2021年4月24日に3周年を迎えた、アイドル育成&ライブ対戦ゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、『シャニマス』)。本作の3周年を記念して、風野灯織を演じる近藤玲奈さんにインタビューを実施。『シャニマス』とともに歩んできた3年間の思い出や灯織へのアツい想いを語ってもらった。

※本記事は週刊ファミ通2021年5月7日号に掲載したインタビューに加筆、修正を行ったものです。
※本インタビューは3月中旬に実施しました。

近藤 玲奈(こんどう れいな)

1月28日生まれ、千葉県出身。2015年に声優としての活動を開始。4月14日には、1stシングル『桜舞い散る夜に』を発売し、アーティストデビューを果たした。代表作は『ホリミヤ』(河野桜役)、『ドロヘドロ』(ニカイドウ役)。(文中は、近藤)

『シャニマス』近藤玲奈さん(風野灯織役)インタビュー。「灯織を演じるときは、私がそのときに感じたリアル感を大切にしています」
『シャニマス』近藤玲奈さん(風野灯織役)インタビュー。「灯織を演じるときは、私がそのときに感じたリアル感を大切にしています」

――『シャニマス』に関わる前から『アイマス』シリーズのことはご存じでしたか?

近藤声優になる前から『アイマス』シリーズの曲を聞いていました。そのときはまさか自分が『アイマス』シリーズに関わらせていただくとは思っていなかったので、感慨深いです。

――とくにお気に入りの曲などはありましたか?

近藤シンデレラガールズ』の曲をたくさん聞いていて。『THE IDOLM@STER MUSIC ON THE RADIO』に出演したときにも紹介させていただきましたが、『あんずのうた』や『華蕾夢ミル狂詩曲 ~魂ノ導~』というような個性が強い曲が好きです。

――風野灯織との出会いであるオーディションのときのことは覚えていますか?

近藤最初のテープオーディションでは、(櫻木)真乃と(幽谷)霧子と灯織を受けさせていただいたのですが、その時点では、「灯織は私が演じる子だな」というようには捉えてはいませんでした。「スタジオオーディションに呼ばれるとしたら、どの子なんだろう?」と思っていたら、霧子と灯織でお声掛けいただいて。当時は、まだ灯織のようなクール系のキャラクターをあまり演じたことがなかったので、正直意外でした。ただ、スタジオオーディションで灯織を演じさせていただいたときに、灯織の全容はまだ掴み切れていなかったのですが、私の本当の性格と似ているところはあると感じて、自分のまっすぐなところで演じられるのかなと思いました。あと、歌の審査では、自分の素の声で歌うと思っていたら、「灯織の声で歌ってください」と言われ、慌てて自分なりに「灯織だったらどう歌うだろう?」と想像して、その場のフィーリングで歌ったことが印象的でした。

――最初は灯織のことを自分が演じる子だとは思っていなかったとのことですが、スタジオオーディションで似ていると感じたのは、何がきっかけだったのですか?

近藤テープオーディションの段階では、まだセリフも少ないので私と真逆のタイプなのかなと思っていました。でも、スタジオオーディションのときにはセリフも増えて、意外に繊細で純粋な子だということがわかってきて。私もすごく些細なことを気にしてしまったり、友だちに言い過ぎて反省することがあったりするので、そのときにすごく似ていると感じました。

――なるほど。では、逆に似ていないと感じるところはありますか?

近藤あんまり似ていないところがなくて、強いて挙げるとするなら、灯織が餃子を焼くコミュがあるのですが、私は1回も餃子を焼いたことがないです(笑)。

――(笑)。餃子のコミュは、シャニマス流行語大賞2019にも選ばれましたね。灯織役に決まってからの収録の際に、ディレクションされたことで印象に残っていることはありますか?

近藤最初のころは真面目な子という印象がすごくあったので、私の気持ちもそういう方向に乗り過ぎて、お芝居が固くなってしまっていたので、「もう少し力を抜いていいよ」とディレクションしていただきました。

――そのほかに灯織を演じるにあたり、意識していることはありますか?

近藤先ほども少しお話した通り、私と灯織はすごく似ているというか、私がふだん思っていることと同じことを考えている子なんです。だからこそ、灯織の気持ちもすごく理解できるので、私がそのときに感じたリアル感を大切にしています。デフォルメされたお芝居というよりは、生の人間感を出すというか。あと、灯織は確信を持って言葉を発しているのではなく、いつも何かを考えながら、やっと言葉が出るみたいな感じで会話しているイメージがあるので、あえて、セリフをはっきりとは言わず、どこかに不安要素を感じさせるようにしています。そのほかにも、灯織は何をやっても満足しないというか、どこかに反省点を残してしまうタイプなので、完璧にしないということも意識していますね。

――なるほど。歌についてはいかがですか?

近藤灯織の歌に関しては、私の中でも新しく挑戦することが多くて、強めの低音を出して歌うのは、『シャニマス』が初めてだったので、自分でも「こういう声でも歌えるんだ」と気付けた瞬間でした。もちろん、強めの低音を出して歌うと、高いキーが出し辛かったりして、新たな壁にぶつかったりもしたのですが、回数を重ねて克服できるようになってきましたし、スタッフさんからも「灯織の歌いかたに慣れてきましたね」と言っていただけて、うれしかったです。

『シャニマス』近藤玲奈さん(風野灯織役)インタビュー。「灯織を演じるときは、私がそのときに感じたリアル感を大切にしています」
『シャニマス』近藤玲奈さん(風野灯織役)インタビュー。「灯織を演じるときは、私がそのときに感じたリアル感を大切にしています」

――ここからはゲームについても聞かせてください。『シャニマス』はプレイされていますか?

近藤もちろんです。私は育成系のゲームにまだ慣れていないので、おまかせ機能でユニットを編成しているほどのレベルですが。ただ、同じユニットの峯田茉優ちゃん(八宮めぐる役)がすごくゲームに詳しいので、「W.I.N.G.で優勝するにはどうしたらいいの?」というようにわからないことは質問して、アドバイスをもらっています。

――峯田さんに教えてもらいながら遊んでいるというのは、灯織とめぐるの関係みたいですね(笑)。

近藤確かにそうですね(笑)。灯織とめぐるもそういうことをしているかもしれないですね。あと、欲しいアイドルのガシャがきたときは、けっこう回すこともあるのですが、【黒百合前で待ち合わせ】風野灯織をゲットできなかったので、いまはそれを目標にしています。

――ゲットできるといいですね。では、灯織以外で好きなアイドルを教えてください。

近藤(田中)摩美々が好きです。灯織が摩美々にいたずらされたりして、意外と関りがあったりするのもありますが、私はギャップのある子が好きで。ふだんの摩美々は、マイペースな感じですが、仲間思いなところや、アイドルに関しては誰にも負けないという熱い想いを持っていて、しかもそれを外に見せないようにしているところが、ずるくて好きになりました。

――ユニットはいかがですか?

近藤ユニットだとストレイライトですね。ライブでのパフォーマンスを見た瞬間に鳥肌が立ったことが忘れられないです。3人の息の合ったダンスが本当にかっこいいですし、あと曲もいいですよね。私はロック系のかっこいい曲が好きで、ストレイライトの雰囲気にもピッタリで最高だなと思いました。

――続いて、灯織のコミュでお気に入りのものを教えてください。

近藤先ほどもお話した、【黒百合前で待ち合わせ】風野灯織のコミュがお気に入りです。灯織の声でありつつ、違う役を演じるというのは初めてだったので印象にも残っています。このコミュは、灯織がドラマに出演するお話だったので、ドラマ芝居というか、ふだんよりもさらに生感を意識して演じました。ただ、当然ながら灯織のイメージを崩してはいけなかったので、そのバランスの加減は難しかったですが、やり甲斐があって楽しかったです。コミュの内容も、ドラマに出演した灯織がSNSで批判的な意見を見て落ち込んでしまうというもので、「そんなリアルなところまで見せちゃうんですね」と驚きました。でも、そういったアイドルのリアルな裏事情みたいなものを知ったうえで、プロデュースできるという意味では、すごく貴重なコミュになっていると思います。

――役者として別人の演技をしている灯織を演じるのは、すごく難しそうですね。

近藤本当に難しかったです。しかも、灯織が役作りに悩んでいるシーンもあるので、その工程を私がしっかりセリフに乗せないと、灯織の苦労が報われないと思ったので、すごくこだわりました。あと、監督に怒られる前のまだ役を掴み切っていないシーンも、わざと棒読み感を出していて、その絶妙のラインが難しかったですね。

――灯織のもの以外で好きなコミュはありますか?

近藤エイプリルフールイベントは、ある意味『シャニマス』感がなくて新鮮ですね。私も収録のときにシナリオを全部読ませていただいて、「すごい、何だこれ!?」となりました(笑)。本当に衝撃的で、毎年エイプリルフールを楽しみにしています。

『シャニマス』近藤玲奈さん(風野灯織役)インタビュー。「灯織を演じるときは、私がそのときに感じたリアル感を大切にしています」
『シャニマス』近藤玲奈さん(風野灯織役)インタビュー。「灯織を演じるときは、私がそのときに感じたリアル感を大切にしています」

――ここからはイベントやライブについても伺えればと。ライブなどでパフォーマンスされる際に意識していることを教えてください。

近藤ライブでは灯織っぽくということをあまり意識したことがないんです。「意識しないと」という気持ちもあったのですが、私と灯織は似ているので、おそらく意識しなくても降臨している気がして。そういったことを考える余裕がなかった1stライブのときにもスタッフの方から「すごく灯織でした」と言っていただいたことがあったので、逆に意識し過ぎるとダメなのかもと思って、そこからはあえてあまり意識しないようにしています。

――これまで数多くのステージに立たれてきましたが、とくに思い出に残っているものはありますか?

近藤イルミネとして初めてプロデューサーさんの前でパフォーマンスをした、最初の発売記念イベントと1stライブがすごく印象に残っています。発売記念イベントの会場はライブハウスで、プロデューサーさんが至近距離にいる状態でのステージだったのですが、距離が近くてめちゃくちゃ緊張しました。やっぱり距離が近いと見られているという意識があるので、私は大きい会場よりも小さい会場のほうが緊張しますね。そんななかで、3人でとにかく精一杯パフォーマンスしたことをいまでも思い出します。1stライブについては、プロデューサーさんの光に包まれたステージからの景色が忘れられないです。覚えることがたくさんあって、「本当に大丈夫かな?」と心配になりながらも無事に終えられて、大きな山場を乗り越えるきっかけにもなったステージなので、すごく印象に残っています。

――やっぱりいまでもステージに立つときは緊張されますか?

近藤いまでも緊張はしますが、以前よりまわりを見られるようになったかなと。おそらく、最初のころはイルミネの3人ともが自分のことで精一杯だったと思いますが、いまはお互いのことを考えられる余裕が出てきました。

――昨年には初の無観客ライブ“MUSIC DAWN”も行われましたが、これまでのライブと違いなどはありましたか?

近藤MUSIC DAWNもすごくいいライブになったと思っています。ご時世的なもので、ライブやイベントができない時期が何カ月も続いて、『シャニマス』としては約1年振りのライブということで「どうなるんだろう?」と思った部分もありましたが、イルミネ的には覚醒したライブだったのかなと。3人でステージに立って、初めてお互いの気持ちを共有できました。いままでは、ステージが終わったあと「無事にできてよかった」とそれぞれが振り返る感じだったのですが、MUSIC DAWNではステージを降りた瞬間に「今日、本当によかったね」と3人が一斉に言っていて驚きました。無観客という形ではありましたが、プロデューサーさんの声が伝わってきましたし、私たち自身もひさしぶりのライブということで、期間は空いてしまったけれど、その前に経験したものすべてを活かせた、大切なステージでした。

――『シャニマス』3年目の大きな出来事として、ソロ曲の登場もありましたが、灯織のソロ曲『スローモーション』を初めてきいたときの印象を教えてください。

近藤灯織のソロがどんな風になるのかまったく想像がつかなくて、勝手にかっこいい雰囲気の曲なのかなと思っていたのですが、デモ音源を聞いたらバラードで、「『アイマス』の青っぽい曲だ!」と感じました。そこから歌詞を見たら、いろいろとずるくて……。灯織の心情を歌った曲というわけではなく、『シャニマス』の世界で灯織がいただいた曲という立ち位置ではあるのですが、明らかに歌詞が灯織のいままでの人生をすべて伝えているように私は思えて。灯織だったら、イルミネやプロデューサーとの思い出を想像しながら歌うのかなと。だからこそ、もしこの曲をライブで披露する機会があるとしたら、私は泣いてしまって、ちゃんと歌えないかもしれないとも感じました(※)。

※4月4日に開催された“THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / NAGOYA DAY2”では、近藤さんが『スローモーション』を歌唱しました。

――やはりユニット曲を歌うときとは違ったプレッシャーなどがありましたか?

近藤そうですね。ぜんぜん違いました。ユニット曲は歌い分けがあったりするので、ほかのふたりにテンション感とかをおまかせしてしまっていた部分もあったのですが、ソロとなると自分だけなので、プレッシャーもあり、「どう歌おうかな?」と悩みました。バラードなので、しっとり歌い上げたり、聞かせるように歌ったりしたほうがいいのかなとも考えましたが、どうせなら灯織だけにしか出せない1曲にしたいと思ったので、いままでの歌いかたからは変えず、逆に熱く歌って、熱量のあるバラードを意識しました。あとは、パートごとに景色や雰囲気が変わっていくところがあったので、一辺倒にならないように表情に変化をつけて歌わせていただきました。

――なるほど。少し『シャニマス』の話題から外れますが、ソロ曲という意味では、近藤さんは4月14日にアーティストデビューされましたね。アーティスト活動を行うにあたって、『シャニマス』での活動が活きたことはありましたか? 逆に先日行われた1stライブをはじめとするアーティスト活動での経験を、今後の『シャニマス』での活動にどう活かしていきたいですか?

近藤『シャニマス』では何度もライブを経験させていただいたので、マイクの持ちかたの所作や立ち振る舞いなど、鍛えられた部分があったので、そういう状況に立たせていただけたのは感謝しかないです。ソロのライブでは、かなり曲数も覚えなくてはいけなくてたいへんだったのですが、『シャニマス』で数多くのステージに立たせていただいた経験が、すごく活きたなと思いました。キャラクターではなく、私として人前で歌ったのは、そのときが初めてだったのですが、本当に楽し過ぎて。こんなに自分の感情をあらわにして歌ったのは初めてで、ライブの新しい楽しさが見えた気がしました。ですので、その気持ちをまたつぎの『シャニマス』のライブで味わうために、その気持ちを忘れずにライブに取り組めたらいいなと思いました。

――なるほど。では、今後『シャニマス』でやってみたいことはありますか?

近藤以前、『シャニマス』のメンバーで熱海に行く企画があったのですが、いまの状況が落ち着いたら、今度はイルミネは〇〇県、アンティーカは〇〇県というように、それぞれのユニットが日本各地にロケに行く企画をやりたいです。それぞれのユニットで個性が出そうですし、イルミネの3人で食べ歩きとかをしてみたいので。

――最後にプロデューサーの皆さんにメッセージをお願いします。

近藤『シャニマス』がたくさんのプロデューサーさんに応援していただけるコンテンツになっているということを、日々感じているので、その分、期待に応えていかないといけないですし、もっと魅力的なアイドルだと思っていただけるように、私たちも一生懸命がんばります。そして、3周年ということでこの3年間で、私たちも本当にいろいろな経験をさせていただき、学んできたので、これからもっともっと新たな一面を見せていきたいです。アイドルの新しい魅力をプロデューサーさんに発見していただけるように、声でのお芝居も、ライブもひとつひとつ心を込めて取り組ませていただきますので、これからも温かい目で応援していただけたらうれしいです。よろしくお願いします。

『シャニマス』近藤玲奈さん(風野灯織役)インタビュー。「灯織を演じるときは、私がそのときに感じたリアル感を大切にしています」

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