本日、2021年1月13日から毎週水曜19時25分よりNHK Eテレにて放送されるテレビアニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』。

 アニメシリーズ約6年ぶりの続編となる本作の放送を記念して中国向けに行われた、監督・石平信司氏と、ストーリー監修・桝田省治氏の対談形式のインタビューの模様を、ファミ通.comで日本にもお届けすることになりました。

 本作を楽しみにしているファンはもちろん、「『ログ・ホライズン』ってどんな作品?」と気になっている方も、ぜひ読んでみてください。

 なお、石平氏と桝田氏の対談を弊誌でお届けするのは今回が2回目。1回目の対談は2014年の『俺の屍を越えてゆけ2』発売時に掲載しています。アニメ第2期の放送直前だった『ログ・ホライズン』の話題にも触れているので、こちらも合わせて読んでいただくと、本作についてより深く知ることができるはずです。

『ログ・ホライズン』シリーズとは?

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

 『ログ・ホライズン』は橙乃ままれ氏によるファンタジー小説。小説投稿サイト『小説家になろう』で2010年より連載スタート。その後、桝田省治氏の監修でKADOKAWAより書籍化されています。

 テレビアニメ化も行われ、2013年には第1期、2014年には第2期がNHK Eテレにて放送。このたび放送される『ログ・ホライズン 円卓崩壊』は、約6年ぶりの放送となる新シーズンになります。

 MMORPG“エルダー・テイル”をプレイ中、ゲームの舞台に酷似した異世界に囚われてしまった30000人の日本人プレイヤー。不安に駆られた人々によって秩序が失われた世界で、主人公のシロエは、ゲーム時代の仲間たちとギルド“記録の地平線(ログ・ホライズン)”を結成。この世界の秩序を守るため、行動を開始する――というのが本作のあらすじ。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

 やがて、シロエたちはヤマトサーバー最大の都市“アキバ”を拠点とする有力ギルドのギルドマスターどうしによる自治組織“円卓会議”を立ち上げ、ここでの話し合いをもとにこの世界で平和に生きていく方法を模索することに。

 また、ゲーム時代のNPCである“大地人”たちもそれぞれの意志を持って日々を生きていることがわかり、彼らとの共存も円卓会議の重要課題のひとつになっていきます。

 多くの登場人物たちの思惑が交錯する奥深いストーリーや、シロエのもとで成長した新米プレイヤーたちの活躍など、たくさんの見どころが詰め込まれた、魅力溢れる作品です。

 なお、今回の対談インタビューは動画でも収録されました。下記動画でも観られますので、記事と合わせてチェックしてください!

【ログホラ 3期】石平信司監督&桝田省治氏が『ログ・ホライズン』を語る

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石平信司氏×桝田省治氏 対談インタビュー

――おふたりの自己紹介をお願いします。

石平信司氏(以下、石平):監督をやらせていただいています、石平信司です。よろしくお願いします。

桝田省治氏(以下、桝田):シナリオ監修という体で、グッズ、ゲーム、小説、マンガ、アニメなど、『ログホラ』のわりと全体を見ています。桝田省治と申します。

――『ログ・ホライズン』はどんな思い入れがある作品ですか?

石平ではまず桝田さんから。そもそもアニメになる前の書籍版『ログ・ホライズン』立ち上げから関わられていますよね。

桝田そうですね。ネット上で読める小説を紙で出版しましょう、という企画を出版社に持ち込んだのが僕で。そこからマンガとかゲームとかアニメとかへのメディアミックスに広げていったと。業界のジゴロ的な仕事です(笑)。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

石平何ですか、それ(笑)。

桝田僕、いまよく言われてるんだよ。“業界でもっとも良心的なジゴロ”って(笑)。

石平いや、めちゃくちゃいい仕事をされてるじゃないですか(笑)。僕はアニメ第1期の制作プロダクションだったサテライト制作部の方とは長く仕事をしていて。川人(かわんど)さんっていうんですけど、彼から連絡があって、ちょっとこういった原作をアニメにする話が来ているので監督をしてみないかと。多分そのときは、何人か候補がいるうちのひとりだったと思うんですけど。

 それで、原作を渡されて。ちょうど旅行かなんかでいった先のホテルで読み込んだんですよね。読んだうえで、これは自分でやりたいなと。それで待っていたら、僕が監督をすることになった。

 KADOKAWAで初顔合わせの日、喫煙所にタバコを吸いにいったら桝田さんが先にいて。顔合わせする前に先に桝田さんとしゃべっているっていう、そんな感じでした。もう随分前ですよね。

桝田そうだね、僕がまだタバコを吸っていたころだからね。

石平でも今作のシナリオ会議のときはまだ吸ってましたよね。

桝田最初のころね。

石平途中で「タバコやめた」って言って。タバコをやめたらご飯を炊く匂いがわかるって、力説していたのを覚えていますけど(笑)。そんな感じで、ずいぶん前なんですよ。

 そのころ『フェアリーテイル』っていう長年やっているタイトルの、ちょうどそれも1期目の、最初の3年半の制作が終わったつぎのタイトルがこの『ログ・ホライズン』になって。当時の制作プロダクションのほぼ同じチームで関わったのが、いちばん最初でしたね。

 で、キャラクターが多いのもあって、原作では名前がついてないモブキャラとか、1期の2話あたりかな? ロカ施療院の戦闘のくだりで出てくるプレイヤーキラーのメンツの見た目とか、細かい名前とかもいろいろと付け始めて。今回の『円卓崩壊』で活躍する子どもたちというか、ハーメルンっていうギルドにつかまっていた子たちの設定も、名前とかも決まってなかったんですよね、確か。

桝田うん。

石平人数は決まっていた気がしますけど、外見から名前から、制作陣で楽しみながら設定を作って。変な名前をいっぱい付けていったら、今回の『円卓崩壊』で活躍することになって(笑)。誰だよ“ペコペコピザ”とかいう名前付けたのって(笑)。

 アニメになったときの、メインじゃないサブのほうの遊びをけっこうこっちでチクチクやっていて。自分がデザインした子とかもいるんですけど。そういうのがたくさんあるので、思い入れがほかの作品に比べて深いのはそういう部分もあります。

 原作もののアニメはたくさん手掛けているんですけど、やっぱり『ログホラ』のシナリオはすごくおもしろいんですよね。脚本の出来のよさって、当然原作のよさもあるんですけど、シナリオ会議をするときに、また桝田さんがすごいんですよ。ねぇ?

桝田え? ねぇって言われても、自分のすごさは中々わからないものだから(笑)。

石平何がすごいっていうのは、これは企業秘密的なところなので、言えません(笑)。

桝田えぇ? 僕には教えてよ(笑)。

石平なぜかというと、僕はいま、桝田さんのやりかたを真似して自分の作品の本読みを回しているので。さも自分が考えたかのように言ってます(笑)。ここで視聴者の気を引いてつぎに引っ張っていかないといけないから、ここはこうしておくのがセオリーなんだよって(笑)。

 「俺はできる監督だなあ」ってフリをしているんですけど。ほぼ桝田さんの考えかたを踏襲してけっこううまくやれております(笑)。なので、第二段階というか、自分のつぎのステップへのきっかけになった作品ではありますよね。それ以降のアニメの作りかたの基礎になっているのが、自分の中では『ログホラ』になっているくらい、大きい作品です。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

1期、2期で見直しておくべきエピソード

――今回の新作にあたって見直しておくべきエピソードはありますか?

石平それは、ほぼ全部。1期、2期全部見返しておくと、3倍楽しめるとは思います。1期目の初期からやっていたエピソードから全部つながってきてる話の、ふたつほどのエピソードの決着がつくっていうところでもあるので。やっぱり1期、2期を観ていた人にはより楽しいかなと。

 こいつらのことすっかり忘れてたっていうようなキャラクターが活躍したりとか。そういえばそんな伏線あったな、っていう話が出てきたりとか。そもそもクラスティってどうなってたんだっけ、っていうところの話であるとか。そのへんが、そうですね。やっぱり1期、2期と完全につながっている。全部観たほうがいいかなぁ……。

 でも強いて挙げるならハーメルン脱出のくだりあたり(1期第9話)と、あとは円卓会議の中でひとり孤立が始まっていたアインスのエピソード(2期第17話)。アインスのエピソードはけっこう早いうちから伏線にはなっていた部分ですね。そのあたりですかね。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

桝田それを言うなら円卓会議ができる話は相当おもしろいですよ。

石平だからちょうどハーメルン追放と円卓会議立ち上げがつながっているあたりなんで。1期目の、まあ第6話くらいから(第9話まで)かな、そのへんがいちばん直結してるエピソードになっていますね。

桝田そうなんだよね。ままれくんがどこまであとのことを考えてたかわかんないけど、見事なまでに前振りをちゃんと回収していってるよね。

石平「あー、言ってた言ってた」みたいな。なので、『円卓崩壊』のオープニングに、その円卓立ち上げのときの映像がチラッと入っているのは、そういうニュアンスもある。やっぱりあと『ログ・ホライズン』のサブタイトルに『円卓崩壊』ってついているとパンチが強いですよね。画としては物理的に壊したりするんですけど。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

まるで複雑なパズル!? 『ログ・ホライズン』のアニメ化ならではの苦労と魅力

――ボリュームのある原作をアニメ化するにあたって苦労することはなんでしょう?

桝田いろいろあるんじゃないの?

石平山のようにありますね(笑)。全体からまんべんなくというか。必要なところはすくい上げているシナリオになっているんですけど、その合間はだいぶ省いているというか……。とくにセリフの量なんかは顕著ですね。

桝田そりゃそうだね。

石平さっきの話でも話題にしましたけど「このとき、このやりとりをしていたこっちのキャラの心情はこうですよ」っていうのは、やっぱりそこまで描き切れないので。まあ表情なりセリフのトーンなりで表現はしていますが。小説とアニメのいちばん違うところはそういうところで。

 なので僕なんかは小説が原作の映画があるときは、必ず映画を先に観ることにしています。その後で小説を読むとより細かいディテールとかが頭に入ってきておもしろいなと。これもそういう意味で、作りとしてはちょっと似ているかも知れないですよね。

桝田そういえばあったね、最後の15秒で、「このセリフを入れて」、「入れない、無理」「いや、入れて」みたいな(笑)。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ
【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

石平たくさんありました。逆に原作にないやりとりを足したりもしてますけどね(笑)。

桝田まあメディアが違うとね。しょうがないんですよね。

石平表現方法の違いがそういうところに出てくるので。情報量の扱いでいうと、小説ってやっぱり文字ならではの情報量の多さがあって。アニメなら、画として見せる情報量の作りかたってまったく違うので。そこをうまいことバランスを取るのにはやっぱり『ログホラ』はとっても苦労しますね、毎回。コンテ作業にここまで時間がかかるのって『ログホラ』くらい(笑)。ほかの作品はけっこう感覚でパーッと描けるんですけど。

桝田情報量が多いからね。

石平ええ。ログホラに関しては、ここでこのセリフを言っているときに聞いているほうのこの表情を拾わないと意図が変わってくるとか。このセリフを言っているときに、こっちを向いてないと意図が変わるとか。そういうのがすごい多いので。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

桝田声優さんもよく理解してやってくれてるよね。

石平そのへんは達者な方がそろっていますから。

――おふたりが感じる「『ログホラ』らしさ」とはどんなところでしょう?

石平らしさ……なんでしょう。あくまでアニメの監督として、ですけど。並行思考っていうんですかね? 1個の思考だけで作れないっていうか。メインはこれだけど、水面下ではこういう感情が動いているので画としてはこういう作りになっている。けど、伝えたい情報はそこじゃない、みたいなのが延々と続くのが『ログホラ』かなと。

 当然、裏の意図なんていうのは伝わらなくても問題ないように作ってはあるんですけど、なぜそうなっているのかを知っている身なので……。そこに気づいた人にはわかるように作るという意味では、表裏というか、二段階になっている思考をつねに張り巡らしているのが『ログホラ』という作品だなぁという感じはしています。

 殴って解決するパターン、もしくは倒して、壊して解決っていうようなタイプのマンガのアニメ化だと、そんな並行してどうのこうの、みたいなのはなくて、目の前にあるものを随時片づけていくタイプの作りかたになるんですけど。そうじゃない、っていうところですかね。たいへん頭を使うシリーズですが、毎度、作っている僕自身がそれをいちばん楽しんでいるかも知れないです。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

桝田パズル。

石平そうですね、パズルですよね。それが楽しくてやってるんです。

桝田主人公があまり主人公らしくないじゃないですか。後ろにいて指示するだけで、自分はそんなに強くなくて、なんとか仲間のいいところを引き出して、前に進みましょうみたいなタイプでしょ? この“ログホラ・プロジェクト”自体もわりとそんな感じで。

 ふつうは原作側がもっと強いんですよ。原作がこうだからアニメもここにこれを入れて、とか。あるいはマンガは原作にないことを入れちゃダメとか。そういうのが『ログホラ』の場合、一方的にはなっていなくて。

石平『ログホラ』の場合、どちらの立場が強いとかではなく、相互にやりとりして、あっちからこっちに、こっちからあっちに、設定がいったり来たりしますよね。

桝田マンガ版やゲームの設定が小説に反映されることもあるしね。なんだろう、ネットっぽいかなっていう感じはしますね。偉い人、ふつうの人、アメリカの人、日本の人、中国の人。ぜんぜん立場の違う人たちが並列にお互いの言い分を言い合って、いいところをそれぞれ活かして、みたいなのが日常茶飯事でぐるぐる回りながら進んでるプロジェクトっていう感じがして。それがこの世界観とも共通の部分があるなぁっていうのは何度か感じたかな。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

二次創作やTRPGの設定も反映する懐の深さ

――原作だけでなく二次創作のキャラやエピソードもアニメには反映されていますが、どのような工夫がありますか?

石平さっきの桝田さんの話の通りで、ほかの作品ではあまりそういうことがないので。それも楽しいところですよね。今回の『円卓崩壊』で活躍する元ハーメルンの子どもたちのセリフのしゃべりかたみたいなのが、テーブルトークRPG(『ログ・ホライズンTRPG』シリーズ)でやった、こういうこと言わせてたみたいなのを反映していて。

 1期のときはぜんぜん違うんですけど、今回はだいぶみんなそれの影響を受けていて、テーブルトークで展開したときのセリフを言うようになっていたりとか。また別の特典用にやったテーブルトークのときに作ったキャラを通行人なりなんなりで登場させたりとか。そういうことが多いので。

 あと、まさかまた出てくることになるとは思わなかった、自分が勝手に作ったキャラがちょいちょい出ていたりとか。それはもう、いろいろな描き手が作ったキャラとか、名前とかもそうなんですけど、これがいつの間にか『ログホラ』の各メディアの中で活躍し始めて。あとは外伝で書かれていたキャラが本編だったりアニメのほうだったり……。

桝田櫛八玉(※)ね。

※櫛八玉:山本ヤマネ氏による『ログ・ホライズン』の二次創作小説『辺境の街にて』の主人公。

石平そう、櫛八玉。あのへんもそうですよね。あと、印象深いのが山羊スラですかね。(笑)。山羊スライム。あとAKヘッジホッグとか(※)。あのあたりの、にゃんこ亭のキャラとかもそうですね。あれはもともと予定にはなかったんですけど。出番とかセリフを増やす切っ掛けになったのは、テーブルトークの本があんまりおもしろかったからで。

※山羊スライム、AKヘッジホッグ:AKヘッジホッグは後述する『ログ・ホライズンTRPG リプレイ』に登場するギルド“にゃんこ亭”のメンバー。彼が考案したぬいぐるみが山羊スライムで、アニメでもいたるところに登場している。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

桝田そのへんは中国では出てるの? 原作だけ?

石平原作だけですね。もったいないなあ。

桝田それはもったいないね。なんでかっていうと、その4人のキャラクターを演じてるのが、それぞれ日本でミリオンを飛ばしているような作家なんですよ。だからひとりひとりおもしろい。

石平その作家さんたちがテーブルトークでけっこうめちゃくちゃなキャラを作って演じていたのが書籍化されたものというのがあって(※)。それがあんまりおもしろかったのでアニメの二期にずるっと持ち込んで。もともとそんなに登場するはずじゃなかったんですけど、それで出番が増えて、余計混ざった感が強くなっている。

※:『ログ・ホライズンTRPG リプレイ』シリーズ。ゲームマスターを原作者の橙乃ままれ氏が担当し、ゲストプレイヤーとして綾里けいし氏、むらさきゆきや氏、丸山くがね氏、芝村裕吏氏が参加している。

桝田これ3冊くらい出ちゃってるよね(※)。

※:正しくは『宵闇の姫と冒険者』、『ごちそうキッチンと病の典災』、『山羊スラ戦車と終わらない旅』上下巻の計4冊。

石平そういう、ほかにはない遊びが多いという。その片鱗は、外伝とかいろんなものが中国でも出版されるといいですね。ぜひ読んでいただきたいので。

桝田作者が自分のものにしてないからだね、きっと。どうぞ遊んでってみんなに、お店を広げちゃってるから。ネット上で、そのサーバー内での特殊な職業なんかを募集したら70ヵ国くらいから来たって言ってましたね。皆さん、どうやって読んでるんだろうって思うけど。

石平それで、ときどきその職業用のイラストを僕のほうで描くことになったり(笑)。もったいないので『円卓崩壊』にも中原サーバーに出てくる特殊職業の自分の描いたイラストをもとにしたやつがちょこちょこ映っています。まさかそれもアニメに出すことになるとは思わなかった。

石平さん、桝田さんのお気に入りキャラクターは……?

――シロエやアカツキ以外でおふたりが気になるキャラクターは誰ですか?

桝田濡羽(※)かな。おもしろいですよ、あのキャラクターは。あのキャラクターが5巻で最後に出てきたときに原作者に話を聞いたら、ここから10巻くらいかかるとか言うから、本当に完結させるんだなって100回くらい聞いて。やるっていうから、じゃあ5巻の最後で登場させていいよって。だって誰も聞いたことがない、なんだっけ、“西の納言(濡羽の異名)”だっけ。唐突に出てきたよね、あれ。

※濡羽:巨大ギルド“Plant hwyaden”のギルドマスターを務める女性。アニメでは第1期最終話から登場している。

石平でもそこから続いて、核心に近いところまでは大分来てますからね。西の納言と、“東の外記(シロエの異名)”。

桝田そうそう。頭抱えちゃったもん(笑)。本当にやるんだなって。

石平“東の外記”の単語がようやくアニメで、今回の『円卓崩壊』でやっと出てきたっていう。1期ラストでの初登場で、アニメでは言ってなかったんだけど、原作ではその表記がすでにあって(笑)。

桝田ほんと、頭抱えたんだよ。あのときは。

石平僕はまあ推すというよりは応援したいという立場でいくとやっぱりミノリですね。1期での登場から、シロエに関わって、シロエの弟子になって、みたいなのがあって。やっぱりミノリの成長ですかね。

【ログホラ3期】アニメ『ログ・ホライズン 円卓崩壊』公開記念、石平信司監督×桝田省治氏が語る制作秘話と見どころ

桝田明らかに主人公のひとりだよね。あと、声が好きなんだよ(笑)。

石平田村奈央さんですね。

桝田ままれくんはあの子の声が好きなんだよ。さらに言えば、あの子の成長を楽しんでるんだよ。最初のころなんかド新人だったじゃん。

石平ホントそうですよね。役者としても成長していって。

桝田そうそう。

石平キャラも演じている田村さんも成長して。ほんと、今回の『円卓崩壊』で、ひとつ大きなお話になるんで。それもあって、やっぱりミノリがどう成長していくかっていうのがいちばんポイントになっていると思います。

桝田明らかにあの年少組の登場する場面が増えてるよ。アニメが増やしたんだと思うよ。

石平見どころ込みでいうとやっぱりミノリになるんですけど。あと、もっと個人的に言うとデミクァスですかね(笑)。デミクァスさんが大好きですね。

桝田デミクァスって今回出てたっけ?

石平『円卓崩壊』ではセリフはないです。でも、顔はチラッと出てきます。