人類が絶えず追求してきた欲求のひとつ、スピード。生身の肉体を使った陸上競技はその最たるもので、果ては動物に乗ったものから航空機や自動車などといった乗り物を使ったものまで、あらゆる手段を使って“最速”の称号を手に入れようと躍起になってきているのは、これまでの歴史が物語っている通り。そんな最速を追い求める競技のひとつとして、1950年から開催されている伝統あるレースがF1(正式名称:Formula1 World Championship、フォーミュラ1 世界選手権)である。

 かつてのF1を振り返ってみると、もっとも盛り上がりを見せる要素のひとつは、ライバルによるし烈なタイトル争いと言って過言ではないだろう。これまでもジェームス・ハント対ニキ・ラウダ、アイルトン・セナ対アラン・プロスト、ミハエル・シューマッハ対ミカ・ハッキネンといったように、F1界では数々の好敵手による名バトルがくり広げられてきた。
 ただ、2010年から昨年あたりまでは、あるチームの戦力が突出していることが多く、こういったライバルバトルは形を潜めていた感があったが、今年はルイス・ハミルトン(メルセデス)対セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)という、ともに四度の世界タイトルを持つドライバーによる、史上希に見る好バトルがくり広げられている。『F1 2018』(R)は、そんなF1の醍醐味を余すことなく再現しているのだから、おもしろくないわけがない。
 というわけで、前置きが長くなってしまったが、発売を控えている『F1 2018』を一足先にプレイさせてもらったので、本作の持つ魅力を紹介していこう。

『F1 2018』レビュー 近年希に見る好シーズンを再現したレースゲームの見どころと魅力を紹介!_01
F1マシンは年々速度が上昇傾向にあったが、安全性の考慮とコストダウンを目的にしたレギュレーションが2005年に導入されて以降、2016年までコースレコードを更新するほどの速さは引き出せないでいた。しかし、2017年に実施されたレギュレーション変更でラップタイムは大幅に向上。今年は多くのサーキットでコースレコードが更新されていることから、まさしくいまのF1マシンは史上最速のマシンと言うことができる。
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今年のF1シーズンを牽引するふたりのドライバー、ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテル。お互いに今年タイトルを獲得すれば、F1界のレジェンド、ファン・マヌエル・ファンジオ(1950年〜1958年にF1で活躍し、参戦51戦中24勝、5度のチャンピオンとなった伝説的ドライバー)に並ぶ5度目の戴冠ということもあり、バトルの激しさはレース数を重ねるごとにヒートアップ。お互い、勝つためには手段は厭わないタイプのドライバーのため、チャンピオンシップの行方は今年最大の見どころと言えるだろう。

●『F1 2018』の魅力と見どころを紹介

  • 初心者からベテランまで対応した間口の広さ
  • 興奮のレースがくり広げられている2018年シーズンを完全再現
  • リアルなグラフィック、サウンドによるハイスピードバトル体験

初心者からベテランまで対応した間口の広さ

 F1のレースゲームというと、かなりマニアックなモータースポーツ&レースゲームファンじゃないと楽しめないと思われがちだが、然に非ず。この『F1 2018』は、熱心なF1ファンだけでなく、レースゲームが何となく好きといった初心者レベルのプレイヤーでも、存分に楽しめる間口の広さを持っている。

 本格的にF1のシーズンを再現するモードから、気軽にチャレンジできるイベントレースまで、多彩なモードが用意されており、また初心者でも安心して走れるように、各種アシストも充実。万一走行中にミスをしても、インスタントリプレイ機能で直前の状態に巻き戻して走行をやり直せるなど、初心者フォローは充実している。

 もちろん、レースゲームファンや生粋のF1ファンには、リアルF1と同様全10チーム20人のドライバーと、全21戦のコースが完全再現されており、フリー走行から予選、決勝まで現実と同じ走行時間で楽しめるモードも用意されているほか、また往年の名車を駆って走行できるイベントレースや、F1ドライバーを追体験できるキャリアモードなど、楽しめる要素が満載だ。

 本作に搭載されているモードは以下の通りとなっている。

  • チャンピオンシップ:さまざまな条件を課されたレースシリーズにチャレンジし、最終的にチャンピオンを目指す“チャンピオンシップ”と、オーバーテイクやタイムアタックなど決まった条件が設けられた単発レースイベントの“クラシック招待”に挑戦できる。
  • キャリア:新人F1ドライバーになり、レース以外の部分までF1ドライバー気分を満喫できる本作のメインモード。
  • グランプリ:任意のコース、マシン、ドライバー、天候下で1レースを競い合える、気軽にレースを楽しみたいときに最適のモード。
  • マルチプレイヤー:オンラインで世界中のライバルたちとレースが行えるモード。
  • タイムトライアル:任意のコース、マシン、ドライバー、天候下でタイムアタックが行えるモード。

 往年のF1ファンやレースゲームファンなら、シーズンを通した戦いが体験できる“2018フォーミュラ1 公式チャンピオンシップ”や“キャリア”がオススメ。初心者は、“グランプリ”や“タイムトライアル”、“チャンピオンシップ”内のさまざまなイベントレースで腕を磨くといいだろう。ある程度走れるようになったら、腕試しのつもりでオンライン対戦の“マルチプレイヤー”に挑戦するといった楽しみかたもできる。

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“チャンピオンシップ”は、いくつかのレースを転戦しながらシリーズチャンピオンを目指すイベントレースが用意されているモード。全21戦を転戦する“2018フォーミュラ1 公式チャンピオンシップ”以外にも、クラシックカーを用いた全12戦のシーズンや、各ラウンドで2回の決勝を行う“ダブルヘッダーツアー”など、さまざまなイベントレースが用意されている。
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“チャンピオンシップ”には、かつてのF1界の名車を使い、チェックポイントチャレンジ、オーバーテイクチャレンジ、追走チャレンジといった、1レースだけのイベントレースに挑戦する“クラシック招待”も用意。クリアーするためのターゲットが明確に定められているので、F1に詳しくない人でも気軽にF1バトルの雰囲気を楽しむことができる。
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いずれのモードでも、細かな設定項目が用意されている。各種アシストを最大限に利用しつつ、敵車のAIドライバーレベルを下げるなどすれば、レースゲームの初心者でもそれなりに熱いバトルが楽しめるはず。
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本格的にF1ドライバー気分を味わいたければ、走行中に空燃費やフロントブレーキのバイアスなどといったさまざまな調整を行ったり、ピットとの更新で戦略を変更したりと、レースの状況に合わせた細かな設定変更を行うこともできる。

興奮のレースがくり広げられている2018年シーズンを完全再現

 現在のパワーユニット制(ターボ+ハイブリッド)が導入された2014年以降は、“メルセデスAMG ペトロナス モータースポーツ”チーム(以下、メルセデス)が圧倒的な強さを見せつけており、2017年までの4年間で全79戦中63勝(ポールポジションに至っては71回)と、他を寄せ付けない強さでドライバー、コンストラクタータイトルともに4連覇を達成。そのあまりの速さは、メルセデスだけひとつ上位のカテゴリーであるとか、レースが始まる前から結果が見えているなどと揶揄されていたほどだった。
 ところが、2017年になってスクーデリア・フェラーリ(以下、フェラーリ)の性能が急接近。この年はテクニカルサーキットはフェラーリ、ハイスピードサーキットはメルセデスが強さを発揮するという傾向だったが、2018年はフェラーリが弱点を克服し、ハイスペックサーキットでも驚異的なペースを獲得。結果、9月2日の時点(14戦)でメルセデス6勝に対し、フェラーリ5勝と、ほぼ互角といった勝負をくり広げている。
 今年の成績を見てみると、数字の上ではフェラーリが負け越しているが、実際は雨のレースで足下をすくわれたりとアクシデントで勝利を逃しており、実質2018年の最強パワーユニットはフェラーリとの呼び声も高い。これら2チーム以上による激しいバトルは、予測不能の展開をもたらしてくれるというわけだ。
 この興奮のバトルを家にいながらにして追体験できるのは、まさに『F1 2018』最大の見どころのひとつと言ってもいいだろう。もちろん、メルセデス、フェラーリ以外の贔屓のチームを選び、勝利を目指すのも本作ならではの楽しみかただ。

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コードマスターズの手掛けるレースゲーム『F1』シリーズは、昨年発売された『F1 2017』の時点ですでに完成の域に達している感があった。しかし、『F1 2018』はさらなる改良が施されており、また前述のようにリアルシーズンが盛り上がっていることもあるので、必然的に最高の体験をもたらせてくれるF1レースゲームと言える。
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1.6リッターV6ターボエンジン時代に突入してから最強の名を欲しいままにしているメルセデス。2014〜2017年までの4年間は無類の強さを発揮していた。
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対するフェラーリは、昨年までの長所を伸ばしつつ、ウィークポイントを潰したニューマシンを投入。かつての常勝チームの輝きを取り戻した。
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ホンダエンジンを搭載する“レッドブル トロ・ロッソ ホンダ”を駆り、かつてのF1界で栄光を極めたホンダエンジンとともに、チャンピオンシップに挑むというのも本作の醍醐味だ。

リアルなグラフィック、サウンドによるハイスピードバトル体験

 コードマスターズが手掛ける『F1』シリーズといえば、流麗なF1マシンの造詣からレースの雰囲気、リアルなサーキットやエンジンサウンドなど、とにかくその徹底的な作り込みには驚かされるばかり。通常なら入ることのできないパドックやモーターハウスなどにも足を踏み入れられるなど、まさにF1気分を満喫できるものとなっている。
 当然、2018年シーズンに参戦する10チーム、20名のドライバーはもちろん、全21戦のサーキットから、マシンレギュレーションまでを完全収録。今年度の最大のトピックでもあるHalo(ハロ)もしっかりと再現している。

 本作のいちばんの醍醐味とも言えるのが、“キャリアモード”だ。これは、新人F1ドライバーとして、ライバルたちと競い合いながらワールドチャンピオンを目指すというもの。レースだけでなく、マネージャーやメディア、ピットクルーとの対応もあったり、チームの士気を高めつつ、マシン開発にも取り組むなど、F1ドライバー気分を満喫できる要素が盛りだくさんだ。

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毎セッションの終了後に行われるメディアセッション。そこでの受け答えによってチームの研究開発のスピードが変化してくるほか、ドライバーの評価やライバル関係といった部分にも影響がもたらされるとのこと。

 今年のマシンをもっとも特徴づける新デバイス、Halo。下駄の鼻緒とも揶揄され、そのデザイン性から登場時はすこぶる評判が悪かったが、これはマシンどうしが激しくクラッシュした場合や、タイヤなどの飛来物からドライバーを護るための安全装備として、今シーズンより採用が決まったもの。先日(8月26日)に開催されたベルギーGPで、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)のマシンがシャルル・ルクレール(ザウバー)のマシンの上に乗り上げるという多重クラッシュが発生したが、Haloのお陰でルクレールは無傷で済むなど、確かな実績をもたらしている。

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2018年F1マシンのコックピットを覆うプロテクターのような装備が、Halo(ハロ)システムだ。
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安全性を第一に装着が義務付けられたHaloだが、ゲーム中のコックピット視点では、すこぶる視界を邪魔してくれる。デザイン面に関しても批判的な意見が多いデバイスだが、大半のF1ドライバーは走行中はほとんど気にならないとのコメントを寄せていた。これが気になっている自分は、まだまだ乗り切れていないということだろうか。

 ここからは、『F1 2018』をより楽しむために知っておきたい情報を紹介していく。本作をより楽しくプレイするには、本物のF1の基本ルールや参戦チーム・ドライバーのことをよく知ることがいちばんのポイントとなる。これはF1に限らず、どのスポーツゲームにも言えることだろう。また、レースゲームはクルマを運転するという特性上、プレイ環境によって没入感や得られる興奮・感動が大きく変わってくる。ここで、『F1 2018』をさらに楽しくプレイするためのポイントをまとめて紹介していこう。

●『F1 2018』をさらに楽しくプレイするには

  • F1の基本的なルールを理解する
  • 参戦ドライバーのことをよく知り、贔屓の選手を見つける
  • (できることなら)ゲームプレイ環境を整える

F1の基本的なルールを理解する

 F1とは、オープンホイール、オープンコックピットのマシンを駆り、最速を目指す競技。ひとつのレースは、フリー走行1、フリー走行2、フリー走行3、予選、決勝で構成されている。3回あるフリー走行は、おもにマシンのセッティングを詰めていく場で、予選・決勝に向けて最適なバランスを見いだす必要がある。
 フリー走行の後には、決勝のスターティンググリッドを決める予選が行われ、ここで決まった順番で決勝がスタート。決勝の順位に応じてポイントを寄与されるというわけだ。
 各レースで得られるポイントは以下の通り。
1位:25ポイント、2位:18ポイント、3位:15ポイント、4位:12ポイント、5位:10ポイント、6位:8ポイント、7位:6ポイント、8位:4ポイント、9位:2ポイント、10位:1ポイント
 最終的には決勝レースで得たポイントを合算し、年間でいちばん多くポイントを獲得したドライバー、チームがチャンピオンになるという、シンプル極まりないものとなっている。

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キャリアモードやチャンピオンシップでは、フリー走行の回数や予選形式を本物と同様の回数にしたり、決勝レース前にはタイヤを暖めながら走行するフォーメーションラップもオンにできるなど、本物さながらのルールも設定可能。
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シーズンを通して使用できるパワーユニット数が3基までと決まっているのも、現在のルールのひとつ。また、1レースには必ずピットインし、種類の異なるタイヤを装着する必要もある。とくにエンジンの使用数制限は、シーズン後半のランキング争いに大きく影響してくることもあるので、とくに気を配っておきたい項目だ。

参戦ドライバーのことをよく知り、贔屓の選手を見つける

 サッカーや野球など、スポーツゲームを遊ぶ際には、お気に入りのチームや選手がいるほうが、より楽しめるのは自明の理。前項でも触れたルイス・ハミルトンやセバスチャン・ベッテルといった、4度のワールドチャンピオン経験者以外にも、F1には個性豊かなドライバーが多数参戦している。とくに筆者がお気に入りなのは、参戦ドライバー中最年長のドライバー、キミ・ライコネンだ。
 F1と言えば、さまざまな政治的な戦略が裏で行われるのが慣例となっており、ドライバーもその戦略に振り回されることが多いのだが、キミに限ってはそういった周りの情勢に左右されることなく、一貫したスタイル(=クールさ)を披露。
 数々の行動や名言も話題になっており、2006年のモナコGPではリタイア後にピットに帰らず、自分のヨットに直行して上半身裸でくつろぐ姿を見せたり、「予選5位からスタートの気分は?」というインタビューに「5位からスタートする気分だ」と答えたり、ネスカフェがスポンサーになったにも関わらず「珈琲が嫌い」と発言するなど、我が道を行くスタイルながら飄々と速さを見せつける様は、見ていてじつに気持ちがいい。極め付けは、(7度のワールドチャンピオンである)ミハエル・シューマッハの引退式典に不参加の理由が「う○こをしていたから」など、ライコネン語録は枚挙にいとまがない。
 F1ではほかにも個性的なドライバーが多数しのぎを削り合っているが、ここで現在のF1を代表するドライバーたちを紹介しよう。

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キミ・ライコネン
“アイスマン”の異名を持つように、とにかく受け答えが簡潔&クール。感情を面に出さない冷静さと、ここ一発が決まったときの手が付けられない速さ(レース中の最速タイム:ファステストラップの獲得数は、歴代F1ドライバーの中でも2位となる46回)から、世界各地に多くのファンを持っている。2001年のデビュー時は、4戦限定のスーパーライセンスでの参戦ながら、開幕戦でいきなりの6位入賞を決めて実力を証明し、2002年には(当時のトップチームである)マクラーレン・メルセデスに移籍。何度もタイトル争いに加わるもあと一歩のところで及ばなかったが、2007年のフェラーリ移籍後に初戴冠。2018年9月現在で38歳と、F1最年長ドライバーながら、いまなお衰えぬ走りを見せている。
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セバスチャン・ベッテル
2007年、代役参戦としてカナダGPでデビューし、当時の最年少入賞となる8位で完走(19歳349日)。同年の第11戦より、トロ・ロッソのレギュラードライバーとして本格参戦を果たしている。以降、同チームで驚異的な走りを披露し、翌2008年の第14戦イタリアGPで、当時の最年少優勝となる自身初優勝を達成(21歳73日)。2009年からはレッドブルに移籍し、第3戦の中国GPで同チームに初勝利をもたらしつつ、シーズン4勝を記録。2010年〜2013年まで、無類の速さを見せつけドライバー、チームともに4連覇を成し遂げている。
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ルイス・ハミルトン
2007年、F1史上初の黒人ドライバーとして、マクラーレン・メルセデスからデビュー。デビュー戦以降、コンスタントな成績を収め続け、第4戦終了時には史上最年少でドライバーズランキングの首位に躍り出る活躍を見せる。以降も好成績を出し続け、最終戦までタイトル争いに加わり続けることに。(F1初開催の年を除いて)史上初のルーキーF1チャンピオン登場かと期待された最終戦、1ポイント差でランキング2位という結果になったが、まざまざとその能力を見せつけ、以降2008年、2014年、2015年、2017年の4度、タイトルを獲得。現時点で最強ドライバーとの呼び声も高い実力派だ。
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マックス・フェルスタッペン
2015年、若干17歳の若さでF1参戦を果たしたドライバー(デビュー時は、クルマの運転免許すら所持していなかった!)。スクーデリア・トロロッソより、2015年オーストラリアGPに史上最年少(17歳165日)でF1出走を果たし、第2戦のマレーシアGPでは史上最年少入賞も記録(17歳180日)。2016年のシーズン途中にレッドブルに移籍した直後のスペインGPで、史上最年少優勝(21歳73日)を達成するなど、まさに企画破りの若手ホープとして注目を集めている。反面、その走りはアグレッシブすぎるきらいもあり、激しいオーバーテイクや過度なブロッキングなど、度々物議を醸し出していることでも知られている。
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ダニエル・リカルド
2011年にトロ・ロッソのリザーブドライバーとなり、第9戦イギリスGPからはHRT F1チームより初参戦。翌2012年にトロ・ロッソのレギュラードライバーとして参戦し、2013年まで安定した成績を記録。2014年に、当時最強の名をほしいままにしていたセバスチャン・ベッテルのチームメイトとして、レッドブルに移籍。未勝利に終わったセバスチャンを差し置いて年間3勝を記録し、年間ランキングも3位と躍進を見せた。その人柄の良さと優勝時に履いていたシューズを器に、シャンパンを注いで飲む“シューイ”で人気を博しているが、激しいブレーキングによるオーバーテイクの鋭さは、F1界でも随一と言われている。

F1をプレイするのに最適な環境を整える

 これは『F1 2018』に限ったことではないが、自動車の運転とゲームのコントローラでは、その形状からして操作性が大きく乖離しているのは事実である。レースゲームをしっかりと楽しみたいのならば、ハンドル型のレーシングコントローラは必須のアイテムだ。
 とくに『F1 2018』ではマシンの操作のみならず、走行中に燃料流量やブレーキバランス、ERS(エナジー・リカバリー・システム:エネルギー回生システム)、DRS(ドラッグリダクションシステム)といった項目を調整したり、ピットとのやり取りを頻繁に行う必要がある(実際のドライバーはさらに細かな項目まで調整をする必要があり、さらに過酷なGフォース:重力加速度や暑さによって体力も激しく消耗する)。
 専用デバイスを用いれば、こういった多種多様な操作がよりやりやすくなるのはもちろんのこと、ステアリングの舵角を一定に保ったり、スロットルやブレーキの微調整などもさらに行いやすくなる。コントローラでも十分に楽しく遊べるが、レーシングコントローラを用いれば、さらに次元の高い走行体験がもたらされるはずだ。

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筆者は『F1 2018』のプレイに際し、Logicoolのレーシングコントローラ“G G29 Driving Force”と、AKRACINGのゲーミングチェア“極坐”を使用し、映像はプロジェクターを使って80インチサイズに投影。F1中継でのドライバー視点に近い“TVポッド”にしてゲームプレイを楽しんでいる。プロジェクターは、厳密に言えば数フレームのラグが発生しているが、ことレースゲームの場合はそれほど致命的ではなく、何よりも迫力を優先した結果、このプレイスタイルに落ち着いている。

 毎年改良を重ね、F1の進化とともに発展をし続けてきたコードマスターズの『F1』シリーズ。9月20日に登場する『F1 2018』は、完成度の高かった『F1 2017』の優れた部分はそのままに、さらに細かな部分にまで手が入り、完成度を高めている。
 一見するとあまり変わっていないように見えながら、じつは着実な進化を遂げているあたりは、まさに本物のF1マシン(2017年型から2018年型になったように)の進化とシンクロしているかのようでもある。気軽にF1ドライバー気分が味わえるのはもちろん、各種アシストをオフにして、少しでも本物のF1ドライバーの大変さを感じてみたりと、あらゆる楽しみかたに対応している懐の深さが本作最大の魅力と言っていいだろう。
 本物のシーズンを自分の手で再現するもよし、自分自身がF1ドライバーとなって選手権制覇を目指すのもよし。また、そんなしがらみは一切関係なしに、ただ純粋にレースが楽しみたいというのでもまったく問題ない。
 F1が好きな人には手放しでオススメできる本作だが、リアル系のレースゲームに興味があるけど難しそう……と思っているような人にも十分楽しんでもらうことができるはずだ。時速300キロオーバーのドッグファイトをその手でぜひ、体感してみよう。

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F1の専門的な知識を得られるチュートリアル群も充実。ERSやDRSといった現代F1のハイテク装備などから、ゲームでも役立つ基本的な項目までが細かく紹介されている。
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鈴鹿サーキットの130Rやスパ・フランコルシャンのオー・ルージュといった名物コーナーをノーブレーキで駈け抜けていく迫力は、まさにF1ならでは。
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雨のモナコで各種アシストをオフにして走行。コース脇にはすぐに壁が迫るという難コースで、前走車が巻き上げる水しぶきでほとんど前が見えないという極限状態のドライブは、最高難度の走行体験。この緊張感のなか、高い集中力を2時間も維持しながらバトルをするのだから、本物のF1ドライバーは本当にすごい。
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“クラシック招待”にあるオーバーテイクチャレンジは、先行するライバルマシンたち複数台を規定時間内に抜き去るイベントレース。使用するマシンはクラシックカーながら、プレイヤー搭乗車はライバル勢よりも少しだけ新しい(=速い)マシンとなっているため、絶妙なオーバーテイクの楽しさを味わうことができる。
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リプレイやインスタントリプレイ/フラッシュバック中に自分やライバルの走りを撮影できるフォトモードも、前作に続いて搭載。露出やシャッタースピード、各種エフェクトなどを駆使して、お気に入りの写真を撮ることもできる。
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発売日:2018年9月20日発売予定
プラットフォーム:プレイステーション4
価格:パッケージ版 7980円[税抜]/ダウンロード版 7100円[税抜]
プレイ人数:オフライン 1人/オンライン 2〜20人
CERO:A(全年齢対象)