台湾の強豪チームと日本代表が大激突!

 2016年9月15日(木)から9月18日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ 2016(15日・16日はビジネスデー)。最終日の9月18日に、インテルブースにてPC版『Overwatch』の“日本vs台湾 国際エキシビションマッチ”が行われた。

 日本代表チームとして出場したのは、8月21日に行われた“JCG Master 2016 Summer Finals”にて優勝を果たしたプロゲーミングチーム“DeToNator”。対する台湾代表チームは、『Alliance of Valiant Arms』や『League of Legends』などでも活躍する強豪チーム“ahq e-Sports Club”(以下、ahq)。

『Overwatch』世界レベルの超絶プレイに観客の視線は釘づけ! 日本 VS. 台湾エキシビションリポート【TGS 2016】_01
▲プロチームによるハイレベルな試合が行われるとあってか、会場となるインテルブースから通路にまで観客が集まる盛況ぶり。『Overwatch』の人気の高さがうかがえる。

 じつはこの2チームは、台湾で開催されたオンライントーナメントでも何度か対戦をしている、言わばライバルチームどうし(『Alliance of Valiant Arms』部門も世界大会で対戦経験あり)。1週間前のトーナメント決勝戦では、3対1というスコアでDeToNatorが勝利を収めたが、実力は紙一重。今回の国際エキシビションマッチはその勝敗に注目が集まった。

 今回のエキシビションマッチでは、先に3つのマップを制したチームが勝利。BO3という形で行われた。

 1マップ目はDORADO。攻め側と防衛側に分かれて対戦を行い、攻め側はペイロードと呼ばれる乗りものを護衛して目的地点まで運び、防衛側はそれを阻止することになる。

 最初に攻めるのはahq。中継地点となる第1チェックポイント前で牽制し合う中、ahqがZONDA選手の使うゲンジを中心にDeToNatorの固い守りを崩していく。対するDeToNatorは、XQQ選手の使うメイのアルティメットスキル“ブリザード”で敵を凍らせてうまく足止め。しかし、それでもahqの勢いは止まらず、第1、第2チェックポイントと続けざまにペイロードの進行を許してしまう。そのまま目的地点まで運ぶかと思われたが、DeToNatorが素晴らしい連携力を見せ、防衛に成功。ahqは61.19メートルという記録に終わった。

 サイドを交替し、つぎはDeToNatorが攻めに。ahqがやや時間を取られた第1チェックポイント前では、XQQ選手が敵の後衛を、deleave選手が前衛を見事に撃破し、難なくと通過。だが、第2チェックポイント前の広場で、ahqの固い守りに大苦戦。辛くも突破はするものの、残り時間はあとわずか。そのままahqの記録に届かず、初戦はDeToNatorの敗北という形となった。

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 2マップ目はLIJIANG TOWER。このマップでは、ひとつの拠点を2チームが奪い合い、拠点制圧中に貯まるポイントが指定ポイントに達することが目標。3本先取で勝利となる。

 第1マッチの最初のぶつかり合いでは、DeToNatorが一気に戦線を上げて有利を取ったかと思われたが、ahqがDeToNator側の前衛をうまく対処し、撃破。数が減ったDeToNatorが後退し、ahqが拠点を制圧した。その後、すぐに拠点を制圧し返すDeToNatorだったが、ahqのDanny選手の使うザリアが敵を一掃する活躍を見せ、ahqが拠点を奪取。そのまま直後のDeToNatorの攻めをはねのけ、ahqが1マッチ目を制した。

 第2マッチでも、最初に拠点を制圧したのはahq。DeToNator側も猛反撃を試みるが、またしてもDanny選手の使うザリアに阻まれてしまう。一度も拠点の制圧を許すことなく、ahqが2本を先取する形となった。

 後がなくなったDeToNatorは、第3マッチで始めて先に拠点を制圧。ahqはアルティメットスキルを起点とした巧みな攻めで拠点を制圧し返す。試合終盤は、一方が拠点を制圧すれば、もう一方もすぐに取り返すという展開に。白熱のシーソーゲームを制したのは、驚異的な粘りを見せたDeToNator。これでスコアを1-2に持ち直した。

 しかし、第4マッチではahqがDeToNatorを圧倒。チーム全体の狙いをひとりに絞り、確実にひとりずつ撃破してくという丁寧な立ち回りを見せたahqが勝利し、2マップ目の勝者となった。

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 3マップ目はNUMBANI。攻撃チームはまずペイロードを確保し、目的地点へと運ぶ。防衛チームは、これを阻止するのが目的となる。

 ahqの攻めから始まった試合は、タンクヒーローを担当するLILGHO選手とDanny選手が怒涛の活躍を見せ、あっという間に最初の拠点を制圧。その後もahqが高い連繋力を見せ、DeToNator側の前衛ヒーローから順に倒していき、ほぼノンストップで目的地点まで到達した。

 サイドを交替し、なんとかペイロードを目的地点まで運んでサドンデスに持ち込みたいDeToNatorは、怒涛の攻めを見せ、最初の拠点をスムーズに制圧。しかし、ahqがここでタンクを3名(タンク2、オフェンス2、ヒーラー2が基本的な構成とされている)に変更し、固い守りを見せる。それでもジリジリとペイロードを押し進め、あと1歩で目的地点までゴールというタイミングで、XQQ選手の使うリーパーがきれいにアルティメットスキル“デス・ブロッサム”を決める。このまま目的地点まで到達かと思われたが、間一髪で復活したahqの選手たちが間に合い、そのままDeToNatorを壊滅。ここでahqの勝利が確定した。

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 国際エキシビションマッチは、日本チームの健闘もむなしく、台湾チームの3連勝と圧倒的な力を見せつけられる結果となった。勝利は台湾チームに決定したが、ここで終了時間までエクストラマッチが行われることに。思わぬ展開に、会場からは歓喜の声が巻き上がった。

 使用マップはNEPAL。エキシビションマッチの2マップ目と同様に、ひとつの拠点を争って戦うマップだ。

 ぜひとも日本の意地を! と期待された1戦目だが、ここでもahqのうまさが光った。怒涛の攻めを見せるDeToNatorに対し、下がりながらも巧みに相手のヒーローをいなし、確実に数を減らしていくahqが主導権を握る。そして、そのままなす術なくahqが1戦目を勝利した。

 2戦目でも、完全に勢いに乗ったahqに対し、攻め手を欠く場面が多いDeToNator。ジリジリと点差を広げられ、ここでもahqが勝利。

 3戦目では、試合の途中でahqのGURA選手の使うPCにエラーが発生。そのため、無効試合となり、そのまま再選が行われる形に。4戦目でも最初に拠点を制圧したのはahq。しかし、ここでDeToNator側も果敢に攻め、拠点を奪い返すことに成功。着実にポイント差を埋めていくが、最後はahqのアルティメットスキルの応酬に耐えられず、そのまま拠点を奪われ、ahqが勝利。エクストラマッチでも、ahqが高い連繋力を見せつける結果となった。

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 エキシビションマッチ、エクストラマッチともに、差を見せつけたahq。試合後のインタビューでは、対戦相手のDeToNatorを称えつつ、「こんなに大勢の観客の前でプレイできてうれしい。そのため、120パーセントの力を出せたと思う」と、ahqリーダーのLILGHO選手がコメントした。

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▲インタビュー開始時には「みなさん、こんにちは!」と流暢な日本語も披露したLILGHO選手。DeToNatorとは何度も対戦を行っており、いちばんのライバルチームだと語った。

 今回は、日本代表にとっては残念な結果に終わってしまったが、これで終わりというわけではない。まだ今後もeスポーツシーンの中心で活躍し続けるであろう『Overwatch』で、日本のチームも着実に成長していくことは間違いないだろう。今回、敗北したDeToNatorも、もちろん負けを通じて多くのことを学び、つぎに活かすはずだ。ぜひとも、彼らのつぎの戦いに注目したい。

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▲イベントの最後には、握手や抱擁で互いを称え合う両チームのメンバーたち。彼らが世界で活躍する選手の中心になることを願うばかり。