「オイヨイヨは大切にイジってください」(武田さん)

 2016年9月15日から18日に開催(15、16日はビジネスデイ)される、東京ゲームショウ 2016。同イベント最終日となる18日、スクウェア・エニックスブースでは、2017年に発売が予定されるプレイステーション4用ソフト『ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ』のスペシャルステージが開催。ステージでは、プロデューサーの加藤弘彰氏のほか、ヴァン役の武田航平さん(ボイス&モーションアクター)、パンネロ役の小澤真利奈さん(同じくボイス&モーションアクター)、そして音楽を手掛けたベイシスケイプの崎元仁氏がゲストに迎えられ、オリジナル版『ファイナルファンタジーXII』の制作秘話などが語られた。

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▲プロデューサーの加藤弘彰氏。オリジナル版は日本ゲーム大賞 2006で年間作品部門の大賞を受賞。「当時、登壇させていたいて、10年後、東京ゲームショウでこうしてステージが実施できることは感慨深いです」
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▲ヴァン役の武田航平さん(左写真中央)とパンネロ役の小澤真利奈さん(右写真右から2番目)。武田さんは「オイヨイヨでーす」と挨拶。もう本人までネタに……。

 まず、武田さんはオリジナル版から10年が経ったいま『FFXII』がHDリマスターされることについて、「感無量」と語り、オリジナル版制作時は高校生で、「モーションキャプチャーの収録時は週2でスタジオに通い、食べ盛りだったので、そこで出してもらえる弁当が楽しみだった」と当時を振り返った。

 一方の小澤さんは、パンネロ役のオーディション時は16歳でパンネロも16歳。「パンネロとともに成長させていただきました。また、パンネロと再会できてうれしいです」とコメント。オリジナル版当時の思い出としては、「パンネロ役が決まったときは15キロのダイエットに成功したときで、体重が変わるとモーションキャプチャーのデータとしてはダメだと考えて、出してもらったお弁当も食べず、体重キープに必死でした。でも、しばらく経って、加藤さんからそんな必要はなかったと聞かされたときはショックでした(笑)」というエピソードを披露した。

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ロード時間短縮、レベル上げもサクサク。「ストレスがないのでやり込みに向いていますね」(武田さん)

 ステージでは、ヴァンとパンネロの登場シーンが公開され、HDリマスターされた『FFXII ザ ゾディアック エイジ』について、「こんなにキレイになっているとは思わなかった!」(武田さん)「(細かい部分もしっかり描画されているため)ヴァンのまつ毛がスゴい!」(小澤さん)と、ふたりのテンションも上がりまくり。

 グラフィックは6月に開催されたE3 2016時よりさらにブラッシュアップされ、加藤プロデューサーも「いまの技術を使うことで、キャラクターデザインを担当した吉田明彦さんの繊細なタッチを再現できています。また、カットシーンのライティング、被写界深度の技術も入れていて、いまの時代の表現に合わせたグラフィックになっています」と自信を見せた。

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 実機デモも披露。場所はゲーム序盤のルース魔石鉱で、高速モードやローディング時間の短縮、オートセーブ機能、ロケーションマップがセレクトボタンを押さなくて表示される(セレクトボタンから別画面に飛ぶ必要がなくなった)など、『FFXII ザ ゾディアック エイジ』で追加されたさまざまな改良点が紹介。「サクッとストレスなく遊べるようになっているので、『FFXII』をプレイしたことがある方も、ぜひ一度お試しください」(加藤プロデューサー)

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生楽器の音はやはり響きが違う

 また、本作は7.1ch サラウンド対応、音声の高音質対応、BGMはオリジナル版と、本作用に全曲再録した新録版の2バージョンが収録されている。ここからは、楽曲を担当した崎元仁氏もトークに加わり、『FFXII ザ ゾディアック エイジ』の魅力をさらに掘り下げた。

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▲義弟の結婚式を抜け出して、幕張メッセまで駆けつけた崎元氏。

 まず、加藤プロデューサーとの思い出話として、『FFXII』制作当時、プロジェクトマネージャーを担当していた加藤氏が、崎元氏の楽曲制作スケジュールに不安を感じ、プレッシャーをかけるために、「曲ができないなら、家まで行ってできるまで待ちます」と、崎元氏の自宅兼事務所に乗り込んだエピソードを披露。「もしかしたら、加藤さんが来たらいい曲ができるかもしれない、とも思いましたが、そうでもなかった。今後はあまり来てほしくないなと思いました(笑)」(崎元氏)。

 一方、加藤プロデューサーが思い出に残っている崎元氏とのエピソードとして、開発末期、もうマスターアップする直前で、崎元さんからすべてのカットシーンをチェックしたい、というリクエストがあったという。「オーダー通りに楽曲作成したんですが、最終的にどういったシーンで使われるのか、確認したかったんです」(崎元氏)。その後、いくつかのカットシーンでアレンジ変えたり、突貫で7~8曲を新たに作ることになったりと、開発スケジュール的には、かなり冷や冷やモノだったとのこと。「結果としてはいいものになりました。『空賊への夢』も最後にできた曲のひとつ。それは今回のTGSトレーラーにも使わせてもらったほど、気に入っています」(加藤プロデューサー)。

 そのほかの開発秘話として、フォーン海岸で流れる曲は、じつはラスボス用として作られたものだったが、皆川裕史ディレクターから「ラストバトルは解放軍と帝国軍の思がぶつかるシーンになるので、両軍のテーマが入り交じったものにしてほしい」という意向があったため、変更されたという。

 『FFXII ザ ゾディアック エイジ』では、そんな楽曲群が新録される。「オリジナル版はシンセサイザーの打ち込みメインで制作されたのですが、それだと表現力にどうしても限界があるので、生楽器で新たに収録することを提案させてもらいました」(崎元氏)。生楽器は音の響き、音色がゴージャスで、ゲーム中に移動しているだけでも楽しい気分にしてくれるという。ちなみに、当時のBGMでプレイしたいという人のために、オリジナル版も収録されている。

 さらに、今回は新曲も追加されているという。「オリジナル版では違うロケーションでも曲を流用していたところがあったのですが、今回はロケーションのイメージに合う曲を新たに作ってもらいました」(加藤プロデューサー)。「かつてのイメージを思い出しながら作曲するのは拷問に近いんですが(笑)、なんとかがんばりました」(崎元氏)。

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▲新録は海外で。

 開発秘話だけでも話が尽きなかった本ステージ。最後に加藤プロデューサーは、「まだお話できていない情報があります」と発言。それについては今後、公開していくとのことなので、今後も『FFXII ザ ゾディアック エイジ』の情報をチェックしていただきたい。

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▲ステージ締めの挨拶で武田さんが「『FFXII』の世界を舞台にしたい」と発言。これには小澤さんも「絶対いい舞台ができるよ!」と賛同。舞台化はトレンドでもあるので、実現すれば新しいファン層の開拓にもつながりそう。見たい!