ふたたびバンダイナムコエンターテインメント×アークシステムワークスとのタッグが実現

 バンダイナムコエンターテインメントから好評発売中のニンテンドー3DS用ソフト『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』。本作は2015年に発売されたニンテンドー3DS用ソフト『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝(エクストリームぶとうでん)』と同じく、対戦格闘ゲーム『ブレイブルー』や『ギルティギア』シリーズを手掛けるアークシステムワークスが開発を担当した作品だ。
 こちらのリリースでもお伝えしている通り、アシストキャラクターの追加コマンドが随時公開されたり、『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』とのクロス対戦も予定されているなど、ソフト発売後も新情報の絶えない盛り上がりをみせている。本稿では、本作でふたたびバンダイナムコエンターテインメントとアークシステムワークスのタッグが実現した経緯や開発秘話をプロデューサーの平田氏とディレクターの古谷氏にうかがった。

『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』バンダイナムコエンターテインメント×アークシステムワークスのタッグがふたたび_07
バンダイナムコエンターテインメント
プロデューサー
平田 玲氏(右、文中は平田)

アークシステムワークス
ディレクター
古谷亮輔氏(左、文中は古谷)
『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』バンダイナムコエンターテインメント×アークシステムワークスのタッグがふたたび_02
本作はアニメやマンガで人気の『ONE PIECE』を題材した本格的な対戦アクションゲーム。

――『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』に続き、ふたたびバンダイナムコエンターテインメント×アークシステムワークスとのタッグが実現した経緯をお聞かせください。

平田 『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』がおかげさまで非常に好評をいただきました。では、このおもしろさを仮に『ONE PIECE』×本格2D対戦アクションゲームにしたら、どのようなゲームになるだろうと考えたときに、非常におもしろそうだと。そこで、ぜひ、やりませんかとお声がけさせていただきました。これまで『ONE PIECE』を題材にした本格的な2D対戦アクションはなかったということもあり、自然と実現する方向になりました。

古谷 いいタイミングでお話をいただいて、じゃあそのまま継続してやりましょうと。

――『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』は長くアップデートされていて、『ONE PIECE』と作業が並行しそうですが……?

古谷 そのころ『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』のアップデートは、ほとんどキャラクターの追加だけだったので、なんとか並行して作業を進められる状態でした。アップデートの仕上げをしながら、『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』の仕様書を作っていました(笑)。

――これまで『ONE PIECE』の2D対戦アクションが出ていなかったというのは意外ですね。

平田 2Dの対戦アクションゲームはこれまでもリリースされているのですが、「最強を目指す!」といった、ガチンコで“対戦を楽しむ”といった本格的な2D対戦アクションはありませんでした。その点も本作を作ろうと思ったきっかけでもあります。それに『ONE PIECE』のキャラクターは個性が際立ったキャラクターばかりなので、それを本格的な2D対戦に落とし込むにあたり、ぜひアークシステムワークスさんに作っていただきたかったんです。

古谷 『ONE PIECE』のキャラクターたちの闘いを再現するのは本当にたいへんでした(笑)。『ドラゴンボール』は基本的に“気”と“格闘”を使った闘いじゃないですか。だから、ベースとなるゲームデザインやキャラクターを作る際はスムーズでした。また、悟空は格闘ゲームでいえばスタンダードな主人公タイプですし。しかし、『ONE PIECE』は、さまざまな能力や個性的な特徴で戦うキャラクターが多く、主人公のルフィからして、腕が伸びるなど、格闘ゲームでいうところの変則タイプに当たるキャラクターでしたから。

平田 確かに、「ナミは実際にどうやって闘うの?」と思いますし、チョッパーにいたっては身体のサイズが変わりますからね。

古谷 今回のチョッパーは作った側としても相当おもしろいですよ。対戦相手はもちろん、プレイヤーも驚くと思います(笑)。

――個性的なキャラクターぞろいではありますが、アークシステムワークスさんの格闘ゲームのイメージからすると、そういった特徴をゲームに落とし込んでおもしろく作るのは得意な気もしますが?

古谷 そうですね。弊社のいままでの格闘ゲームのキャラクターを参考にして進めた部分もあります。

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『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』バンダイナムコエンターテインメント×アークシステムワークスのタッグがふたたび_03
とにかく個性的なキャラクターの多い『ONE PIECE』。ふだんあまりバトルしないキャラクターをゲームに登場させるのは、かなりの苦労があったようだ。

――キャラクターの話題が出たところで、キャラクターの選出はどのように行ったのかお聞かせいただけますか?

古谷 平田さんと密に話し合いながら進めていきました。2016年4月に発売された『ワンピース バーニングブラッド』は、舞台を頂上戦争にフォーカスしていたので、そのキャラクターを中心に選出されていましたが、僕らはドレスローザ編が決着するタイミングだったので、そこを中心にプレイアブルキャラクターを選出していきました。でも、対戦アクションゲームとして、チョッパーやナミはどう闘わせたらいいのかとかなり悩みました。麦わらの一味は全員必要でしょと(笑)。

平田 当然です(笑)。

古谷 ディレクターといった立場からすると、全体を俯瞰してバランスを見ながら、取捨選択をしながら、ゲームデザインをしていかないといけないのですが、いざ取り組んでみるとこれをやったらおもしろいだろうなというのがどんどん出てきて、けっきょくはたいへんなことに(笑)。

平田 『ONE PIECE』は昔のストーリーに思い入れのあるお客様がたくさんいますし、そこが盛り上がるポイントだったりもするんですよ。アシストキャラクターを含めれば、東の海(イーストブルー)編のころのキャラクターや新世界編のキャラクターなど、かなり全体を網羅した形です。

――プレイアブルとアシストを合せると100体近く登場するのはすごいですね。

平田 もうひとつ大きなトピックとしてあったのが、7月から公開されている劇場版『ONE PIECE FILM GOLD(ワンピースフィルムゴールド)』。3年ぶりの劇場版ということで、このお祭りのタイミングで何ができるか? という課題もありました。そこで、劇中で久しぶりに登場したルッチ、あるいはテゾーロという映画のボスキャラクターを非常にきびしいスケジュールではありますが、本作に入れようと。

古谷 映画と並行して作っていたくらいの勢いだったので、本当にたいへんでした。限られた資料からイメージを作り、こういう技を出すだろうと攻撃を作ってみて、それを東映アニメーション様に監修していただいて……と、そういったやり取りをくり返して作り上げました。

――映画と同時進行だったんですね。

古谷 はい。とてもたいへんでした…。

平田 実際に映画が公開されてから数日後に、テゾーロの入った体験版を配信させていただいて、アシストキャラクターにも映画のキャラクターを入れることができました。スケジュールはもうメチャクチャでしたけど(笑)。

――そのタイミングで映画のキャラクターが反映されているのは、ものすごいことですね。

平田 やっぱり映画を見て感動して、そのあとすぐに体験版で映画の気持ちを自分の手で再度味わってもらえるというのは、僕らとしても間に合わせてよかったと思います。

古谷 テゾーロは、格闘ゲームのキャラクターとしても威圧感のあるボスらしいキャラクターになったと思います。

平田 テゾーロの敵を黄金化する能力もしっかりゲーム上で再現できましたし。

古谷 その能力を再現するためにキャラクター固有のゲージを作ったんですけど、これが『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』にはまったくなかった要素なので、かなりたいへんでした。テゾーロは相手を黄金化して動きを止めるキャラクターなので、その要素は絶対にはずせなかったんです。となると、たとえば投げを決めたときの演出として黄金化するだけではおもしろくないし、それなら固有ゲージを作ろうと。映画でも少しずつ黄金化していくので、イメージ的にも違和感はないですよね。

平田 開発スケジュールはかなり無茶ではありましたが、おかげさまで体験版をプレイされたファンの皆様から「テゾーロが出てる!? 能力もちゃんと再現されている!!」と、驚いていただけました。

――『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』のシステムで『ONE PIECE』のゲームを制作していったのではなく、本作ならではのバトルシステムになっているんですね。

古谷 まず、『ONE PIECE』のキャラクターは『ドラゴンボール』のように空を飛べないので、そうしたときに空中戦ではないおもしろいシステムを作る必要がありました。また、逆転する手段として、『ドラゴンボール』では気を爆発してパワーアップするんですけど、『ONE PIECE』で強くなるときは新しい技を使う表現があるので、そういったところは一定時間必殺技が使い放題になる必殺エンジン(必殺ゲージ50%消費)だったり、必殺技の強化版がくり出せるといったシステムを盛り込んで再現しました。

――『ONE PIECE』のバトルをイメージしてシステムを構築していったんですね。

古谷 そうですね。『ONE PIECE』はキャラクターごとに特性・特徴が大きく違っているので、それを再現していかなくてはいけません。それは『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』のシステムではできませんでした。

平田 あとは『ONE PIECE』のキャラクターは表情が豊かで、すごく印象に残る部分なので、必殺技をくり出した際のカットインだけではなく、やられたときの顔も入れてもらいました。

古谷 最近の格闘ゲームではあまりやられたときの顔は出ないんですけど、そういうものがあったほうが『ONE PIECE』らしいですよね。

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劇場版アニメに活躍するキャラクターが早くも登場。劇場版とほぼ平行して開発が進められたそうだ。

――キャラクターは“海賊団をつくろうモード”(団つくモード)をプレイして解放していく形ですか?

古谷 団つくモードをプレイしてどんどん仲間を増やしていく形です。そこで仲間にしたキャラクターは対戦でも使えるようになります。

平田 体験版のセーブデータを引き継げば、そのキャラクターたちは最初から解放された状態になるので、本作が気になる方はとりあえず体験版をプレイしていただくことをオススメします。

――団つくモードはボリュームがすごいですよね。

古谷 プレイするユーザーにもよりますが、ひとつのシナリオがだいたい1時間半程度で、それが5本。さらに、選んだ船長によって話が違いますし、ランダムで発生するイベントもありますので、くり返し遊べる仕様になっています。

平田 じつは、シナリオのボリュームを改めて確認すると、メインシナリオのストーリーよりもサブでランダム発生するシナリオのほうが多いんですよ。ルフィとローはおなじみの組み合わせですが、サブシナリオではルフィとビビだったり、いろいろな組み合わせの会話が楽しめるので、ファンにはうれしいと思いますよ。

古谷 おそらく作中であまり会話したことのないキャラクターどうしの掛け合いもありますよ。だからシナリオを作っている際に、このキャラクターはこのキャラクターのことをなんて呼ぶんだろう? から始まり、いろいろ試行錯誤しました(笑)。

――ゲームならではのシチュエーションを作るのは難しそうですね(笑)。

古谷 団つくモードはステータスを強化できるので、移動が速かったり、攻撃力が高かったりと通常では考えられないようなキャラクターを作れるんですよ。さらにそのキャラクターは対戦でも使用できるので、自分の作った最強の海賊団を持ち寄ってワイワイ楽しめるんです。

平田 どういった特性をつけて闘うかがおもしろいですよ。あまり強化しすぎると、逆に扱うのが難しくなったりもしますから(笑)。

『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』バンダイナムコエンターテインメント×アークシステムワークスのタッグがふたたび_06
団つくモードでは、自分だけの海賊団が作れる。ランダムイベントが多数収録されているため、くり返しやり込むことが可能。

――『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』とのクロス対戦は、どういった経緯で実現したのでしょうか?

平田 さきほどもお話した通り、2016年は劇場版『ONE PIECE FILM GOLD(ワンピースフィルムゴールド)』が公開されて、コンテンツとして盛り上がっている時期でもありましたし、劇場版公開のお祭りの年ということで、ぜひ、お客様が想像をしなかった驚きを提供したいと思いまして、これはもう夢の対決しかないだろうと。

古谷 無茶振りでしたね(笑)。そもそも『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』はすでに発売されているタイトルですし、クロス対戦のことはまったく考えずに作ってあるので、まずはシステム的にそんなことができるのか? という検証からスタートしました。最終的に、なんとかいけそうだということになり、本格的に開発をスタートしました。

平田 でも、開発中にゲーム画面を見たときに、まったく別の世界観というか、“クロス感”がすごかったです。一方で、相手と自分の必殺技ゲージも違うなど、『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』と『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』のシステムの矛盾をどうすり合わせようかと、頭を悩ませました。

古谷 どちらかのシステムに寄せれば楽なんですけど、やっぱり対戦ゲームなので、片方が有利ならないようにしないといけないですからね。

――それにしても異なる作品どうしの闘いはとても新鮮ですごそうですね。

平田 『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』だけでも総勢100体以上の闘いがくり広げられる中、一気に『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』のキャラクター100体が増えますからね。総勢200体を超える本格2D対戦アクションなんて聞いたことないですよ(笑)。

古谷 もう相手側からどんなキャラクターが飛び出してくるかわからないですよ。すべてを読み切れないボリュームになっていますからね。

――ちなみに、オススメのキャラクターの組み合わせはありますか?

平田 ルフィやナミのチームに、ビビを入れて原作を再現しようとか、僕はキャラクターに寄せた組み合わせを楽しんでしまいますね。

古谷 僕はキャラクターとしてサンジが好きなので、サンジひとりと女の子4人というハーレム状態のチームを組んでしまいます(笑)。ちなみに、女の子キャラはコストが低いキャラが多いので、サンジひとりでも4人入れられるんですよ。

平田 アシストキャラクターをうまく組み合わせれば、プレイアブルキャラクターの弱点を補ったり、長所をさらに伸ばしたりできるので、自分のプレイスタイル合せていろいろな組み合わせを探してみてほしいです。

――『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』は発売後に追加のアップデートがありましたが、本作でもあるのでしょうか?

平田 アシストキャラクターを追加するコマンドを少しずつ公開していく予定です。アニメが現在進行形でストーリーが進んでいるので、「アニメに出ていたキャラクターが、すぐにゲームが遊べる」というところを楽しめると思います。あとは、さきほど話したクロス対戦を可能にする更新データを11月に配信する予定です。年末には大会も行う予定ですので、それに向けて新しいアシストキャラクターが来たら試してみてほしいですね。

――では、『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』、『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』と続くと、ほかのジャンプコミックスの対戦アクションゲーム化を期待するファンも多いかと思います。今後予定はあるのでしょうか?

平田 まったくありません(笑)。『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』を作りあげることで精いっぱいでした。これからも追加のキャラクターのコマンド公開、更新データの配信や大会などもありますので、引き続き、お客様がご満足いただけるように努力していきたいと思っています。

――では続報期待しています。最後にファンへのメッセージをお聞かせください。

古谷 『ドラゴンボールZ 超究極武闘伝』、『ONE PIECE 大海賊闘技場(ダイカイゾクコロシアム)』と2作続けてやらせていただいて、今回はより尖った『ONE PIECE』らしいゲームになったと思います。ぜひ、自分だけの海賊団を作っていただければ。

平田 今回『ONE PIECE』が好きなお客様に向けて、『ONE PIECE』だったらどういう風に対戦するのがいいのかや、どういうシステムならおもしろいだろうと突き詰めたゲームになっています。ぜひ年末の大会に向けてやり込んでもらって、友だち、あるいはまだ見ぬライバルたちと戦ってほしいです。