スクウェア・エニックスがプレイステーション3とXbox 360、PCで発売予定の『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3』のモードのひとつ“スペシャルオプス”の概要と、SledgeHammer Gamesのグレン・スコフィールド氏へのインタビューをまとめてお届けする。
※マルチプレイ編はこちら
●ふたつのモードで仲間と戦え
スペシャルオプスは、キャンペーンモードやオンラインとは異なる、コンピューター操作の敵を倒していくモード。ひとりでもプレイ可能だが、協力プレイをオススメしたいところ。タイムトライアルや、設定された目標を達成していく、これまであったタイプのスペシャルオプスにくわえ、本作では新たに“サバイバルモード”も登場している。
サバイバルモード
ひとまとまりの敵(ウェーブ)を倒していく。ウェーブ間にはインターバルがあり、一定時間が過ぎるとつぎのウェーブがスタートする。どんどん激しくなっていくウェーブをどこまでクリアーできるかが激アツ。マルチプレイの全16種類のマップでプレイできるので、マップを覚えて慣れる練習にも使えるかも。敵を倒すとお金が手に入り、武器アーマリー、特殊装備アーマリー、航空支援アーマリーという3種類の設備から、追加装備や、航空支援を呼ぶことができる。
ミッションモード
従来のタイプのスペシャルオプスはこちらのモード。16種類のタイムトライアルや目標達成型のミッションに挑戦しよう。
なお、ミッションモードとサバイバルモードでは、スペシャルオプス専用のランクがあり、マルチプレイ対戦と同様、成績に応じてランクアップしていき、数々の機能をアンロックできる。
●あらゆる面で進化した『COD: MW3』をキーマンが語る
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本作で初めて『コール オブ デューティ』シリーズの開発に携わることになったスレッジハンマー・ゲームス。その代表であるグレン・スコフィールド氏が、『MW3』の内容や意気込みについて語ってくれた。
――まずはスレッジハンマー・ゲームスの成り立ちと、『MW3』を開発することになった経緯を教えてください。
グレン 我々は、元々エレクトロニック・アーツから発売された『DEAD SPACE』(※日本未発売)を開発したチームです。10年近くこのチームで動いています。それで『DEAD SPACE』が成功したのを機に、アクティビジョンの中にスタジオを持つことになりました。その課程で、『MW』シリーズの開発元であるインフィニティワードが『MW3』をともに制作するスタジオを探しているという話を聞き、開発に参加することになりました。
――世界的なビッグタイトルである『MW』シリーズの開発に参加することに、プレッシャーを感じますか?
グレン 『MW』シリーズに参加することは、すごく光栄なことです。もちろん多大なプレッシャーもあります。ただそれは、私たちがいつもゲームを作るときに感じているものと変わりはありません。誰も失敗はしたくないし、おもしろくないゲームは作りたくないですよね? そのために自分たちにプレッシャーを課すのは、むしろ必要なことだと思います。
――シングルプレイのデモを見せてもらいましたが、グラフィックをはじめ、煙などのエフェクトやSEもかなり進化していますね。
グレン グラフィックの描画エンジンは、『MW2』のものを元にかなりの手間と時間を掛けて新しいものを作り上げました。表示されるマップ領域が大きくなっていますし、描画能力が向上したおかげで高層ビルなどもしっかりと描けるようになりました。そして我々は同時に、ステージを構築する作業を簡易化できるシステムも制作しました。同様に、オーディオに関する部分も新しくなっていますし、敵のAIに関しても前作より進化しています。
――シングルプレイ最初のミッションとなる"ブラック・チューズデイ"は、マンハッタンの街並の作り込みが圧巻ですね。
グレン できる限り現実のマンハッタンに近い街並みを再現しています。ただし、現実のサイズのままでは道幅が狭すぎて、ゲームのステージとしては適してない場所などは、道幅を広げたりして多少のアレンジはしています。ただディテール的には、道路の標識やサインは深いリサーチを元に制作してリアルに再現していますよ。それはニューヨークだけでなく、パリやロンドンといったステージも同様で、かなり作り込んだステージを用意しています。やはりそういった都市には多くの『COD』プレイヤーが住んでいますからね。偽物の街を出すわけにはいかないでしょう。−−日本にも多くの『COD』プレイヤーがいますが、ゲームの舞台として東京などを出すというアイディアはありましたか?グレン 開発中のアイディアとしては、いっそ世界中を爆破してしまおうかと思ってましたが(笑)。今後の作品に期待してください。
――『MW2』の世界では核攻撃でEMP(電磁パルス)が発生し、すべての電子機器がダウンしてましたが、『MW3』の世界ではEMPの影響はどうなっているんでしょうか?
グレン EMPの影響は、マンハッタンのほうにはないんです。だからヘリも飛べますし、プレデターミサイルも使用できます。
――スペシャルオプスが、前作よりボリュームアップしましたね。
グレン 『MW3』のスペシャルオプスは、シングルプレイとマルチプレイの中間の位置になる、ブリッジの存在として考えています。シングルは遊ぶけど、マルチは何となく怖いから遊ばないとか、そういう人たちが多いのを我々は知っています。もちろんその逆のパターンもありますよね。そういうプレイヤーたちが、スムースにいろいろなモードに移行して楽しめるように、今回のスペシャルオプスは橋渡し的な役割を持っています。スペシャルオプスのマップはマルチプレイと同じ物を使用しているので、マルチで遊ぶ前にマップに慣れることも出来ますよ。
――『ブラックオプス』のゾンビモードのような、サバイバルモードが楽しそうですね。
グレン 敵のウェーブ(波状攻撃)は無限に続きますからね。いまの段階で開発チームが確認できたのは、ウェーブ39まででした(笑)。
――マルチプレイに関しては、キルストリークが大きくアレンジされましたね。
グレン いままでのキルストリークは、突撃してどんどん敵を倒す人だけが有利なシステムでした。そこでキルストリークを新たにストライクパッケージとして再構成し、アサルト、サポート、スペシャリストの3種に設定しました。アサルトはいままでのキルストリークと同じ、キル数に応じて攻撃支援を得られます。サポートは、連続キルじゃなくても、累積のキル数で支援を獲得できます。そしてスペシャリストは、キル数に応じて最大で6つまでのパークを装着できます。これはハードコアプレイヤー向けですね。つまりストライクパッケージは、あなたのプレイスタイルがどんなものであってもどれかがマッチするシステムなのです。
――新しいモードも追加されますね。
グレン 私たち開発者も気に入っている、"キル・コンファームド"ですね。このモードは、倒した相手が落とす、ドッグタグを回収しないとチームにポイントは入りません。だから遠距離から撃つスナイパーではキルを確定できません。しかし上手くチームプレイを行えば、わざとドッグタグを回収しないで放置し、それをエサにスナイパーが遠距離から狙撃する、といった作戦も可能です。
――新モードの追加は別として、キルストリークのアレンジは思い切った内容ですね。
グレン 今回加えた変化は、ゲームにとって正しいことだと私は思います。そもそも多くのファンが望んでいたことを実現した、という部分も大きいです。もしかしたら一部のプレイヤーにとって望まないことかも知れないけれど、だからといって我々はその人たちを切り捨てているのではなく、よりよいゲームコミュニティの形成を目指しているから、こういう変化を選んだのです。
――ユーザーからのフィードバックは、新作の開発に於いてやはり大事な要素ですか?
グレン まさしくその通りですね。『COD』シリーズにとって、ユーザーの意見はとても大事なんです。我々は広く意見を募集していますし、いろいろなフォーラムにも目を通しています。例えばツイッターやフェイスブックのフォーラムに、ゲームに関する同じようなトラブルが何度も投稿されていたら、それは問題ですよね? そういう場合、我々はすぐに改善に動きます。『MW3』ではキルストリークだけでなく、採用している武器のチョイスにもユーザーの声が反映されています。ゲームというのはファンの為のエンタテインメントですからね。ファンの声を聞くことは必要不可欠。大事なことなんです。
――『MW3』で大きく変化した部分は、スレッジハンマーが新たに開発に参加したからとも考えられますが。
グレン そうではなくて、これはチーム全体の成果だと言ったほうが正しいですね。そもそも開発チーム全体が『COD』というゲームの大きなファンですし、過去作からしっかりいろいろな事を学び、ゲームを正しい進化に導いているから実現したことでしょう。それと何より、ユーザーコミュニティの声にしっかりと耳を傾けた結果でもあります。その上で、皆さんがスレッジハンマーのおかげで『MW3』がすごく良くなったと思うのなら、私はそれでも全然構わないですけどね(笑)。
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