●麻倉怜士氏を進行役に迎えてのトークセッションも実施
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ルーセント・ピクチャーズエンタテインメントから発売中の月刊ビジュアルマガジン『PLUP SERIES』(プルアップシリーズ)第一弾となる『IQUEEN(アイクイーン) Vol.1 長澤まさみ』。そのデジタル版が明日(2011年8月25日)、プレイステーション3のPlayStation Storeにて配信が開始される。デジタル版は世界初の試みとなる超高解像度4K(フルハイビジョンの4倍:4096ピクセル×2160ピクセル以上の画素数を持つ超高解像度)&立体視対応(3D)での配信となる。
その配信に先駆け、本日(2011年8月26日)、品川にあるソニー・コンピュータエンタテインメントにて、メディアを対象とした発売記念体験会が開催されたので、その模様をリポートしよう。
前半は、関係各社からのプレゼンテーションが行われた。先日開催された発表会(詳しくはこちら)からの新情報としては、『IQUEEN Vol.2』に真木よう子が登場することや、『aBUTTON』(『PLUP SERIES』シリーズのひとつ。次代を担う新鋭女優から永遠の少女性を切り撮ることがテーマ)のVol.2に広瀬アリスさんと水沢奈子さんが登場することなどが発表された。
■トークセッション
縣秀征(ソニー・コンピュータエンタテインメント ソフトウェアソリューション開発部 次長) |
森拓也(ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント 取締役) |
榎戸理人(ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント 『PLUP』シリーズ3D技術担当 ステレオグラファー) |
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プレゼンテーションの後半には、デジタルメディア評論家で日本画質学会副会長を務める“画質の鬼”麻倉怜士氏を進行役に迎えてのトークセッションが行われた。
――どのような理由で高解像度ビューワーであるPlayViewを開発しようと思ったのか、どのようなユーザーニーズを想定していたのか。
縣 もともとは大きな画像をプレイステーション3でいかに簡単に観るかをテーマに開発されたライブラリです。10億ピクセルの画像でもすぐに読み込んで、スムースにどんどんズームできるというものを、まずは開発しようと思っていました。その技術は当初、攻略本などを想定していました。開発を進めていくなかで、動画も入れ込めるようになるなど、いろいろなことができるようになり、「じつは写真を観るのに向いているんじゃないか」と考えるようになったんです。
――苦労した点は?
縣 インタラクティブ性を持たせるために、どこまでスムースに動かせるかという点です。
――電子書籍は小さな画面を対象としたものがほとんですが、なぜ、今回の大画面を対象としたコンテンツを作ろうと思ったのか。
森 もともと今回の写真集を企画する前、2009年にイラストを中心したアートブックの展開に携わらせていただき、そのプロモーション企画の一環で、渋谷のクラブで3D変換をしたイラストの展示イベントを開催したんですが、大画面でイラストや写真を楽しむということを自分自身で体験し、新たな市場を開拓できる可能性を感じたんです。すぐに会社に戻って事業化の企画の提案をしました。
――そのときのイラストというのはどんなものだったんですか?
森 未来を感じさせるようなSFのイラストでした。
――今回、女性にコンテンツを変えた理由は?
森 プレイステーション3のユーザーの親和性と、全国区の知名度を持つ方から始めて広めていきたいというプロモーション的な観点からです。今後はイラストや絵画などのコンテンツの企画も進めているところです。
――静止画を3Dで撮影する技術的な難しさについて。
榎戸 3Dで撮影するにはカメラは最低2台は必要です。3Dで静止画を撮影するカメラは、我々が求めているものがなかったので、カメラからオリジナルのものを製作しました。撮影時の苦労としては、2Dだと引いたり寄ったりできますが、3Dだと立体感を出すために距離も重要になってきますので、その点が難しい点でした。
――3Dで4K高解像度の意義とは。
榎戸 いままで見えなかったものをより鮮明に見せ、被写体が持っているそのままのよさが高解像度の3Dでは表現できると思います。
――これからどう発展していくのか。
縣 PlayViewの技術としては、多彩な表現ができるようにブラッシュアップしていきたいと思っています。ゲームをプレイ中でも閲覧できるようにしたいと考えています。クリエーターの方々のリクエストに応えられるよう、技術を磨いていきたいと思っています。
森 まずは、明日の配信となる長澤まさみさんの『IQUEEN Vol.1 長澤まさみ』を見ていただいた方に、「見てよかった」と思っていただけるところから始めていければと思います。今後の展開に関しても、Vol.3以降も皆さんにご期待いただける大物女優さんが参加される予定になっていますので期待していただければ。秋にはPlayViewの使われていない機能を使った第3、第4のシリーズを立ち上げる予定です。その新しいシリーズはプレイステーション3のユーザーの嗜好に合ったタレントさん、女優さんが続々と登場する予定となっております。
榎戸 今回のコンテンツはまだ始まったばかりで、クリエーターの方々やユーザーの方々が望むものが実現できるよう、今後もさまざまな取り組みを進めていきたいと思っています。今後の目標としては、高解像度3Dの静止画を一般の方も気楽に楽しめるようなカメラをソニーさんに出していただければ(笑)、自分も何らかのお手伝いができるかなと思っています。
■取材した記者のインプレッション
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『IQUEEN Vol.1 長澤まさみ』は、2Dは6K、3Dは4Kの高画質で撮影された今回のデジタル版。ピクセル数にすると約10億ピクセルの画像となるというが、プレイステーション3ならサクサクと楽しめ、しかも、縮小・拡大もスムースに思いのままの快適操作。3D写真も、肌の質感や丸み、髪の毛の1本1本まで立体に感じられ、長澤まさみがそこにいるような、本当に手で触れるんじゃないと思うほど。3Dで観られることを計算した構図やバランスで撮影された3D静止画は、動画よりも3D立体視に向いているのでは、と感じるほどだった。
『aBUTTON』のほうは3D立体視の写真はないが、こちらは動画が充実。写真かと思うとそのままのクオリティーで動き出して動画だとわかったり、ズームしていくことで見える風景など、高解像度を活かした新しい写真体験が楽しめた。
実際に見てみないと実感できないところがもどかしいが、4K以上の高解像度で撮影された写真は、素人目にも目を見張るハイクオリティー。紙媒体とは違い、ノドなどの折り目も気にする必要はなく、写真を思う存分楽しめるぜひ、一度体験してみることをオススメしたい。
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