●名古屋公演も大盛況!

 “PRESS START 2011 -Symphony of Games-”は、ハードやメーカーの枠を越え、新旧を問わずすばらしいゲーム音楽を選抜し、演奏するオーケストラコンサート。竹本泰蔵氏(指揮者)、桜井政博氏(ゲームデザイナー)、植松伸夫氏(作曲家)、酒井省吾氏(作曲家)、野島一成氏(シナリオライター)の5名が企画者となって2006年に初公演が行われ、2011年で6年目を迎えた。

 2011年の開催では、東京に加え、初の名古屋公演も行われた。本稿では、名古屋国際会議場内の“センチュリーホール”で開催された、名古屋公演の模様をお伝えしよう。

 名古屋で初めてのPRESS STARTということで、ファンの期待も高かった今回の公演。それを裏付けるかのように、開場前からファンが行列を作り、1800人もの観客がホールに集まった。熱心にグッズを購入するファンの姿からは、名古屋のゲーム熱の高さをひしひしと感じることができた。ファンの熱気に負けじと、角田鋼亮氏がタクトを振るい(竹本氏は数年前から決まっていた仕事のため欠席)、名古屋フィルハーモニー交響楽団が、すばらしい演奏を披露した。

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 コンサートの演目については東京公演と同様。内容については、こちらの記事を参照していただくとして、ここでは、名古屋公演ならではのトピックを紹介していこう。

■増田順一氏がゲストとして来場!
 『ポケットモンスターブラック・ホワイト』のディレクターであり、作曲家でもある増田順一氏が、『ポケットモンスターブラック・ホワイト』の作曲や、PREES STARTバージョンの編曲を担当した景山将太氏とともに登壇。ポケモンセンターの楽曲のコード進行が、『ポケットモンスター赤・緑』のコード→『ポケットモンスターブラック・ホワイト』のコード、となっていたことなどが語られた。

■ルシフェルのセリフに注目!
 『エルシャダイ』の演奏では、演奏の合い間にルシフェルからコメントが寄せられた。東京の昼夜公演とは異なる内容となっていたので、その全文をここに掲載しよう。

<ルシフェルセリフ・名古屋公演バージョン>
ここが名古屋か。うん? 私の姿が見えないだって?
ハハハ。まあいい、会えてうれしいよ。自己紹介は……必要なさそうだな。
PRESS START。私は時を遡り、もう100回以上はここに来ている、
もう大好きなんでね(笑)。数十年の歳月に及ぶゲーム音楽が集っているこの場所が。
君たちも楽しむといい。
もちろん私も、まだまだ楽しませてもらうよ。


公演終了後、企画者の5人に話を伺った。以下ではその内容をお届けしよう。


桜井政博氏
 名古屋公演では、『ゲームに使われたクラシックメドレー』にコーラスをいくつか追加しました。東京公演のときは、夜の部だけ楽譜なしで『交響曲第9番(合唱) 第4楽章』にコーラスを追加したんですが、今回は譜面にもきちんと反映してもらいました。合唱があったほうが、やっぱりいいですね。
 2011年度は演奏が難しい楽曲が多かったのですが、指揮者の角田さんと名古屋フィルの方々が、見事に演奏してくださいました。また、エレキギターやドラムとオーケストラを上手く合わせられたことが印象深く、可能性も感じましたね。今後の参考になりました。
 私のコラムを読んで、来年の開催について危惧している方もいるかもしれませんが、それは運営の方法次第。あきらめたわけではないので、前向きに検討していきたいと思っています。

植松伸夫氏
 とってもバランスのいい演奏でした。すばらしかったですね。お客さんは、東京に比べるとちょっとおとなしいのかも、と思いました。もっと騒ぎたいんだけど、オーケストラコンサートで騒いじゃっていいんかな、という遠慮がたぶんあったんじゃないかなと思います。でも、ステージから皆さんの顔を見ていると、喜んでいただけていると感じました。名古屋でやれてよかったですね。

野島一成氏
 東京の成功があったので、名古屋はリラックスして臨めたんですが、それでも最初にお客さんの前に出ていくまでは、ちょっとドキドキしていましたね(笑)。道に迷って物販スペースに行ったんですが、また来てくださいと声を掛けていただいて。自分が楽しめたということもあって、名古屋で開催してよかったと思いました。名古屋のお客さんはとても温かかったので、できればまた来たいと思います。

酒井省吾氏
 リハーサルから立ち会いましたが、指揮者の角田さん、名古屋フィルさんともにすばらしく、大成功だと思います。東京で2度公演を行った経験が、演出や進行などにうまく引き継がれて、その分精度が上がったのではないでしょうか。
 PRESS STARTをこれまで6年やってきて、ゲーム業界も大きく変わりました。ですが、いいゲーム音楽があれば、この企画自体が支持されなくなることはないんじゃないかなと思っています。だから、僕個人としては、今後も続けていきたいと思っています。