本日2018年4月13日午前2時に配信開始された『ハースストーン』新拡張版『妖の森ウィッチウッド』。本拡張版ではコストが奇数/偶数のカードのみで構成するとヒーローパワーをアップグレードする新カードや新たなキーワード“木霊”が追加され、そして2週間後には1人プレイ用モード“怪物狩り”の開放が行われる。

 このたびファミ通では、本作のアートディレクターのベン・トンプソン氏と、アソシエイツ・ファイナル・デザイナーのステファン・チャン氏にインタビューを行うことができたので、その内容をお届け。夜中2時にリリースされて以降、眠らずにプレイしているプレイヤーは、ぜひ休憩がてら読んでいただきたい。

“シャダウォック”やesportsについて直撃 『ハースストーン』新拡張版『妖の森ウィッチウッド』インタビュー _11

ベン・トンプソン氏

ハースストーンチームのアートディレクターとして、一貫したゲームスタイルを開発・維持する責任を担っている。ゲーム初期の2Dアート製作から始まり、ブランド全体のスタイルガイドラインを構築。近年は才能溢れるアーティストたちのチームリーダーとして、すべてのアート作品の実装を高品質に保つためのディレクションを行なっている。

ステファン・チャン氏

ハースストーンチームのアソシエイツ・ファイナル・デザイナーとして、各拡張版のカードが楽しく、かつバランスが取れていることに尽力している。カードの実装や、カードデザイン、カードバランス及びデッキレシピの開発に関わっている。元『ハースストーン』の有名ストリーマーかつプロプレイヤー。

――今回、タイ、上海、韓国とアジアを中心にツアー形式で回りPR活動をされていますね。日本で拡張版がリリースされるタイミングでBlizzard entertainmentスタッフが来日することは珍しいかと。

ベン 今回、日本の方から歓迎を受けてとてもうれしく思います。blizzard及び『ハースストーン』スタッフが強く意識しているのは、物事をグローバルレベルで考えなければならないということです。この新エクスパンションリリースのタイミングで、プレイヤーの皆様を訪問して語り合い、また『ハースストーン』におけるこれからのwork upをファンに共有することが目的です。プレイヤーと触れ合うことで、何に興味を持っているのか、どんなことを望んでいるのか、そしてどんな懸念点を抱えているのかを知る機会になるわけです。これらは、つぎの試みにおいて非常に重要です。

――日本のコミュニティを重要視していただいていることは、いちプレイヤーとしてとてもうれしく思います。

ベン 日本、そしてアジアのコミュニティから学ぶことはたくさんあります。各地域で懸念事項は違いますからね。このようにプレイヤーと触れ合い学ぶことを増やすことで、ゲームをよりよく成長させようとしているわけです。

――日本のプレイヤーについて、どのような印象をお持ちでしょうか? たとえば、“炉端の集い”(コミュニティーベースのイベント)は盛んに行われています。Hearthstorn Championship Tourでは、1月末に行われた“Hearthstorn Championship Tour 2017 World Championship”に日本人選手が出場することはできませんでしたが、有名プレイヤーは数多くいて、日々切磋琢磨しています。

ステファン 日本のプレイヤーが高度なスキルを持っていることは知っています。来月予定されている、Hearthstorn Championship Tourのアジア太平洋地域では日本人プレイヤーがいままで以上に参加してくれていますからね。

――では、『妖の森ウィッチウッド』について話を移しますが、「魔女の刻」のイラストが、個人的にかなり気に入っています。ベン・トンプソンさんはアートを担当しているとのことですが、『妖の森ウィッチウッド』でとくにこだわった部分はどこでしょうか?

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ベン 新たなカードセットのイラストを作成するにあたって、どれも目新しくユニークではならないと思っています。恐ろしく、霊に取りつかれた雰囲気を出せるように、しかしながら『旧神のささやき』に似すぎてはいけないことは意識しました。

――『妖の森ウィッチウッド』では奇数/偶数コストのデッキ構成が新たに加わりました。非常にユニークだと思いましたが、どういった経緯でこのシステムを取り入れたのでしょうか?

ベン キーのアイデアとしては、ゲン・グレイメイン王とウィッチウッドの対立を描くことでした。それを表現する手段として、奇数/偶数でデッキを構成を分けることにしたのです。偶数ですとアゼロスに在する獰猛な狼人間形態“ウォーゲン”の「ゲン・グレイメイン」、奇数ですとウィッチウッドが作り出した「月を食らうものバク」ですね。プレイヤーにとってはデッキが限られますので、非常にデッキレシピが難しいかと思いますが、その分強力なパワーを持っています。

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――本日リリースされて、まずは奇数フェイスハンターで楽しませていただいてるのですが、ほかにも注目すべきカードやデッキ構成はありますか?

ステファン 奇数フェイスハンターなら「ブラックワルド・ピクシー」を入れるのもいいですね。プレイヤーがどのようなデッキを構成するのか、とても楽しみです。私は「ブリンク・フォックス」を入れた怪盗ローグと、「テス・グレイメイン」がお気に入りです。

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ーー『妖の森ウィッチウッド』がリリ―スされワタリガラス年に変わり、一部のカードはワイルド専用になります。デッキプールが狭くなるこのシーズンでは、メタはどう変わると予想していますか?

ベン いまこの時期は、メタの移り変わりが激しいので一概に言えないですね。すべてのクラスに関しては最低でも18通りありますし、奇数/偶数システムが導入されたいまこそ、ぜひいろいろなプレイヤーに楽しんでほしいと思います。

ーー新エクスパンションがリリースされてからぶっ続けで遊んでいまして、「シャダウォック」がものすごくインパクトがると感じます。「シャダウォック」が決定打になることもありました。ああいった強いカードを実装するのは、とても難しいのではないでしょうか?

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ステファン 「シャダウォック」はたしかにものすごいパワーを持っています。ただ、「シャダウォック」に対抗するプレイも生まれるので、メタも大きく進化するでしょう。今後プレイヤーがどのようなデッキレシピを生み出すのか、我々も楽しみにしています。

――偶数/奇数デッキも強力ですね。ただ、現状奇数/偶数コストで能力を発揮するカードがそもそも少ないと感じました。今後、奇数/偶数コストデッキで能力を発揮するカードをさらに導入する予定はありますか?

ステファン 奇数/偶数システムについて、今後の運用予定についてはまだお伝えできません。

ベン これから、プレイヤーが奇数/偶数システムや新キーワードをどのように使いこなすかによって、変わっていくと思います。

――ワタリカラス年になり、殿堂入りカード3枚が決まりました。その中にはメイジのクラシックカード「アイスランス」が入っています。メイジのクラシックカードからは昨年に「アイスランス」が殿堂入りしていますが、今後メイジのクラシックードを補うために、代替カード実装などの構想はあるのでしょうか?

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殿堂入りした「アイスブロック」、「コールドライトの託宣師」、「溶岩の巨人」

ステファン クラシックカードではありませんが、『妖の森ウィッチウッド』では秘策カードが新たに登場しています。そちらを使用するといいでしょう。

ーー日本国内では、デジタルカードゲームの新規タイトルがいくつかリリースされました。そういった中で、『ハースストーン』はどのように新規プレーヤーを獲得していこうと考えているのでしょうか?

ベン 新しいカードゲームがリリースされることは、我々にとっても歓迎です。新たなカードゲームプレイヤーが生まれ、インスピレーションをもらうことができる。『ハースストーン』に関しては、年に3回エクスパンションをリリースすればよいとは思いません。新しいゲームの遊びかたも導入しなければならないと意識しています。シングルプレイヤー用コンテンツや“酒場の喧嘩”、“闘技場”、そして“真夏の炎の祭り”や“霜の祭り”といったようなイベントも積極的に行っていきます。いつも『ハースストーン』は目新しいもので変化し続けるタイトルであるとプレイヤーに感じられるよう、これらのことすべてが重要です。

――ステファン・チャンさんは元『ハースストーン』プロプレイヤーだったとのことでお聞きしたいのですが、日本人プレーヤーはWorld Championshipなどに出場することは多くありません。日本プレイヤーは今後どうすべきだと思いますか?

ステファン 自分がプロチーム入りする前は、お互いに切磋琢磨できる人とともに新しいデッキレシピを作って、テストプレイを重ねました。また、優れたプレイヤーどうしで対戦できるようなコミュニティも築きました。自分を磨いていくためには、いまのような切磋琢磨できるプロプレイヤーどうしのコミュニティを作り、テストプレイを重ねていけばいいのではと考えています。

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