中四国の聖地を目指す岡山県に全国から猛者達が集結
2016年9月に中国地方、岡山県のゲームセンター“アミパラ岡山店”にて、アーケード格闘ゲームの大型イベント“闘神祭2016”の、『鉄拳7 FATED RETRIBUTION』(以下、『鉄拳7FR』)部門の予選大会が実施された。本稿では、中四国の強豪プレイヤーと関東から参戦のプロ格闘ゲーマーたちによる、5時間にも及ぶ熱戦がくり広げられた現地の模様をリポートする。
“闘神祭2016”はタイトーが主催するアーケード格闘ゲーム複数タイトルの全国大会。2016年7月~9月にかけて全国のゲームセンターで予選大会が開催され、全国各エリアの代表選手を選出。代表選手たちは2016年10月16日に東京で実施される全国決勝大会に出場し、全国制覇を争う。『鉄拳7FR』部門は3on3チーム戦のレギュレーションを採用。選手は3人1組でチームを組み、チームどうしの勝ち抜き戦で勝敗を競う。
今回取材したアミパラ岡山店では、店舗代表チームを決める店舗予選と、中四国エリア代表の決勝大会進出チームを決めるエリア決勝が実施された。店舗予選には14チーム42名の選手が参加。出場メンバーの中には、関東からプロ格闘ゲーマーYAMASA所属ユウ選手&ノビ選手、タケ。選手や、鉄拳女子最強プレイヤーの呼び声も高いたぬかな選手、『鉄拳』界最大規模の大会“MASTERCUP”優勝経験もある関西最強プレイヤーの一角にっしん選手、関西で最強三島使いの双璧をなす暇人総長選手、ジョー選手等が参戦と店舗予選からタレント揃いで全国屈指のハイレベルな激戦がくり広げられた。
店舗予選
店舗予選を制したのは、【無心鉄拳】ユウ選手(ブライアン)&ノビ選手(ドラグノフ)&タケ。選手(ブライアン)のチームだったが、決して平坦な道のりではなく1回戦から苦戦を強いられる。
ユウ選手&ノビ選手がプロとして所属している岡山県に本拠地を構える山佐株式会社の鉄拳部社員チーム大将リドゥ選手(ポール)が、先鋒タケ。選手、中堅ノビ選手を倒す大活躍をみせる。大将戦ユウ選手がリドゥ選手の勢いを抑え、辛くも1回戦負けを防いだ。
準決勝は、関西最強の三島使い暇人総長選手(一八)、ジョー選手(平八)、世界屈指のアリサ使いにっしん選手のチームと対決。先鋒戦ノビ選手が暇人総長選手に敗れるも、中堅タケ。選手が怒涛の3人抜きで勝ち上がる。
決勝戦は広島県から参戦のにーの選手(ニーナ)、ほーく選手(シャオユウ)、パッツん丸(ギガース)選手のチーム。ほーく選手が原動力になり決勝まで勝ち上がってきた。しかし先鋒ユウ選手が3人抜きの活躍でエリア決勝に進出した。以下動画を掲載する(店舗決勝は1:50:00あたりから)。
闘神祭2016 鉄拳7FR 中四国エリア店舗予選トーナメント
エリア決勝
店舗予選終了後は、アミパラ岡山店を含むエリア内の別店舗で予選を突破していたチームが加わり、全6チームで全国決勝大会出場権をめぐるエリア決勝が実施。出場チームは以下のメンバーだ。
■Aブロック
・アミパラキャッスル店代表チーム
【電柱】アラレ選手(キング) かんちゃん選手(ファラン) nao選手(フェン・ウェイ)
・アミパラ広島店代表チーム
【ヌマップ】クルス選手(スティーブ) マス選手(ファラン) やま選手(ジョシー)
・戦-IKUSA-店代表チーム
【やらないか】せるげー選手(フェン) 降格のスピードスター選手(スティーブ) しぐ選手(クラウディオ)
■Bブロック
・アミパラ岡山店店代表チーム
【無心鉄拳】ノビ選手(ドラグノフ) ユウ選手(フェンウェイ) タケ選手(ブライアン)
・アミパラがいな店代表チーム
【はりねずみ】パトラッシュ選手(シャヒーン) 隼【1】選手(一八)トライバル選手(ニーナ)
・セガワールドながさわ店代表チーム
【鼻糞の秘密をそっと話くそう】 岩しょん選手(吉光) +古人+選手(こびと)(キング) むぎちゃん選手(カタリーナ)
エリア決勝は以上6チームによるリーグ戦で争われた。
Aブロックは、広島県アラレ選手(キング)の活躍で中四国対決を制し【電柱】が決勝戦に勝ち上がった。Bブロックは、注目の試合が第1試合に行われた。【無心鉄拳】対【はりねずみ】。現在鳥取在住、全国屈指の強豪ニーナ使いトライバル選手vsノビ選手。かつて関東在住時に何度も対戦経験があるふたりの対決。数年ぶりの対戦であったが、読み合いは変わっておらず見応えのある試合となった。ノビ選手が3人抜きで勝利。
【無心鉄拳】対【鼻糞の秘密をそっと話くそう】。タケ。選手が持ち前の鉄壁の守りで、関西の古豪である岩しょん選手(吉光)、+古人+選手(こびと)(キング)をふたり抜き。大将の若手のむぎちゃん選手(カタリーナ)が、非常に高い反応から大事なシーンで“スカ確”を取り続け、タケ。選手を倒す。中堅ノビ選手の代名詞ともいえる「神速のアサルト」(ロシアンフック・アサルト 666RP)で押さえこみ決勝戦へ勝ち上がった。
各ブロックを勝ち上がり、決勝戦は【電柱】対【無心鉄拳】。先鋒戦アラレ選手対ユウ選手。一方的にユウ選手が勝利するかと思われたが、要所要所で太い“ライトゥー”や、“当身”読みを通したアラレ選手が勝利。中堅ノビ選手に対しては「神速のアサルト」と対となる、Ver.Dバージョンアップでフレームとダメージが強化された「大地のスライディング(ライナーロック 走り中にLK)」を下段さばきからのコンボ、そして起き攻めに鉄拳7FRからの新要素レイジドライブを決め勝利をつかみ、プロ格闘ゲーマー2人を倒す大金星をあげた。
しかし大将タケ。が、持ち前の鉄壁ディフェンスで流れに乗ったアラレ選手の太い読み合いの攻めを守り切り勝利。中堅かんちゃん選手(ファラン)との試合で注目なのは、2ラウンド目で見せた最後の体力1ドットの削り合い。かんちゃん選手の起き上がり蹴りをタケ。選手がいぶし銀な前ダッシュ立ちLPによる技の発生勝ちでラウンドを勝ち取る。その後はファイナルラウンドまでもつれ込むも、タケ。選手が攻めに緩急をつけたタイミングで、ヘルレイザー(横移動中にLP)をガードさせ、ニークラッシュ(立ち途中にLK)を仕込みカウンターヒットさせてからのコンボを決め勝利をつかむ。
nao選手(フェン)との大将戦に両チームの命運のすべてが託された。予想に反して序盤からタケ。選手が早い展開を作り、終始ペースを握り続け勝利。闘神祭2016『鉄拳7FR』部門、中四国代表枠は【無心鉄拳】が獲得した。本予選前日に開催された「9・17 KELOTCUP2 中四国最強決定戦 3on3」(参加者87人)も優勝しており、ユウ&ノビが所属する山佐株式会社のお膝元である岡山県で、連日の優勝を飾りプロ格闘ゲーマーたる実力を証明した。以下動画を掲載する。
闘神祭2016 鉄拳7FR 中四国エリア決勝トーナメント
優勝チームコメント
写真左から、タケ。選手、ノビ選手、ユウ選手。
――優勝おめでとうございます。店舗予選、エリア決勝と印象に残った試合がありましたらお願いします。
ユウ選手 店舗予選は闘神祭予選の中でも参加チーム数がかなり多く、予選から関西チームや中四国の強豪チームと当たったりとにかくきびしい内容だったと思います。前日のKELOTCUP2でも3人がそれぞれ仕事をしながら優勝できたので、その勢いをそのまま持ち込めたのが何よりの勝因だと思いますね。
ノビ選手 印象的な試合はヤマサチームで、とにかく危なかった。トライバルと試合できたのも楽しかったし遠征って本当にいいですよね。前日のKELOTCUP2からタケ。の動きが凄くよくて、今日は任せられるなとユウさんとふたりで思っていました。結果的には、俺もユウさんも要所で勝ったので全員勝率は70%だったかなと。ただ、大事なところでタケ。が勝ってくれて本戦の切符を勝ち取ってくれたので感謝しています。久しぶりに全員鉄拳ができたチーム戦で、とても楽しかったです。
タケ。選手 予選からエリア決勝まで、印象に残ったのは予選1回戦でヤマサチームに追い込まれたところですね。ひとつ間違えたら負けていたかもしれません。ユウさんが最後締めてくれて本当に助かりました。あとは、やはりエリア決勝の決勝戦ですかね。まさか先にふたりがコロッと負けるとは思わなかったっす。もうダメだと思っていました。流れに乗ったキングは本当に大会で対戦したくありませんでした。でも、先にふたりの試合見れたのでなんとか対策練って勝ちにつなげられましたね。あとはメンタル勝負だったのではないかなと。落ち着いてやれたのが勝因だと思います。
――最後に闘神祭2016本戦に向けて、ひと言コメントをお願いします!
ユウ選手 この形式で出場チームが決まるのは、格闘ゲーマーに取って思い入れが非常に大きいと思います。出場が決まっているチームは全国見渡しても強豪だらけなので、とにかく本戦まで試合数をこなして万全の準備をしたいと思います。
ノビ選手 鉄拳界で「無心鉄拳」は、勝って当たり前みたいなプロとしての責任は感じています。ただ、それって認知されていることでもありますし、逆に有り難いことなので気負いは無いです。俺は世界のビッグタイトルである「MASTERCUP、EVO、公式世界大会」は優勝しているのですが、予選型全国大会形式の「闘劇、闘神祭」だけは優勝できていないので、今回は優勝して鉄拳界で前人未到のグランドスラムを達成して実績を残したいと思っています。
タケ。選手 予選、エリアと楽な試合ではなかった中で取れた本戦への切符なんでこの流れで優勝目標にがんばりたいですね。
■文・取材・撮影 : まさかり仁