2016年10月21日(金)、2KならびにFiraxis Gamesより全世界同時発売となるPC用ターン制ストラテジーゲーム『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI』(以下『VI』)。本作はゲームデザイナーのシド・マイヤー氏の名を冠するターンベースのストラテジーゲームシリーズの最新作。プレイヤーは対立する文明のひとつを率いて、世界を開拓し、ユニットを生産、戦争と外交で文明の対立を乗り越え、最終的な勝利を目指す。「あと1ターンだけ……」とつぶやきながらプレイを続けてしまう、高い中毒性がある作品として知られている。

 これまでも新作が出るたびに大きな改変が入り、驚きとおもしろさを与えてきてくれた『シヴィライゼーション』シリーズ。その最新作『VI』は実際どんなゲームに仕上がっているのか、シリーズプレイヤーなら気になるはずだ。本稿では、先日韓国にて行われたプレス向けプレゼンテーションの内容とともに本作の概要や魅力についてお届けする。

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▲ゲームデザイナー Anton Strenger(アントン・ストレンガー)氏

 プレゼンテーションでは、ゲームデザイナーを務めるアントン氏が登壇。まずアントン氏はゲームプレイについて、“可視化”を強調する。前作『V』では、「終盤ユニットが溢れかえってしまい、ユニットが混雑するためつぎのターンの動きを考えるのに少々混乱することがあった。『VI』ではそういった混雑を回避するためにスタック制が復活。これにより最大3つのユニットをスタック(積み重ねる)することでスッキリと見やすくなる。
 また、「プレイヤーがマップを見ただけで、“都市の発展の歴史が見られる”という点も重要視した」そうで、いままでは遺産を建築してもマップ上に反映されなかったが、本作からはタイムラプス風の建設シーンのムービーとともに、遺産がマップ上に登場するようになった。これにより、“都市の発展の模様がひと目で分る”=“マップの可視化”を実現しているのだ。

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地形の把握、活用が攻略のカギを握る

 また、遺産や区域をどの場所(タイル)に建設するかという点も非常に重要になる。区域とは、使用できるタイルをまるごと宗教施設や貿易施設などの大規模な専用施設にしてしまうという要素で、すべての施設がタイルの地形による影響を受けるようになっている。工業地帯は、隣接する鉱山や採石場からボーナスが得られ、キャンパスは隣接する山岳地形からボーナスが得られるといった具合だ。従来のシリーズ作品でも、ある程度周囲の環境によって都市の特性が決められていたが、本作ではより顕著に表れるようになったのだ。
 
 さらに特筆すべき点として、本作で追加された新要素“積極的な研究(アクティブリサーチ)”が挙げられる。“積極的な研究”は、海沿いで戦闘をしたらセーリングに関する研究にブーストがかかり、投石兵で敵を倒したら弓兵が新たにアンロックされたりと、ゲーム中のあらゆる行動が技術研究の発展スピードに影響を与えてくれるのだ。これは、いわゆる“決め打ちプレイ”(一定の方針や方法論に従ってプレイする攻略方法)が幅をきかせていた『V』の対処法でもあり、プレイヤーがあらかじめ目標としていた技術研究のほかにも、プレイを通じて獲得する予定のなかった技術を手に入れ、「この技術も進めていこうかな」と誘導させるよう、幅広いプレイを可能としてくれるのだ。

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 なお外交については、前作『V』で好評だったスパイ活動が、区域と連動するようになった。本作では従来通り、敵地にスパイを送ると、建設中の建物の詳細や軍事情報などの情報を得ることができたが、スパイを送った区域によって恩恵やボーナスが得られるようになる。たとえば、映画スタジオにスパイを送るとゴールドを盗み、劇場に送り込むと絵画を盗み自国に持ち帰ることで文化力がアップするようになっている。

新要素“社会制度ツリー”

 もうひとつ特筆すべき点として、従来のシリーズでは、鉄工技術や造船技術など技術全般を扱う“テクノロジーツリー”のみだったが、本作からは“社会制度ツリー”が追加されている。従来の技術ツリーから文化・政治関連の技術項目を分離・拡張させたものだ。
 “社会制度ツリー”では宗教や政治、経済などの社会的な発展項目があり、社会制度を採用すると政策カードスロットが得られる。政策カードのスロットには“軍事”、“経済”、“外交”と、特殊カードやほかのスロット用カードが入れられる“ワイルドカード”の4種類があり、軍事寄りの社会制度を採用すると軍事スロットが多いが外交スロットがなく、平和主義の社会制度なら軍事スロットがなく外交スロットが多いなどといった特徴がある。各カードにはさまざまなボーナスが付いており、プレイヤーはスロットに好きなカードを割り当てて任意のボーナスを発動できる。このボーナスをうまく使えば、技術的にほかの文明より劣っていても、政策カードのボーナス効果で同等に張り合うことも可能なのだとか。その一例として、日本固有のユニット“侍”は、この“社会制度ツリー”からアンロックすることができるとアントン氏は述べた。

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代表団を送ることで宗主国化が可能

 本作で興味深いのが、蛮族の野営地の破壊や資金贈呈で、ほか文明に対する影響力が上がっていたが、『VI』では“代表団”を派遣することで影響力を高めることができるように変更されていた。
 ほかの文明に代表団を派遣すると友好関係が結べゴールドなどが得られるほか、3回派遣することで宗主国にすることが可能だ。これにより、さらなるゴールドや高級資源が得られ、戦争時には軍隊を派遣してくれるようになる。
 なお現在のところ、代表団がどういった条件で登場するのかは不明なので、製品版で確かめてみたいところ。

個性的な“アジェンダ”(思想)を持つ指導者たち

 CPUの文明リーダーたちは、“海辺で兵士が強化される”などのそれぞれの特殊能力に加え、指導者の歴史的背景に基づいた行動指針“アジェンダ”が設定されている。たとえば、始皇帝は遺産を建てることを好み、もっとも遺産のある文明であることを維持するために行動する。また、隠されたアジェンダもあり、高難度では外交やスパイを使って調べる必要も出てくるだろう。「CPUの文明リーダーたちが、アジェンダの行動指針によってぶつかりあうさまを観るのもおもしろいです」と、アントン氏は述べた。

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 『シヴィライゼーション』シリーズの「文明を発展させる」というおもしろさと魅力を存分に引き継ぎつつ、『IV』や『V』で進化してきたシステムが集約し、さらにブラッシュアップされた本作。従来の問題点を改善すべく、綿密に練られたシステムは、奥深さゆえにやや長考されられることもあったが、シリーズファンなら納得の出来であると感じるだろう。


名曲『Baba Yetu』、そして本作のテーマ曲『Sogno di Volare』について

 本作では、『IV』のメインテーマ『Baba Yetu』を作曲し、グラミー賞 最優秀ヴォーカル入りインストゥルメンタル編曲賞に輝いたクリストファー・ティン氏が、テーマ曲『Songo di Volare』を作曲している。
 この発表に併せ、クリストファー・ティン氏が『Songo di Volare』と『Baba Yetu』について語るインタビュー映像とともに、7月にロンドンで行われたコンサートでの『Baba Yetu』オーケストラ演奏映像が公開。
 ティン氏はインタビューで、「音楽はふたつに分けられる。ひとつは素晴らしい音楽、もうひとつは忘れられてしまう音楽です」と述べる。確かに心に強く残っている忘れられないゲーム作品は、ストーリーやそのほかの要素に加え、音楽も素晴らしく、『Baba Yetu』を聞いただけで筆者は「タイルを進むと暗闇が晴れてほかの文明を見つけたときは感動したなー。カンジーが核爆弾で脅してきて腹が立ったな。またプレイしたい!」と、思わずにはいられない(思い出補正もあるかもしれないが)。
 『シヴィライゼーション VI』もそんな素敵な作品であることに期待しつつ、本稿を締めさせていただく。