それなりに重いが直接背負えるのは魅力

 PC用VRヘッドマウントディスプレイHTC Viveは、“ルームスケール”と呼ばれる、部屋サイズの広いプレイ空間を自由に動けるVR体験を実現している。そこで現状の課題となっているのが、その自由と比較すると母艦となるPCからViveに伸びるケーブル類の制約を受けるということ。

 というわけでViveを無線化して、より思うがままにルームスケールの恩恵を受けようという試みが内外問わずにあり、公式にTPCastと呼ばれる無線化キットも登場予定だ。それに対してCES会場で「せっかく低遅延や高画質を目指しているのに、無線化で映像クオリティが落ちたら意味なくない?」と主張し、別の解決策を提案していたのが、Vive用バックパックPC“XMG WALKER” だ。要はゲーミングPCを背負ってしまえば足元にケーブルを伸ばす必要がないという力技をそのまま製品にした形である。

VRを無理に無線化するよりPCを背負えばいいじゃない。力技系なVR用バックパックPC“XMG Walker”【CES 2017】_01
▲この通り、デモ中の男性からケーブルは一切出ていない(ただし完全に単独で成立しているわけではなく、当然ブース端にViveのトラッキングのためのベースステーションが置かれている)。

 XMG WALKERはCPUにCore i7-6700HQを、GPUにGeForce GTX 1070を搭載。リチウムイオンバッテリー2個を電源に動作し、90分程度のプレイタイムを実現するという。重量は3.8キログラム程度と、やっぱりそれなりには重く、ごつめのゲーミングラップトップをバックパックに入れて背負うのとほぼ変わらないが、最初から背負って使う前提で作られていることや、バッテリーを1個ずつ引き出して交換できるといった本製品ならではのメリットもある。価格は構成によって異なり、基本構成で2999ユーロ(日本円で約37万円)からとなっている。

VRを無理に無線化するよりPCを背負えばいいじゃない。力技系なVR用バックパックPC“XMG Walker”【CES 2017】_02
▲公式サイトの写真はなぜか腕まくりしていてすごい気合を感じる(あとNVIDIA感もする)。

 なお、Vive用というのは本当で、同じ形式のPC用VRヘッドマウントディスプレイなら問題はないが、形式が異なるOculus Riftの場合、PCから繋がった外部センサーで位置検出する必要があるので、XMG WALKERを使っても歩き回れないばかりか、通常のプレイ環境よりもさらにケーブルの制約をうけることになってしまうのであしからず。