TOKYO ROUNDをリポート

『鉄拳7FR』の公式賞金制大会“THE KING OF IRON FIST TOURNAMENNT 2016”の“TOKYO ROUND”をリポート_01
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 バンダイナムコエンターテインメントは、全国で大好評稼動中のアーケード用3D対戦格闘ゲーム『鉄拳7 FATED RETRIBUTION』(以下、『鉄拳7FR』)の公式大会“THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016”の構成大会“TOKYO ROUND”を2016年11月26日に東京・バンダイナムコ未来研究所で開催した。

 本大会は“鉄拳界で一番強い奴が決まる”賞金制公式大会。総額1000万円の賞金額は国内開催のアーケード用ゲーム機の大会としては国内最大級。無差別1on1部門、女性1on1部門、学生1on1部門の3部門からエントリーできる大会である。

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 2015年に開催された“THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2015”の予選レギュレーションと大きく3つ変更点がある。ひとつ目、TOKYO・OSAKAの片方しか参加できなかった予選が、JAPAN ROUNDがなくなることによって両大会へ参加することができるようになった。そのため、全国からTOKYO ROUNDへ全世界が認める日本の強豪プレイヤーが集結した。ふたつ目は、ベスト64以上の試合からは2試合先取方式となる。3つ目、全部門が3on3→1on1へ。2015ではGRANDFINALからは1on1であったが、本大会からは真に己の力のみですべてを掴む大会形式へ。全部門の参加人数がほぼ定員となった。

 新たなステージへと昇華された賞金制公式世界大会で、鉄拳界の新時代を担うプレイヤーが台頭してくるのか? 2016年11月6日に開催されたOSAKA ROUNDでは、昨年の覇者YAMASA所属のプロゲーマー ノビが準決勝で敗退。3位となり、まだGRAND FINAL進出を決めていない。OSAKA ROUNDで勝ち上がった選手の内、2年連続GRAND FINAL進出を果たしたのは、学生部門 加齢選手、女子部門 ゆうゆう選手(昨年はくり上がり進出)であり、無差別部門では誰もいない。2年連続進出がすごいという考えかたもあるが、一方では鉄拳界におけるプレイヤーの新陳代謝が活発という考え方もできる。

 さまざまな思いが交錯する中、秋晴れの清々しい天候にも恵まれ大会は開催された。なお、配信はニコニコ動画公式の日本語放送実況を、『鉄拳』のプロジェクトリーダー原田氏、『鉄拳』の実況でおなじみのハメコ。さん、解説は『鉄拳7FR』プロデューサーのナカツ氏が担当。Twitch英語配信はMarkMan、RIP、Steve Scottで行われた。総合MCは大澤彩乃。プレゼンターは鉄拳女子部コスプレ部長キキワンさんと部員ユウミィさん。ゲーセン女子で鉄拳女子部2代目部長おくむらなつこさん。

◇日本語配信 ニコニコ動画
◇英語配信 Twitch

女子1on1部門

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 学生部門と同時進行の女子部門。2015年より発足された鉄拳女子部。その公式サイトコンテンツ女子部員情報のポイントランキング上位プレイヤーや、男子顔負けの女子最高段位を誇るプレイヤーたちが集結。鉄拳女子部は入部受付は2016年11月30日で締め切られた。鉄拳女子部専用ホームページで引き続きポイントランキングやイベント告知も行われるので、まだまだ目が離せない。

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 参加27名から左下の厳しい同キャラ対決ブロック、右側のトーナメントに至っては上下ともにデスブロックの大乱戦。そんな中からベスト4に勝ち上がったのは、もぐたん選手(クラウディオ)、こぼれ選手(アリサ)、みぃみ選手(飛鳥)、やまと選手(クラウディオ)となった。TOKYO ROUNDベスト4は実力伯仲の好試合が展開された。

 準決勝の1試合目、こぼれ選手vs.もぐたん選手。2015年TOKYO CHALLENGE準優勝のこぼれ選手が、使用キャラのロボット美少女 アリサの特殊技である腕から飛び出すチェーンソーで戦うデストロイフォームを変幻自在に使いこなし、もぐたん選手を圧倒し決勝戦へ。

 みぃみ選手vs.やまと選手は、飛鳥を使うみぃみ選手が竜車蹴りを遠距離で執拗なまでにくり出し、対策した立ち回りを見せるもやまと選手がイラ(レバー入力を→→→と素早く3回入力しなければ出ない高度な技)をゼロ距離からワンコマンドで出ているかの様に決めはじめ、相手の隙ができた所や前に出てくる場面で浮かせ技のスカイエンドノヴァを決め、最後はみぃみ選手の技の硬直に見事レイジアーツを決めて勝利し、決勝戦へ。

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 決勝戦のみ3試合先取の試合形式。グランドファイナルへはやまと選手、こぼれ選手が進出を決めた。あらためて決勝戦、先制したのはこぼれ選手。ここでもチェーンソーを使うデストロイフォームで猛攻。さらに、遠距離からはスライディングと中段技の応酬。変幻自在の攻め手で勢いに乗るかと思われたが、前述の高速でくり出されるイラと、天を貫く様なモーションで放たれるスカイエンドノヴァ(コンボ始動の浮かせ技)をこぼれ選手が技をスカした状況で決め、寄せ付けない立ち回りで3連勝のストレート勝利。優勝はやまと選手となった。

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女子1on1部門インタビュー

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――大会中印象深かった対戦相手試合内容はありましたか?

こぼれ選手 ベスト4をかけたゆっ太選手とのアリサの同キャラ対決が忘れられません。関西の立ち回りは私と違ってしっかりしていましたので、事前に見られる動画はすべて見て研究して戦いかたを変えて試合に挑みました。お互いのプライドがかかった試合でしたから、相手の長所を短所にできる様に対策しても、最終戦までもつれ込んで紙一重の試合でした。

――グランドファイナルへの意気込みをお願いします。

こぼれ選手 昨年の話なんですがTOKYO CHALLENGE決勝戦でマキシ選手さんとの試合がいまでも忘れられません。私が鉄拳を始めたときから元祖鉄拳女性最強プレイヤーだったので、憧れの存在でしたから大舞台で思い切り自分をぶつけることができて本当にうれしかったんです。今年、マキシさんは女子部門を引退されて無差別部門で参加されていたので、個人的にはリベンジできなくて悔しかったです。でも、GRAND FINALにはマキシ選手の流れを組む、ゆうゆう選手(シャオユウ)、たぬかな選手(シャオユウ)がいます。これまで女性プレイヤーはシャオユウ使いが強いってイメージがあるので、アリサでおふたりを倒して強い女性プレイヤーがいるということを証明したいです。皆さんには、見てもらっても楽しい鉄拳でプレイしてGRAND FINALをがんばります。

――大会中印象深かった対戦相手試合内容はありましたか?

やまと選手 決勝戦のこぼれ選手と対戦できたのがうれしかったです。お互いに仲がよかったので大舞台で対戦できただけでも思い出になりました。いっしょに祝勝会で秋葉原の四文屋に行きたいと思っています。

――グランドファイナルへの意気込みをお願いします。

やまと選手 緊張していますが、愛するクラウディオでGRAND FINALを戦い抜きます。

学生1on1部門

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 学生1on1部門の参加者は全31名。1位と2位が2016年12月に行われるGRAND FINAL出場の切符を手にすることができる。ベスト4に残ったのは、弱冠16歳にして優勝候補筆頭の呼び声も高く、現在(2016年11月26日時点)、日本最高段位“雷神”に到達している弦選手(レオ)、全国屈指のやり込み勢、EUMA17選手(ファラン)、池袋の若き強豪の赤髪選手(ラース)、昨年の同大会JAPAN ROUND優勝のS.H.O.W選手(アリサ)となった。ベスト4進出メンバーはほぼ順当な顔触れとなったが、各選手が勝ち上がってきたその道は決して平坦なものではなかった。中でも右側ブロックに配置された優勝候補の一角、赤髪選手(ラース)はとくに苦戦を強いられた。一回戦から、かとちゃんんん選手(デビル仁)相手に劣勢となるが、持ち前の地上戦のうまさを活かし辛くも勝利。2試合先取へと変わる2回戦 ガファリーニョ選手(飛鳥)との試合も1試合目・2試合目ともに両者残り最後の僅かな体力を競い合う接戦となり、3試合目までもがガファリーニョ選手に先手を取られる。しかしながら最後まで自身の守備的立ち回りを信じた赤髪選手が勝利した。ベスト8ではフェン日本最高段位のGugumatz選手(フェン)を倒して上がってきた渋谷の強豪、はるすけ選手(リリ)に先制を許してしまうも、その後はるすけ選手の立ち回りに対応し、見事逆転勝利。険しい障害の数々をすべて逆転勝利という形で跳ね除け、ベスト4進出を勝ち取った。

 準決勝第一試合は、赤髪選手とは対極的に、存分にその力を発揮しながら危なげない試合展開で勝ち進んできた弦選手(レオ)vs. 弦選手を相手にジャイアントキリングを狙うEUMA17選手(ファラン)。終始接近戦を仕掛けリターンを求めようとするEUMA17選手だが、弦選手は相手の接近を阻む打撃による守りと、そこから切り替えの速い攻めを展開することで対応。EUMA17選手を圧倒し、盤石の試合運びで決勝戦進出を決めた。準決勝第二試合は関東対決 赤髪選手(ラース)vs. S.H.O.W選手(アリサ)。両名は3on3チーム戦の闘神祭2016でチームを組み、本戦出場を果たした間柄。手の内を知り尽くした者どうしのこの試合は、前述の闘神祭2016予選で通算15勝1敗という驚異的な数字を残したことで知られるS.H.O.W選手の大会力が遺憾無く発揮され、ここまで異常な勝負強さを見せてきた赤髪選手を封殺。決勝戦は弦選手 vs. S.H.O.W選手となった。

 昨年のOSAKA ROUND学生部門覇者の弦選手(レオ)vs. 昨年のJAPAN ROUND無差別部門覇者のS.H.O.W選手(アリサ)というタイトルホルダーどうしの試合となった決勝戦。三試合先取のレギュレーションで一進一退の接戦になるかと思われたが、弦選手の打撃による守りと適切な距離把握の前に、突進攻撃以外に活路を見出せないS.H.O.W選手。終始ペースを崩さぬままダメージレースで優位に立ち、16歳という年齢を感じさせない貫禄の試合運びで九州の弦選手が優勝を決めた。

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学生1on1部門インタビュー

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――大会中印象深かった対戦相手試合内容はありましたか?

S.H.O.W選手 ちゃんむら選手との試合ですね。ステージの壁際でいろいろあったときに、諦めないで試合に集中してギリギリ勝てたのがいまでも忘れられません。ただ、決勝戦の弦選手との試合は、アリサを使ったレオ戦の対策があったにも関わらず、それを知らなかったことが悔しかったです。

――グランドファイナルへの意気込みをお願いします。

S.H.O.W選手 昨年のGRAND FINALでは、グループリーグ敗退で終わったので今回はまずリーグ突破を目標にして、レオ対策も煮詰めてがんばります。

――大会中印象深かった対戦相手試合内容はありましたか?

弦選手 去年JAPAN ROUNDを優勝していたS.H.O.W選手との決勝戦が印象に残りました。今回、内容は圧倒的には勝てましたが、レオの頂肘金鶏に対してS.H.O.W選手が全く対策が出来ていなかっただけの勝利だったので、対策されたら苦労しそうなのでGRAND FINALでは怖いですね。

――グランドファイナルへの意気込みをお願いします。

弦選手 最近大きな大会のMASTERCUP.7&8、EVO2016、闘神祭2016と全部韓国が優勝しているので、僕が勝って日本が強いっていうことを証明したいです。去年負けたKnee選手にも勝ちますので応援してください。

無差別1on1部門

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 無差別1on1部門参加者はMAXの288名。4ブロックに分けられたトーナメントでは多くの名試合がくり広げられた。印象として段位的なアップセットが連発したOSAKA ROUNDとは違い、TOKYO ROUNDでは高段位のプレイヤーが順当に勝ち上がっていたが、ベスト8までに高段位の有名プレイヤーどうしの対決も多く見られ、全体を通して豪華な予選トーナメントとなった。また、他ゲーから『鉄拳7』に参戦してきたプレイヤーたちの活躍もトーナメント各所で見受けられた。

 『バーチャファイター』プレイヤー 傾奇者晶選手(フェン)は、全国屈指のカタリーナ使いとして知られるまんば選手(カタリーナ)を破り、ベスト16まで進出。続いて『ウルトラストリートファイター4』プレイヤー ペペだい選手(ポール)は強豪豪鬼使い TAKA.選手(豪鬼)に対し2Dプレイヤーの経験を活かした見事な豪鬼対策で勝利し、ベスト16行きを決めた。他ゲープレイヤーもやり込める懐の深い『鉄拳7FR』というゲームの側面を垣間見ることができる展開となる。

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 トーナメント表を見ると一部を除いた大方の有力選手が順当に勝ち進んではいたが、中にはあわや敗退という状況に追い込まれた強豪も多くいたようだ。前回大会4位のAO選手(アリサ)の一回戦の相手はエビバディパッション選手(一美)。エビバディパッション選手の緩急ある攻めが功を奏しファイナルラウンドへ。1試合先取のレギュレーションということで両者全く譲らず、体力はお互い即死圏内で残す時間はあと5秒。ここでエビバディパッション選手が一か八かを賭けた猛虎風泊拳を打つが無情にも空振り。そのスキを見逃さなかったAO選手が反撃を決め辛くも勝利した。タイムアップまで残された時間はわずか3秒であった。

 優勝候補の一角 タケ。選手(ブライアン)は、ベスト64でしんちゃん選手(デビル仁)と対決。要所でしんちゃん選手の当て感が発揮され、相手の技を掻い潜る性能を持つ輪廻を次々とヒットさせてファイナルラウンドへ。いつタケ。選手のライフが0になってもおかしくないギリギリの状況で、しんちゃん選手は「当たりさえすれば勝てる」という選択肢の奈落堕としを出すが、絶妙なタイミングで置かれたタケ。選手のジャブが奈落堕としを止め、崖っぷちを脱した。ほんの一瞬の判断で勝敗を分かつことになる、格闘ゲームの醍醐味を感じられる試合となった。

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 かくしてベスト8に残ったのは、ノビ選手(ドラグノフ)、いーちゃむ選手(一八)、あみーご選手(仁)、タケ。選手(ブライアン)、バッツ選手(ファラン)、古水選手(ポール)、AO選手(アリサ)、ユウ選手(フェン)。この鉄拳界の誰もが認める強豪揃いが勝ち上がる、希代の組み合わせの選手紹介に会場から大きな拍手が起こった。

 このベスト8で、今大会ベストバウトと言われる名勝負が生まれる。Dブロック決勝戦はYAMASA所属プロプレイヤー ユウ選手vs.多くの世界大会で結果を残してきたAO選手の試合。開幕から両者全く譲らない一進一退の攻防の末、勝敗は最終試合のファイナルラウンドまでもつれ込んだ。この大一番で、AO選手が強気の攻めを通し続け、一気にユウ選手を追い詰める。AO選手の体力は9割を残し安全圏、ユウ選手はあと一撃でも貰ってしまえばK.Oという圧倒的逆境に立たされる。全観戦者がAO選手の勝利を確信したかのようなこの状況で、AO選手はユウ選手の僅かとなった体力を削り取るべく下段攻撃を出した。
しかしユウ選手がこれを一点読みの下段捌き。空中コンボに繋げ壁攻めに移ると、「当たれば大きなリターンを見込めるものの、ガードされると負けが確定してしまう下段」である勝負の前掃腿を通す。壁コンボを経てAO選手の体力を一気にK.O圏内まで減らすと、なんとここで即座に2度目となる前掃腿を放った。まさかの選択肢にガードを入れられないAO選手。そのままレイジアーツでド派手な空中コンボを決め、とんでもない逆転劇を一瞬で成し遂げたユウ選手が勝利。会場は爆発音の様な歓声が響いた。

 別のベスト8の試合であるAブロック決勝のノビ選手vs.いーちゃむ選手は、いーちゃむ選手が守りつつも最速風神拳で圧力をかけるが、ノビ選手の左横移動を主軸にした守りとロシアンフック・アサルトを起点にした攻めの前に惜しくも散る。ノビ選手が前回大会王者の貫禄を見せ付ける試合となった。Bブロック決勝戦はあみーご選手vs.タケ。選手。ハイレベルな接近戦で互角の展開をくり広げる両者だったが、カウンターを伴って大ダメージを与えた回数の分、タケ。選手がダメージレースで優位に立ちあみーごを選手を破った。Cブロック決勝の古水選手vs.バッツ選手では、バッツ選手の強みである火力の高さを活かさせない立ち回りで終始古水選手がペースを握る。追い詰められた局面でも起死回生のレイジアーツを当て逆転。ベスト4進出を決めた。

 ベストの1試合目は、ノビ選手(ドラグノフ)、タケ。選手(ブライアン)、古水選手(ポール)、ユウ選手(フェン)という錚々たる顔触れ。ベスト4第1試合目は、YAMASA所属ノビ選手vs.タケ。選手。まだ正式にYAMASAのプロ契約を果たしていないものの、同じYAMASAのチームユニフォームを着るタケ。選手との対決。例えるなら日本の鉄拳プレイヤーにおける最強の矛vs.最強の盾対決。

 そのイメージ通りに1試合目は最強の攻撃力を誇る鉄拳7世界2連覇のノビ選手がストレートで先取。2試合目は、鉄拳修羅の国である韓国プレイヤーも唸らせる日本最強の守備力を誇るタケ。選手がストレートで追いすがる。

 最終戦の3試合目。2試合目に負けたノビ選手にステージ選択権が委ねられ、ホームステージとするジャングルで対決が行われた。矛盾は生じず、日本最強の守備力も対応不能の圧倒的攻撃力でノビ選手が下段攻撃のシャープナーを使い多くの体力を奪い、最後は自身の代名詞である神速のアサルト(ロシアンフック・アサルト→→→RP)で試合を決めた。まず決勝戦に名乗りを上げたのはノビ選手。

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 ベスト4の2試合目は、古水選手vs.YAMASA所属ユウ選手。ベスト4前のインタビューで古水選手が名言を残した通り「YAMASAvs.俺」という構図。古水選手以外の3名がチームYAMASAのユニフォームを着用しているからである。ふだん、守り寄りに試合を展開するユウ選手が、攻め寄りに転じるスタイルで1試合目を先制。

 絶対に勝つという確固たる意志がうかがえた。なぜならこの準決勝でユウ選手が古水選手に勝てば、ワンツーフィニッシュでYAMASA所属のふたりがGRAND FINALへ駒を進めることができるからである。しかし、ポールのみで5000勝をもやり込んでいる古水選手は総合力に長けており、Mr.ストイックの異名通り攻め型に特化したユウ選手の機先を制して対応。崩拳を各所で決め2試合目を取り返す。

 見事なまでにここでも3試合目の最終戦。しかもファイナルラウンドへもつれ込む。どちらが勝ってもおかしくない最後の瞬間、古水選手の投げ技のスカに放たれたユウ選手渾身の嶽寸靠(4WP)であったが、わずかにタイミングが間に合わず会場から大きな歓声が上がり、そこを見逃さなかった古水選手が決勝へ進出した。

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 3位決定戦を争うこととなったユウ選手とタケ。選手。勝てばGRAND FINAL出場の権利を獲得できるだけに、優勝の可能性が途絶えたこの状況でも両者の表情からうかがえる真剣さは先程までと何ら変わらない。1試合目。タケ。選手が持ち前の防御力を発揮してユウ選手を完全にシャットアウト。一方的な展開となった。この1試合目の流れを見るとユウ選手の挽回は難しいかと感じた観戦者も少なくはなかっただろう。しかしここは歴戦の猛者であるユウ選手。2試合目に入るとラウンドの勝敗を分かつ局面で尽く読み勝ち、往年の勝負勘で最終試合に望みを繋ぐ。運命の第3試合は気持ちの勝負となりお互い全く退かない攻防がくり広げられるが、最後にユウ選手の置き技を恐れずにステップインで距離を詰め、これまで見せなかった投げ技による崩しを仕掛けたタケ。選手が勝利。GRAND FINAL進出を決めた。

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 決勝戦は3試合先取制。世界中の誰もが納得する日本最高峰のライバルプレイヤー対決と言ってもよい好カード、YAMASA所属ノビ選手vs.古水選手。1試合目、グラップリングに長ける古水選手が、揺さぶりをかけたのか1本目の途中でガード不能を仕込むも、ノビ選手は冷静に横移動で対応し、レイジドライブ(『鉄拳7FR』より追加の新要素)で神速のアサルトを決めるダイナマイトKOを2本連続みせるも、3本目勝ち確定コンボの〆に出したレイジアーツを前ダッシュが足りずに決めきれず逆転され一転嫌なムードに。

 過去、MASTERCUP.6において日韓戦の大一番で、ノビ選手は勝ち確定のコンボをミスしてしまい、そのまま世紀の逆転負けを経験しており、その記憶が過ったのか会場中が色めきだった。その流れが古水選手に傾こうと変わる中、近年プロとして冷静なプレイングが要求される試合を何度も経験したノビ選手は、身持ちを崩すことなく続く4試合目を難なく決め大きな1勝を勝ち取る。勝った後にノビ選手は自ら大きくセーフポーズをみせ、会場を盛り上げた。

 2試合目以降も世界大会2015 GRAND FINALで優勝時に見せた様な、他選手よりも明らかに手数の多い神速の攻め手で古水選手のバランス力を圧倒。実力が拮抗しているかと思われた両選手の対決であったが、結果だけで見れば乗せているエンジンが違うかと思える程の3試合ストレート勝利でダメージレースを制したYAMASA所属ノビ選手。TOKYO ROUNDを優勝して堂々のGRAND FINALへの進出を決めた。

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無差別1on1部門インタビュー

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――大会中印象深かった対戦相手試合内容はありましたか?

タケ。選手 印象に残った試合は3回戦と4回戦ですね。3回戦から2試合選手制になったんですけど、その相手がしんちゃん選手で『鉄拳TAG2』から巣鴨に来ていて、言わば教え子のような子でした。最初1本取られて、2試合目のフルラウンド体力ドットの所まで行ったときはもうダメだと思ってました。多分奈落だったと思うんですけど、それを技が出る前にジャブで止めたのが勝敗を決めたと思います。ジャブで止めたら相手の動きが止まったので削りきってその試合は勝ち、3試合目はストレート勝ちでしたね。4回戦はかえぴょん選手。これも3回戦と同じ状況で一本取られて、2試合目フルラウンドまでもつれました。僕がレイジ状態で相手の体力は半分くらいあったのかな? 僕を含め見ている誰もが終わると思ったんじゃないかな。でもそこから捲り、3回戦はストレート勝ちです。この2試合が印象に残ってますね。死線を越えたって感じでしたね。

――グランドファイナルへの意気込みをお願いします。

タケ。選手 去年のGRAND FINALは観戦側にいて俺もこの場に立ちたかったと、少し寂しい気持ちになったのですが、今年はあの舞台に立てるのがうれしいので全力でがんばりたいと思います。

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――大会中印象深かった対戦相手試合内容はありましたか?

古水選手 はなたれ選手との対戦ですね。強いプレイヤーなのはわかっていたし、Cブロックのキモになる一戦だったのは間違いなかったし、勝てたのは運がよかったですね。

――グランドファイナルへの意気込みをお願いします。

古水選手 今日の決勝戦は思っていた動きができなかったので負けました。そういう意味でも、大舞台で実力を発揮できないのはまだまだ練習不足なのかな。GRAND FINALに向けてさらにやり込んでがんばります。

――大会中印象深かった対戦相手試合内容はありましたか?

YAMASA ノビ選手 対戦相手というか、今日はとにかく調子が良くて1試合も負ける気が全くしなかったですね。GRAND FINALに向けて絶対に負けられない状況でもありましたから、自分との戦いでした。

――グランドファイナルへの意気込みをお願いします。

YAMASA ノビ選手 「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT」公式世界大会の2連覇は格好よすぎるので、それしか考えてません。

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“GRAND FINAL”大会概要

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 「THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2016」「GRAND FINAL」は、2016年12月10日(土)に竹芝ニューピアホールにて開催される。概要は以下の通りだ。

■日程:2016年12月10日(土)会場:竹芝ニューピアホール
(東京都港区海岸1-11-1 ニューピア竹芝ノースタワー1F)

■開催部門:【無差別1on1】

◇予選リーグ:出場者32名を8ブロックに分け予選リーグ戦を実施します。各ブロックの上位2名が決勝トーナメントに進出します。

◇決勝トーナメント:予選リーグを勝ち抜いた16名によるダブル・イリミネーション・トーナメント戦を実施します。

<ダブル・イリミネーション・トーナメントとは?>
勝者トーナメント【winners】と敗者トーナメント【losers】に分かれています。勝者トーナメントで一度負けても敗者トーナメントから再び勝ち上がるチャンスを得られる敗者復活戦のある試合形式です。一度も負けずに勝ち上がったプレイヤーと敗者復活戦を勝ち上がったプレイヤーで決勝戦を行います。決勝戦では一度も負けていないプレイヤーが有利となっており 勝てばそのまま優勝。負けた場合でももう一度同じ対戦をするプレーオフを行い その勝者が優勝となります。逆に敗者復活戦から勝ち上がったプレイヤーは一度勝っても「リセット」となり プレーオフでもう一度勝たないと優勝できません。

◇一般観覧も可能!一般観覧者受付時間 : 8:30~9:25

◇一般観覧者入場可能人数 : 400名
※GRAND FINAL当日 会場受付にて一般観覧者受付をされた方から順に400名入場いただけます。受付人数が400名に達した場合は入場できない場合があります。予めご了承ください。
※会場外の記念グッズ販売購入は可能です。

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◇出場者受付時間:出場者には別途大会運営事務局よりご案内いたします。

◇大会運営スケジュール:
9:30~11:50 オープニング 予選リーグ
11:50~12:30 ハーフ・タイム「ゆるeスポーツ」配信
12:30~17:40 決勝トーナメント(ベスト16~決勝戦)
17:45~18:00 表彰式
18:00~18:15 『鉄拳』シリーズ最新情報
18:15 配信終了

◇「GRAND FINAL」の模様は、ニコニコ生放送(日本語)&Twitch(英語)で生中継!会場のニコニコ生放送ブースから、『鉄拳7FR』プロデューサーのナカツ氏と、初心者にもわかりやすく歯切れのいい解説でおなじみのハメコ。さんによる実況・解説でお届けされる予定だ。

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