Oculus VRのVRヘッドマウントディスプレイOculus GoとGear VR向けに対応する、バーチャルライブ観覧アプリ“Oculus Venues”。その第1回配信が行われたので、その模様をお伝えしよう。
Oculus Venuesとは、音楽コンサートやトークショー、スポーツイベントなどの現実の世界のライブイベントの180度ストリーミング映像を、VR空間内のバーチャル観客席で体験できるというもの。なお少なくとも今のところは利用は無料だ。
普通のチケットでは難しい極上の眺めをバーチャルで
実際のライブイベントに合わせて利用可能で、初回となる今日はシンガーソングライターのVance Joy(※)のコロラド州モリソンでのコンサートが放映された(※ゲーム的には、『FIFA 15』に“Mess Is Mine”が収録されている)。
バーチャル観客席は、4シートの座席が縦9列、横7列ほどで構成され、つまり250席ほどがひとつのセットとなっている。席間の移動は自由で、完全にひとりで観たい場合はソロ用の特別席に移動することも可能。
カメラはステージ上の後ろ側や脇にあったり、観客席の手前に置いてあったりして、イベントの進行に応じて切り替わっていく。いずれにしても普通のチケット購入ではまず無理な極上の眺めだ。回線が安定すると見栄えもなかなかいい(音楽ライブ体験としてはサウンドだけが物足りないが)。
ライブ体験のバーチャル共有とコミュニケーション
そして、これはいかにも海外スタイルといった感じだが、デフォルトではボイスチャットがオンになっていて、ステージを見ながら会話したり、(コメディショーの場合など)ツッコミを入れたりするのもアリという作り。
記者はサンフランシスコ在住だが、日本のVR業界関係者とダベったりしながら観た。自然とライブそのものよりVenuesの感想を言い合う感じになるわけだが、太平洋を挟んで反対側にいるにも関わらず、同じ空間と体験を共有している雰囲気があって、とても楽しいし会話も弾む。
実際、そういうコミュニケーションを促進する作りになっていて、ソーシャルシェアリング機能をオンにすると、同じ席に座っているのが自分のFacebookのフレンドのフレンドだとか、これこれのFacebookページ(例えば映画とかゲームとか)にイイネした共通点があるといったことを教えてくれて、知らない人との話のきっかけも提供してくれるのだ。盛り上がったらフレンドになって、VRコミュニケーションアプリのOculus Roomで延長戦……なんてこともありえるだろう。
なお今後の放送では、メジャーリーグの試合や欧州サッカーのプレシーズンマッチなども予定されている。本場のファンの横で、しかもスタジアムにいる客よりいい席で、タダで観戦できちゃうのは夢のようだ。
ステージに集中したければ細かく設定可能
さて、このようにライブイベントに対する欧米的な楽しみ方が反映された作りであるので、「いや、ひとりで観てぇし」とか「近くにいるやつがうるせぇ」といったこともあると思う。もちろんこれはリアルな会場ではないのだから、そういった要望もちゃんとバーチャルに解決できるので安心して欲しい。
先程触れたように席を移動したり個人席に移ることもできるし、自分のマイクをオフにしたり、逆に特定の人をミュートしたり、ミキサーでステージの音とチャットの音を調整することも自由自在。なんか嫌がらせをしてくる奴がいたら行為を動画で撮影して報告することもできる。
強いて足りないことを挙げるとすれば、個人席は完全に個人用で、逆に同じ空間に友達がいても隣の席が埋まってしまっていたら座れないので、VIPルームやマス席のような数人の友達で専有できるスペースがあるといいんじゃないだろうか?
まぁVenuesはスタートしたばかりだし、みんな隔離ルームばっか選んで固まってしまうと微妙なんだろうが、イベントによってはそこだけ有料にしてもいいぐらいだと思う。
ゲームイベントも、もうコレでいいんじゃないか?
そして個人的に思ったのが、「もうE3や東京ゲームショウのプレスカンファレンスが全部コレになんねぇかなぁ」ということ。
我々は朝から移動して並んで、ようやく座れたかと思えばステージから遥か彼方の微妙な席だったりするわけだが、コレの方が絶対フェアで楽で、そして楽しい。ゲーム仲間で「まじか!」と興奮したり、「えー」とガッカリしたり、「これ前作マジで良かったぜ」とかダベりながら見たい!(できれば仕事抜きで)
話の最後に少々脱線してしまったが、このようにOculus Venuesはビデオゲームと直接は関係がないが、あらゆるイベントの可能性を変える非常に面白いアプリケーションであるのは間違いない。体験する機会がある人は、ぜひスケジュールをチェックしてトライしてみて欲しい。