プロディーラーの本格カジノ体験など、楽しさてんこ盛りの20周年イベント!

 ゲーム開発を中心に、VR事業や映画配給など、さまざまな展開を行っているポリゴンマジックが、2017年2月10日に同社の20周年記念イベント“20th Anniversary ポリマジ大学 オープンキャンパス〜ポリゴンマジック的存続論〜”を開催した。本イベントには、日本を代表する映画監督である押井守氏もセミナーのスペシャルゲストとして登場。本稿では、当日のイベントの模様をお届けする。

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▲会場には、多くの来場者がつめかけ、各種セミナーをはじめ、さまざまな催しを用意し、イベントを楽しんでいた。

 ポリゴンマジックという社名に対して、ファミ通読者には馴染みがない方もいるかもしれないが、同社はコンシューマーゲームからアーケードマシン、ソーシャルゲームなどの企画開発を手がけるデベロッパーとして長年ゲーム業界を支えてきた、縁の下の力持ち的なメーカー。ゲーム以外の分野でも、舞台・映像イベント制作や、映像配給事業など、幅広い展開を行っており、常に楽しくて新しい取り組みを続けてきて、今年で設立20周年を迎えることになる。

 今回催されたイベントは、“20th Anniversary ポリマジ大学 オープンキャンパス〜ポリゴンマジック的存続論〜”として、同社がスキルアップのための社内イベントとして行っている“ポリマジ大学”をオープンキャンパスに見立てて、多くのゲストを招待して行われたものとなっている。

 17時〜18時には、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』や、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』などの先鋭的な作品で、海外の著名監督にも多大な影響を与えた映画監督・押井守氏が登場してのセミナーが行われた。
 世界的に有名な映画監督の講演で、なおかつ参加費無料ということもあって、満員御礼状態のホールに、押井氏が登場。今回の講演でテーマとして掲げられている、“挑戦と開発について”が、氏の口によって語られていった。

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▲今回のイベントのスペシャルゲストとして、セミナーに登壇した映画監督の押井守氏。

 「挑戦と開発というのは、同じように捉えられがちなところもありますが、全然異なるものです。挑戦というのは勝ち負けがハッキリしている、ある種ギャンブルのようなものであって、継続性を持って行うものではありません。開発というのは、日々の生活や仕事の中に常にある、継続させるためのプロジェクトで、お互いに並び立つ物ではないんです」と、持論を展開。
 押井氏はこれまで、仕事をするうえで必ず技術的なテーマを掲げてきているが、それはすべて過去の体験によって身につけたスキルを高めながら継続しているだけで、「世の中では、私は挑戦的な監督だと思われてるようですが、私自身、これまで挑戦してきたことはほとんどありません。私は自分のことを、開発者だと思っているからです。映画は常に発明をくり返しながらここまでやってきているんです。有能な映画監督たちは、そのことをわきまえています。自分のやっているプロセスを理解しているからこそ、効率よくやろうと考えて行動し、その結果を次のプロジェクトに繋げていく。こうやって継続していくことが開発であって、これは仕事をするうえでは誰しもがやっていることなんです」と、開発という行為そのものが、人が日々生きていくうえで、日常的に行っていることであると語っていた。

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▲開口一番、現在は映画の仕事はそれほど忙しくなく、毎日『フォールアウト4』に嵌まっている生活を送っていることを披露。このように人を引きつけるゲームや、おもしろいう映画を作るということは、「優れたお客さんを開発することである」との考えも示していた。

 人生に例えると、恋愛〜結婚は挑戦であると押井氏。これは、恋愛面に関しては、どんなに開発をしても(経験を積んでも)、それが次の恋愛で必ず活かせるとは限らず、ある種の出たとこ勝負のようなものであることから、これ以上ない挑戦と指摘。ただし、結婚後はどのように結婚生活の環境を継続していくのか、日々の経験を糧にしながらよりよい道を模索する、まさに開発であると、実生活の恋愛事情を元に挑戦と開発の違いを説明。
 「映画を作り続けてきて40年。どの局面をとっても、挑戦という言葉は僕の頭の中に浮かんだことはありません。挑戦は誰でもできますが、あまりオススメしません。開発とは、継続するために必要な行為であり、これは仕事のうえでも人生のうえでも必要なことなんです」と、一貫して挑戦と開発という根幹の違いが説明されていった。

 昨年のVR(バーチャルリアリティー)ブームによって、自身のところへさまざまな案件が持ち込まれるとのことだが、本人曰く「仮想現実の本家だと思われて、いろいろな案件が持ち込まれるようになりましたが、それは勘違いです。VRの根本は人間の脳の中に作り出されるものだと思っているので、いま存在しているVRには興味がありません。人間って生まれてからこれまで、VRの中で生きているようなものですし、そもそもこの世界がVRでないなんて保証はどこにもないじゃないですか。僕にしてみれば、布団の中でヘッドホンをしてラジオドラマを聞いて、頭の中で世界を膨らませているほうが、よほどVRなんです。デジタル関係の講演を頼まれることも多いですが、それも困るんです。たまたまデジタル的な世界観をテーマにした映画を作ってきましたが、それは全部妄想のうえで作り出しているだけで、決してデジタルに対して特化した知識や知見があるわけではないんです。ですので、今日ここにこられている人たちは、今後押井にVRの話を持ち込まないでくださいと広めてください」と話し、会場の笑いを誘っていた。

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▲セミナー終了後は、来場者たちとの懇親会に参加し、気さくに来場者たちとの写真撮影や質問に応じる押井氏。人気者だけあって、常に周囲には人だかりができている状態となっていた。

 ポリマジ大学 オープンキャンパスでは、来場時に配布されるチップを使って、ルーレットやブラックジャック、BIG&SMALLなどを楽しめるカジノ体験コーナーを用意。勝負に勝ってチップを大量に獲得できると、金の延べ板や金貨(型のチョコレート)が与えられる大盤振る舞いのサービスも実施されていた。

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▲ディーラーはこのために呼ばれたプロとのことで、それぞれの手さばきは見事なもの。束の間の本格的なカジノ体験に、来場者たちも思い思いに楽しんでいた。
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▲こちらがカジノの勝者に振る舞われていたゴールド(型のチョコレート)の山々。

 会場でひときわ目立っていたのが、“罵倒女子。かわいい女の子に罵倒されよう”のコーナー。これは、同社が販売している人気LINEスタンプ、“女の子が静かに罵倒”を実写化したものとのことで、学校をテーマにしたブースで、目の前にいる女の子に直接罵倒されるという、一部の人にはたまらない魅力的なアクティビティ(?)となっている。参加者は、女の子の持っているメッセージカード(「付き合ってください」や「今度デートしない」など)から一枚を選び、それを大声で伝えると、目の前にいる可愛い女の子から「鏡で自分の顔を見直したら」などといったご褒美(罵倒)の言葉が与えられるといったもの。今回の20周年イベントだけの特別企画とのことだが、今後VRでの展開なども視野に入れてもらえると、非常に盛り上がりそうな、そんな楽しい催しとなっていた。

LINEスタンプ 女の子が静かに罵倒
https://store.line.me/stickershop/product/1034984/ja(⇒こちら)

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▲会場の一角で、ひときわ異彩を放っていたブースがこちら。
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▲右側に立っているのが、罵倒を浴びせかけてくれる女の子。学校の机を挟んで女の子と対峙するというシチュエーションで、罵倒を浴びせかけられるという夢の体験が現実のものに。参加者が男子でも女子でも関係なく、躊躇ない罵倒が浴びせかけられていた。
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▲罵倒された後は、なかよくツーショット撮影タイム。ここでもたついたりしていると、さらなる罵倒が飛び出すというオマケ展開も!
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▲会場に訪れていたコスプレイヤー陣と、罵倒女子(手前のふたり)とで記念撮影。罵倒されてうれし恥ずかし気分を味わえるのはこの日限りと、なんとも惜しい限り。
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▲こちらは会場に用意されていた“ポリゴンマジック”20周年記念ケーキ。会場内では、これ以外にもさまざまな食べ物や飲み物が振る舞われており、セミナーの時間以外でも来場者たちを楽しませていた。

 ポリゴンマジックは、これまでは縁の下の力持ちとしての活動が主で、表だった展開はしてこなかったことが多いが、現在、グループ会社のジープラがLINEと共にスマートフォン向けアプリ『LINE ぷるぽん』を企画・開発・運営するなど、21年目となる今年以降もさまざまな取り組みにチャレンジしていくとのこと。20年の実績ある同社が、これからどのような展開をしていくのか。“罵倒女子”のように奇抜なコンテンツの登場なども含めて、今後の活躍にも注目していきたいところだ。

『LINE ぷるぽん』公式サイト
https://purupom.game.line.me/(⇒こちら)