ゲームオンが提供するPC向けオンラインRPG『LOST ARK』(ロストアーク)。王道を行く重厚なファンタジー叙事詩のストーリーに加え、多数の敵を一瞬で血煙に変えていくような爽快アクションバトルが魅力のタイトルだ。

 世界設定もキャラクターも全体的にややハードな印象。そんな『ロストアーク』に新クラスが実装されるとのことで、先行体験プレイをさせていただいたのだが。

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今回もそんなハードでりりしい『ロストアーク』の新キャラを……あれ?

 かわいい。かわいさを司る精霊か何かだろうか。ほかは大人な雰囲気漂うクラス揃いだけに、本当に『ロストアーク』なのかと疑い始めるレベルである。

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 この女の子こそが、2022年6月に実装予定の新クラス“アーティスト”だ。見てのとおり大きな筆を振り回して戦い、立ち位置としては“サポーター”になるとのこと。

 こんなにかわいいのに、そもそも戦えるのか。それに、サポーターとなると戦闘能力は低いのではないだろうか。いろいろと心配した筆者だったが、実際に触ってみると取り越し苦労だったことがわかった。

 この子、かわいいうえにめっちゃ使いやすいし、ふつうに戦っているだけで自然と味方を支援できるのだ。

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攻撃の見た目もなかなかに豪快。大きな筆で描いた絵の動物がつぎつぎと実体化して飛び出す。

 今回の記事では、そんなかわいさと戦闘能力をしっかり両立した新クラス・アーティストについて、実プレイで感じた魅力をリポートしていく。

 なお、スキルの数値などのデータ面は開発段階のもので、実装時に変更の可能性があることをご了承いただきたい。

キャラメイクだけで何時間でもこだわれるかわいさ

 まずはアーティストのキャラクター背景を解説していこう。彼女は若き“ヨズ族”のひとりで、一族の責務として『ロストアーク』世界地図の南東位置にある“リムレイク”の大地を守護していた。

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 ある日、リムレイクを闇の勢力が襲撃。ヨズ族が撃退を果たすものの、この地にあった“封印”は破壊されてしまう。迫りくる闇の脅威に対し、この世界を照らす新たな光を求め、若きアーティストは“新しき星”として旅立つことになる。

 なかなか重い使命を背負っているアーティスト。まずはキャラクターメイキング画面でクラスを選択したときに流れるムービーからご覧いただきたい。

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 かわいい。ほかのクラスのムービーとは明らかに雰囲気が違う。その後にキャラメイキングに入ってみても、かわいさに隙がない。

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これまでのクラスとは異なる、アニメ調の顔タイプが特徴的。ものすごい数のプリセットが用意されている。
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従来のリアル調寄りの顔タイプやプリセットも用意されている。ここは間違いなく『ロストアーク』の世界だと安心した。

 顔タイプだけでなく、目の虹彩や髪型などにアーティスト専用の新パーツが用意されており、キャラメイクの感覚が従来のクラスとはまったく違う。

 そもそも頭身すら異なるので、既存プレイヤーには非常に新鮮なキャラメイクが楽しんでもらえるかと思う。

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虹彩の形も独特なものばかり。目が大きめなぶん、色の調整による印象の変化も大きく感じる。
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髪型にはツインテ縦ロールもある。じつにすばらしい。

 今回のテストプレイ取材の冒頭、筆者は時間を指摘されるまでひたすらキャラメイクに勤しんでしまった。奇をてらわないストレートなかわいさだからこそ、キャラメイクへのこだわりが尽きない。

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筆者入魂のキャラメイクの結果がこちら。短時間でも、ここまでかわいく仕上がる。

 なお、キャラメイク画面ですでに気付いた鋭い人もいるだろうが、アーティストのケモノ耳と尻尾は生身のものではなく、防具やアバターに付属する外付け仕様だ。

 形状や毛並みなどのメイキングができないのは残念ではあるが、着替え感覚でいろいろな耳と尻尾を楽しめると考えれば、これもまた悪くないだろう。

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ストーリームービーの一幕をよく見ると、たしかにケモノ耳がヘッドバンドのような形で装着されているのがわかる。
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防具やアバターで羽根が生えたり和風になったりと、あらゆるタイプの美少女になれる可能性を秘めている。

前線でしっかり戦える、扱いやすいサポーター

 続いて、性能面についても解説していこう。アーティストはサポーターということで、「戦闘能力は低いのでは」、「サポートスキルを使いこなすのが難しいのでは」といった心配が出てくるかと思う。

 そうした心配を払拭するためにまず言っておくと、アーティストはふつうにソロでも戦える。攻撃能力が特別に高いというわけではないが、誰が使っても困らないであろう“安定感”があった。

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同じくサポータークラスの“バード”と“ホーリーナイト”のいいとこ取りで、自他両方を強化しやすいクラスといった感じだ。

 まずは攻撃手段となるスキルだが、射程と攻撃範囲に優れた“筆法:墨嵐”や“筆法:筆払い”といった基礎的な攻撃手段として持つ。この特性はより高位のスキルにも共通しており、敵との距離をあまり気にせず戦える。

 ただ、筆者が移動系スキルが多いクラスばかり使っていることもあってか、機動力には不足を感じた。移動しながら攻撃するスキルが、やや少なめなのだ。

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最初期に覚えるスキルでさえ、このように画面中央から画面外くらいまで届く。自分の動きではなく、攻撃範囲の広さでフィールドを制していく。

 ただし、アーティストは高い回復と防御の能力を持っているので、最終的には機動力不足はあまり気にならなくなった。アーティストのスキルには、攻撃しながら自分やパーティーメンバーに対してHPを回復したりバリアを張ったりといった副次効果を発生させるものが多い。

 とくに手数を支援に割くことなく、攻撃しながら回復やバリアを発生させられるのが大きな強みだ。見た目や能力値からは想像もできないくらい打たれ強い。

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飛び跳ねながら着地地点で範囲攻撃をくり出す“筆法:弾張筆”。スキルをカスタマイズする
“トライポッド”の組み合わせにより、金魚が周囲を泳ぎ回るバリアを同時に展開できる。

 ほかにも地面に設置する持続ダメージエリアにデバフ(弱体化)効果が付与されていたり、攻撃と同時に味方にバフ(強化)効果を与えるエリアを形成したりと、一手で複数の役割を果たせるスキルが多かった。トライポッドによるカスタマイズを含めれば、ほぼすべてのスキルがバフやデバフを伴うようになる。

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自分や味方へのバフ効果は、ダメージ増加をはじめわかりやすくありがたいものが多い。ふつうに攻撃するだけで自分や周りの味方が勝手に強くなる。

 攻撃スキルが扱いやすく、それに伴って自動で支援効果も発動できるということで、同じサポーターとして前衛で戦いながら味方を支援する“ホーリーナイト”と比べると、操作の手間がかなり少なく感じた。

 加えてバリア付きスキルが多く、攻撃スキルを順番に使っているうちに3回、4回とバリアをくり返し張れるため、“バード”よりもはるかに多い回数のバリア付与が可能だった。ホーリーナイトとバードのいいところをバランスよく持っていて、非常に扱いやすい。

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戦闘能力ではホーリーナイトに、支援の総合力ではバードにそれぞれ及ばない部分も感じたが、戦いやすさと扱いやすさ、手数を取らないバリアの展開能力は、それを補って余りある。

 また、各クラスが持つ独自の能力“アイデンティティ”についても、アーティストは非常にわかりやすい仕様となっている。

 一部スキルを敵に命中させるたびに画面下中央の“調和ゲージ”が溜まり、一定量溜まるごとに“調和の玉”が生成される。この玉は3つまでストックでき、ひとつ消費して“昇る太陽”を、ふたつ消費して“沈む月”を発動できる。

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こちらが調和ゲージ。ほかのクラスは、このゲージを消費して放つスキルや、時限強化効果を発動する緻密なコンボなどを持ち合わせている。

 “沈む月”は自分と周囲の味方にダメージ量増加のバフをかける。シンプルに強力な効果だ。調和の玉をふたつ使うという点のみ気を付けておけば、使いどころもまたわかりやすい。

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強そうな敵が出現し、玉が溜まっていたらとりあえず撃ってしまってOK。難しい要素がなく、単純に強いバフ技だ。

 “昇る太陽”は設置型の回復技だ。調和の玉をひとつ消費して使用すると、カーソルのある位置に“太陽の玉”を設置する。

 この太陽の玉の近くでアイテムを拾うときなどと同じようにアクションを実行すると、玉が割れてHPが大きく回復。この玉は自分だけでなくパーティーメンバーも使用でき、誰かが取るまで設置後1分間はその場に残る。

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とりあえず太陽の玉を置いておけば、ピンチになった人が自発的に使用できる。手が空いたときやゲージがあふれそうになったときに適当に設置するのもアリなのでは。

 攻撃と支援が同時に展開できる通常スキルに加え、アイデンティティは難しいコンボなどに絡まないため使いどころがさほど悩ましくない。安心して戦える使いやすさと耐久面から、先に触れた“安定感”の正体は、使いやすさと耐久面だ。

 そこに優れた攻撃範囲と射程が加わり、大きな筆からくり出される墨のエフェクトをストレスなく堪能できる。

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サポーターとは思えないくらいド派手な広範囲攻撃も多く持っている。筆で描いた鯉や鶴、虎など、巨大な生き物が敵を吹き飛ばす。
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強力だがリキャストタイムが長い“覚醒スキル”。こちらは広範囲攻撃と強力なバフを同時に展開する2種類が用意されている。

変わり種スキルもアリ。かわいいだけでは終わらない

 今回の取材では、ソロで“カオスダンジョン”に挑戦するところまでプレイさせていただいた。

 まだ操作に慣れていないため大量の敵に囲まれる場面が多かったものの、回復やバリアを絶え間なく施せる性能のおかげで、びっくりするくらい持ちこたえることができた。

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他クラスでのプレイ取材のときには瞬殺されていたような場面でも、アーティストなら大丈夫。とくに太陽の玉の回復量には助けられた。

 高火力で敵をなぎ倒していくイメージが強い『ロストアーク』だが、そのぶん敵に囲まれてしまうと脆いクラスが多い。そんな場面でも平気で生き延びて、さらに支援までできるアーティストは、プレイヤーのプレイスタンスしだいでは、文字通り“初心者向け”と言えそうだ。

 何より、かわいい。かわいいので、プレイのモチベーションが否応なしに上がる。

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一生懸命大きな筆を振り回す姿は、自然と応援したくなる。

 また、使いどころがおもしろいスキルもいくつかあり、とくに筆者が魅力を感じたのが“墨法:幻影の扉”だ。使用するとワープゲートがその場に設置され、これをくぐったパーティーメンバーはアーティストのそばに瞬間移動する。

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こちらが幻影の扉。瞬間移動と同時にバフまでもらえる特典つき。

 ボスの近くに幻影の扉を設置しておけば、ボスが強力な攻撃を放つ予兆を見せたとしても、パーティーメンバーは発動ギリギリまで近接攻撃に専念可能。ピンチになったらこの扉をくぐって後方から遠距離攻撃スキルを撃つアーティストのところへ避難できるからだ。

 ただし、この扉はひとりがくぐった時点で消滅する。太陽の玉と同じ早い者勝ち仕様なので、便利ではあるが逃げ遅れの事故が発生する可能性もある。パーティーにおいて、アーティストはサークルの姫であると同時に、小悪魔サークルクラッシャーになる可能性もあるかもしれない。いや、ないか。

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パーティーにアーティストが複数いたときには、太陽の玉や幻影の扉でおもしろい状況が生まれそうだ。火力偏重の戦闘にちょっとしたスパイスを加える、イタズラっ子なかわいさが光る。

 最後に重要な特性をひとつ。スクショ撮影が楽しいのだ。ほかのクラスと比べて体が小柄なぶん、思い切りズームインしても全身が画面に収まりやすい印象があった。

 カオスダンジョンのように敵が多い場所では姿が埋もれがちだが、そこは気合いで何とかしてほしい。かわいくも勇ましい姿をどれだけ美しく切り取れるか。アーティストでプレイするとき、プレイヤーもまた芸術家になり得るのである。

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 世界観を変えるレベルのかわいさへの振り切りっぷりと、かつてないほどの安定感と使いやすい支援能力を併せもつ新クラス・アーティスト。筆者は今後のアップデートで追加されるアバターが気になって仕方ない。早く情報が知りたい。

 こういうプレイリポート記事の通例では、使いやすいという点から「サポーター入門に最適」などという言葉でまとめがちだ。しかしアーティストには、その言葉には収まりきらない可能性を感じた。殴りつつ支援という単純ながらパワーにあふれたスタンスと、その無限大のかわいさを、ぜひプレイヤー諸兄には自身の目で確かめてほしい。