2020年3月28日、29日に東京で、4月25日には大阪で開催予定のNieR 10th Anniversaryコンサート“NieR:Theatrical Orchestra 12020”。そのコンサートに向けて新たにオーケストラアレンジされる楽曲を収録したCD音楽『NieR Orchestral Arrangement Album -Addendum』はコンサートに先駆け、2020年3月25日に発売予定だ。

『NieR』10周年記念コンサートとCDは「“NieRらしさ”を重視した原曲に近いオーケストラアレンジ」(岡部氏)――CDジャケット&トラックリストも公開_04

 今回、音楽CD『NieR Orchestral Arrangement Album -Addendum』のジャケット画像&トラックリストが公開された。ジャケット画像に『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』でコンセプト アートを手掛けた幸田和磨氏による新規描き下ろしのイラスト。廃墟の草木の影の中、伏し目がちなデボル&ポポルの表情が印象的。

『NieR』10周年記念コンサートとCDは「“NieRらしさ”を重視した原曲に近いオーケストラアレンジ」(岡部氏)――CDジャケット&トラックリストも公開_05

トラックリスト

1 Ashes of Dreams (Emi Evans & J'Nique Nicole Vocals)
Arranged by Kosuke Yamashita

2 エミール (Addendum version)
Arranged by Sachiko Miyano

3 深紅ノ敵
Arranged by Kosuke Yamashita

4 イニシエノウタ (Emi Evans & J'Nique Nicole Vocals)
Arranged by Kosuke Yamashita

5 カイネ (Addendum version)
Arranged by Sachiko Miyano

6 遺サレタ場所 (Addendum version)
Arranged by Sachiko Miyano

7 美シキ歌 (Emi Evans & J'Nique Nicole Vocals)
Arranged by Kosuke Yamashita

8 複製サレタ街
Arranged by Sachiko Miyano

9 崩壊ノ虚妄
Arranged by Kosuke Yamashita

10 Weight of the World (Emi Evans & J'Nique Nicole Vocals)
Arranged by Kosuke Yamashita

■早期購入特典
「NieR Orchestral Arrangement Album -Addendum Special Disc」
NieR Orchestral Arrangement Album Addendum Special Disc』のために新たにアレンジされる楽曲を収録。

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◆収録内容
顕現シタ異物(J'Nique Nicole Vocals)
Arranged by Sachiko Miyano

穏ヤカナ眠リ
Arranged by Kosuke Yamashita

曖昧ナ希望(Emi Evans Vocals)
Arranged by Sachiko Miyano

※特典対象店舗、および特典の有無については、予約時・購入時に各店舗へお問い合わせください。
※特典は数に限りがあります。
※特典の製造予定数に達した場合は終了となります。あらかじめご了承ください。

 ところで、『NieR』10周年を記念したオーケストラコンサートとCDは、2018年の“NieR Orchestra Concert 12018”とオーケストラアレンジCDとは何が違うのか。今回のコンサートの見どころや意気込みなどを、レコーディングを終えたコンポーザーの岡部啓一氏(MONACA)に直撃。

岡部啓一(おかべけいいち)

MONACA代表取締役。コンポーザー。おもな代表作は『NieR』シリーズや『シノアリス』、『結城友奈は勇者である』シリーズなど。

──今回のコンサートとCDのお話しの前に、まずは、世界ツアー“NieR: Orchestra Concert re:12018”のシカゴ、ロサンゼルス、ロンドン公演を終えての感想をお聞かせください(※インタビューはタイ公演前)。

岡部各公演とも、リハーサルから見させてもらっているのですが、同じスコア、同じ指揮者でも地域によってこんなにも違うんだ、と感じましたね。

──そんなに違うものですか。

岡部はい。指揮は全公演アーニー・ロスさんにお願いしているんですが、地域ごとのニュアンスの違いと言うか、解釈に違いがあって、僕自身も楽しませてもらいました。たとえば、シカゴ公演はパーカッションを含め、グルーブ感があって、さすがジャズの本場だなと感じましたし、ロサンゼルス公演はとくにブラスが顕著で、ハリウッド的というか、まるで映画音楽のようでした。ロンドン公演はいかにもクラシックという感じで。

 各会場の違いもあったんですけど、ロンドンはオーケストラに特化したホールだったので、生演奏が気持ちよく聴けてコンサートの醍醐味が味わえましたね。一方、ロサンゼルスは、かなり大きな会場で迫力がスゴくてライブという感じでした。

 また、ワールドツアーでは、すごく熱狂的に拍手とか声援を送ってくださるかたが多くて、すごく静かに食い入るように見てくださる日本とはまた違い、観に来てくださった方々のお国柄の違いも感じました。

──残すはタイ公演のみになりました。

岡部でも、ワールドツアーからすぐに10周年記念のコンサートに繋がるので、ツアーを終えても寂しさを感じる暇もないですね(笑)。

──その10周年記念コンサートやCDは新たにオーケストラアレンジした楽曲を演奏・収録するとのことですが、2018年のものとの違いは?

岡部コンセプト自体が違いますね。『NieR』シリーズは、比較的編成が小規模で、ボーカルを聴かせる曲がけっこう多いゲームではあると思うんです。2年前のコンサートやCDでは、「その曲をオーケストラバージョンで楽しんでください」というのがコンセプトでした。ですので、歌は最小限で、基本はオーケストラを楽しんでもらうということで、アレンジもそちらに寄せていました。それに対して、今回のコンサートやCDは、作品を支えて、応援してくださっている方々が“これぞ10周年のお祭り!”と思っていただけるように、『NieR』らしさを重視した、より原曲に近いアレンジがされています。ボーカルが入る曲の割合も高くなっていますよ。

──聴き馴染みのあるアレンジになり、エミさんやジュニークさんの歌も入っていると。

岡部はい。あと、今回のコンサートの開催にあたってはヨコオさんから「2年前のオーケストラは、岡部さんがやりたいようにやらせてあげんたんだから、10周年は僕がやりたいようにやる!」と最初に言われたんです。もうそれは、僕も重々承知で(笑)。今回のコンサートでは、声優さんもたくさん出演してくださいますし、朗読劇とオーケストラサウンドの混合も楽しめるような演出にもなると思います。

 現段階では、具体的にどんな演出になるのか僕はいっさい見てない……というか僕が見てないだけなのか、できていないかはわかりませんが(笑)。

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──コンサート用の選曲は終わっているんですよね?

岡部もちろん終わっています。今日は、それを踏まえてのレコーディングでもありました。演奏順もだいたい決まっていて、朗読が入るところもなんとなくヨコオさんと話をしています。

──ちなみに、CDとコンサートで演奏される楽団は同じですか?

岡部そうですね。若干メンバーは変わるかもしれませんが、CDもコンサートの東京公演も東京フィルハーモニー交響楽団さんにお願いしています。

──今回の選曲の基準は?

岡部ヨコオさんは同じことを何回もやるのを好まれないですし、前回のCDとの違いを明確に出したい、という点を意識して決めました。10周年ですし、いままで演奏したことのない曲も意図的に入れたりしています。もちろん、ファンの方たちはこれは聴きたいよね、これは外せないよね、という曲も入れていますが、アレンジは変わっているので前回とは違う味わいを感じていただけると思います。

──『NieR Orchestral Arrangement Album -Addendum』に入っている曲は、コンサートで聴けると思っていていいですか?

岡部基本的にはそうですね。ただ、早期購入特典(『NieR Orchestral Arrangement Album - Addendum Special Disc』)に収録されている曲に関しては今回のコンサートでは演奏しないと思います。

──早期購入特典CDもオーケストラアレンジの曲が?

岡部はい。本編ディスクに入り切らなかった曲を収録しています。「これをコンサートでやらないのはもったいないな」と感じるほどいい内容になっているので、ぜひともお早めに購入していただき、聴いていただきたいです。

──東京のコンサート会場は、前回のパシフィコ横浜から今回は東京国際フォーラム・ホールAになり、より大きな会場になりましたね。

岡部『NieR』史上いちばんの大きな会場でびっくりです。『NieR』が似合う規模感はもうちょっと小さいところかなと思うんですけど(笑)。オーケストラ演奏自体が『NieR』に似つかわしくないと言うか、分不相応なことをやらせていただいてる感じもあるんですが。ただ、オーケストラを聴いていただくなら、スケール感も楽しんでほしいというのもありますし、10周年記念のイベントという意味合いも強いと思うので、たくさんの人に楽しんでいただけるのはうれしいです。

『NieR』10周年記念コンサートとCDは「“NieRらしさ”を重視した原曲に近いオーケストラアレンジ」(岡部氏)――CDジャケット&トラックリストも公開_01

──改めて、『NieR』10周年にどんな感想をお持ちですか?

岡部さんざん言われていることではあると思うんですけど、ゲームという媒体の中で、プレイする楽しさというのはいちばんだとは思うんですけど、『NieR』の場合はプレイするだけじゃなくて、映像であったり、世界観であったり、キャラクター、ストーリーを楽しむという側面が、ほかのゲームよりは割合としては大きいのかなと思っていて。ゲーム自体は10年前にプレイし終えても、その後も書籍や音楽で『NieR』に触れてくださる方もいらっしゃって、それが『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』につながったと思いますし。その『NieR:Automata』発売からもう3年も経ちますが、この3年のあいだも、コンサートをやらせていただいたり、ゲーム発売後もファンの方々にすごくきちんとフォローしていただいたなというのを強く感じるシリーズですね。

──では最後にCDの発売やコンサートに向けてひと言お願いします。

岡部CDに関しては、先ほども申し上げた通り、早期購入特典の曲もすごく素敵な出来になっているので、興味がある方はお早めに手に取っていただきたいですね。今回は、より原曲に近いオーケストレーションにしていただいているので、前回のオーケストラCDと聴き比べていただくのもおもしろいと思います。コンサートは、満を持してじゃないですが、ヨコオ大先生が「やりたいことをやるぞ!」と宣言しているイベントなので、前回のコンサート以上に『NieR』の世界が楽しめるものになると思いますので、期待して聴きにいらしてください!