにくいようなのですね。そこで、カプコンのアクションゲームのノウハウを教えているところです。具体的なステージの作りで言うと、僕らの場合、最初は敵を1種類だけ出します。それで、敵の特性を理解できたら、2体配置しましょうと。その後、ゲームの仕組みを理解したら今度は敵の種類を増やして、3体の敵にどう対応していくかということを、学んでもらうわけです。このように、すごく細かく、順を追って遊びかたを覚えてもらうようにしています。

──ゲームを進めていくと自然に学んでいけると。

江城 そうですね。『デビル メイ クライ3』でも伊津野がその辺にこだわって作っていたので、そのテイストは海外で作るとはいえ、保っていなければならない部分ですので、細かくレクチャーしています。

──それが、プレゼンテーションでタミームさんが言っていた、“根っこの『デビル メイ クライ』という部分は変わっていない”ということなのでしょうか。

江城 そこは外してはいけないというか、ファンとしてはそこが気になる部分だと思うので。海外の開発会社で、『デビル メイ クライ』シリーズの代名詞とも言えるスタイリッシュさや爽快感が出せるの、という危惧があるかもしれませんが、そこはカプコンのアクションゲームを作った経験のある僕や伊津野がしっかり話をして。合宿に近いですね、毎日スタジオとホテルを往復して、朝から晩まで打ち合わせをしています(笑)。

──(笑)。では、ダンテのアクションについてもう少しお伺いします。今回は、リベリオンに加えて鎌と斧を使い分けられるようになっていますが、銃も種類が複数あり、使い分けることはできるのでしょうか?

江城 そうですね。まだ公開はしていませんが、エボニー&アイボリー以外も用意しています。また、剣では先ほど述べた“ディレイアクション”も可能ですので、コンボの幅が広くなっていると思いますよ。

──ダンテのぶっきらぼうな剣の振りかたには、“若さゆえの荒さ”というようなものが表れていたように思います。

江城 それは設定を聞いたときに、モーションや剣の振りかたひとつでも、そこでキャラクター性を出さないとダメだ、ということを伊津野がアドバイスして。今回のダンテは、登場シーンがいきなり素っ裸ですし荒っぽい男ですので、そういうところをモーションにもきっちり反映させたいなと。

──モーションだけではなく、ステージの形状が変化していくという点も特徴的でした。これまでにない、独特な世界が楽しめるのかな、と感じましたが……。

江城 ああいった表現は、ニンジャセオリーのスタッフがこだわっている部分です。今回は世界観として、悪魔が現代に本当にいて、世界をコントロールしていたら……という部分が根底にあります。現実世界とLimboはリンクしており、Limboで起こったことが現実世界に反映されます。

──トレーラーやプレイデモでは、観覧車が外れて、グルグル回っているシーンがありました。

江城 あれも、テロリストの仕業だということになっているんですが、じつはLimboで悪魔がやったことが、現実世界に反映されただけなのです。

──それは、本当はテロリストの仕業ではないのに、理由付けしているということですか?

江城 そうです。悪魔が人類を操るために、世間をコントロールしているのです。悪魔は姿を変えて、現実世界に入り込んでいます。しかし、ダンテは天使と悪魔のハーフなので、誰が悪魔かがわかるのです。悪魔にとって、ダンテはジャマ者。だから、彼は悪魔に狙われています。

──なるほど。ダンテ以外のキャラクターでは、フードを被った女性のキャットが公開されています。彼女については?

江城 役どころについての情報は、もう少しお待ちいただければと思いますが、キーパーソンであることは間違いありません。人間でありながら、Limboにいる状態のダンテを見ることができますからね。

──続報が楽しみです。では最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします。

江城 なかなかプレイアブルでお見せできなくてお待たせしていますが、開発自体はだいぶ進んでいます。今回お見せした通り、コンボアクションなど、『デビル メイ クライ』らしい部分はしっかり受け継いでいるので、プレイアブルできるタイミングでぜひ触ってもらいたいですね。もちろん、日本のファンの方も大切に考えていますので、TGSなどで出展したいと考えています。映像などでもできる限り魅力を伝えられたらと思っていますので、それらを期待してお待ちください。

『ディーエムシー デビル メイ クライ』で江城プロデューサーにインタビュー【CAPTIVATE 2012】_01

 
 
※『ディーエムシー デビル メイ クライ』プレゼンテーションの模様はこちら
※『ディーエムシー デビル メイ クライ』プレイリポートはこちら


ディーエムシー デビル メイ クライ
メーカー カプコン
対応機種 PS3プレイステーション3 / X360Xbox 360
発売日 発売日未定
価格 価格未定
ジャンル ファンタジー / アクション