『ヴァンパイア リザレクション』は、名作2D対戦格闘ゲーム『ヴァンパイアハンター』と『ヴァンパイアセイヴァー』の2作品を収録したソフト。グラフィックのHD化に加え、快適なオンライン対戦に対応。さらに、シリーズのアートが鑑賞できるギャラリーモードなど、本作ならではのゲームモードも追加されている。ここでは、『ヴァンパイアハンター』と『ヴァンパイアセイヴァー』、それぞれの特徴を紹介しよう。
 『ヴァンパイアハンター』は、シリーズ第1作『ヴァンパイア』の続編で、新キャラクターのドノヴァンとレイレイ、前作のボスであるパイロンとフォボスが新たにプレイヤーキャラクターとして加わった。システム面では、前作の“目押しコンボ”をベースにした“チェーンコンボ”が導入され、通常技から通常技をどんどんつなげてダメージを奪うという新たな爽快感を生み出した。そのほか、ガード状態から必殺技で切り返すガードキャンセルが使いやすくなったり、ゲームバランスが調整されるなど、細部まで改良が加わりより遊びやすくなっている。
 ガード中に特定のコマンドを入力することで、防御状態から必殺技で反撃に転じる。チェーンコンボなど、連続してガードを強いられる状況から脱出する手段として役立つのだ。
↑魔剣ダイレクを武器に戦うドノヴァン。ダイレクをブーメランのように飛ばして攻撃できるが、剣を手放している間は素手で戦わなければならないなど、テクニカルなキャラクターだ。
 弱、中、強の流れでタイミングよく攻撃ボタンを押して、通常技から通常技をつないでいくコンボ。初代『ヴァンパイア』ではシビアな入力が要求されていたが、本作では改善されて扱いやすくなっている。
←レイレイは、袖から覗く巨大なカギ爪を始めとした、さまざまな“暗器”を武器に戦うキャラクター。振り子のような動きで攻撃する“旋風舞”など、シリーズでも珍しい特殊な必殺技を持つ。
 『ヴァンパイアハンター』をベースに多数の新要素を追加した続編。新キャラクターとして、ジェダ、バレッタ、リリス、キュービィの4体が登場した。また、時間の経過で体力が回復するインパクトダメージゲージを採用。体力ゲージがなくなるとダウンとなり、その場から仕切り直すことになる。ラウンドの区切りがないため、テンポの早いゲーム展開が楽しめるようになった。そのほか、キャラクターごとの特殊能力を発動するダークフォースや相手を弾いて間合いを離せるアドバンシングガードといった新システムも追加された。
 一定時間特殊能力を発動できるダークフォース。効果は、本体をフォローするユニットが追加されたり、相手の攻撃を受けてものけぞらなくなるなど、キャラクターごとに異なっている。
 ガード中にボタンを連打すると発動する特殊なガード。成功すれば相手を弾き返して距離を取れるため、連続してガードさせられる状況から脱出しやすい。
 攻撃ヒットジに赤と白の2種類のダメージが発生し、時間の経過とともに白いゲージが少しずつ回復するという体力ゲージシステム。
 『ヴァンパイア』シリーズをやり込むプレイヤーたちから、“神”として崇められている伝説のプレイヤーがいる。それが、現在プロゲーマーとして活躍しているウメハラ選手とsako選手だ。ウメハラ選手は、『ヴァンパイアハンター』にて286連勝という前人未到の記録を打ち立て、『ヴァンパイアセイヴァー』では全国大会を制覇。そのウメハラ選手と入れ替わるように表舞台へ姿を現したsako選手は、“sakoスペシャル”という高難度コンボを自在に操り、『ヴァンパイアセイヴァー』界を席巻した。そんなふたりが、本サイト冒頭の映像で当時の思い出を語っている。ここでは、その内容の一部を抜粋してお届けする。

 Team Mad Catz 所属のプロゲーマー、梅原大吾。国内では“ウメハラ”、海外では“Daigo”として格闘ゲーム業界では、その実力とプレイスタイルから、もっとも高い知名度を持つ。1990年代半ばより国内はもとより、世界規模の格闘ゲーム大会にて活躍し、とくに2004年のEvolutionでは、その“神業”による奇跡的大逆転を起こし、その名を世界的に知らしめることになった。国内外の大規模なStreet Fighter大会のタイトルを誰よりも多く獲得し、格闘ゲーム史上が誇る世界のトッププレイヤーから、“最強”のプレイヤーとして見なされる梅原は、その功績が認められ、2010年にはギネス・ワールドレコードにも認定された。また、彼の野獣的とも言えるアグレッシブなプレイスタイルから、欧米では“The Beast”というニックネームでも呼ばれている。

■『ヴァンパイア』のおもな戦績
ゲーメスト杯(1997年) ヴァンパイアセイヴァー 個人戦 優勝
ゲーメスト杯(1995年) ヴァンパイアハンター 個人戦 ブロック決勝敗退

 初代『ヴァンパイア』との出会いは、中学1年生くらいのころです。当時はいろいろなゲームに手を出していました。その中でもとくにカプコンのゲームが好きで、本作に出てくるような妖怪も好きだったということもあり、稼動したら絶対にプレイしようと期待していました。
 『ヴァンパイア』は、『ストリートファイターII』を始めとした当時の格闘ゲームの常識を覆す斬新なシステムが魅力でした。たとえば、ジャンプしたあとにダッシュで移動できるし、ガードしていてもガードキャンセルという切り返し手段がある。そして、目押しコンボで通常技をつなげることもできるなど、自由度が高いので個性を表現するという楽しみがありました。
 稼動から1年半くらい経過したころに、秋葉原のゲームセンターでパイロンを使って達成した記録です。じつは、連勝数の表示は255までしかなくて、256連勝すると“チャレンジー”という最初の表示に戻ってしまうんですよ。「あの当時によく作れたな」と思うくらいシステムや操作性のデキには満足していたんですが、連勝数を256以上も表示して欲しいというのが、唯一の改善希望点でした(笑)。

 Team HORI 所属のプロゲーマー。2010年に開催された『スーパーストリートファイターIV』の大会“GODSGARDEN online ♯2”で、世界的に有名なウメハラ氏を破って一躍有名になり、極めて攻撃的な戦術から“最強の矛”の異名を取るまでになった。ほかのプレイヤーが実戦投入を諦めてしまうほど高難度のコンボを芸術的に使いこなし、対戦相手すら魅了する。最近では『スーパーストリートファイターIV』のトッププレイヤー12名によるリーグ戦“トパンガリーグ”での活躍が注目される。

■『ヴァンパイア』のおもな戦績
ReveLAtions (USA・2011年) ヴァンパイアセイヴァー 個人戦 優勝
闘劇'04(2004年) ヴァンパイアセイヴァー 個人戦 ベスト4

 中学生のころに友だちと通っていたゲームセンターで、初代『ヴァンパイア』と出会いました。「ディズニーアニメか!?」と思ってしまうくらいキレイで滑らかなグラフィックに衝撃を受けたのを覚えています。
 いちばんやり込んだシリーズ作は『ヴァンパイアセイヴァー』です。ゲームスピードが速く、なおかつゲームシステムのバランスがいいんです。具体的には、『ヴァンパイアセイヴァー』は防御システムが充実していて守りが強いゲームなんですが、じつはそれを上回るくらい攻めが強力に作られていて、この絶妙なバランスが最大の魅力だと思います。
 sakoスペシャルは、サターン版『ヴァンパイアセイヴァー』のトレーニングモードでひたすら練習していましたね。いちばん練習していたころは朝から晩まで、それこそボタンが潰れるまで続けていました。たぶんアーケードスティックを5台は壊しています(笑)。
 バレッタの“弱パンチ→弱パンチ→ダッシュ弱パンチ→ダッシュ弱パンチ→(最初に戻る)”という、sako選手が開発した永久にループするコンボ。ダッシュ弱パンチからダッシュ弱パンチのつなぎが1フレーム(60分の1秒)の誤差も許されず、実戦で使いこなせるのはsako選手しかいないと言われている。なお、ここで紹介したパターンが基本で、sako選手は試合の状況に合わせてパターンを自在にアレンジするという。