●ファミ通ドットコム独占インタビュー第2弾

 2011年3月6日に渋谷のライブハウスで行われた、タイトーサウンドチーム“ZUNTATA”の単独 ライブを収録したCD『ダライアスバースト アナザークロニクル Live in O-EAST -revolt-』が、2011年10月31日に発売予定だ。そこで、9月10日に掲載した土屋氏のインタビューに続き、ZUNTATAメンバーへの独占インタビューをお届けしよう。

ZUNTATA碎
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▲左から、ZUNTATAメンバーの土屋昇平氏、小塩広和氏、石川勝久 氏、元ZUNTATA・現株式会社ファラッド代表の内田哉氏。

●12年ぶりに行われたZUNTATAライブを終えて

――3月に行われたライブがCDとしていよいよ発売されますが、会場でのお客さんの反応はいかがでしたか?

小塩 直前まで緊張していたので、正直無事に終わってホッとしています(笑)。でも始まったときのお客さんの歓声が予想以上にすごくて、感動しました。今回のライブは僕にとって一生の宝になると思います。

土屋 同じく、非常に緊張した1日でした。ここまで多くの人たちの前で自分の曲を演奏するのは初めての経験だったので、感無量の思いです。

石川 ライブが行われてから、もう半年も経っているんですよね? あっというまのような気もするし、2〜3年前の出来事のようにも思えます。

――石川さんは、小塩さんや土屋さんよりもZUNTATAでのお仕事は長いんですよね。やっぱりライブでも落ち着いていたのでしょうか?

石川 すごくおもしろかったです。いつもなら、基本的に僕は裏方で全体の流れをまとめる立場なので、最初から最後まで気を抜けないことが多いんですよ。でも、今回のライブでは、ひとりの演奏者として参加しているので、緊張よりも演奏を楽しむ気持ちのほうが大きかったです。こういうイベントなら、何回やってもいいですね。タイトーに入社して20数年経って、ようやく僕も楽な立場になれたのかな……と(笑)。

――ぜひ次回の開催も期待しています! 内田さんはいかがでしたか?

内田 自分は舞台に出ていたわけではなく、プロデューサーの立場だったのですが、当日はとにかく走っていました(笑)。トークショーやステージだけでなくグッズ売り場も盛り上がっていて、お客さんにも満足していただけたのではないでしょうか。自分も7月に独立するまで、タイトーに17年在職していましたが、自分が参加してきた中で最高のイベントだったのではないかと思っています。ライブの会場でお客さんがワーッと盛り上がっているのを見ていて、何とも言えない感動がこみ上げてきました。

●現メンバーが考えるZUNTATAとは?

――ところで、ZUNTATAは1980年代からの長い歴史がありますよね。ZUNTATAは、どのようにして生まれたチームなのでしょうか?

石川 僕が聞いた話では、1983年に今村さんという方がサウンド開発の専門部門を立ち上げて、その年に小倉さん(※1)も入社されたそうです。僕が入社するより前の時期ですが、この年がタイトーサウンドの歴史の幕開けのようですね。そして、1987年に『ダライアス』のアルバムが出たときに“ZUNTATA”というチーム名が付きました。あのころは、レコード会社の働きかけがあったんだと思いますよ。

――いろいろなレーベルが生まれていましたからね。ところで、昔といまのZUNTATAで変わってきたところなどお聞かせください。

石川 うーん、ZUNTATA自体がずっと続いているものなので、“いつからが昔”という境界線は聴く人それぞれだと思うんですよ。『ダライアス』から聴いている方、『レイフォース』から入ってきた方、さらに『スペースインベーダーエクストリーム』や『ダライアスバースト』で初めてZUNTATAを知った方もいるわけで。僕自身の場合、1990年に入社する前が“昔”でその後が“いま”みたいな。

――なるほど。歴史が長いだけに、さまざまな年代のファンがいますよね。

石川 ある人にとっては「ZUNTATAと言えば小倉さんだよね」とか、またある人によっては「やっぱりTAMAYOさん(※2)だな」といった感じで。こういった“バラバラ感”がZUNTATAらしさなんですよ。

――曲を手掛ける人ごとに方向性が違う……と?

石川 そうですね。そのバラバラっぷりが、ZUNTATAのいいところでもあると思います。

――時代ごとに違うわけですね。では、現在のZUNTATAの方向性はどんなものなのでしょうか?

石川 最近は、リズムアクションのような、音楽を前面に出したゲームを作る機会が多いですね。ゲームのシステムにサウンドが絡むというのが大きいですね。そういう意味では、いまのZUNTATAは“ゲーム音楽を作る”というだけではなく、ゲーム自体も作っているというわけです。

――昔はリズムアクションというジャンルはありませんでしたからね。

石川 とは言え、リズムアクション以外のゲームでも、ゲームの内容に合わせた曲を作っていますから、音楽作りのプロセス自体は昔から変わっていないのかもしれません。「ZUNTATAってこういうものだから、この方向でいこうね」っていうのはないんですよね。違う志向性を持つクリエイターが集まって、ひとつのチームを名乗るというのがおもしろいと思います。小倉さんのように物語性を重視して曲を作る人もいれば、海野さん(※3)のようにメロディーの気持ちよさを追求したコンポーザーもいて……。

――見事にバラバラですね(笑)。

石川 そうですね。ただ、方向性はみんな違うけど、ゲーム音楽に対する情熱は同じなんですよ。

内田 1980年代は、どの曲もFM音源で作っていましたから、統一感は出てきますけどね。

土屋 それはありますね。もしかして、現在の“どんな音でも作れる環境”に歴代のZUNTATAメンバーが集合して、それぞれ自由に曲を作ってみたら、本当のZUNTATAがわかるんじゃないかと。

小塩 それ、やってみたいですね(笑)。ZUNTATAヒストリーみたいな感じで。

内田 見事に全員違うジャンルの曲になりそうですね。

――実現したら、ぜひ聴きたいです! ちなみに、現在のZUNTATAメンバーで曲を作るときに衝突したりすることはありますか?

土屋 それはもちろんありますよ。大抵の場合、僕と小塩のどちらがディレクションを担当しているかで、どの方向に行くかが決まります。

――お互いどちらも譲らない……なんてことは?

内田 どっちか引かないと曲が完成しませんからね(笑)。

小塩 そうですね。曲を完成させるという目標だけは全員同じですから。とはいえ、ZUNTATAの看板で曲を出している以上、妥協はせずにきっちりといいものを作っていかなきゃ……という思いで作っています。

――ZUNTATAの看板について、プレッシャーを感じることはありますか?

土屋 つねに感じます。でも、質の高いものを作るための後押しになっていますから、プレッシャーはあったほうがいいですね。

石川 たとえクレーンゲームの音楽でも、手を抜かずにちゃんと作るという意識が生まれますよ。

――あ、クレーンゲームもZUNTATAなんですね。

小塩 ほかにも、キッズゲームやメダルゲームなどもやってますよ。キッズゲームで言えば最新作にペダル式キックボードを搭載したレースゲームの『キックスルーレーサーズ』というのがありまして、これはBGMを僕が担当しています。

土屋 よく、ZUNTATAについて“タイトーのゲーム音楽をおもに作っているどこかのバンド”みたいに勘違いされている方が多いんですよ。僕らはタイトーの人間なのに(笑)。

石川 タイトーから出ている製品のほとんどは、ZUNTATAがサウンドを担当しているんですけどね〜。

●これからのZUNTATA

――では最後に、これからZUNTATAが目指していくものを教えてください。

石川 最近は、『スペースインベーダー インフィニティジーン』、『グルーヴコースター』 、『ダライアスバースト アナザークロニクル』といった、ゲームファンに対してZUNTATAの存在をアピールしやすいタイトルが多く、新しいファンの方が増えてきているんですよ。それはとてもうれしいことなので、この流れを止めずにZUNTATAを続けていきたいですね。音楽作り自体は昔から変わらないですが、これからももっと多くの人たちにZUNTATAを知ってほしいですね。

内田 お客さんの割合的に、かつてのゲームミュージック全盛期を知らない新しい世代のほうが多い気がします。

石川 昔のZUNTATAを知らない方も、ぜひ胸を張って“ZUNTATAファン”を名乗ってください(笑)。

小塩 ZUNTATAの曲を聴いて“いいな”と思った方には、ぜひファンになってほしいですね。ZUNTATAをもっと知ってもらうために、Ustreamの番組『ZUNTATA NIGHT』(http://www.ustream.tv/channel/zuntata)もやっていますから。

――次回の『ZUNTATA NIGHT』は9月23日(金)21:00開催ですね。

小塩 放送1周年を記念して、ライブCD『ダライアスバースト アナザークロニクル Live in O-EAST -revolt-』からの先行試聴や、未CD化楽曲や動画を一挙に公開予定なので、ぜひチェックしてください!

――楽しみにしています! ありがとうございました。

写真02

※1……小倉久佳氏。『ダライアス』を始め、数多くのゲーム音楽を手掛けてきた元ZUNTATAメンバー。現在は小倉久佳音画制作所として活動中。
※2……河本圭代氏。『レイフォース』シリーズなどを手掛けた元ZUNTATAメンバー。現在はフリーで活動中。
※3……海野和子氏。『パズルボブル』などを手掛けた元ZUNTATAメンバー。

ZUNTATA NIGHTがファミ通.comでも同時配信決定

■放送日
2011年9月23日(祝・金)21:00〜

■配信先は→こちら

■番組内容
・「ダライアスバースト AC」ライブアルバム発売直前!!
DVDも含め、一部内容を先行公開!!

・全世界で話題のグルーヴゲーム「GROOVE COASTER」
ZUNTATAのCOSIOが実際にプレイしながらその魅力を解説!

・秋期特別講座 初めてでもよく分かる!ZUNTATAの歴史
年代順の代表曲を聞きながらZUNTATAの歴史が楽しく学べる! 初公開のレア音源も満載!

■スペシャルゲスト
Remi(歌手)
石田礼輔(『スペースインベーダー インフィニティジーン』、『グルーヴコースター』のゲームデザイナー)

_硅

ダライアスバースト アナザークロニクル Live in O-EAST -revolt-
発売日:2011年10月31日(月)
※予約受付中
※初回限定版のみライブの模様が見れるDVD付き

収録曲:
1.Good-bye my earth -Live version with Remi-
2.The world of spirit -Live version with Remi-
3.DBAC MIX (1:オチツイタキモチ〜2:Baptize Silver Hawk〜3:Abyssal Holic〜4:粛々ト敵ヲ撃破〜5:Abyssal Dependence)
4.DARIUS Classics(1:COIN〜2:CHAOS〜3:Say Papa〜4:Visionnerz + 5:Self〜6:G Zero +7: Adam〜8:Fake〜9:A Flashing Dual Hawk〜
10:Boss7)
5.組曲 光導 第一曲 鉄の化石 -Live version-
6.組曲 光導 第三曲 稲妻と剣 -Live version-
7.組曲 光導 第五曲 暴君 -Live version-
8.ENCORE1:Hello 31337 -Live version-
9.ENCORE2:組曲 光導 第六曲 導き -Live version-

販売サイト:オンラインショッピングサイト“エビテン(ebten)”
特典DVD付き初回限定版は→こちら
通常版は→こちら
※この商品は「エビテン」の専売商品となります。

価格:特典DVD付き初回限定版は3990円[税込]、通常版は3150円[税込]
企画・制作:エンターブレイン/協力:タイトー