ひとりでやり込める“クエストモード”も楽しい

 いまから27年前の1996年(平成8年)8月2日は、プレイステーション用ソフト『トバル No.1』が発売された日。

 スクウェアから発売された格闘ゲームの『トバル No.1』は、当時『ファイナルファンタジーVII』の体験版が封入されていることでも話題に。『ファイナルファンタジーVII』人気で肝心の本編は忘れられがちですが、セガの『バーチャファイター』、ナムコの『鉄拳』シリーズに関わったスタッフが集結したドリームファクトリーが開発を担当しており、非常にクオリティの高い作品です。

 今年(2023年)スクウェア・エニックスの新社長となった桐生隆司氏が、社長交代の記者会見の場で思い出のタイトルを聞かれた際、「旧スクウェアで言うと少しマニアックなタイトルになってしまうのですが、『トバル No.1』はアクションゲームの名作だと思っています。斬新かつ挑戦をしていくようなゲームで、“スクウェアがこんなゲームを作れるんだ”と非常に印象に残っています」と返答したことも話題になりました。

 キャラクターデザインに『ドラゴンボール』で知られる鳥山明さんを起用しているのも大きな特徴で、音楽は光田康典さんや伊藤賢治さん、笹井隆司さん、下村陽子さん、濱渦正志さんなど、とても豪華なメンバーが参加しています。

 物語の舞台となるのは、2048年の惑星トバル。“トバルナンバーワン”とは、その星で200日に一度開催される各党大会のことです。

 キャラクターは地球人のチュージ・ウー、ロボットのホム、鳥人のオライムスなど多種多様なメンバーが揃っていて、自分は豪快さと上品さを兼ね備えた32歳の女子プロレスラー、マリー・イボンスカヤがで好きでした。ちなみに、隠しキャラクターで鳥山さん自身がモチーフとなっている鳥山ロボも登場します。しかも、めっちゃ強い。

『トバル No.1』が発売された日。鳥山明がキャラデザの格ゲー。スクエニ新社長・桐生隆司氏が印象に残っているゲームとして挙げたことでも話題に【今日は何の日?】

 ゲームシステムは3つのボタンに上段攻撃・中段攻撃・下段攻撃が割り当てられており、格闘ゲーム初心者でも入りやすい仕組みでした。バトルのカギを握るのは“つかみ”。この状態から多彩な技をくり出せるのはもちろん、つかまれた側も相手の攻撃を読んで主導権を奪ったり、相手の投げを投げ抜けで無効化することも可能。シンプルな操作ながらアツい駆け引きが楽しめました。

 筆者がハマったのが“クエストモード”。城の地下に眠る“モルモラン鉱石”の巨大な塊を目指してダンジョンを探索するモードで、本編とは異なるゲームが楽しめます。しかも、登場するモンスターはこのモードだけのオリジナル。凝った作りにもワクワクさせられました。3つのエピソードをクリアーすると挑戦できる“ウダンズダンジョン”は、全30階の自動生成のダンジョンでやり込みがいがありましたね。

 1997年には続編となる『トバル2』が発売。キャラクターの数も増え、クエストモードもさらに進化しました。

 『トバル No.1』をいまプレイするなら、パッケージ版を手に取るしかないのが現状。社長も思い入れがあるソフトとして挙げていますし、隠れたファンも多いと思うので、リメイクなどの動きがあるとうれしいですね。

これまでの今日は何の日?