激しい雨によって、ラジオ会館にめり込んだままのタイムマシンが故障してしまった。鈴羽は、もう過去へ向かうことができなくなってしまったとショックを受ける。そんな鈴羽の前に、“それ”は現れた。鈴羽の目の前に、ふたりの鈴羽が立っていたのだ。ひとりは軍服姿で冷静な物言いと落ち着きを備えた鈴羽。もうひとりはメイド服姿でどこかお気楽な印象を受ける鈴羽。ふたりはほかの世界線の記憶なのか、あるいは鈴羽の単なる幻覚なのか、それは分からない。だが、そんなふたりと橋田至の協力により、なんとかタイムマシン修理の目処が立つ。思いがけず時間ができた鈴羽はラボメンたちと……、とくに父である橋田至と交流を図ることにする。
“それ”は相変わらず、あたしの前にいた。
ふたりの鈴羽
「父さんの名前は……橋田至」