スクウェア・エニックスより、いよいよ本日2022年11月4日に発売されるNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)向け生活シミュレーションRPG『ハーヴェステラ』(Steam版は11月5日に発売)。リリースに先駆けて第4話までをプレイする機会を得たので、じっくりプレイすることで見えてきた本作の魅力や、体験版からの改善点についてもお届けしよう。

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滅びゆく世界に暮らす生活シミュレーションゲーム

 『ハーヴェステラ』の舞台は、美しい四季が巡り、魔法や妖精が存在するファンタジーな世界。人々は四季を司る結晶体“シーズライト”の恵みを受けて生活していたが、いつからかシーズライトの異常により有害な灰が舞う“死季”が定期的に発生するようになる。

 プレイヤーの分身である主人公は、そんな死季の日にレーテ村の近くの丘で行き倒れて記憶もなくしていた謎めいたキャラクターだ。村に住む医者クレスに助けられた主人公は、村はずれの空き家を与えられ、そこで暮らし始める。

 ある日、レーテの村の北に、隕石のようなものが飛来。中には鎧に身を纏った“魔族”が倒れていた。魔族はこの世界に災厄をもたらす元凶と言われており、クレスたちも警戒していたが、魔族といえど怪我人ということで、主人公の家で魔族を見守る生活がスタートする。

 ずっとベッドに横たわっていた魔族が鎧を外すと、その中身は少女だった。彼女はアリアと名乗り、状況的にこの世界の未来から来たという。

 アリアはこの世界に来てしまった原因を異変が発生したシーズライトにあると考え、各地のシーズライトを調査することに。主人公は、そんなアリアと行動をともにすることになる――。

 以上が体験版で遊べる序盤の物語だ。本稿では体験版後の第3話からの展開を中心に見どころをお伝えしていく。

※ネタバレには配慮していますが、気にされる方はご注意ください。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た

収穫する快感は人間のDNAに刷り込まれたもの!?

 本作には季節(春夏秋冬)と時間の概念があり、ひとつの季節は30日で、その後に死季が1日挟まるサイクル。一日は、朝、自宅のベッドで起きるところから始まり、夜10時になると眠くなって強制的に自宅へ戻ることになる。基本的に日中をどう過ごすかはプレイヤーの自由で、物語を進めてもいいし、畑仕事に精を出してもいい。

 畑仕事をするメリットのひとつはお金が稼けるということ。本作では畑仕事などから得た収穫物を売って得たお金で装備を調えたり、畑や飼育小屋を拡張したりすることができる。また、主人公は食べることでスタミナを補給する必要があり、収穫物から料理をして食べ物を作ることで、スタミナの補充も可能。スタミナが切れると攻撃や採集ができなくなるなど行動が大きく制限されるので、食べ物はかなり大切。

 そんなわけで、畑仕事は物語をスムースに進めていくためにも重要な要素だが、畑を拡張したり、リフォーム屋に依頼して家畜小屋などを拡張していくことで収穫量が上がったり、収穫できるものも増えていく。最初は家庭菜園みたいな畑が、やがてちょっとした農家のような規模になると感慨深く、お金も収穫物も増えていく快感は生活シミュレーションならではの沼。物語を進めることを忘れるほど没頭してしまう魅力がある。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
収穫物からこんな料理が作れるようになれば……。どれもおいしそう!
『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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これぞファンタジー農業! 妖精の力を借りて楽しく畑仕事

 なお、規模が大きくなればなるほど、こまめな作業がおっくうになってしまうものだが、メインストーリー第3話から、妖精の本に書かれた“妖精オーダー”を達成すると、妖精たちが主人公の農作業を手伝ってくれるようになる。最初は火の大妖精ジュノー(名前変更可能)のみだが、第3話の各シナリオをクリアーすると風、水、土の大妖精も仲間に加わるのだ。大妖精たちのお願いを達成していくと、“チャージ耕し”など広範囲で作業ができるアクションや、加工品を作る機器のレシピが解放される。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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 個人的にうれしかったのが、毎日の作業となる水やりが楽になる“チャージ水やり”ができるようになったこと。一度に3マス水やりしながら歩けるので、あっと言う間に作業が完了する。もうひとつ、レシピ獲得で作れるようになるスプリンクラーも、周囲のマスを自動で水やりしてくれるため、何度も再収穫できる作物と相性がよかった。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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 また、妖精が仲間になることで、特殊な畑の“バイオーム”も使えるようになる。風と水の大妖精がいれば“水辺のバイオーム”、火と土の妖精は“洞窟のバイオーム”を作ってくれる。これらのバイオームは自宅から少し離れたところにあるが、転移装置で瞬時に行けるし、特殊環境だけに水やりも不要なので思いのほか世話も楽だった。バイオーム専用の作物は、ほぼほったらかしでも育つぶん、実るまでの日数が長めなものが多い傾向。収穫を忘れないようにしたいところ。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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 畑仕事で余裕が出てくると、手を出したくなるのが動物の飼育だ。動物を飼うにはまず、リフォーム屋に発注して、家畜小屋を建ててもらう必要がある。そして、村にいる“コロネル族”(後述)から動物を譲ってもらえば、そのまま家畜小屋に入ってくれるのだ。

 初期費用はかかるけれど、卵やミルクがとれるようになれば作れる料理もぐんと広がるし、何より動物たちがかわいい。撫でると愛情も高まるのだが、高まるほどに羽毛などの副産物的なアイテムが取れやすくなる印象だ。今回は、小屋の拡張までは至らなかったが、いつかはたくさんの動物に囲まれて過ごしてみたい……。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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 余談だが、畑仕事中に大妖精たちのボイスがちょいちょい聞こえてくる。また、冒険から自宅に帰ったときも「おかえり」と声をかけてくれたり。ちょっとしたことだけど、ホッとした気持ちになるし、ここが家なんだなあという気にもなってくる。本作が農業RPGじゃなくて、生活シミュレーションRPGと銘打っているのも、こういうところを大事にしているからなのかなと感じた。

第3話から本格的に物語が展開

 体験版で遊べたメインストーリーの第2話までは、農作業や冒険の基本を知っていくチュートリアルも兼ねていたが、第3話からはグッと自由度が上がり、プレイヤーの好きなように行動できる。

 第3話からは“春の街ネメア”、“浜辺の町シャトラ”、“教都アルジェーン”を舞台にした物語が展開していくのだが、どこから始めてもいいし、並行して進めてもいいようになっている。また、街の人々から依頼されるクエストも充実しているうえ、「いつまでに○○をする」などの期限や縛りもないため、本当に気の向くまま過ごせるのだ。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た

 ネメアでは春のシーズライトに現れた巨大な卵から、魔物が飛来しては若い女性をさらっていくという事件が多発していた。主人公とアリアは、自警団の青年アジールとともに調査に向かうが、倒しても回復してしまう魔物に苦戦する。そこで、孤児院の先生でありながら腕の立つイスティナに助太刀を頼むことに。そんな矢先、アジールが保護していた記憶喪失の少女ティエラが魔物にさらわれて……!?

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た

 夏のシーズライトの側にある町シャトラでは、歌姫のエモが酒場のオーナーと揉めているところを目撃する。彼女に事情を聞くと、オーナーに船を手配してもらう交換条件として、酒場で歌わされていたらしい。エモはある理由で夏のシーズライトに行きたいという。そこで主人公たちはエモとともに、発明家のハイネを頼り、夏のシーズライトへ向かう手段を相談するが……。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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 シーズライトを信仰する“季石教団”の本拠地アルジェーンでは、シーズライトのある聖洞には“免罪花”を与えられた者以外の立ち入りが禁止されていると聞かされる。そこで、傭兵のブラッカを雇い、免罪花を手に入れるため、地下トンネルから潜入を試みる。しかし、途中で教団の巡礼師シュリカに阻まれて失敗。そんな折、街のほぼすべての住民がこつぜんと姿を消すという事態が発生する。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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ほのぼのとした畑仕事と一転し、物語はけっこうシリアス

 本作の物語には“別れ”がつきまとうシリアスなエピソードが多い。街のシナリオをクリアーした後に、再びその街を訊ねてみると、これまでと同じように暮らしながらも、失ったものや残ったものに思いを巡らせる彼らの姿があったり、物語のその後”もちゃんと描かれていて、“ボスを倒して一件落着”では終わらないのだ。畑仕事や料理をするといった日常との温度差がかなりあるのだけど、切ない出来事があっても日常は続いていく、という無常感がやたらリアル。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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 第3話から、こうした本作“らしさ”がハッキリ出てくるので、まずは第3話で街のシナリオを進めてみてほしい。ちなみに筆者は、ゲームが春から始まるので“春に収穫できる作物”の種が安く買える春の街・ネメアのシナリオを先に進めてみた。次第に、ネメアに行ってお話を進めるついでに買物する、というのが日課に。だが、先述のように、これら第3話の各シナリオはどこからプレイしても問題ない。気になるキャラクターがいる街から進めるというのももちろんアリだ。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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 そして、第3話の各シナリオを終えると第4話へと移るのだが、第4話では公式トレーラーにもチラッと登場していた飛空艇にも乗れるようになるので、街やダンジョンへの行き来がグッと便利になる。飛空艇でしか行けない場所もあったので、ワールドマップをすみずみまで探索してみよう。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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いいことづくめのキャラクターストーリー

 仲間の背景が語られる、個別のキャラクターストーリーも用意されている。クエスト形式で、彼らに話しかけるとイベントが始まるのだが、メインストーリー中の言動でちょっと気になった部分もちゃんと掘り下げられているので、どれも見逃し厳禁だ。ひとつのエピソードを最後まで見ると、そのキャラクターとの親密度が1段階上がり、彼らの必殺技が解放されたり、パーティ編成したときにボーナス効果がつくので、積極的に進めていきたい。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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キャラクターストーリーで、彼らのオフを見られることも。世話焼きな医者クレスの白衣の下は、なかなか大胆なトップスだった。

サブクエストは駆け出し農家の味方!? 

 本作のサブクエストも、メインストーリーやキャラクターストーリーとはまた別の濃さがある。ひとつのサブクエストを完了すると、関連する新たなクエストが発生するスタイルで、連続ドラマのようでもある。体感として、ホロリとする切ないシーンも多く、アコースティックギターの寂しげなBGMも耳に残っている。だが、悲しいばかりではない。コミカルなキャラクターが登場するサブクエストも少なくなく、このあたりのバランスは秀逸。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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鎧姿の“魔族”のひとり、レギアは花粉症の薬作りを使命とするが……? この世界にも花粉症ってあるんですね。

 メインストーリーでは、その後のお話も描かれていることに触れたが、街の人々の話を聞いて回っていると、サブクエストの“その前”というか、予兆に気づくことも。たとえば、村で話しかけた男の子がイジけているのが印象に残っていたのだが、それがクエストに発展していったことも。もちろん、クエスト完了後のセリフも変わっているので、折々で街の人々に話しかけてみるといいかもしれない。街の人との会話は、見逃されることも多いのに、この作り込みっぷり。なかなかリッチだと思う。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た
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 なお、サブクエストの達成報酬としてお金や、作物の種などのアイテムがもらえることもある。序盤でまだ畑が狭い状態だと、なかなか収入が安定せず、レシピや種を買うにも金欠で……なんてこともあるのだが、それを一気に解決してくれるのがクエストなのだ。

 同じく、街の酒場に指定の料理を直接納品することでもお金やレシピがもらえるので、こちらもかなり助かった。

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ギミックとショートカットが楽しいダンジョン探索

 本作のダンジョンは、進んで、帰宅してをくり返しながら、ゲーム内の数日をかけて攻略していくものだ。そのため、次回の探索のためにハシゴや橋をかけたりして、ショートカットを作っておくのもポイントになってくる。ショートカットのほかにも、ダンジョンのテーマに合わせたギミックがあり、これらを作動させて楽に移動したり、お宝をゲットするのも楽しい。

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オブジェを作動させて風をまとい、浮かびながら向こうの足場まで移動。

各地でコロネル人形を集めよう

 お宝といえば、ダンジョン内や街の意外なところで“コロネル人形”というものを発見した。これは、とある場所に持っていくと、いいものと交換してもらえる。

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謎の多いコロネル族だが、コロコロ言ってとにかくかわいい

アクションが苦手な人も安心のバトル

 物語を進めるうえで避けては通れないのがバトルだが、本作のバトルはいたってシンプル。見た目はアクションゲームっぽいが、回避はできず、基本は攻撃し、攻撃も受けてしまうRPGライクなバトル。

 主人公はさまざまなジョブを習得していき、ジョブには固有の武器やスキルが用意されている。敵の弱点属性を突ける“ジョブ”に切り換えたり、必殺技を駆使して戦うなど、戦略を用いればバトルに勝てるだろう。なお、本作は敵に倒されたら(治療費は取られるが)自宅に戻されるだけで、ゲームオーバーにはならないので安心。

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固有の武器と特徴的なスキルを扱えるジョブ。そのジョブを持ったキャラクターを仲間にすることで、プレイヤーである主人公もそのジョブを使うことができるようになる。
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足場を飛び移りながらボスの攻撃を回避したり、接近して攻撃!

井戸の中には井戸が……? 死季をまたいでみてわかったこと

 今回は、本作の大きな特徴のひとつ、四季の変わり目に発生する“死季”の日も体験できた。死季には有害な灰が舞うため、作物は枯れ、人々も出歩けないので店も開いていない。とにかく死季の日は、外に出るものではないのだが、やっぱり気になって「ちょっと畑見てくる」と外に出てみると……。案の定、昨日まで青々としていた畑の作物が枯れ草になっている。

 数日前から「そろそろ死季が近づいているわよ」と、クレスたちが教えてくれたので、ほとんどの作物は死季の前に収穫し終えたのだが、植えっぱなしで数日ごとに実がなるタイプはそのまま。これが茶色くカッサカサになっていた。収穫時期はだいぶ先なのに、つい植えてしまった果樹も心配で見にいくと、こちらは平気な様子。苗木ってけっこう高いのでムダにならなくてよかった……。

 ちなみに、死の灰が降っていても主人公はHPが削られるでもなく、ふつうに活動できている。主人公はいったい何者なのだろうか……?

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 外で稼働させている機材も、取り出した加工品も問題なさそうだな……と、ひと通り見回って戻ろうかというとき、畑の向こうの崖が光っているのに気がついた。行ってみると、井戸から光が立ち上っている。この井戸はこれまで使うこともなく、ただの飾りだと思っていたけど、もしや……? 

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た

 井戸の中は広く、異世界のような場所が続いていた。ここで主人公の前に現れた謎の少女が言うには、彼女の意識の中だとか。とにかく、彼女が待つ最深部を目指せばいいようだ。

 井戸を降りた先には、また井戸がたくさんあり、その中にさらに下層へと続く井戸がある。井戸を調べると、アイテムや敵が出てくることも。これらは下層に行くほど珍しいアイテムが手に入ったり、強い敵と遭遇することになるようだ。5階層ごとにボスと、転移とセーブができるポイントがある。

 この井戸の中も時間が経過するので、少しずつ進んでは戻り、中間ポイントから再開してという形で進めていくことになる。今回は10階層まで進むことができたが、最後はかなりギリギリだった。何階層まであるのだろうか……。

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体験版からの改善を実感

 今回、プレイしていて体験版からの変化にハッとすることも少なくなかった。公式ツイッターでも改善内容が発表されているが、まずは時間経過速度が大きく緩和されているのが体感でもわかる。体験版は15日間の区切りがあったため、とにかく急いでプレイしていたのだが、今回はそういった焦りも薄れていった。朝、きっちり畑仕事を済ませてからダンジョンに出かけても、まだ午前中だったりすると、気持ちに余裕ができる。また、ロード時間、ロードが挟まる場面も減っている。

 釣りで魚が以前より早くヒットするようになっているのもうれしい改善点だ。だいたい、釣り糸を垂らせばリアル時間で10~30秒くらいで魚がヒットする感じだろうか。釣りが程よい長さになったことで、お店の開店時間を待つときや、ちょっと早く帰宅して、寝るまではまだ早いなんてときに「釣りでもしようかな」という気になってくる。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た

 もうひとつ、プレイヤーキャラクターのHPが少なくなった際の演出として、体が赤く光るようになった。本作はキャラクターがのけぞったり、ダウンしたりという場面があまりないため、攻撃に夢中になってしまうと、いつの間にかダメージが蓄積されて瀕死だったなんてこともあるのだが、赤く光る警告のおかげでうっかり力尽きることもかなり減った気がする。

『ハーヴェステラ』プレイレビュー。第3話から加速する、美しくも悲しい物語に生活シミュレーションRPGの新境地を見た

 『ハーヴェステラ』第4話までプレイして、かなりのボリュームだと実感した。ストーリーを知りたくて駆け足で進んでいたはずだが、一連のクエストをついつい完結まで追いかけてしまったりと、寄り道の魅力に抗えなかったのもあるけど。もちろん、畑の野菜や動物たちの世話も楽しくて、毎朝欠かさなかった。まだまだ装飾に凝るまではいかなかったが、メインストーリーをクリアーした後も果てしなく畑作りができるとのことなので、のんびりと楽しんでみたい。