2023年12月10日、19歳以下を対象にしたeスポーツ大会“U19eスポーツ選手権2023”のオフライン決勝大会が開催された。会場は群馬県高崎市のGメッセ群馬。

 第4回となる本大会の『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)部門では、全国から93チームが参加。決勝大会では、11月に実施されたオンライン予選で勝ち抜いた4チームが優勝の座を争った。

『LoL』実況eyes氏の「とんでもないプレイが!」でつながる過去と現在。10年以上前に神業から生まれた言葉がU19eスポーツ選手権2023を熱くする
この記事は“U19eスポーツ選手権2023”の提供でお送りします。
『LoL』実況eyes氏の「とんでもないプレイが!」でつながる過去と現在。10年以上前に神業から生まれた言葉がU19eスポーツ選手権2023を熱くする
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トロフィーにはこれまでの優勝チームの名が刻まれている。
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実況・解説は国内プロリーグ“LJL”でもおなじみのeyes氏(左)、Revol氏(中央)が担当。元プロ選手・解説者で現在はストリーマーとして活躍するDay1氏(右)も解説を務めた。
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イベントのMCを担当したゲームキャスターの岸大河氏(左)と、『LoL』部門の応援アンバサダーを務めた大友美有さん(右)。

 なお、同日には『VALORANT』部門の決勝戦も実施されている。合わせてご覧いただきたい。

意地と意地のぶつかり合い。決勝大会がスタート

 試合開始の時間が訪れると、『VALORANT』部門のときと同様、チームの紹介映像とともにメンバーがステージに呼び込まれた。こういった演出はプロ同士の試合さながらだ。

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トロフィーを前に戦うという構図もかっこいい(右のトロフィーは『VALORANT』部門のもの)。

 準決勝第1試合は、“HAYMAKER”と“スペシャルラストファイナル田村空良”が対戦。“スペシャルラストファイナル田村空良”は、全国高校eスポーツ選手権の優勝者やプロのアカデミーチーム所属メンバーがいる強豪チーム。実況解説陣からも「頭ひとつ抜けている」と優勝候補に挙げられていた。

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HAYMAKER
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スペシャルラストファイナル田村空良

 試合では、“スペシャルラストファイナル田村空良”が前評判どおりの実力を見せた。序盤から順調にキルを重ねていく。

 終始、試合のペースを握り続けた“スペシャルラストファイナル田村空良”が、23分で敵のネクサス(本拠地)を破壊。圧倒的な力を見せつける結果となった。

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 準決勝第2試合は、“鍛冶神の呼び声”と“方向指定しか当たらない”が対戦。どちらもBotレーンを主軸にしたチームだ。

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鍛冶神の呼び声
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方向指定しか当たらない

 第1試合とは打って変わって、両チームの立ち上がりは慎重だった。試合開始から10分が経過する頃までは一度もキルが発生しない。

 息をひそめるような展開が続き、試合が大きく動いたのは16分ごろ。ヘラルドを巡る集団戦だ。相手の攻めをじっくりと引きつけてから反撃に転じた“鍛冶神の呼び声”が4キルを獲得して、一気にリードを広げる。

 ひとたび差をつけられると、“方向指定しか当たらない”が追いつくのは難しかった。リードを保ったまま“鍛冶神の呼び声”がゲームを制し、決勝へと駒を進めた。

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決勝戦を震わせた「とんでもないプレイ」

 決勝でも準決勝第1試合と同様、“スペシャルラストファイナル田村空良”がいきなり牙をむいた。おれたちが優勝候補だと言わんばかりに“鍛冶神の呼び声”をつぎつぎとキル。順調な立ち上がりで試合のペースを握る。

 そのまま徐々にゴールド(お金)獲得量の差は広がっていく。『LoL』ではアイテムを購入して自分を強化していくため、ゴールド差は戦力のバロメーターでもある。このままワンサイドゲームで幕を閉じるかと思われたが、“鍛冶神の呼び声”にもみすみす勝利を渡すつもりはなかった。

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 カギとなるのは試合開始から22分頃のバロンを巡る攻防。“スペシャルラストファイナル田村空良”が順調にバロンの体力を削る中、一瞬を隙をついて“鍛冶神の呼び声”がとどめを刺したのである。あまりにも華麗なバロンスティールに、実況のeyes氏も興奮を隠しきれない。

 バロンを倒すと自軍が一斉に強化される。多少の不利を覆すビッグプレイだ。バロンの消耗を虎視眈々と狙っていた“鍛冶神の呼び声”の逆襲が始まるかもしれない。eye氏は観客に、そして配信視聴者に大切なことを伝えるように、「とんでもないプレイが! とんでもないプレイが起きました!」と声を張り上げた。

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 絶妙なプレイもさることながら、筆者はeyes氏の「とんでもないプレイ」という実況に小さな感動を覚えてしまった。“とんでもないプレイ”はeスポーツで圧倒的な一撃が決まったときに使われる言葉なのだ。

 ことの発端は2012年9月23日に東京ゲームショウで開催された『Counter-Strike1.6』国際大会“Asia e-Sports Cup 2012”。現在はSCARZ『VALORANT』部門の監督を務めるnoppo氏が敵がまったく見えない状況での壁抜き3連続キルを決め、続く4人目もヘッドショットで撃ち抜いたのである。

 解説のQoofooRiN氏は絶叫した。「とんでもないプレイが出ていますよいま!」と(ちなみに、noppo氏はこの後に5人目も倒して5連続キルを決めている)。

Asia e-Sports Cup 2012 - Noppo vs Asking Questions

 称賛と混乱をないまぜにした感情むき出しワードは、競技FPSシーンを追う一部の人の中でミームのような形で定着。ゲームキャスターの岸大河氏やOooDa氏、yukishiro氏、yue氏たちも、神業が出るたびにこぞって引用するほどだ。そこには「妙技を目の当たりにできてうれしい」という感情も同居しているのだと思う。

 eyes氏がこのミームを意識したかどうかはわからない。ただ、10年以上も前に神業から生まれた言葉を、若いプレイヤーが自らの手で引き出したのは紛れもない事実。歴史のつながりを実感させられるひと幕だった。

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岸大河氏はあえて客席の隅から試合を観戦。真剣な面持ちで若いプレイヤーの活躍を見届けていた。
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会場内ではストーリーマーのらいじん氏らを招いてウォッチパーティーが行われていた。若者の活躍は彼らの目にどう映ったのだろうか。

 閑話休題。依然として“スペシャルラストファイナル田村空良”の優位は変わらないものの、この瞬間、流れは確実に“鍛冶神の呼び声”に傾いていた。だが、“スペシャルラストファイナル田村空良”のガードは分厚い。人数差の不利を追いながらもmomo選手を中心に攻め立てて反撃に転じる。

 序盤から築き上げた有利を活かし切り、そのまま“スペシャルラストファイナル田村空良”が勝利。19歳以下最強チームの座に輝いた。

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 チームリーダーのmomo選手は「途中で付き合わなくてもいい集団戦をしてペースを乱されたが、自分たちの構成の強み、勝ちへの道筋を明確にして落ち着けたのが勝因」とコメント。彼らにはハーゲンダッツ ミニカップ100個やゲーミングヘッドセット“TAGO STUDIO T3-03”といった豪華賞品のほか、韓国プロアカデミーチームT1とのエキシビションマッチの挑戦権も贈呈された。

 優勝のうれしさをにじませながらも、「強いチームと戦えるので、そこに向けた調整をして練習したい」と、韓国の強豪チームとの試合に向けて牙を研いでいるようだった。

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韓国で行われるT1のプロアカデミーチームとの試合の挑戦権を獲得。写真は表彰式のもの。

 決勝戦後は、頂点を争った2チーム混成でのエキシビションマッチを実施。ひりひりした戦いから一転、こちらは全員が“好きなことをやる”と言わんばかりの豪快なプレイが頻出した。

 30分近くもほぼノーガードの殴り合いが続き、両チームの合計キル数はなんと98。通常の試合では考えられないキルペースだ。試合中の選手たちはつねに笑顔で、楽しくプレイしている様子が印象的だった。

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 19歳以下を対象にした大会“U19eスポーツ選手権 2023”。選手たちは、若さを感じるプレイだけでなく、プロ顔負けのスキル・戦術を見せてくれた。

 実況を担当したeyes氏は、優勝した“スペシャルラストファイナル田村空良”に対して「(ほかの若手向けの大会やアカデミーチームで活躍している)momo選手とrre選手は早くプロで見たい」と評価。今後、国内プロシーンがさらに盛り上がるには、彼らのようなフレッシュな若手選手の活躍が必須。今後の活躍に期待したい。

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試合後はエンディングムービーが流れた。激闘を終えた選手たちが肩を並べてスクリーンを見上げる。エモい。

U19eスポーツ選手権2023 Supported by 糸井商事

【ウォッチパーティー】U19eスポーツ選手権2023

U19eスポーツ選手権2023公式サイト