お帰りフランクさん!

 2016年12月8日、日本マイクロソフトよりXbox One用ソフト『Dead Rising 4』が発売された。その発売を記念してインプレッションをお届けしよう。なお、『Dead Rising 4』は本日(12月8日)Windows 10版もWindows Storeにて発売を開始した。

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『Dead Rising 4』インプレッション 史上最強のジャーナリスト、フランク・ウェストがまたも暴れる!_01

 まずは、『デッドライジング』シリーズを軽くおさらい。初代『デッドライジング』は、2006年9月28日にカプコンよりリリースされた、Xbox 360用ソフト。ゲームジャンルは“ゾンビパラダイスアクション”で、その名の通りゾンビで埋もれるショッピングモールにて、ジャーナリストであるフランク・ウェストがサバイバルをくり広げる、といった内容だ。

 その完成度から続編が作成され、2010年9月30日に『デッドライジング2』、2014年9月4日に『デッドライジング3』がリリースされた。主人公はそれぞれ異なるが、世界観はシリーズで共通しており、過去作をプレイしていればニヤリとできる。またこれら本編以外にも、初代をWiiに移植した『デッドライジング ゾンビのいけにえ』、『デッドライジング2』の世界にフランクさんがいたらどうなったか、というifのストーリーが展開される『デッドライジング2 オフ・ザ・レコード』、さらにはスマホ版『デッドライジング・モバイル』など、関連作品も多くリリースされている。

 というわけで最新作の『Dead Rising 4』だが、本作の舞台は初代と同じコロラド州のウィラメッテ。初代から16年後、再びゾンビアウトブレイクが発生。その陰謀を探るべく、我らがフランク・ウェストが、またもや悪夢と化したウィラメッテへ足を踏み入れるのだ。

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▲我らがフランクさんがついに帰ってきた! 再び地獄と化したウィラメッテで、またもや大いに暴れ回る。

 まずは、システムから見ていこう。基本は三人称視点のアクションゲームで、広大なウィラメッテの街を探索し、ゾンビアウトブレイク事件の真相を解明することが目的。先ほど述べたように、舞台は初代と同じウィラメッテだが、マップは完全に新規で作成されている。さらに、舞台はショッピングモールに留まらず、その周囲の都市部も含まれているため、屋内だけでなく野外での戦闘も楽しめる。前作『デッドライジング3』と同様に、クルマに乗ってのバトルもバッチリ用意されている。

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▲52歳となって渋さに磨きがかかったフランクさん。やっぱりカッチョイイぜ! ちなみに本作では、ボイスも日本語で収録されている。
▲フランクの教え子であるヴィック・チューに騙されて、ウィラメッテの軍事施設へ潜入。そこではゾンビを用いた人体実験が行われていた。ここから物語は大きく動き出す!

 バトルシステムも基本部分はシリーズを引き継いでいる。本作ではレンチや2×4(角材)など、街のその辺で入手できるアイテムがそのまま武器として使用可能。チェーンソーやナイフなどいかにも効果的と思えるものから、バッテリーや液晶テレビなど“とりあえず殴る”系までバラエティーに富んでおり、なんか変な武器で戦うシュールさも楽しめる。基本テーマはシリアスながら、要所要所にコメディー要素が散りばめられているのも、本シリーズの伝統的な魅力だ。

 ただし、武器システムの使い勝手は、前作から大きく変化した。本作では、遠距離武器、近接武器、投てき武器の3種類が同時に装備できるよう改良。切り替えもカンタンで、たとえばLTとRTボタンで遠距離攻撃を行い、敵が近づいてきたらそのままXボタンを押せば、近接武器で攻撃可能。とくに切り替えを意識せずに武器を使い分けることが可能なわけだ。

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▲目に付いた物はなんでも武器として使えるのが本シリーズの大きな魅力。ベースギターでブン殴れ!
▲近接武器だけでなく、クロスボウやマシンガンなどの遠距離武器も使用可能。ちなみにクロスボウと爆発系アイテムを組み合わせて作れる“フレームボウ”が使いやすく、個人的にお気に入り。

 また同カテゴリーの武器を切り換えるときは、方向パッドを長押しするとサークルメニューが開くので、そこで使用武器を選択できる。ちなみに回復アイテムもひとつのカテゴリーとしてまとめられており、こちらは方向パッドの下を押すだけで使用可能。以上のように操作性が向上しており、よりストレスなくゾンビとの戦いに集中できるわけだ。

 また、ふたつの武器を組み合わせて新たな武器を生み出す“コンボ武器”システムも健在。加えて本作では、片方のアイテムを所持していれば、もう片方のアイテムが地面に落ちている状態でも作成できるため、とても作りやすくなった。

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▲コンボは武器だけでなく、車両にも存在。さらに変なクルマを生み出して、ウィラメッテを爆走しよう!

 主人公の成長要素も楽しいポイント。本作では、ミッションをクリアーしたり、敵を倒すとPPという経験値を獲得できる。一定まで溜まると主人公のレベルが上昇し、スキルポイントを得られる。このポイントを割り振ってスキルを獲得し、主人公を強化していく、という仕組みだ。

 スキルは乱闘、忍耐力、射撃、サバイバルの4カテゴリーに分けられており、ツリー形式で下位から順に覚えていくスタイル。ただし、一定以上のレベルに達していないと覚えられないものも存在する。その効果はHPやスタミナの上昇、武器の耐久力上昇など戦闘系のものから、アイテムの所持数を増やす、獲得PPのアップなど探索や冒険に役立つものまでさまざま。いずれも自分で割り振って習得するため、自分好みのスタイルで成長させられるのが嬉しいポイントだ。

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▲主人公の成長要素も本作の魅力のひとつ。レベルはけっこう上がりやすいので、すぐに強化を実感できる。

 主人公のフランクはジャーナリストということで、カメラ機能も復活。しかも、通常の写真に加えて、暗視カメラ、通常では見えないものも発見できるスペクトラム アナライザーというふたつの新機能も搭載されている。

 スペクトラム アナライザーは、たとえばキーパッドの写真を撮影すると、指紋が付いている場所が見える。ここから正しい暗証番号が判明し、先へ進める、といった仕組みだ。このように、この機能を活用する謎解きも用意されており、よりジャーナリスト気分で事件に立ち向かえる。

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▲スペクトラム アナライザーを使えば、通常では見えないものも発見できる。メインストーリーでは、この機能を利用して証拠を見つける謎解き要素も。

 もちろん、通常の撮影も楽しい。本作では撮影した写真がポイントで評価され、ゾンビが大量にいる場所やレアな人物など、貴重な場面や被写体をフレームに収められればより高いポイントを獲得できる。単純にパシャパシャ写真を撮影するのはおもしろく、つい決定的瞬間を収めたくなること請け合い。とくにボス戦では、とりあえずボスの写真を撮影しようとカメラを構え、ボスに先制攻撃を許してしまう、なんてこともしばしばだ。特定のテーマで一定以上の写真を撮影する、といったチャレンジも用意されており、達成すればボーナス経験値をゲットできる要素も嬉しい。

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▲何かと楽しい写真撮影。ちなみに自撮りも可能だ。ゾンビを背後からステルスキルすると、自撮りしたあとで倒すというおちゃらけ要素も。
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 もうひとつ、見逃せない新要素が“EXO(エキゾ) スーツ”。これはマップでたまに発見できるパワーアーマーのようなもので、装着すると主人公が猛烈に強化される。通常では持てないミニガンや火炎放射器、巨大な看板などの大型武器も使えるようになり、ゾンビの大軍を文字通り蹴散らしていける。

 さらに、このスーツを装着した状態で特別なアイテムを調べると、スーツ自体をさらにパワーアップさせられる。周囲に強力な冷風を巻き起こしてゾンビを凍らせるなど、さらに暴れ回ることが可能だ。

 という感じで超強力なアイテムのEXO スーツだが、使用できる時間は約2分間と短いのが欠点。設置されている場所を覚えておくなど、上手に使うにはちょっとコツが必要だ。

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▲見た目通りの強力な性能を誇るEXO スーツ。使用には制限時間があるが、一部のイベントではずっと着続けて戦うことができるのが嬉しい。このスーツを着た敵も登場する。
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▲EXO スーツを身につけた状態でスムージーの機械のようなアイテムを調べると、アイス属性がパワーアップ。超強力な冷気を吹き出し、大量のゾンビを凍らせることができる。

探索要素も見逃せない!

 続いて、舞台となる街で行える要素を見ていこう。基本は各所で発生するストーリーがらみのイベントをこなしていくことになるが、それ以外にマップを探索する楽しみも用意されている。ひとつは、各エリアにあるシェルターだ。これは前作でのセーフ ゾーン、いわゆる拠点に相当するもの。この建物からゾンビを一掃すると、以後安全な場所として活用できる。新たなエリアにたどり着いたら、真っ先に行いたい要素のひとつ。

 シェルターは前作から大きく強化された。本作では通貨の概念が新たに加えられており、シェルターに現れる商人から、食料や武器、車両などを購入できる。個人的に気に入ったのは、ここで地図も購入できること。基本的なマップは最初から所持しているが、地図を購入すると、収集アイテムや後述するコンボ武器の設計図など、入手できるアイテムがマップ上に表示されるようになる。前作では最初から表示されていたので若干面倒にはなったのだが、少しずつゲームを進めている感覚を味わえて、個人的には嬉しい変更点だ。

[2016年12月8日午前11時15分]一部誤字を修正させていただきました。

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▲拠点といえるシェルター。ここにいる商人から、武器や食料、コスチュームなどが購入できる。前作では一度入手した武器を何度でもゲットできるロッカーがあったが、便利すぎたせいか残念ながらなくなってしまった。

 またシェルター絡みでもうひとつ。本作では、マップ上で一般市民が助けを求めるというランダムイベントが発生するが、彼らを救出するごとにシェルターのレベルが上昇し、ショップの品揃えが充実していく。シェルターを少しずつ強化していくという成長要素も楽しめるワケだ。生存者の救出は大量の経験値を獲得できるばかりか、ショップを強化するメリットもあるため、積極的に人助けを行っていきたい。

 もちろん、探索自体もおもしろい。先ほどの収集アイテムを集めるほか、今回は訪れた家や店の名前がマップに表示されるようになった。加えて、初めて訪れたときは経験値が得られるため、探索ついでに経験値稼ぎ、なんてプレイスタイルも可能だ。

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▲マップでは捕らわれた一般人を助け出すランダムイベントが発生。救助すると経験値を獲得でき、商人の品揃えも強化されていく。
▲コンボ武器の設計図を発見! だがキャビネットには鍵がかけられている。このような謎解きも、たくさん用意されている。

 さらに、マップにはパニックルームという謎解き要素も存在している。これはいわゆる隠し部屋で、部屋の壁にあるキーパッドを操作することで、隠し部屋を発見することができる。ただし、解錠にはどこかに隠された鍵が必要だったり、そもそもキーパッド自体が隠されているなど、難度はけっこう高め。だが、少量のヒントからアイテムを見つけ出すことがおもしろく、メインストーリーを放り出してつい探索してしまう。

 ……という感じで本作をプレイしてみたのだが、やっぱり楽しい! ゲーム序盤は主人公が成長しておらず、また活躍する武器もわからないため、上手に戦えない。つまり通常のゾンビも大きな脅威となるわけで、サバイバルホラーとしての楽しさを味わえるわけだ。

 だがそんな状況でも、がんばってゲームを進めていけば、状況は徐々に変化。使いやすい武器が見つかり、主人公もレベルアップで強化され、徐々にバトルが楽になっていく。あんなに怖かったゾンビの群れは、単なるザコキャラの集団と化し、強力な武器でバッサバッサと倒していく爽快感を味わえるゲームへと一転するわけだ。ゲーム序盤と後半でまったく異なる楽しさが味わえるという、シリーズの魅力は本作でもバッチリ健在だ。

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▲コスチュームが多彩なのも本シリーズの特徴。今回はモリガンやバルログといった、カプコン人気キャラクターのコスチュームも。当然、イベントシーンもそのコスチュームが反映される。
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▲ありえないほどのゾンビとバトルを楽しめる“ゾンビパラダイスアクション”を、ぜひ体感してほしい!

 初代からのファンとしては、やっぱり主人公がフランクさんというのも嬉しい。愛着があるし、ジャーナリストなのにゾンビ相手に暴れ回る超人っぷりは、何回経験しても楽しいものだ。

 シリーズ通してのコンセプトは変わらず、さらに遊びやすく練り込まれた本作。シリーズのファンはもちろん、本作から始める人でも、ゲームジャンル名の“ゾンビパラダイスアクション”に恥じない、ゾンビまみれの楽しいバトルをたっぷり堪能できることだろう。

 ただし、バグが少々あるのはいささか残念。これは、シリーズの悪しき伝統といったところだが、パッチ対応などで改善されることを期待したい。

 最後に、本作を機にシリーズへ興味を持たれたら、個人的にはぜひとも過去作もプレイしてほしい。『デッドライジング』、『デッドライジング2』、『デッドライジング2 オフ・ザ・レコード』の3作品が、先日プレイステーション4、Xbox One、PC向けに移植されたので、ぜひシリーズ通して“ゾンビパラダイスアクション”を味わってみてはいかがだろうか。