ラジオアプリ“JFN PARK”にて放送中の『椎名慶治のゲーマー列伝』は、ファミ通.com制作協力のもと、音楽ユニット・SURFACEのボーカルを務める椎名慶治氏が、さまざまなゲストを交えてゲームにまつわるトークをくり広げる番組。
第3回のテーマは、椎名氏(以下、椎名)が『風来のシレン』シリーズの大ファンだというところから遊び始めた、スマートフォン用ローグライクゲーム『世紀末デイズ』。『世紀末デイズ』はDeNAとスパイク・チュンソフトが共同開発しており、『不思議のダンジョン』シリーズの制作陣が関わっているタイトルだ。ゲストとして、『世紀末デイズ』の企画兼プロデューサーを務める、DeNAの“まこP”こと山口誠氏(以下、山口)を迎えて、同作にまつわるトークをたっぷりとくり広げた。本稿では、トークの模様をまるっとテキストでお届け。
なお、番組冒頭では前回までのトークテーマだった『ファイナルファンタジーXI』について、視聴者からのコメントを椎名氏が読み上げるコーナーもあるので、気になる方はぜひ“JFN PARK”アプリをダウンロードして、おふたりの生の声を聴いてみてほしい。
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椎名慶治、『世紀末デイズ』を大絶賛!
椎名 今回のゲストにお迎えしたのは、現在配信中のアプリゲーム『世紀末デイズ』プロデューサー・山口誠さんです!
山口 どうも初めまして、DeNAの山口 誠と申します。一応、SNSでは“まこP”と皆さんに呼んでいただいていて……。
椎名 ……まこP!? まこP、っていう歳か!?
山口 (笑)。オジサンなんですが(笑)。
椎名 じつは僕よりも年下なんですよね。
山口 はい、今年37歳になりました(ちなみに椎名氏は1975年12月30日生まれで、現在42歳)。
椎名 ですよね。ですからもう、山口さんが自分のことを“オジサン”って言ってしまうと、僕はもう……。
山口 あー! 失礼いたしました。
椎名 いえいえ、いいんですよ、僕たちはまだまだ若い! ということで、よろしくお願いいたします。先ほどの『FFXI』のお話(現在の技術で『FFXI』を遊びたい、という視聴者からのコメントがあった)からつながるのですが、いい部分を残して後継としてつなげてほしいというお話、この『世紀末デイズ』、見事にやってくれてるなと。
山口 ありがとうございます。
椎名 『不思議のダンジョン』シリーズというゲームがあるんですが、僕がいちばん覚えているキャッチコピーが“1000回遊べるRPG”という言葉が付いていて、それが嘘偽りのないゲームなんですね。(山口さんは)そんな伝説のゲームのDNAを継いだ『世紀末デイズ』のプロデューサーということで。いやぁ、すばらしいゲームをリリースしましたね!
山口 まさにいま仰っていただいた通りですね、そもそものコンセプトとして、僕が『不思議のダンジョン』シリーズが大好きで。『トルネコの大冒険』や『風来のシレン』もやっていて、そのDNAを継いで、スマホで手軽に遊べるようにしたくて。古いスーパーファミコンとかを引っ張り出すのはなかなか難しいので。だから(そういったゲームを)出せないかなと。あとは新しいプレイヤー、まったく知らない人たちに“『不思議のダンジョン』シリーズってゲームがおもしろかったんですよ”ということをお伝えできないかなと思って、作ったゲームなんです。
椎名 まんまそれが出てますね! ゲームをダウンロードしてるときから、『世紀末デイズ』って始まってるじゃないですか。ダウンロードしてるときのBGMから、すでにすごいこだわりを感じました。飽きさせないためには、ということを考えているような。ダウンロード中って正直、ただ待つだけじゃないですか。そのときに極上のサウンドが聴けるわけですよ、ジャズの! あれは誰の案なんですか?
山口 あれは僕のほうで、こういった音楽にしてくださいとお願いして作っていただいたんです。もともとオープニングアニメのときに、結構アクションをするようなオープニングを作っていただいたんですね。イメージとしては、マフィア映画とかで、『アヴェ・マリア』が流れながら(銃が)バンバンバンと、映像ではエグいことが起こっているけど、美しい曲が流れるみたいなギャップを出したかったんです。
椎名 激しい戦闘シーンなんですけど、スローで流れてくわけですよね。
山口 それをやりたいな、と思っていたところ、ああいう感じで作ってもらったって感じですね。
椎名 ダウンロードしてるときから、「『風来のシレン』のDNAを継いでいると聞いていたのに、あれ、このゲーム何か違うぞ!?」と、ワクワクが止まらなかったですね。そこからキャラクター紹介が流れて、どのキャラクターで始めようかな? と思っていたら、「おい、このキャラクター(主人公・天霧 葵)って決まってるのか!」ってなりまして(笑)。もともと『風来のシレン』などが好きだったから、このゲームを作ることになったわけですよね。作るにあたって、苦労した点は当然あると思うんですけども。
山口 ほかのアプリでも他社さんも(ローグライクに)チャレンジされている中で、いわゆるローグライクと呼ばれるシステムをどうやってシステムに落としていくか、というところですね。いちばん気をつかったのが操作周りとレベルデザインで、いちばん難しかったです。
椎名 スマホアプリにするときに、やっぱりガチャがあったり、レアキャラが出てきたりしますが、それは『風来のシレン』ではありえなかったことじゃないですか。『風来のシレン』のシステムがありながらも、それを取り込むときに、苦渋の選択ってあると思うんですよ。たとえば、キャラクターが死んだときに、アイテムをすべて捨てさせるわけにはいかないとか。『風来のシレン』をやっていた僕としては、ちょっと緩くなっているというか、「なんだ、死んでも大丈夫じゃん!」ってなってしまうところとか。そこらへんのバランスとかが大変だったんじゃないかなと。
山口 まさに仰る通りです。現在の『世紀末デイズ』は装備がなくならないようになっていますが、開発中では装備をやっぱりなくすべき、という方向で進んでいました。
椎名 それはいまのプレイヤーには厳しいでしょうね……!
山口 なので、イメージとしては新しいプレイヤー(に向けています)。僕らが『不思議なダンジョン』シリーズを知らずにやった初めての感覚に近いレベルデザインで、いまのプレイヤーにお届けしようと。スマホゲームのいいところは、オンライゲームに近いところなので、どんどん拡張していけると。そういう意味では、古参というか、ローグライクが昔から好きでしたっていうプレイヤーには、この後どんどん難しいコンテンツを出しますよ、みたいな感じでアピールできればと思い、最初のほうはややハードルを低めにしています。
椎名 そこが上手かったと思うのが、あまり言うとネタバレになってしまいますが、僕はいまエリア5の上野に行くところです。そこに行くまでにずっとやっていくなかで、楽しみはありながらも、チュートリアルをずっとしてくれていた感じがあるんですよ。もっとこのゲームを覚えてほしい、入り込んでほしいというところ、懇切丁寧に教えてくれているなと思って。オートでできるところもあるじゃないですか(『世紀末デイズ』には、自動でダンジョンを攻略してくれるオート機能が付いている)。僕がやっているところまではオートでもいけてたんですが、だんだんボスがオートだとヤバくなってきまして(笑)。「ここまでの練習の成果を、お前ら見せろよ?」というところまで来てるんですよね。初めてやった人でも、「なんだよ難しすぎてわかんねーよ!」って、手放さないでできるところのバランス感覚がすごくよくて。何より絶賛したいのは、まず声優さんたちの演技。
山口 あー、そうですね。すごく(良く)演じていただきましたね。
椎名 声優さんたちのボイスの良さ、そしてストーリーの良さ。非現実なんだけど、本当にこういうことがあったらこうなりそうだよな、っていうところ。辻褄の合わせかたとか、あと伏線の張りかた。いますごくワクワクしながらやっているのですが、主人公だけ“デミ”って付くじゃないですか。(ネタバレになるので)言えないとは思うのですが、ああそういうことなんだなと思いながらやっているところで、言いたいことがいっぱいあるんですが、今回に関しては、まず皆さんダウンロードしてほしい!
山口 そうですね、まずはダウンロードしていただけたら……。
椎名 今回に関しては、もう『世紀末デイズ』とりあえずやってくれ! いろいろなゲームを遊んできた椎名が、ここまで絶賛しているんだから! とりあえずやってみろと! で、声優ファンも間違いなく満足すると思うんで。
山口 それは間違いないですね。
椎名 いますごく多いじゃないですか、声優さんのファンって。物語を盛り上げてくれる声優さんの声! これひとつだけでも、楽しめてしまうので。僕が言いたいのは、絶対いつかアニメにすべきだと!
山口 ありがとうございます!
椎名 このストーリーのおもしろさって、脚本とかは誰が書いているんですか?
山口 世界観のコンセプトから、けっこう濃い目に作っています。“サバキの槍”というのが落ちてきて世界が崩壊しますというところや、まだ出ていない敵役なども含めて、全部一応世界観のほうは、私が作らせていただいていました。
椎名 えっ!? いままでちょっと馴れ馴れしく話していましたが……あなたは神か!?
山口 (笑)。ありがとうございます(笑)。
『女神転生』&『かまいたちの夜』トークも!?
椎名 山口さんは、『世紀末デイズ』を作られる前までに、脚本やストーリーに関わったゲームってあるんですか?
山口 ゲームで言うと『TRICK×LOGIC(トリックロジック)』っていう推理ゲームがありまして、それのリードプランナーみたいなものをやらせていただいて、そのときに少しお話を書かせていただいたりだとか。あとは『戦国無双』というゲームを作っていまして、そこではシナリオ班という、いわゆるシナリオを作る仕事ではないのですが、レベルデザインを含めたシナリオ設計をするところで(お話を)書いていたりしました。
椎名 そんな山口さんはこの世界に飛び込む前に、どんなゲームをやっていたんですか?
山口 世界観系で言うと、皆さんも薄々気づいているかもしれませんが、僕『女神転生』シリーズがすごい好きで。
椎名 あ、それ僕言っちゃいけないと思ってました(笑)。僕、『女神転生』世代で、だから『ペルソナ』シリーズの前です。もちろん『ペルソナ』シリーズも好きですが。(ゲームをダウンロードして始めたときに)ちょっとその匂いを、感じていたんですよ。
山口 『女神転生』がすごく好きで。『女神転生』ってもともと小説原作じゃないですか。“悪魔召喚プログラム”(コンピュータで悪魔を使役する、架空のプログラム)という、本当にありえそうな感じで。当時、コンピュータが、パーソナルコンピュータと呼ばれ始めたくらいで、プログラムで何ができるのかわからない中、(悪魔を召喚したりも)できちゃうかもね、みたいなところからお話が始まっていく感じが、メチャクチャ好きでして。
椎名 いまの人たちには『ペルソナ』のほうが有名かもしれないですね。
山口 『ペルソナ』のほうが有名ですね。
椎名 もともとは『女神転生』ですからね! これは忘れちゃいけないですよね。あぁ、そこからきてましたか。
山口 あそこがすごい好きで。
椎名 ちょっとダークな混沌とした世界のなかで、だけどちょっと現実でありえそうなところが、すごい『女神転生』を感じる部分があるなと。山口さんの口から言ってしまうほど、影響があったんですね(笑)。
山口 はい、そうです(笑)。
椎名 じゃあ『女神転生』好きの方にもオススメしていいですね!
山口 世界観としては、オススメしたいかなと思っていて。現実で本当にありえそうなところで起きている話なので。
椎名 それ以外にも、好きなゲームはありますか?
山口 『かまいたちの夜』はすごい好きです。
椎名 じゃあ、ちょっとエロいところ! “ピンクのしおり”まで行ったんですか!?(『かまいたちの夜』は、本編はシリアスな推理型のサウンドノベル。ゲームをやり込んでいくと、ちょっとアダルトなオマケシナリオなどが味わえた)
山口 はい、やりました(笑)。
椎名 僕はあのゲーム、あれほど文字とシルエット(『かまいたちの夜』は登場人物が青一色のシルエットのみだった)だけで怖くさせられて。すごいですよね!
山口 あのゲームのおかげで推理モノにハマったといっても過言ではなくて。『かまいたちの夜』って、いまみると青人間(シルエットのこと)って安っぽく見えるんですが、当時、結構最先端だったんですよね。
椎名 あれをよくやりましたよね。
山口 ファミコンの推理ゲームって昔もあったと思うんですが、選択肢をチョイスする感じで(ゲームを進めていくので)、出題側が用意した答えの選択肢を、いかに選ぶかみたいなゲームで。一応推理はしてるんでしょうけど、とはいえ考えてみると選択肢を選択するゲームになっていて。
椎名 A選んで、B選んで、A選んでクリアーっていう。
山口 間違えたら、またA選べばいいかな、みたいな。それがちょっと興ざめなところがあるというか、コンピュータゲームとしての限界を感じていたところがあったんです。でも『かまいたちの夜』が出て。
椎名 バットエンディングもあって。
山口 そうです。そして途中で犯人の名前を入力するパートがあるじゃないですか。あれで、「この時点で犯人わかんないの?」っていうのを、(開発者から)言われている感じが、ものすごく驚愕で! 「えっ、この時点でわかるの!?」みたいな。
椎名 わかんねーよっていう(笑)。
山口 推理できんの!? って(笑)。それが本当に驚愕でして。何回も死んで、本当に自分が犯人をわかっていないと、絶対にクリアーできないっていう感じが、本当に衝撃でしたね。
椎名 いま(初めて遊ん)でも、皆さん楽しめるんじゃないですか?
山口 たぶんネタを知らなかったら、何回も殺されるんじゃないですか(笑)。
椎名 『かまいたちの夜』が出る前に、『弟切草』というゲームがありましたよね。
山口 ありましたね。
椎名 『弟切草』のころからもう、怖くて怖くて(笑)。その後『かまいたちの夜』が出て、その画期的なところと、ひとつだけじゃないストーリー。いやぁ、よくできたゲームでしたよね。なんか、(僕と山口さんって)似てますね!
山口 本当ですか!?
椎名 やっぱり(同じ)ゲームやってないと、これだけ語れないじゃないですか。僕もゲーマーといえど、やっていないゲームはやっていないですし。そこを通ってきたんですね、なるほど!
山口 姉とビクビクしながら(『かまいたちの夜』を)やっていた記憶がありますね。ソフトを購入したのは僕の姉で、「怖いからお前やれ」って言われて。
椎名 文字だけなのに、あれだけ怖いっていうのがすごいですよね。それが山口さんのいまの血となり肉となり。
山口 そうですね。ですので、(『TRICK×LOGIC(トリックロジック)』のような)推理系アドベンチャーも僕は作らせていただいたりもしていて。不思議な話ですが、『かまいたちの夜』を出したチュンソフトから、『TRICK×LOGIC(トリックロジック)』を出させていただいて。
椎名 そちらのゲームも皆さんチェックしてほしいですね。では、次回もぜひお付き合い願いたいのですが、最後に『世紀末デイズ』で言っておきたいこと、メッセージなどをいただけるとうれしいです!
山口 先ほど申し上げた通り、このゲームのコンセプトが『不思議のダンジョン』シリーズを知らない人、ローグライクというジャンルを知らない人でも楽しめるような、「スマホのRPGが好きだな」って人も(ローグライクを)楽しめるようなゲームになっているので。もうまったく違う感覚で遊べると思いますので、ぜひ遊んでみてください。
椎名 (最近の)ゲームの入り口って、必ずチュートリアルがあって、ちょっと物語に入っていくまでに、悪く言うとどうしても煩わしい部分があるじゃないですか。それはやさしさでもあると思うのですが。『世紀末デイズ』もチュートリアルと物語が進んでいくなかで、覚えなきゃいけないこともあるので、なかなか入りにくいところもあるんです。ですけど、ほんの、30分! 俺に30分くれ! 30分でもう引き込まれるから! もうホントに! 「えっ待って待って、何で携帯電話がブッ壊れて……」てなって! 物語の展開のつぎが知りたくて、しょうがないっていう風になるので。ぜひ皆さん、ダウンロードして30分やって、それでもおもしろくなかった! という場合は、俺に1回苦情をください! 俺が責任を持ちます!
というわけで、次回の放送(2018年9月27日配信予定)も山口氏をゲストに迎え、『世紀末デイズ』などについてたっぷりとトークを展開! 番組に関する感想などは、アプリ“JFN PARK”内のトークルーム(※リンク)にぜひ書き込んでみよう。