●ホラーの定番をしっかりと押さえた物語

 現地時間の2011年8月17日〜8月21日まで、ドイツのケルンにて開催されている欧州最大規模のゲームイベント“gamescome 2011”。会場には一般展示エリアのほかにビジネスエリアも設けられており、そこでは各メーカーが最新タイトルのデモや、一般展示エリアに出展されないタイトルの紹介を行っている。セガはビジネスエリアでXbox 360のKinect専用タイトル『ライズ オブ ナイトメア』(日本で2011年9月8日発売予定)のデモを実施。ゲームのシステムについてはすでに多くのことが公開されているということで、今回はストーリーに焦点を当てて物語の導入を紹介する形となった。

 『ライズ オブ ナイトメア』はKinect初の本格ホラーアドベンチャー。プレイヤーは謎の大男(?)に連れ去られた妻を追って辿り着いた館で、世にもおぞましい経験をすることになる。このシンプルなストーリー概要、ホラーとしてじつに正しいと思う。そして今回、物語の導入部を見て記者はその思いをさらに強くしたのだ。なお、ゲームのシステムなどについては以下の記事に詳しいのでぜひ併せてチェックしてほしい。

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 ホラーの何が怖いか? という問いの答えはさまざまだが、ホラー作品で欠かせない要素のひとつに、日常が突然非日常になってしまう瞬間というものがあると思う。『ライズ オブ ナイトメア』もその例に漏れず、ショッキングな映像とともに日常と非日常の切り替わりを描いていいる。

 幕開けは、夫婦で列車に乗っているという極めて日常的なシーンだ。客室で向かい合って座るふたりは些細なことから口論を始め、怒った妻の“ケイト“は客室を飛び出してしまう。「ああ、いかんことをしてしまった」と主人公の“ジョッシュ”は反省。気持ちを切り替えるために洗面所で顔を洗うのだが、顔を上げた瞬間鏡に自分の顔はなく、代わりに恐ろしい形相のクリーチャーが! 狼狽するジョッシュだが、クリーチャーの姿はすぐに消え、鏡にはしっかりと自分の顔が映しだされていた。

 アレはジョッシュの心情が生んだ幻だったのか、それとも……。とにかく、洗面所を出たジョッシュは妻が歩いていった方向に足を進める。しかし、どうにも今日はツイていないようで、ただ車両を移るだけなのにさまざまな災難が振りかかることに。通路の窓に足をかけてストレッチをするバレリーナらしき女性からは「足の下をくぐりな」と屈辱的な言葉を投げられ、ある客室では見るからにチャラい雰囲気の若者たちが大音量でダンスミュージックをかけている。非常識な輩たちがいるエリアをなんとか抜けると、今度は車掌が「切符を拝見」ときた。恐らくジョッシュもかなりイラついているのだろう。切符を渡そうとした瞬間、それは車掌の手をすり抜け、不幸なことに近くの客室の中へ。さっさと拾って妻を追いたいのだが、客室の中にいたのはミステリアスな雰囲気の女性で、ジョッシュの運命をタロットで占うと言ってきかない。しぶしぶ従うが、どうやら最悪の結果だったようで女性は「もう遅い……」などと青ざめがらつぶやいている。相手にしていられない――ジョッシュは外に出て、車掌に切符を見せ、再び妻を追うのだが、女性の占いはすぐに的中することとなる。隣の車両に移ろうとしたとき、ドアについた窓から妻の後ろ姿を確認したジョッシュ。その直後、すさまじい衝撃とともに窓が血に染まる。何が起きたのか確認しようとドアを開けると、そこにはおびただし量の血痕と、複数の死体、破壊された車内という非日常的な光景が広がっていた。そして、車両の奥にはこの悲劇を作り出した張本人と思われる、異形のクリーチャー“エルンスト”と、彼にかつがれるている妻の姿が……! さきほどの車掌もこの異常事態に気付き姿を見せるが、触手のように伸びる腕に体を貫かれてしまう。その直後列車は脱線。衝撃で気を失うジョッシュが最後に見た光景は、エルストンと、その傍らで不敵な笑みを浮かべている謎の男“ヴィクター”の姿だった。

 少し長くなったが、物語の始まりはこんな感じである。このあと生存者(列車内で出会った人々)とともに、ジョッシュは安全な場所を求めて探索するうち、何かしらの改造手術を施されて蘇った死体を始めとするクリーチャーと遭遇。チャライ若者集団のひとりがそれに殺られてしまったりしながら、物語のおもな舞台である謎の館へ辿り着くことになる。

 記者はE3や国内のイベントで本作を何度か触り、その容赦ないゴア描写にすっかり魅了されていた。そして今回、初めて物語をしっかりと観させてもらったのだが、先に挙げた日常から非日常への切り替えに加え、チャラい若者、謎の館、マッドサイエンティスト……と70〜80年代ホラーでよく見られた、定番とも言える要素をしっかりと押さえており、非常に正しい印象を受けた。「あの強気なバレリーナはきっと拷問とかされちゃうんだろうな」、「途中で出会ったチンピラみたいな男が、意外としぶとく生き残るもあっさり死にそう」などと今後の展開を想像するだけで楽しい。なお、今回デモを行ったスタッフに聞いたところ全体のボリュームは7時間程度。長すぎない尺も、ホラーとしてじつに正しいと思う。

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