ストリートファイターZERO(セガサターン)のレビュー・評価・感想情報

良かった点
それまでのスーパーストリートファイターIIXのような、上級者向けしか楽しめないようなゲームシステムではなく、初心者救済のための様々なゲームシステムが盛り込まれているのが一番の魅力。その最たる例として、ヴァンパイアシリーズなどでも採用されていたオートモードがある。
このオートモードを使うことにより、基本的な攻撃は全て防御してくれるほか、ストリートファイターZEROシリーズで採用された連続攻撃を解除してカウンターを繰り出す「ZEROカウンター」システムを、厄介な操作なしに扱う事が出来る。
また他にもゲームシステムもストリートファイターIIシリーズとは幾らか変更された点があり、空中ガードが可能になったほか、ZEROコンボと呼ばれるZERO無印のみで採用された、タイミングよく連続してボタンを押すことで簡単にコンボ攻撃を繰り出すことが出来るというシステムが追加されている。

また、初心者でも遊びやすい作りになっている一方で、奥深い格闘アクションを愉しむための新しいゲームシステムも採用されている。
このZEROシリーズではスーパーコンボというシステムが採用されており、ガードや攻撃などをすることによって蓄積されたスーパーコンボゲージを消費して、必殺攻撃が出来る。またそのゲージにはLv1/Lv2/Lv3という風にレベルがあり、Lv1までゲージを溜めるだけでも必殺技は出すことが出来るが、Lv3までゲージを溜めてから攻撃した方が、与えられるダメージ量は大きい。またLv3まで溜めて一気にゲージを消費し技を繰り出すだけでなく、Lv1相当の必殺技を三回出す、というような事も出来る。これにより、Lv1で確実に相手の体力を削るか、或いは戦況が不利な時には溜めていたゲージを一気に消費し一発逆転を狙う、というような賭け引きが生まれている。

グラフィック面では、コンシューマ展開していた過去作のストリートファイターIIシリーズより圧倒的に綺麗になっているのも良い。
また、陰影を細かく描くような旧式のドット描画を廃し、ヴァンパイアシリーズのような色数を抑えてアニメーションのようにキャラクターを描いたことによって、ドット特有の荒さが薄くなっており、今やる分にもあまりグラフィックに古臭さを感じない。
また背景も非常にきれいで、人々が集まるストリートで敵と殴り合う感じは正にストリートファイター、と言った感じ。

悪かった点
取り立てて不満と言うのはないが、強いて言えば登場キャラクターがリュウ、ケン、チュンリーの他はあまり馴染みがなく、ストII無印しかプレイしたことのない私にはストリートファイターと言われても今一つしっくりこない感があった。
後々プレイしていくと、ガイルと似通った技を持ち、ガイルの親友という設定で名前の挙がっていたナッシュであったり、同じくカプコン販売のゲームソフトである「ファイナルファイト」からの参戦キャラクターであったりしていることに気付くのだが、ゲーム内や説明書ではそういった説明や世界観説明がほとんどされないのがなんとも残念。元々これに限らず格闘ゲームでは全般的にストーリーはあってないようなものなのだが、もう少しストーリーを強く盛り込んだ方が、個人的には没入感があってよかったかな、という印象。

それから、最終盤になってくると、CPUの攻撃がジャンプで飛び込んだら対空で落とす、飛びが来たら飛びで返す、攻めて来なければひたすら遠方から飛びで削る、というような、マニュアルみたいないやらしい攻撃をしてくるのが残念だったかな、というのも少しばかりあった。どうにも強敵らしくない戦い方で、ガードしている中ひたすら遠距離で攻撃してくるラスボスの小者感はどうにかしてほしかったかな、というところ。

総評
キャラクターが地味であったりと、今一つパッとしない感じや派手さに欠ける部分もあるが、操作感やゲームとしての出来は非常によく、感覚が慣れていなくても、一連のボタン操作さえ把握しておけばさわりから楽しめる。
初心者補助としてのオートモードも非常に役立つので、格闘ゲームをプレイしたことが無い人にも勧めたい作品。

このSEGASATURN移殖のほか、PlayStation移殖、コレクション版としてPlayStation2移殖がある。比較的そちらの方がメジャーハードで入手しやすいため今からプレイする際にはそちらでプレイするのが良いかも知れない。