アクションゲームファンに刺激を与えたメレーアクション

 ユービーアイソフトより2017年2月16日発売予定のプレイステーション4、Xbox One、PC用ソフト『フォーオナー』。2016年10月20日から24日まで期間限定で実施された日本語版アルファテスト、そして2016年11月2日のファンミーティング、その翌日に行われた“UBIDAY2016”と、怒涛の展開で日本のユーザーの前に姿を現した本作。間口の広いバトルシステムながら、プレイすればするほど奥深さがわかる“アート・オブ・バトル”や、侍・ナイト・ヴァイキングというなじみのあるヒーローが肉弾戦をくり広げるメレー(混戦型)アクションとして、ゲームを体験したユーザーから高い評価と期待を集めることに成功した。

 開発を手掛けるユービーアイソフトのモントリオールスタジオから来日中の、『フォーオナー』アソシエイトゲームディレクターであるGaelec Simard(以下、ギャレック)氏と話す機会を得たので、ここぞとばかりにいろいろと気になったポイントを訊いてきた。その模様をお届けしよう。

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▲ユービーアイソフトのモントリオールスタジオで、『フォーオナー』のアソシエイトゲームディレクターを務めるGaelec Simard(文中はギャレック)氏。

対戦格闘ゲームの読み合いにインスパイア!

――ファンミーティング、“UBIDAY2016”とイベントが続いて、日本のユーザーとも交流できたと思いますが、いかがでしたか?

ギャレック 私は4回ほど日本に来ているのですが、いつも来るのが楽しみなんです。日本の皆さんはとても明るくて温かく、ゲームに対してとても情熱的ですよね。『フォーオナー』は日本もフィーチャーしているので、日本の皆さんがどのように感じているのか、フィードバックをたくさんもらえて、すごく楽しかった。

――本作のバトルシステムは読み合いが重視されていて、対戦格闘ゲームに近い印象を受けました。

ギャレック それは正しい印象です。このゲームは『ストリートファイター』シリーズやほかの対戦格闘ゲームからインスパイアされていて、対戦格闘ゲームの読み合いといった要素を十分に研究して作っています。初心者でも入りやすいよう間口を広くしたので、最初は簡単にプレイできますが、プレイし続けないと上達は難しいという流れを作りたかったんですね。アニメーションやフレームなどは、対戦格闘ゲームに近いものになっています。コマンドを何フレームで入力すればいいか、アニメーションがどれくらい長いか、それによってどのような隙ができるか。そういった部分を付け足していきました。プレイすればするほど自分が強くなっていく、自身の経験がつぎの対戦に活きるようになっていると思います。

――そもそも、本作のバトルシステムのアイデアはどのように生まれたのですか?

ギャレック クリエイティブ・ディレクターのジェイソン・ヴァンデンバーグが、剣を実際に扱うレッスンに通っていて、そこで彼はインスピレーションを受けたようです。「コントローラで剣を実際に振るような感覚が楽しめるゲームシステムを作れないものか?」と考えたことが発端でした。システムを考慮しているうちに新しいタイトルを立ち上げることになり、そのアイデアに賛同するメンバーが多かったこともあって、プロトタイプを作りました。本当におもしろくなるのか、試行錯誤をくり返しましたね。いまの構えは3方向ですが、最初は4方向あったんですよ。それではおもしろくなかったのでまた作り直して、形になったことで本格的に開発がスタートしました。

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――アルファテストではAIのキャラクターが手強いというか、まるで人間が動かしているかのような感じを受けました。

ギャレック それも狙い通りです! 本作のAIにはふたつのタイプがあって、キャンペーンモード用のAIと、“BOT”と呼ばれるマルチプレイ用のAIがいて、それぞれ思考が異なるんですね。キャンペーンモードのAIは、プレイヤーがストーリーをしっかりと進められるように動きます。対するBOTのAIは、バトルに特化した動きを見せます。それにはユーザーに戦術を学んでほしいという狙いがあって、AIは強力なコンボを仕掛けてくるんです。それを見たユーザーに「自分もこんなコンボができるんだ」と学んでもらいたい。ちなみに、アルファテストで採用していたAIはレベル2で、その上のレベル3も存在しますよ。

――海外のアルファテストでは、侍のヒーローである大蛇(OROCHI)が人気だったようですが、侍が海外でも人気になると想定していましたか?

ギャレック 実際の数字がわかる資料がいま手元にないので断定はできませんが、確かに注目を集めていたようですね。地域ごとに好まれるヒーローは異なっていたみたいで、最終的に12人のヒーローが選べるようになったとき、その差異がどうなっていくのかは、すごく興味があります。ただ、僕は(自分のタトゥーを指して)見ての通り侍の一員なので、少しひいき目に見てしまうかもしれません(笑)。

――最近のゲームから見ると、12人の選択キャラクターはやや少ない印象を受けますが、ここまで選択肢を削ぎ落とすのは難しくありませんでしたか?

ギャレック 私たちとしては、(キャラクターの数が)そこまで少ないとは思っていません。見た目や技がちょっと違うだけのキャラクターを用意しないよう、武器をベースにヒーローを考え、3つの勢力で均衡が取れるようにして、個々のアクションに変化を付けました。このゲームを楽しんでいただくためには、このくらいの人数がちょうどいいか、むしろ少し多すぎたかもしれないと考えています。3つの勢力のヒーローたちは違う動きをしますが、突出した存在が出ないようにバランスを詰めていきましたから。

――キャラクターのカスタマイズが奥深く、日本ではアルファテストのバージョンで検証するサイトがたくさん見られましたよ。

ギャレック そういうサイトができるのはうれしいですね。ヒーローには強いところもあれば弱点もあるので、ユーザーがどんなふうに攻略していくのか、楽しみです。アルファ版ではカスタマイズ要素を制限しているので、製品版ではもっと奥深いカスタマイズが体験できますよ。

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――キャンペーン(ストーリー)モードについてお聞かせください。物語はどのように進行するのでしょうか?

ギャレック ひとつのストーリーを、3勢力それぞれの視点で進めていくことになります。最初はナイト、つぎにバイキング、最後に侍のストーリーを体験する流れになっていて、その中で12人のヒーローを扱っていきますね。物語を通して、各ヒーローがどのような戦いかたができるのか、その個性を体験してもらえたら。ストーリーは“アポリオン”が中心に展開していって、彼女がなぜ世界を混沌とした状況におとしめているのかが語られます。ボス敵もいますし、いろいろな対決を通して、この世界がどうなっていくのかを楽しんでほしいですね。

――最後に3勢力が協力してアポリオンに立ち向かうようなストーリー展開なども……?

ギャレック それは答えられません(笑)。ただ、アポリオンと戦うことはできます。また、ストーリーを進めていくことで、マルチプレイモードで起きている争乱の理由がわかるようにもなっています。

――キャンペーンモードでの協力プレイはどのような形になるのでしょうか? 以前、2画面分割での協力プレイに対応する予定とおっしゃっていましたが、実現されますか?

ギャレック 協力してストーリーを進めることはできます。2画面分割での協力プレイは、最後まで確かに実装していたのですが、自分たちが納得できるクオリティーに達することができず、本当に泣く泣くカットせざるを得なくなりました。私たちが満足できないものを無理やりに実装するのは本意ではないので。

――なるほど。ストーリーが難しいと感じたら協力できる要素が残っているのはうれしいです。協力だけでなく対戦も熱い作品で、eスポーツに向いているのでは? とも思ったのですが。

ギャレック 私たちから具体的に何かを用意するというプランはありませんが、実際にプレイヤーが遊んでみてどう感じるか、だとは思います。ユーザーが望むものに対して応えようという気持ちは持っているので、ぜひ皆さんのフィードバックをいただきたいですね。

――「アルファテスト版ではなかなか勝てなかった」というプレイヤーへ向けて、バトルのコツやアドバイスをお願いします。

ギャレック 基本をしっかり抑えることが大切です。練習にBOTも使えるので、自分のレベルに合わせて難度を調整し、基本の動きをマスターしてください。これは個人的な意見ですが、まずはしっかりと防御できるようになるといいと思いますよ。そして、自分のキャラクターの動きを熟知するために、最初はひとりかふたりのヒーローに絞り込んで(操作を)覚えていくといいでしょう。マップなどを把握するのは“ドミニオン”モードでは有効かもしれませんが、もっと基本的なところを突き詰めていくことをオススメします。

――お答えいただければ……ベータテストの予定はありますか?

ギャレック 考えてはいるのですが、どこの地域でいつやるのかは決まっていません。決まり次第お伝えしますので、公式SNSやプレスリリース、公式サイトなどをぜひチェックしてください。

――期待しているユーザーも多いと思います。

ギャレック 皆さんに受け入れてもらえて、本当にうれしい。どういったフィードバックをいただけるのかも非常に楽しみなので、どんどんフォーラムにご意見を寄せてください。

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 まったく新規のタイトルというハンデを、アルファテストや試遊でねじ伏せた(と個人的に思っている)剛腕っぷりが最高だった、『フォーオナー』。実際に体験できたのはあくまでアルファ版であり、来年の発売までにさらなるブラッシュアップが成されたとき、このメレーアクションはとんでもない旋風を巻き起こすかもしれない。ということで、今後も引き続き注目していきます!