ついにタチコマを操縦可能に!
2016年11月2日にオープンβテストがスタートした、ネクソン運営のPC用オンラインFPS『攻殻機動隊S.A.C. ONLINE』。その内容にすでに触れた人も多いかと思う。
本作はアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』を題材にした新機軸のFPS。スキル効果を味方プレイヤーと共有できる“スキルシンク”が最大の特徴だ。
その『攻殻機動隊S.A.C. ONLINE』が、2016年11月30日より正式サービスを開始。同時にゲーム内容のアップデートも実施される。とくに注目すべき3つの要素について実装前に体験できたので、その魅力をリポートしていこう。
(※取材はテスト環境で行ったため、内容が変更となる可能性もあります)
もうただのマスコットじゃない!? タチコマが戦略を変える!
もっとも大きな変化となるのが“タチコマ”の仕様変更。拠点占拠を競うコンクエストモードで呼び出せる自律思考型多脚戦車タチコマが、これまでとはまったく別ものと言っていいコンテンツに進化する。
オープンβテスト中のタチコマは、周辺を哨戒しつつ付近の敵を察知すると近づいて射撃を加えるという、言わば“少し動き回るセントリーガン”のような存在。索敵や旋回の能力が甘く、簡単に背後や側面を取れるため、慣れてしまえば対処は難しくなかった。
今回のアップデートでは、このタチコマにカスタマイズを施せるようになる。銃器と同じく戦闘などで貯めていく“GP”を使い、各部のパーツや武装を購入して組み上げることができる。
これだけでも従来とは使いかたがかなり異なってくるが、さらに今回のアップデートでは、タチコマを呼び出したプレイヤーが搭乗できるようになった。原作アニメで素子やバトーがやっていたように、タチコマに乗り込み、その機能を直接指示で十二分に発揮できる。
タチコマが離れた場所にいても、Eキーを押すとプレイヤーの近くに呼び出せる。自律行動で遠くに行ってしまった場合も、すぐに搭乗できるわけだ。
タチコマ搭乗中は通常時とは異なる操作やアクションが発生する。タチコマの性能や特徴にも新たなものが追加されたので、ひとまず下記にまとめてみた。
◆搭乗中、Shiftキーを押しながら前進するとダッシュし、敵プレイヤーにダメージを与えつつ押し出すことができる。ダッシュ中にジャンプすることで、加速中のパズ並みのジャンプも可能。
ただしダッシュには、時間経過で回復する画面下のゲージを消費する。
◆搭乗中は左クリックでメインの武器となる機関砲などを発射。右クリックで発射するサブ武器にはロケットランチャーなどを装備可能。弾のストックは無限だがマガジン内の弾数は限られており、リロードが必要。任意タイミングでのリロードはできない。
◆一定時間ダメージを受けずにいると、耐久力が自動で回復する。
◆一定量のダメージを受けると、短時間だがハッキングされたときのような行動不能状態に陥る。正面のカメラアイ部分は弱点になっていて、ここを撃たれると行動不能に陥りやすい。
◆搭乗中のプレイヤーは、拠点の近くにいても占拠ゲージの増加には貢献できない。
歴戦のFPSゲーマーの中には、この時点では「自動回復するうえに高機動、弾数無限の戦車ってこと!?」と、驚く人もいることだろう。実際、筆者も最初の感想はそうだった。
FPSにおいて、時限式で呼び出せる車輌は、戦局をそれ単体で覆しうる、圧倒的な装甲や火力が持ち味なのが一般的だ。さらに自動回復&高機動とは、何ともぜいたくな話である。強さのバランスはどうなのか、とても気になる。
というわけで、さっそく喜び勇んで搭乗。試しに編集者のミス・ユースケが操るプレイヤーキャラクター(もちろん生身状態)を相手に、「歩兵ひとり程度、戦車で楽勝だろ!」と突貫してみたが……。
勝負は、意外なことにプレイヤーキャラクター側優先という結果に。耐久力を半分近く削られてしまい、肝心の自動回復も、断続的に撃たれていると発動することがなかった。
ひょっとして、原作アニメでよく主犯格に出し抜かれてやられる、タチコマのかわいさの再現なのか? などと思いつつ、しばらくコンクエストで乗り回してみると、その運用方法自体が間違っていたことに気が付けた。
本作のタチコマはFPSでいうところの戦車などとは異なり、ゴリ押し用の兵器ではない。機動力とその高い耐久力を活かして、拠点を巡って戦局をかき回すトリックスターなのだ。緊迫した戦局でも場違いのかわいらしい言動で活躍する、マスコット的なタチコマのイメージそのままと言えるだろう。
突撃からのヒット&アウェイ戦法では、近距離で複数の敵にばらまけるプライマリ武器も有効に働く。生身のとき(耐久力100)とは異なり、3000~4000という膨大な耐久力があるのも強みだ。突撃に感づかれても、そうそうすぐにはやられない。
また、そうして敵がタチコマに対処するべく銃口を向けたり、スナイパーライフルに持ち替えて足止めをしようと試みるなら、敵の防衛網にはそれだけでも穴ができる。ほかの仲間がそこを突き、一気に突入可能だ。
タチコマの操縦者は勝手に突撃しているつもりでも、周りのプレイヤーとの連携が自然と生まれ、個人戦が集団戦に昇華されるわけだ。普段の本作のプレイと同じく、スタンド・アローン・コンプレックス現象が生まれやすいという点もじつにおもしろい。
実際に乗り回してみると、テストプレイの段階でも、タチコマを巡る攻防についてさまざまなアイデアが浮かんできた。
タチコマをも数発で瀕死に追い込めるアームランチャーや、遠くからでも足止めができるスナイパーライフルの重要性。タチコマでなら、厄介なセントリーガンもロケットランチャー連射で簡単かつノーリスク&ノーコストで破壊できるという、別の運用の可能性……などなど。コンクエストにおけるキャラクター選択や戦略が、かなり変化しそうだ。
以前、インタビューの席で見せてもらえたコンセプトアートでは、今後さまざまなパーツが追加されていく予定のようだった。銃器やキャラクターのチョイスのみならず、タチコマのカスタマイズ要素も加わるとなると、コンクエストの戦略性がどこまで広がるのか、想像もつかない。
そこに原作でタチコマが多用していた光学迷彩装備なども追加されれば、原作さながらの動きを楽しめる機会も増えることだろう。いち原作ファンとしても、タチコマのさらなる進化には期待が膨らむばかりだ。