2022年11月9日に発売を迎えた、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』。クレイトスとアトレウスの親子が、世界に終焉をもたらすとされる“ラグナロク”に立ち向かう、アクションゲームのシリーズ最新作だ。

 従来のシリーズ作品から劇的に変革を遂げた前作は、全世界のゲームメディアが選ぶゲームアワード“The Game Awards2018”のゲーム・オブ・ザ・イヤーを始めとする数多くの賞を獲得するなど大きな成功を収めた。本作は、そんな前作を継承しつつ、さらなる進化を遂げている。

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 本記事では、2022年10月某日、本作のゲームディレクターを務めるエリック・ウィリアムズ氏に実施したインタビューをお届け。前作で新生された『ゴッド・オブ・ウォー』は、どのようなコンセプトをもとに開発されたのか。気になるポイントを伺った。

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』ディレクターインタビュー

エリック・ウィリアムズ氏

ソニー・インタラクティブエンタテインメント
サンタモニカスタジオ
『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』 ゲームディレクター

前作の続編であることを意識して一冊の小説を読むような体験を

──いよいよゲームが発売を迎えます。現在の率直な感想を教えてください。

エリック 今回はコロナ禍での開発だったこともあり、チームのメンバーもほとんどが在宅勤務で制作を進めました。環境が大きく変わる中で、非常にたいへんでしたし、本当につらかったのですが、問題を解決できる仲間が集っていたからこそ乗り越えられたと思います。チームのみんなにはとても感謝していますし、喜びを伝えたいですね。

 また、ファンの皆さんに対しては、4年ものあいだ開発を続けてきた結果、ようやく皆さんのもとに届けることができて、とてもうれしいです。ホリデーシーズンにこのゲームを遊んでもらえるのは本当にありがたいですね。ソーシャルメディア向けのプレビューでも、すでにいい反応をいただいておりますので、ファンの方たちにプレイしていただくのが楽しみです。

──本作を開発するうえで、とくに注力したコンセプトを教えてください。

エリック 前作では、将来に向けて『ゴッド・オブ・ウォー』をどのように作り直すのかが大きなテーマでした。本作でも、前作で目指したコンセプトを継承していますが、前作の続編であることをしっかり感じてもらいたいという思いがありました。本作をプレイしていただいて、前作から続く一冊の小説のように感じもらえるとうれしいですね。

 また、ストーリーのテーマとしては、親離れと子離れが大きなテーマになっています。前作の旅で絆を深めたクレイトスとアトレウスが、ラグナロクが迫る中でどのように親離れと子離れをしていくのか。ぜひ注目してください。

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』ディレクターインタビュー

──前作で親子の絆の描きかたに心を打たれたプレイヤーは多いと思います。続編である本作は、親子の絆のより深いところが描かれていくと思いますが、新たなストーリーを展開するうえで心掛けたことは?

エリック アトレウスの成長や親子の絆を、しっかり“見せる”というのが重要なキーワードになっています。たとえば、物語冒頭でアトレウスがひとりで鹿を狩って持ってくるシーンがあります。前作では、クレイトスの手助けがなければひとりで鹿を殺すことができなかったので、そこでアトレウスの成長ぶりがわかってもらえると思います。

 また、クレイトスとアトレウスの親子の絆に関しては、ゲーム全編を通して阿吽の呼吸でいっしょに行動する姿を見せています。クレイトスがあるものをちらっと見るだけで、アトレウスはどうしたらいいのか察することができるんですね。戦闘でも彼は自分で考えてクレイトスをサポートしてくれます。お互いをよく理解していて、つながりが強まっているのがわかってもらえると思います。

プレイスタイルに応じて選べる多彩なアクションと戦術

──旅の案内役を務めるミーミルや、ブロックとシンドリの兄弟など、個性豊かなキャラクターが引き続き活躍します。さらに本作から登場する新キャラクターも多いですが、とくにお気に入りのキャラクターはいますか?

エリック 新キャラクターですが、公開しているトレーラーでは、テュールやトールをご覧になっていると思います。ほかにもたくさん登場していて、お気に入りのキャラクターについても本当はお話したいのですが、残念ながら現時点ではお伝えできなくて……。

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』ディレクターインタビュー

──そのトレーラーでは、冒険の舞台となる世界も続々と公開されています。

エリック 本作では、前作に登場した六つの世界もすべて作り直していますし、新たにスヴァルトアルフヘイム、ヴァナヘイム、そしてアースガルズを冒険できるようになりました。スヴァルトアルフヘイムは比較的大きな世界で、舟に乗って移動できるほか、観光できるシーンや鉱山の洞窟を冒険するシーンもあります。さらに沼地もあって、そこに棲息する敵から攻撃されるシーンも用意しました。ヴァナヘイムはトレーラーでも少しお見せしていますが、熱帯雨林のような世界が広がっています。アースガルズは、風景をお話することもネタバレになってしまうので、ここではお話できません。

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』ディレクターインタビュー

──本作で新たなアクションを生み出すにあたってとくにこだわったポイントは?

エリック アクションは、前作のものを一度すべて壊してから、新たに作り直しました。そのうえでもっとも心掛けたのは、さまざまなプレイスタイルに対応できるようにアクションの幅を持たせることでした。前作では、ある程度決まったアクションをプレイするような形になっていたと思いますが、本作では自分のスタイルに応じていろいろなプレイが可能になっています。

 そのために、プレイヤーが選べるものにたくさんのオプションを追加していて、その一環としてルーンも作り直しました。ルーンの強さを少し曖昧にしたうえで、使っていくうちにつれてどんどん強くなっていくように調整しています。これらの調整によって敵をスタンさせるのか、武器の属性を強化して戦うのか、それとも勢いで戦うのか。プレイすればするほど、自分のプレイスタイルが確立できる作りになっています。

──確かに、こんな戦いかたができるのか、こんなスキルの使いかたがあるのかと、いろいろ発見しながら楽しめますね。

エリック あとは、アトレウス自身もクレイトスとの訓練を経て強くなっていますよ。クレイトスとアトレウスの装備をどのように組み合わせるかによっても、戦闘スタイルが変わってくるので、私たちが用意したいろいろなオプションを楽しんでもらえると思います。

──ふたりが強くなった一方で、敵も手強くなっていると感じました。アクションゲームが苦手な方に何かアドバイスはありますか?

エリック 本作は5段階の難度を用意していますので、まずは難易度を下げてもらうのがいいかなと。あとは、回避やパリィを狙うよりも、防御重視で立ち回るのが安全です。盾によっては受けるダメージを減らせますし、黄色いリングの攻撃を防げますよ。

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』ディレクターインタビュー

――エリックさんのオススメのスキルやルーンもお聞きしたいです。

エリック △ボタンで発動する技能系のスキルがお気に入りです。リヴァイアサンはフロスト・アフェイクン(※△ボタン長押しで発動)で武器に冷気が宿り、つぎの近接攻撃や遠距離攻撃を強化できますし、強力な冷気効果を与えられるようになります。また、ブレイズ・オブ・カオスはフレイム・ウィップ(※△ボタン連打で発動)で刃をくるくる回して炎を纏わせることができ、敵を斬りつけたり、大爆発を起こしたりできます。これらのスキルから習得していくのがオススメではありますね。

 ルーンに関しては種類が多いので、プレイヤー次第だと思います。ぜひいろいろなルーンを使ってみて、自分のプレイスタイルに合うものを見つけてください。

プレイステーション5の性能を活かした機能やアクセシビリティ機能も充実

──本作は、シリーズで初めてPS5版もリリースされました。改めて、プレイステーション5版ならではの魅力を教えてください。

エリック PS5版は、DualSense ワイヤレスコントローラーのハプティックフィードバックやアダプティブトリガー、3Dオーディオなど、あらゆる機能を使いこなすように注力しています。また、前作からシーンとシーンのつなぎ目やロード画面が存在しない手法を取り入れていましたが、本作では超高速SSDのおかげで、さらに快適になっていますよ。

 でもやっぱりすごいのは、PS5ならではのグラフィッククオリティーですね。もちろん、PS4版でもすばらしい体験ができるのでご期待ください。僕は現在、PS4版で3周目のプレイを進めていますが、PS4版でも楽しいゲーム体験ができると感じています。

──PlayStation Studioのタイトルは、全般的にアクセシビリティ機能が充実していると感じますが、本作の充実ぶりは驚くほどです。アクセシビリティ機能に注力した意図とは?

エリック ご指摘の通り、アクセシビリティ機能にも力を入れていて、ノーティードッグやインソムニアックゲームズなどの作品をプレイして、少なくとも同程度のものを、できればそれらを超えるものを目指しました。

 私たちの思いとしては、なるべくたくさんのプレイヤーにこのゲームをプレイしてもらいたい。そのために、あらゆる敷居を取り除こうと取り組んでいまして、視覚や聴覚が不自由な方でもプレイできるゲームを目指しています。開発の早い段階から専門のチームを作っていて、目の不自由な方に体験してもらったのですが、その方はフォローをしなくても完全にプレイすることができたんですよ。それを見たときはとてもうれしかったですね。

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』ディレクターインタビュー

──そこまで尽力されているのですね。機能の中には、攻略に役立つものはありますか?

エリック いろいろあるのですが、ボタンの連続入力を長押しに変える機能や、アイテムを自動的に拾ってくるアイテム自動収集機能、行き先を教えてくれるナビゲーションアシストなどの機能は便利です。

 あとは、コントローラのカスタマイズが行えるのも大きいですね。プレイヤーによってコントローラの使いかたや持ちかたは異なるので、自分に合ったカスタマイズを見つけてください。

──これから広大な九界に旅立つプレイヤーに向けて、メッセージをお願いします。

エリック 本作はこれまで手掛けてきた作品の中で、いちばんのタイトルになりました。ゲームには感動的な瞬間がたくさん詰まっていますので、とにかく楽しんでほしいです。

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