●幅広いプレイヤーからのフィードバックを反映し、完成は1年後?

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 既報のとおり、東京ゲームショウ2011の会場で、Xbox 360用の格闘ゲーム向けファイティングスティックを開発・テスターを募集することを発表したRazer。PC用のゲーミングデバイスで有名なメーカーだが、なぜRazerは日本でこの発表を行ったのか? 社長のロバート・M・クラコフ氏に話を聞いた。

――先日発表されたファイティングスティック、非常にびっくりしました。中を開けてパーツを交換できるというのは画期的ですね。
クラコフ Razerとしてはこの領域で最初の製品ですから、画期的で使いやすいほうが受け入れられるのではないかと考えています。このファイティングスティックはパーツを交換できるというコンセプトで作っていますので、いまのプロトタイプでは、内部に交換用のパーツを入れておいて、家の中だけじゃなくて外で交換することもできるようにしてあります。最終的な仕様についてはこれから詰めていく予定です。

――一応再確認したいのですが、現在三和電子製のボタンとスティックがついているのを、ユーザー側が自由に好きなブランド・メーカーのパーツに変えたり、カスタマイズできるということでいいですか?
クラコフ 三和電子だけでなく、別のメーカーさんのパーツも使えるようにしていくつもりです。最終版になるまでは1年ぐらいかかるかもしれませんが、フィードバックと検証をくり返して磨き上げていこうと思います。

――「オレはセイミツ工業(三和電子と同じく業務用筐体のレバーやボタンを製造しているメーカー)じゃないと!」といった、こだわりがあるプレイヤーにも対応できそうですね。
クラコフ そうですね。皆さんの要望にはできるだけ対応していこうと思うのですが、製造費がかかりすぎてしまうのも問題なので、高すぎず、安すぎずというところにできるような形でフィードバックの反映を考えていきたいですね。

――200人のβテスターを募集していましたが、あれは全世界で200人ということでしょうか?
クラコフ ワールドワイドで200人です。幅広い人からフィードバックをいただければと思います。東京ゲームショウでも触っていただいて、すでにさまざまな意見や反応をいただいていますので、(十分なフィードバックの量を)期待できるのではないかと思います。もちろんプロゲーマーなどのトッププレイヤーの反応も大事ですが、初心者でも使えることも重要視したい。なので、両者のバランスを取りながら追求していければいいですね。

――ファイティングスティックの分野では、すでにホリやMad Catzといった先行するブランドがありますが、たとえばどちらのブランドもプロゲーマーを抱えています。これらのブランドにRazerが追いつくための方策はどのように考えていますか?
クラコフ Razerのブランドを日本市場で確立するにあたっては、もちろんマーケティングも大事ですが、まずはプロゲーマークラスのトッププレイヤーが買いたくなるような製品を作ることを目標としたいと思います。

――RazerはPCのゲーミングデバイスから始まって、最近はXbox 360のコントローラーも出しましたし、今度はファイティングスティックと、徐々にその領域を拡大してきています。その戦略をお聞かせください。
クラコフ Razerは技術で道をひとつずつ切り拓いてきた会社です。プラットフォームに固執せずに、可能性がある市場に技術を活かした製品を提供していきたいと思っていますし、その自信が我々にはあります。ひとつだけRazerでやりたくないのは、ほかのものをコピーするということ。それだけがルールです。我々は技術によって、オリジナルの製品を作り出します。他社ですと(実際は別のメーカーが企画・製造したものを販売する)OEMなどもありえるでしょうが、Razerは内部の設計やデザインを自社で行なっております。たとえば商売上の理由で、小売から「8000円ぐらいのゲーミングキーボードを作ってほしい」というオファーをいただくとしても、それでユーザーの皆さんにとって意味があるものを作れるのでなければやりません。

――いま“これをやるのはRazerではない”ということをお伺いしましたが、逆に“これがなくなったらRazerではない”ということはありますか?
クラコフ Razerにとって、つねに革新性がなくてはなりません。つねに15から30個の新製品を研究しています。もちろん非公開のものですが、こういった研究活動による革新性がなければRazerではなくなってしまうでしょう。全世界で4つデザインスタジオがあるのですが、30人から40人ほどがデザインを行なっています。それも重視している部分ですね。

――いままでXbox 360の周辺機器を発売してきましたが、プレイステーション3の周辺機器についても取り扱う可能性はありますか?
クラコフ 唯一言えるのは、ライセンス相手があってということです(笑)。

――では最後に日本のゲーマーにメッセージをお願いします。
クラコフ コンソール(家庭用ゲーム機)市場を考えると、日本の格闘ゲームプレイヤーの存在は大きく、今回こうして発表を行わせていただくことにもなりました。それだけ高い可能性がある市場だと認識しております。これから最終版に向けて進んでいくという意味では、日本はなくてはならないものだと考えています。これは製品だけでなく、大会サポートなどへのコミュニティーへのスポンサーシップも協力していきますので、これからの展開をぜひ期待してお待ちください。

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