準決勝から、目を疑うほどに極まった戦いが!
ネクソンが運営するPC用オンラインFPSタイトル『サドンアタック』。2017年1月21日、その公式全国大会“SAJCL 2017 1st Stage”のオフライン決勝大会が、e-sports SQUARE AKIHABARAで開催された。
2007年に日本に登場して以来、10年ほども遊ばれ続けてきた『サドンアタック』。その10年間で新旧のプレイヤーたちによって、いまなお個人技や戦略の進化が続いている。毎年の公式大会を重ねるごとに、参加プレイヤーの実力も上がり続けているタイトルだ。
今回の2017 1st Stageでも、昨年11月からの予選の段階からすさまじい激戦がくり広げられてきた。マップや武器の特性を研究し続け、知り尽くしたプレイヤーどうしの戦いは、まさに神業の連続。建物の反対側から投げたグレネードが直撃、ヘッドショットの連発で瞬きする間にトリプルキル、などということもめずらしくはない。
オンラインでの激戦を勝ち抜いてきたのが、“5secret”“iZoNe”“Zearth”“Lythronax”の4つのクラン。いずれも過去大会でその実力を見せつけてきた強豪ばかりだ。
・準決勝第1試合 Zearth 対 Lythronax
この決勝ステージの最初を飾ったこちらの対戦。LythronaxのKisara選手は今回が最後の舞台になるかも知れないとのことで、チームメイトとしても負けられないところ。対してZearthも、かつてのチームメイトだったLionel選手がいるLythronaxに対して、勝ちを譲りたくないところだろう。
こちらの試合では第1マップの第5補給倉庫での対戦で、いきなりLythronaxのuNiteD選手が魅せる。1on3に追い込まれてからの、まさかの体力を100残したままのトリプルキルで逆転! ほかの2キルもuNiteD選手が達成しているため、まさかの無傷でのオールキル達成だ。緊張しがちなオフライン大会での初戦で飛び出したこの神業に、会場も大きくどよめいた。
スナイパー2名の情報共有も見事なLythronaxが、当初勢いに乗るかと思われたこの対戦。しかしZearthは落ち着いた連携を保ち、数の優位をつねに保って撃破を積み重ね、第1マップを守りの強さで制す。
続いての第2マップでの対戦も、開幕からLythronaxのLionel選手がスモーク越しのヘッドショットを決める妙技を披露。だがZearth側もQueen選手の爆弾解除を囮にした誘い出しや、スナイパーライフルとハンドガン(グロック)の両方での安定したキルが光り、勝ち星を重ねる。
そのまま見事な全体の連携とカバーで、Zearthが延長戦までもつれ込んだ接戦を制し、決勝への進出を決めた。
・準決勝第2試合 iZoNe 対 5secret
続いての第2試合は、久々の公式大会ステージへの復帰を果たしつつも、直前でのメンバー変更に不安が残るというiZoNeと、新鋭5secretの対戦。とはいえ、iZoNe側のサブメンバーからの参戦になったJuic選手は、6年以上活動してきた老舗クラン・Celluloidの元メンバーであり、大ベテランだ。
対する5secretはリーダーJuan選手を中心に、気合いの入った声かけも披露。比較的新鋭のクランとはいえ、その実力も予選でしっかりと見せつけてきている。クランリーダーのJuaN選手は「お帰りなさい。じゃなくて、お帰りくださいです!」と、『サドンアタック』の一時代を築いてきたiZoNeを前にしても、見事な余裕を見せつけた。
注目の第1マップ、第5補給倉庫での対戦は、ベテランらしくラッシュをかけられてもとっさに誘い込み、包囲戦を繰り広げるなど、iZoNeが冷静に立ち回る。それに対し、5secretもJintaek選手の正確無比なグレネードキルをはじめ、非常に速いフットワークでの攻めで食いついていく。
iZoNe側は連携のみならず、Liavely選手の見事なスナイプなどで確実なキルを重ね勝ち星を先に稼いでいくが、5本先取でリーチをかけられたところから、5secretが食い下がって延長戦へ。そのままの勢いで勝利した。
第2マップのクロスポートでは、お互いのラッシュを冷静につぶし合い、iZoNeが1本取り返す。だが第3マップの第3補給倉庫では、5secretが予選でも光っていた勢いのある攻めと、堅い守りの見事な緩急を見せる。Liavely選手の連続4キルなどでiZoNeがつけた勢いも見事にしのぎ、5secretが快勝を収めた。
2017年最初の最強クランは!? 次の大会も間もなく!
決勝戦のカードは、こうしてZearth 対 5secretに決定。改めてマップ抽選が行われ、結果、ドラゴンロード、プロバンス、第3補給倉庫の3マップが選ばれた。
そしてリーダー同士のナイフ戦で決まった各マップでの先攻後攻選択で、5secretは定番の後攻(守りの青チームスタート)ではなく、まさかの先攻を選択。5secretは同マップでのラッシュに自信を持っているうえ、延長戦にもつれこむと有利な青チームになるというこの見事な英断。早くも激戦の気配が高まる。
第1試合のマップは高低差が激しく、何が起こるか、どこで敵に会うかわからないドラゴンロード。過去の大会でも、さまざまなドラマが生まれてきたマップだ。
まずこの対戦のキーマンとなったのは、Zearthのリーダー・King選手。これまでの試合と同じくほぼ毎回ファーストキルを持っていき、チームに数の優位をもたらすこの男を止められるかが、5secretの生命線となっていく。
King選手やQueen選手といった主力を数の優位を生かしてしとめていくことで、ファーストキルを取られやすい不利な展開から食い下がっていく5secret。だがZearth側はグレネードを避けたところに逃げる方向を予測してもう一発グレネードを入れてキルを取るなど、見事な連携を披露。俺もいるぞとばかりのJakk選手のトリプルキルなどで、さらに勢いづく。
最後は延長戦では、Nishizumi選手の誰にも気づかせない裏取りで、Queen選手が1on2にまで追い込まれる。だがQueen選手はここからダブルキルで見事逆転! Zearthに第1マップでの勝利をもたらした。
第2試合は、市街戦となるプロバンスでの戦い。こちらは壁や建物越しのグレネード投擲も可能で、知識や経験、そして爆弾設置後の立ち回りのうまさがものを言うマップだ。
なんとしても得意な第3補給倉庫での決戦に持ち込みたいであろう5secretは、開幕から果敢な攻めを展開し、いきなり0-5のパーフェクト勝利を決めてみせる。
次のラウンドも勝利し、5secretが勢いづいたかに見えたものの、そこからZearthが盛り返していく。Zearthはフラッシュバンを全部使ってでも待ち受けるNishizumi選手を無力化しファーストキルを取るなど、確実に戦局を有利にしていく。3ラウンド連続で取り返し、マップ前半戦を見事3-2で終わらせた。
後半戦の開幕ラウンド、Zearthは建物上からの一連の奇襲を決めてラウンドを取り、さらに勢いづく。だが5secret側も、今日これまでの試合でもグレネードが冴えわたってきたNishizumi選手が、グレネードダブルキルを決めたところから流れを取り返し、見事な爆弾設置後の粘りも見せ、4-4まで追いついてみせる。
だが、相変わらずのファーストキル率を誇るKing選手を筆頭に、ファーストキルで人数差を作っていくZearthの守りは非常に堅い。それでもNishizumi選手をはじめ、連続キルを要所で決めていった5secretの粘り強さもすさまじかった。試合は5-5からの延長戦、このラウンドを取った方がマップ勝利というところまでもつれ込む。
延長戦では開幕、King選手がこれまで通りの役目を果たし、Nishizumi選手をファーストキルで撃破。そこからZearthはJakk選手のグレネードキルから遭遇戦の撃ち合いと、すべて完璧な流れで5secret側を制圧。5secretに第3マップでの優位を譲る前に、2本ストレート先取で優勝を決めてみせた。
こうして2017年最初の公式大会で、前々回大会以来の優勝を果たしたZearth。初のオフライン大会参加となるメンバーも多かった中、各選手ともに素晴らしい仕上がりを見せてくれた。
さらに今大会のMVPの座は、同ZearthのKing選手に与えられた。各試合でのファーストキルでチームを勝利に導いたその牽引力を見れば、納得の受賞だ。
ステージ上のほとんどの試合が延長戦にまでもつれ込むという、2017年最初から熱い戦いが繰り広げられたSAJCL 2017 1st Stage。
さらに運営チームの竹本氏からは、2nd Stageの参加募集が2月中、早ければ上旬~中旬から開始されるという告知が! 2017年最初の最強クランが決まったばかりだが、休んでいるヒマはなさそうだ。
竹本氏からは「長年プレイヤーとしても『サドンアタック』を見てきましたが、年々参加チームのチーム力、連携力が上がってきていると思います」とのコメントも。このコメント通り、今回の試合はまさに『サドンアタック』の集大成ともいえるハイレベルな対戦ばかりだった。
だが竹本氏さらにいわく、「次回さらにいい連携が見られるのを楽しみにしています!」とのこと。たしかに今回の大会を見るに、プレイヤー各位のスキルや連携はさらに磨かれいていた。『サドンアタック』プレイヤーたちの成長は、まだまだ留まるところを知らない。
次の2nd Stage、さらにその先の大会と、プレイヤースキルや連携も進化していくであろう『サドンアタック』の大会。ぜひ今後も注目していただきたい!