RAGE プロデューサー 大友真吾氏を直撃!

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 2017年8月12日・13日に大阪、8月19日・20日に東京で予選が開催されるRAGE Shadowverse Wonderland Dreams(RAGE Vol.5)。RAGEで『シャドウバース』を扱うのは今回で3回目。規模も大阪予選2000人、東京予選3000人と大きく拡大し、決勝大会の場所も東京ビッグサイトとスケールアップした。

 賞金総額は過去最高の1000万円。大阪、東京合わせて5000人の出場選手が、9月18日に行われる決勝大会進出の8枠をかけて戦うことになる。大会エントリーの受付は、7月21日23時59分まで。出場の意思がある人は忘れずにエントリーしておこう。

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 今回はRAGE Shadowverse Wonderland Dreamsの開催を記念して、CyberZ 執行役員 RAGE プロデューサーの大友真吾氏にインタビュー。今大会にかける想いやRAGEのビジョンについて話を伺った。

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▲CyberZ執行役員 RAGE プロデューサー
大友真吾氏

『シャドウバース』がRAGEに採用されたワケ

――今回RAGEでの『シャドウバース』(以下、『シャドバ』)の大会は3回目となりますが、そもそも『シャドバ』を競技タイトルとして選んだ理由とは何だったのでしょうか?

大友真吾氏(以下、大友) RAGEには日本のeスポーツ市場を盛り上げていくというビジョンがあります。第1回は『ベイングローリー』、2回目は『ストリートファイターV』と、eスポーツのジャンルとしてメジャーなMOBAや格闘ゲームを扱っていました。当然、カードゲームも世界的に人気なジャンルなのでいずれはと考えていたときに、サイゲームスの木村(唯人)さんから「じつは、こんなゲームを仕込んでいて、eスポーツを視野にいれている」と『シャドバ』を紹介され、ぜひいっしょに盛り上げていきましょうと話したのがきっかけですね。

――では、配信前から『シャドバ』を競技タイトルとして考えられていたのですね。

大友 はい。リリースの半年前くらいに、秋葉原のeスポーツスクエアで『シャドバ』の体験会があって、個人的に行って遊ばせてもらったらハマってしまったというのもありますが(笑)。

――回を重ねるごとに演出、規模ともに進化しているRAGEですが、RAGE Vol.4では、エイベックス・エンタテインメント(旧エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ、以下、エイベックス)との協業が発表されましたね。

大友 協業とした理由は、大きくふたつあります。ひとつは、エイベックスさんがイベント興行のプロフェッショナルという点です。彼らは10万人、15万人と人を集めて、スポンサー収益やチケット収益でしっかりとマネタイズができ、さらにエンターテイメントを魅せる専門家でもあります。エイベックスさんも、eスポーツをイベント興行の新しい軸として考えていらっしゃったので、タイミング的にもよかったですね。

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▲前回のRAGE Vol.4はベルサール高田馬場が決勝の舞台。決勝大会は全試合が生中継された。

――なるほど。もうひとつの理由とは?

大友 コスト面での理由です。RAGEという大型イベントをやろうとすると、当然ですが多大なコストが発生します。しかし、そこをエイベックスさんと組むと、彼らが持つ機材や会場を調達するルートが使えるようになるので、コスト的なメリットも大きいんです。

――CyberZとエイベックスとで、どのように役割分担をなされているのでしょう?

大友 イベントの企画、コンセプトはいっしょに協議していますが、ゲームのイベントを運営したり大会のルールを作ったり、予選のレギュレーションを決めたりといったところは、我々が担当しています。
エイベックスさんには基本的に興行として会場をどうするのか、キャスティングをどうするか、ステージをどう組むのか、といった運営や全体の設計などをお任せしています。

日本ならではの盛り上げかたでeスポーツをより熱く!

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――RAGE Shadowverse Wonderland Dreamsは、東京ビッグサイトという大舞台ですが、演出面でとくに気を遣っている点や重要視している部分はどこなのでしょうか?

大友 日々試行錯誤をしているのですが、会場に来てくださった皆様が、本当に熱狂して声を出して楽しめるような、そういう演出・企画作りという点を強く意識しています。

――具体的にいうと、どういった施策をとっていらっしゃるのでしょう?

大友 たとえば、スティックバルーンを来場者全員に配ったり、ステージ前に「こういうところで盛り上がっていこう!」という前説をやったりと、とにかくさまざまな工夫をしています。

――私も会場に行かせていただきましたが、声を出して応援している方も多く、非常に盛り上がっていた印象です。いっぽうで、eスポーツという初めての空間に戸惑っている方も少なからずいらっしゃったように感じました。

大友 たしかに、「どこで盛り上がればいいのかわからない」、「どこなら声を上げてもいいのかわからない」と困惑されている方がいるのも事実です。海外ではeスポーツで盛り上がるシーンをよく見ますが、やはり日本人と欧米人では気質の違いもあるので、日本ならではのeスポーツを楽しむ価値を提供できるかどうかが、市場を盛り上げる肝になってくると思います。

――日本ならではの盛り上げかたとして、具体的に実施していることはありますか?

大友 ひとつはVol.4で新設したプレミアムボックスシートですね。

――たしか、20000円という高額な席でしたね。

大友 Vol.4ではテスト的な意味で用意したのですが、すごいスピードで売れました。シートを利用してくださったお客様からも好評でしたね。予選のときにシアター形式のシート席を販売したのですが、一般観覧用の丸テーブルを囲っているお客様のほうが声をあげて盛り上がっていて、その点に着想を得て用意したものです。いまの日本では、このようなスタイルのほうが盛り上がりやすいのだろうと実感しました。

――テーブルを囲む形のほうが感情の共有がしやすいかもしれませんね。ほかにはどういった施策を?

大友 見る楽しさ、遊ぶ楽しさ、その双方を体感できるイベントにすることも重要だと思っています。

――と、言いますと?

大友 海外では見る文化が根付いているので、eスポーツもスポーツ観戦のように集客できますが、日本で同じやりかたは通用しません。見るだけならネット中継で済む話なので、会場でしか得られない体験を提供できるかが大きな要素になります。

――たしかに、会場に行くメリットがイメージしにくい部分はあるかもしれません。

大友 ですから、僕らは社内で「フェスのようなイベントにしたい」という話をします。そういった形でeスポーツを発展させていくことも、日本でeスポーツを盛り上げ、メジャーにしていくためのキーになってくると考えています。

――見るというより、参加するというイメージですか?

大友 はい。メインステージ以外にもサイドイベントを企画して、『シャドバ』ファンも、『シャドバ』をよく知らないという人でも、eスポーツを楽しみ、それがどういうものなのかを体感してもらえる場になるよう、さまざまな工夫をしています。

――eスポーツの楽しみかたという点では、やはりゲームを熟知しているからこそ楽しめる部分が大きいと思うのですが、ライトユーザーへのフォローというは?

大友 そこもいろいろな意見があり、おもしろさをどう伝えるかというのは、本当に工夫が必要だと思います。前回のRAGEでは、ネット中継でカードの説明を入れて、ライトユーザーでも試合の見所がわかりやすいように工夫してみました。ですが、それ以上に、テレビのスポーツ解説のように、対戦として見たときに参考になるような、戦績などのデータもリアルタイムで出して、楽しみの軸を増やすような施策が必要だと思います。

――そういった取り組みはつぎの大会から入ってくるのでしょうか?

大友 詳細はこれから詰めていくところです。ずっと同じことを続けるより、毎回進化させていって「前回よりおもしろくなっている」と感じていただけるような仕組みは用意しておりますので、ぜひ期待していてください。

大会モードの使用とDay1のルール変更について

――今大会からアプリ内の大会モードで予選が行われますが、なぜPCではなくアプリ内のモードを採用したのでしょうか?

大友 今回、そして今後も予選規模を拡大したいくにあたって、どうしても避けられないものがコストと会場のキャパの問題です。PCを使った予選も引き続き行っていきたかったのですが、やはりPCを1000台用意するとなると莫大な費用がかかってしまいますので、サイゲームスさんが用意してくださった、アプリの大会モードを採用するに至りました。

――個人の端末を使うことに関して、チート対策は避けて通れないと思いますが、そこに関してはいかがでしょうか。

大友 実際に大会モードを使わせてもらいましたが、対策は万全だと思います。大会モードは、大会に来た特定の人だけが、その場所、その時間帯でのみ使えるという機能になっていて、チートの問題が起こる可能性はないものと考えています。万一何か起きても、サイゲームスさんが保存しているログを確認し、対応します。

――大会モード以外にも予選大会Day1からスイスドロー形式が採用されていることも変化のひとつですね。

大友 1日中楽しんでほしいという想いでDay1からスイスドローを採用しました。2000~3000人という方に朝早くから会場へ来ていただいて、初戦で負けて帰るとなってしまうともったいないですから。

――そうですね、それはちょっと寂しいですね(笑)。

大友 あとは、より実力者が翌日に残れるようにという配慮もあります。

――たしかにカードの引きという運要素が絡んでくる以上、実力者が不運で負けてしまうということもあるかもしれませんね。

大友 本当の実力者には、しっかり予選を勝ち抜いてもらいたいですからね。今回初めてシード枠を用意したのも、似たような理由からです。僕らもスターを生み出したいという強い気持ちがあるので、これまでファイナリストになった人たちをちゃんとフィーチャーするために、今回からシード枠を用意しました。

――今回は予選会場が東京、大阪の2都市ですが、ほかの地域にまだ世に出ていない猛者がいる可能性も……。

大友 ゲームの拡大とともに、参加選手を増やしていきたいという思いがあるので、どこかのタイミングで、地域を増やしていったり、予選のやりかたを工夫したりといったことは考えていきたいです。

――最終的なRAGEのビジョンとはどんなものなのでしょうか?

大友 さいたまスーパーアリーナでeスポーツイベントを開きたいですね。我々は2018年内には1万人規模のイベントを目指しているので、武道館、両国国技館、幕張メッセと規模を大きくしてって、最終的にはさいたまスーパーアリーナで! そして、3Days開催で3日来場者合計10万人と、そこまで持っていくことができれば、ある意味我々としても、そして日本eスポーツ界としても、ひとつの成功といえるのではないかと考えています。

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――それでは最後に本今大会へエントリーした選手、そして大会を観戦する視聴者の方々へコメントをお願いします。

大友 大会という名目上、エントリーには少なからず勇気がいるかもしれません。ですが、1度来ていただければ、1日充実して楽しめるイベントになっているので、ぜひ気軽にエントリーをしてください。また、大会はスターになれるチャンスでもあります。スキルを磨いて結果を出した方には、僕らは本気で、いままでに経験したことのないチャンスを掴める場を作りますので、野心に溢れた方も大会を楽しみにしていただければと。そして、イベント見ていただける方に関しては、声を大にして言いたいことがひとつ。ぜひ会場に足を運んで下さい! 僕らがいま用意できる会場に来場できる人数は、たかだか数千人です。ですが、そこでしか味わえないおもしろさがありますし、我々も皆様が楽しめるようなものを本気で用意していますので、ぜひ会場にお越しいただき、eスポーツの熱、楽しさを肌で感じていただければと思います。