歴史の長いMMORPGが目指す道とは

 2002年12月に国内でサービスを開始し、オンラインゲーム黎明期から業界を支えてきたPC用MMORPG『ラグナロクオンライン』(以下、RO)は、2017年12月には15周年を迎える! 「生まれたばかりの子どもが義務教育を終えるまで」と言われると、この期間がどれだけ長いかがわかるだろう。

 今回はそれほど長い期間に渡って大勢のプレイヤーに愛され続けている『RO』の運営を行うキーパーソン3人、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの中村聡伸氏、長澤誠吾氏、山本兼寛氏にお話を伺った。

 15周年を迎える2017年は、大小様々なアップデートを行い、プレイヤーを大いに楽しませてくれる準備があるようだ。プレイヤーのみなさんはもちろん、MMORPGに興味のあるすべての読者に読んでいただきたいインタビューです!

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▲左から、運営チームの中村聡伸氏、長澤誠吾氏、山本兼寛氏(文中ではそれぞれ中村、長澤、山本)。

2016年の『RO』の目標は「原点回帰」。2017年は「本当のMMORPGらしさ」を追求する

――さて、今回は『RO』が15周年を迎えるということで取材にやってまいりました。

中村 15周年を迎えるのは2017年12月なので、まだ準備中ですけどね!(笑)

――そうですけど、すでに予定や計画は進めていると思います。今年の展開についていろいろお聞かせください。

中村 はい、もちろんです。今年は2016年以上に『RO』が盛り上がる年になりそうです。でもその前に、2016年はどんな取り組みをしてきたのかを説明してからのほうが理解していただきやすいので、少し2016年を振り返ってみますね。

――よろしくお願いします。

中村 2016年は『RO』の原点を再アピールする年にしていました。アップデートでは、おもに『RO』を長く親しんでくださったプレイヤーさんの琴線に触れるような取り組みをしてきたんです。また、それにともなって、新規に始めた方でもすぐにレベルアップでき、最新のコンテンツに触れられるような遊びやすいゲームを目指しました。遊びやすく、なおかつ『RO』らしさを体験できるようにしたんです。
 具体的なアップデートの内容は、2016年5月に新職業“リベリオン”を実装しました。このキャラクターはステータスの割り振りかたによって、プレイヤーひとりひとりが違ったカタチのリベリオンを楽しめるように実現しました。

――リベリオンの反響はいかがでしたか?

中村 とても大きかったです。『RO』は1アカウントで12キャラクターを作れるのですが、2016年の集計を取ってみたら、全キャラをリベリオンで埋め尽くしているプレイヤーさんが、なんと27名もいらっしゃいました。1アカウントでさまざまなリベリオンを作って楽しんでくださってるんです。

――それはおもしろい遊びかたですね。

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▲5種類の銃を使うガンスリンガーの上位職として登場したリベリオン。

中村 そして2016年後半のアップデートでは、『RO』の楽しみのひとつである「フィールドでの狩りのおもしろさ」を再認識していただきたくて、マップ“侵攻されたプロンテラ”や“プロンテラ地下監獄”を実装しました。

――インスタンス系のダンジョンもいいですけど、やはりMMORPGはほかのプレイヤーといっしょに遊ぶフィールドの狩りも楽しいです!

中村 ですよね。2016年はこのような取り組みを進めてきて、目標だった『RO』の原点回帰を達成できたと思っています。

――なるほど。2016年を大成功させたうえで、2017年の『RO』はどうなっていくのでしょうか?

中村 今年は「本当のMMORPGらしさ」に迫っていきます。かつてMMORPGが発明されて大勢のプレイヤーが虜になったときのムーブメントを、もう一度起こしてみたいんです。それが2017年の最終目標です。

――『RO』は歴史の長いゲームなので、プレイヤーによって格差があると思います。そうなると同じフィールドで遊ぶのは難しいのでは?

長澤 数年前の『RO』は確かにそうでした。なので、この数年間、我々はキャラクターを育てやすい環境づくりに注力してきました。

――どのような方法でしょうか?

長澤 各レベル帯で遊びやすい“メモリアルダンジョン”の調整を強化し、得られる経験値の最低保証ラインを設けたんです。現在、戦えるメモリアルダンジョンは32個あります。プレイヤーのみなさんは自分のキャラクターに応じた場所で、自分のペースでキャラを育成できます。その結果、現状はLv165がキャラクターレベルの上限なのですが、ログインIDの約半数がレベルマックスのキャラクターを所有しています。

――プレイヤーごとの格差を縮めることに成功したのですね。

長澤 はい、成功したと考えています。キャラクターを育成しやすい環境が整ったので、つぎに我々が取り組まなければならないのは「遊びかたの提案」です。

中村 何人ものプレイヤーさんが手塩にかけて育成したキャラクターを持ち寄って集まったとき、「さぁ何をしようか?」というのがMMORPGの楽しいところだと思うんですよ。このときに、我々が楽しいモノを提供できればいいなと思っています。

山本 『RO』は15年ほど前からあるゲームですが、新規のプレイヤーさんもたくさんいらっしゃいます。ここ数年はお手軽なゲームが流行っていたので、新規のプレイヤーさんは「本当のMMORPGらしさ」を知りません。15年も前のことなので当然ですよね。この現状を踏まえて、我々は「2017年に提案するMMORPGらしさ」とは何なのかを考えました。

――現在のユーザー層は、どのようになっていますか?

長澤 ワールド(サーバー)によってまちまちですが、あるワールドは若い方がとても多いです。ですので、15年前に流行した「MMORPGらしさ」は知らないと思います。

山本 『RO』は長年運営しているタイトルだけあって、ワールドごとに文化の違いがあっておもしろいです。たとえば一番新しいBreidablikワールドでは、新規プレイヤーさんと過去にほかのワールドでプレイされたことがある復帰組のプレイヤーさんが入り乱れています。復帰組のプレイヤーさんたちが、15年前によく見たような「MMORPGっぽい遊びかた」を、若いプレイヤーさんたちに教えているんです。『RO』のプレイ年数上の老若男女がワイワイ集って遊んでいる光景は、15年の歴史がある『RO』ならではだと思います。

中村 ダンジョンの攻略もいいですけど、何となくフィールドをふらふらして、そのへんにいるちょっと強いモンスターを大勢でボコボコ倒すのは楽しいですよ(笑)。

――まさに「MMORPGっぽい遊びかた」ですね!

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▲前回の取材時に撮影したスクリーンショット。トレイン(ピンチになって逃げたら、ほかのモンスターがリンクして追いかけられている状態)なんて久しぶりだ。

2017年の『RO』はこうなる! 2月予定の大型メモリアルダンジョン“夢幻の迷宮”は遊び応えたっぷり!

――では、本題です。2017年の『RO』はどのようなアップデートを予定していますか?

長澤 2017年のテーマは3つあります。ひとつ目のテーマは「現状の問題点の解決」です。具体的にはワールドごとの人口に差があるので、アイテムの流通数が変わってしまったり、「GvG(ギルド戦)」が遊びにくいのが問題です。
 ふたつ目のテーマは「MMORPGとしてのおもしろさの追求」です。これは先程説明させていただきました、大人数で遊べる環境造りです。
 最後に3つ目のテーマは、好評いただいている“季節系イベント”などを、2017年も減らさずに実装していくことです。

――かなりボリュームたっぷりですね。ひとつずつ解説していただけますか?

中村 2月早々に大型メモリアルダンジョン“夢幻の迷宮”を実装します。これは最高レベル(BaseLv165)に達したキャラクターしか入れないダンジョンです。わかりやすく言えば、過去に実装した“エンドレスタワー”の上位版のような感じです。

――“夢幻の迷宮”ならではの特徴はありますか?

中村 いちばんのウリは、ランダムオプション対応武器“ディーヴァシリーズ”がたくさん出るところです。
 ランダムオプションとは、基本性能に加えてランダムで追加性能が付与されるアイテムのことです。属性がついたりステータスが上がったりするのですが、それらの種類や数値がランダムなんです。しかも鑑定するまでどんなオプションがついているかわかりません。一回の攻略で10~30個単位でドバドバ出てきます。しかも武器は全職業用が揃っています。

――それはスゴい! アイテム探しが楽しそうです。

中村 レアアイテムを見つける楽しさを味わえますね。さらにダンジョンは通常のものと、持ち込めるアイテムに制限のあるダンジョンの2種類を用意します。後者の高難度ダンジョンは、特定のアイテムのみ持ち込めるという厳しい条件でクリアーを目指していただきます。こちらでは“ミラージュシリーズ”という武器が出ます。

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長澤 まずはディーヴァシリーズを集めていただいて、もっと攻略したい方にはミラージュシリーズに挑戦していただきたいです。また、このダンジョンはプレイヤーのみなさんにキャラクターをLv165まで上げる目標にもしていただきたいんです。

中村 階層が深いので、一度で攻略するのはとても難しいと思います。コンティニューみたいな機能もありますから、これを活用して攻略方法を編み出していただいて、制限時間内にできるだけ多くのアイテムを獲得してもらえれば。

――もしも途中でリタイアしてしまったら?

中村 ご心配なく! このダンジョンは道中でも武器類がたくさん出てきます。5階層ごとにボスが出現して、倒せばドバッと出てきます。また、たまにメッセージが流れて、“迷宮の宝箱”が登場します。ここからもレアアイテムが出てくるチャンスがあります。

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――やはりボスは強敵でしょうか?

中村 いろいろなボスがいますが、通常のフィールドにいるボスも登場しますから、装備に挿せるカードが手に入る可能性もあります。レベルがカンストした人が楽しむためのコンテンツと言えますね。

――このダンジョンは何人でのプレイを想定してデザインしていますか?

山本 やはり最大パーティーの12人は集めたほうがいいです。それでも難しいかもしれません。

中村 8人規模でのテストプレイもやりましたが、攻略方法を知っている状態でやったのに、最上階に行くまでに何度かコンティニューしましたからね。

山本 途中まではどなたでも行けるようになってますが、そこから先が二次関数的にグーンと難しくなってきます。エンドレスタワーの場合は12人のうち数人が強ければ引っ張って行ってもらえましたが、今回のダンジョンは全員が協力して戦わないと厳しいです。

中村 しかもこのダンジョンは、チャレンジするたびに若干変化するんです。上手く装備を整えて挑戦しなければならないので、かなりやりがいの感じられるダンジョンになっていると思います。

山本 モンスターを見て瞬時に武器を持ち替える必要があったり、『RO』の知識がかなり必要になると思います。もしもまだキャラクターがカンストしていない人は、夢幻の迷宮に合わせて育成しておいてくださると嬉しいです。

中村 友だちと一緒にレアアイテムを集める「MMORPGらしい楽しみ」を、みなさんに感じていただきたいです。また、ランダムオプションのシステムはこのイベントダンジョンだけではもったいないので、今後は通常のフィールドにも順次導入したいです。

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フィールドのモンスター配置を変換して、リアルタイムに情報公開

――ダンジョン以外のアップデートはありますか?

長澤 2月以降になる予定ですが、狩り場に配置変更と経験値調整を行う予定です。メモリアルダンジョンが実装されてから、おもな狩り場はダンジョンになったのですが、入れるタイミングに制限があります。ですので、フラッと出かけていつでも狩りができる狩り場の調整を行いまして、フィールドの活性化を図るのが目的です。

中村 このアップデートにつきましては、配置変更の情報をリアルタイムに提供できるように、「モンスターサーチ」のようなサイトを用意しようかと考えています。戦いたいモンスター名を入れると、その情報を引き出せたりとか。「今日は武器がほしいからココに行こう」とか、「明日はあっちに行ってみよう!」とか、広大な世界を冒険する楽しさが生まれてきます。

――それもMMORPGらしい遊びかただと思います!

長澤 さらにフィールドでは、先ほど申し上げたランダムオプションつきのアイテムも入手できるようにする予定です。たくさんモンスターを狩って、いいアイテムを手に入れる冒険をしてほしいです。

――オプションがランダムだと、高性能な武器が出るまで狩り続ける人が増えそうですね。

長澤 一般的な方は少しでも強い武器がほしいと思うのが心情ですよね? でも、そうなるとオプションの数値が低いアイテムは、拾ってもすぐに捨ててしまいます。これではもったいない!

――そうですよね。せっかく手に入れたのに……。

長澤 ですので、単なるハズレアイテムではなく、何らかの素材として使えるとか、捨てずに有効活用できる方法を検討しています。現在の機能では不可能なので、開発元のGravityさんといっしょに考えています。どんなアイテムにも価値を持たせたいんですよ。

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2017年夏頃に好評のダンジョンと“称号システム”を実装予定

――狩り場の配置変更のつぎのご予定は?

中村 高レベルキャラクター向けに、過去2回やっている“深淵の回廊”ダンジョンの第3弾を実装予定です。時期は夏頃。

――どのようなダンジョンでしょうか?

中村 過去に実装したときのデータを見ると、深淵の回廊はハイレベルのキャラクターだけでなくBaseLv90~120くらいの方々がアイテムを集めながら育成を行う用途にも使われていました。幅広いレベル帯に遊んでいただけているので、我々が掲げた2017年のコンセプトと合っているので、夏前に実装させていただきます。

長澤 さらに、深淵の回廊の前後どちらになるかわかりませんが、近いタイミングで“業績・称号システム”の実装も予定中です。

――業績と称号とは?

長澤 簡単に言うと、“トロフィーシステム”です。NPCから受けるクエストとは違って、たとえば「○○を何匹倒せ」とか、定められた条件を達成すると称号とアイテムがもらえます。業績と称号は、順次種類を増やせるように開発しています。

中村 『RO』はいろんな遊びかたができるので、やり込み要素の指針にしてほしいんです。

長澤 ゲットした称号は、名前の上に表示できるようになったら、ちょっと自慢になるじゃないですか?

――いいですね! 「オレは○○を100匹倒したんだぜ」とか自慢したい。

中村 それこそまさに、MMORPGらしい遊びかただと思います。大勢の人がいるなかで、他人とは違う「自分らしさ」を演出したい。それを考えるのも、MMORPGの楽しさのひとつです。

長澤 ユーザーさんの意見を聞くと、ニッチな遊びかたにこだわりを持っている方が意外と多いんです。それこそ先程申し上げた「キャラクターをリベリオンで埋め尽くす」なんて遊び方も、同じだと思います。
 『RO』はRPGなのでどうしても戦闘系のコンテンツが注目されがちですが、プレイヤーの中にはまったりと楽しみたい人もいます。ひたすらアイテムを集めるのが好きな人もいます。そういう人たちは、戦闘メインの人たちとは異なる称号がもらえるようにしたい。

山本 「たくさんの称号を集めたい」というプレーヤーさんも登場するかもしれませんね。達成の難しい称号ほど、必死になって目標にしてもらえるかもしれません。

中村 「回復アイテムを通算何万個買った」とか、おもしろいかもね。作ってみる?

一同 (笑)。

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▲こちらのぬいぐるみはプレイヤーさんのお手製だそうです。

ついにレベル上限が解放! 今度はLv175まで育成可能に!!

長澤 2017年は長らく止まっていたレベル上限の解放も予定しています。前回上限を解放したのは2014年3月です。それから3年が経ちましたので、夏前にはLv175まで解放したいです。

――3年ぶりに上限解放する理由は?

長澤 前回は“150→165”に上限を上げて、同じタイミングで新スキルを実装しました。ですので、新しいスキルを使いたい人が、Lv165を目指して遊んでくださったんです。

――ということは、夏のLv175のときも新スキルが追加されるのでしょうか?

長澤 韓国では新スキルがなかったため、ほかの要素で考えています。楽しみにしていただきたいです。ですが、これだけは言えます。レベルを上げるモチベーションになるような、何らかのご褒美を提供します。

山本 じつは単純にレベル上限を解放するだけだったら、それほど難しいことではないんです。でも、ただ上限を解放するだけでは遊びの幅が広がらない。レベル上限の解放は、キャラクターを育成したくなるような「楽しみ」をご用意できた段階で解放すべきだと我々は考えています。いま予定している夏前は、その準備が整うタイミングなのです。

夏頃に“Espisode 16.2 TERRA GLORIA(仮)”を実装予定

長澤 夏頃には新エピソード“TERRA GLORIA(仮)”の実装を予定しています。これは2016年11月に実装した“七王家とユミルの心臓”の続編です。メモリーレコードから七王家まで1年半お待たせしてしまったので、今回は早めにアップデートを実施します。

――どのようなお話になりますか?

長澤 ネタバレになってしまうので、まだ詳しくは言えないのですが、概要だけはお話ししますね。七王家のエピソードでは、ルーンミッドガッツ王国の王様を決めるときに謎の襲撃犯に妨害されました。あの襲撃犯を探すためにシュバルツバルド共和国に調査に向かうのですが、そのなかでリベリオンが登場します。襲撃犯とリベリオンと、共和国の大統領に関わりがある秘密の羽の三つ巴の戦いに巻き込まれていく……といった感じです。

――夏頃ということは、夏休み期間にガッツリ遊べるタイミングでしょうか?

長澤 そうですね。それくらいの時期にはプレイしていただける予定です。

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――いままで伺った情報で、2017年はかなりのボリュームですね。夏以降の予定も決まっていますか?

長澤 秋頃になると思いますが、アメリカをテーマにしたマップ“ROCKRIDGE”を実装します。西部劇の舞台のような、荒野をモチーフにしたマップです。ゴールドラッシュ時代の、古きよき西部アメリカといったイメージです。サボテンやバッファローのようなキャラクターが登場しますので、変わった雰囲気を味わえると思いますよ。

――画像を拝見すると、本当に西部劇のようですね。どんなマップなのか気になります!

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長澤 以上が2017年の大まかなアップデート情報となりますが、最後にひとつ、まったく新しい種族“ドラム族”を実装します。

――お! 猫みたいなかわいいキャラクターですね。

長澤 まだコンセプトが完全には固まっていないため調整前なんです。詳細が決まりましたら情報を公開します。

――新種族ということは人間ではない? 職業とは別の概念ということですよね。

山本 いまはキャラクターを作成するとき、男性と女性を選べるのですが、その項目の前に“ドラム族・人間”という選択肢が増えます。

中村 もちろん多くの方に遊んでいただきたい種族なので、確定しましたらすぐに情報を出します。

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2017年の重要課題、ワールドごとの人口差を縮める施策は?

――冒頭で仰っていた“ワールドごとの人口差”を縮める取り組みについて聞かせてください。

長澤 もちろん、いままでも怠っていたわけではありません。過去にワールド間移動ができる“ワールドエクスチェンジ”というサービスを実施しましたが、どうしてもデータの移動に時間がかかるので先着制でした。定期メンテナンス中にこなせる数に限りがあったからです。

――では、ワールドの統合は?

長澤 仮にふたつのワールドをひとつに統合するとなると、データが倍近くになるので、サーバーの負荷も高くなってしまいます。さらにワールドごとに文化が異なるので、プレイヤーさんのなかには別のワールドと統合されるのをこころよく思わない方もいます。

――それは大きな問題ですね。せっかくの楽しい環境が崩れてしまう可能性がある……と?

長澤 我々としても、ユーザーさんの環境はなるべく守り続けていきたいと考えています。ですので、ワールドを統合する以外の方法を企画しています。

――では、どうやって人口差を縮めるのでしょうか?

山本 現在企画中なのですが、それぞれのワールドをつなぐ“ロビーサーバー”のようなものを用意したいと考えています。そして、GvGのような大勢が集まる必要のあるコンテンツを楽しむときだけ、ロビー経由で参加してもらおうとしています。そうすれば、ふだん生活しているワールドはそのままで、大勢と遊ぶときだけワールドを飛び出して参加すればいいんです。

長澤 やはりMMORPGはプレイヤーさんが集まって楽しむゲームです。我々もワールドの雰囲気を崩さないまま、ロビーのようなものを用意して人が集まれる環境を作っていきたい。こちらは具体的な日程は言えませんが、2017年の重要課題として取り組んでいます。

中村 アップデートやサーバー環境など、2017年はいままで以上に遊びやすいMMORPGになるように進めていますのでご期待ください。

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▲今回のアップデート情報のまとめです。