和で統一された世界観のギャグ満載RPG
『桃太郎伝説』は『桃太郎』シリーズの1作目。人気ボードゲームの『桃太郎電鉄』はもともと『桃太郎伝説』のキャラクターを使った派生ゲームでしたが、いまでは『桃太郎電鉄』のほうがメジャーな作品になりました。
『桃太郎伝説』は『ボンバーキング』『ファザナドゥ』とともに、“マル超シリーズ”として売り出された1本でもありました。なお、『桃太郎伝説』は第3弾ですが、第2弾の『ファザナドゥ』が延期をしたため、発売は『桃太郎伝説』のほうが先になりました。
内容は昔話の“桃太郎”をベースに、“金太郎”や“浦島太郎”などをミックスしたストーリーが展開。
シナリオはさくまあきら氏、キャラクターイラストは土居孝幸氏と、週刊少年ジャンプの読者コーナー“ジャンプ放送局”を担当していたふたりが手掛けていました。なお、音楽はサザンオールスターズのベーシストである関口和之氏が担当。ノリのいいバトル曲など、すばらしい楽曲が多かったです。
ゲームは、レベルが“段”だったり、パラメーターが“心”“技”“体”だったりと“和”で統一された世界観が特徴。また、敵を倒したときのメッセージが“倒した”ではなく“こらしめた”になっているなど、やさしい配慮があるほか、“放屁の術”やしゃべる“う○ち”など、子どもが好きな要素も盛りだくさんでした。
パロディネタも豊富で、加山雄三氏がモデルの“わかだいしょう”や洗剤のキャンペーンが元ネタの“きんぎんパールプレゼントのオニ”など個性的な敵も多かったです。
ゲームのプレイ時間とともに上昇する桃太郎の年齢が8歳以下だと女湯に入れるなど、本編とは関係ないお遊び要素も随所に存在。フィールドの木のグラフィックの並びが“アホ”の文字になっていたりと、細かいところも多くて好きでした(笑)。
その後の展開としてはPCエンジンで『桃太郎伝説ターボ』という名前でリメイクされたほか、同じくPCエンジンで『桃太郎伝説II』、スーパーファミコンで『新桃太郎伝説』が発売。さらにPSで後継作品の要素を取り入れた初代のリメイク作『桃太郎伝説』が発売されました。また、携帯機でも移植作や外伝作品などが多く発売されています。それだけにシリーズが途絶えてしまっているのが残念です。『桃太郎電鉄』のように『桃太郎伝説』も復活してほしい……。
なお、『桃太郎伝説』はバーチャルコンソールなどで配信されていないので、いまプレイするならPSのリメイク作がいちばん手を出しやすいのではないかと思います。
『桃太郎電鉄』しか知らなかったという人は、原点である『桃太郎伝説』に触れてみてはいかがでしょうか。