『Minecraft』の用途がさらに広がる

 2016年10月25日、日本マイクロソフト本社にて、“日本マイクロソフト 教育機関向け施策 記者発表会”が行われた。マイクロソフトが教育支援に関して、熱心なのはご存じの通りだが、今回の記者発表会は“教育のデジタルトランスメーションに向けた日本マイクロソフトの戦略”として、今後の施策が説明された。デジタルトランスメーションというと、ちょっと記者は聞き慣れない言葉だったのだが、“ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でよい方向に変化させること”といった意味らしい。つまり、マイクロソフトによるITを駆使しての教育機関に向けてのアプローチといったところだろうか。

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▲日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター担当 Windows クラスルーム協議会 理事長 織田浩義氏。

 記者発表会では、日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター担当 Windows クラスルーム協議会 理事長 織田浩義氏が登壇。「教育分野は、マイクロソフトがもっともパッションを持って取り組んでいる」と口火を切った織田氏は、ITを基盤とした新たな産業の潮流“第4次産業革命”に向けて、いかに人材を育成し、「いかに新しい学びかたや教えかたを定着させていくか?」が主眼であると説明した。“第4次産業革命”に向けての、今後を見据えての人材育成は、政府も積極的に推進しているようで、日本マイクロソフトの施策はその流れに沿ったものとも言える。情報活用能力の育成の一環として、プログラミング教育の必修化なども図られるとのことだから、記者のころとは時代も様変わりしたものだ。

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▲これまでの日本マイクロソフトの教育分野に向けての取り組みを説明。
▲第4次産業革命に向けた人生育成のポイントを列記。
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▲日本マイクロソフトの2017年度の教育分野の注力ポイント(日本マイクロソフトは7月から翌年6月までが会計年度)。

 ITを駆使しての教育への取り組みとして、日本マイクロソフトでは“生徒、教員にパワーを”、“教育/研究の業務を最適化”などをテーマにしているが、プログラミング教育の施策として打ち出したのが、初等中等教育での教材としての『Minecraft』の活用。マイクロソフトでは、βテストを実施していたWindows 10、OS X向け『Minecraft: Education Edition』の提供を、2016年11月1日(アメリカ時間)より開始するというのだ。先生が授業を支援する機能を加えられたという同ソフト。記者発表会では、教育用途での『Minecraft』の使用を積極的に推し進める宮城教育大学 准教授の安藤明伸氏がビデオ出演。“これからの教育に対する『Minecraft: Education Edition』への期待”として、“仮想空間環境としての利用”のメリットや、“プログラミング的思考との接点”、“主体的・対話的で深い学びの学習空間としての可能性”などを語った。

 織田氏も、「命令を論理的に組み合わせることで、論理的にものごとを解決していく思考が養われる」、「共同で開発していくので、アクティブラーニング(学修者が能動的に学修することで、汎用的能力の育成を図る)が身につく」と説明。『Minecraft: Education Edition』の教育分野での可能性を挙げた。

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▲宮城教育大学 准教授 安藤明伸氏が『Minecraft: Education Edition』の可能性を列記。

 記者発表会の最後に行われたQ&Aでの説明によると、『Minecraft: Education Edition』では、先生が授業を行うための支援機能が追加されており、アイテムを子どもに渡したり、子どもたちがどこにいるかを一覧で見られたりするという。

 ご存じの通り、『Minecraft』はこれまでにもプログラムの基礎を学ぶ用途で使用されており、今回発表された『Minecraft: Education Edition』は、まさに最適の用途と言えるだろう。

 『Minecraft: Education Edition』は、教員あたり月額120円で同ソフトを配布、所属教員分を購入することで児童・生徒は無償で利用可能だが、“はじめよう 教育用 Minecraft 活用キャンペーン”として、教員2500名(児童生徒約38000名相当)に1年間のライセンスの無償提供を行うとのこと。申し込み期間は2016年10月25日から12月23日までで、期間内でもキャンペーン規定のライセンス数に到達次第、終了になるとのことだ。

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 なお、『Minecraft』では、スウェーデン大使館主催による、“つくろうみんなの未来都市コンペティション in Minecraft”を実施中だ。こちらは小学4年生から中学3年生までを対象に(グループ応募が必須)、“『Minecraft』でサステナブル(接続可能)な街を作成しよう”という課題で、作品を提出。応募締め切りは11月24日の午後5時30分までとなっている。最終選考および受賞記念スペシャルディナーは、12月10日に行われるという。

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 全世界における累計販売本数が1億本を突破している『Minecraft』。国内市場においてもさまざまなプラットフォームで『Minecraft』は売れ続けており、今後教育で使用されることで、さらに幅広い用途で活用されそうだ。

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▲記者発表会では、最新のICT(情報・通信に関する技術)を活用した教室 の体験会も実施。OneNoteを英語の教材として活用したり、パワーポイントを駆使しての授業例などが紹介された。にしても、世の中便利になったものです。