『アジア太平洋ゲームサミット』開催、台湾ゲーム市場の現況について【TGS 2016】_01

総人口2344万人に対し、ゲーム人口は756万人

 2016年9月15日(木)~9月18日(日)まで、千葉県・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ 2016(15日、16日はビジネスデイ)。15日、隣接する東京ベイ幕張ホールでは、“アジア太平洋ゲームサミット 2016 in Tokyo”が開催され、台北市コンピュータ協会のSally Tsai氏による“台湾ゲーム市場の現況について”という、台湾進出を考える日本のメーカーに向けてのセッションが行われた。

 “アジア太平洋ゲームサミット”とは、台北市コンピュータ協会が主催している、台湾のゲーム業界と世界とをつなぐイベントだ。台北市コンピュータ協会は、1974年に設立され、4000を超える企業が加盟する団体。政府の依頼により、ゲームの年齢別レーティング審査も担当している。また、東京ゲームショウに会員企業を引き連れて出展し、海外でのライセンシングなどを推進するなど、海外進出にも熱心とのこと。

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▲Sally Tsai氏

 最初にTsai氏は、「台湾がほかにないゲーム市場である」ことを説明するため、『ポケモンGO』が先月台湾でスタートしたときのようすを紹介。レアなポケモンが出現するという公園に、まるで花火大会の観客のような規模で人々が続々と集まってくるようすは、アメリカ『TIME』にトップニュースとして紹介されるほどだったそうだ。

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 Tsai氏が紹介した2015年の統計データによると、台湾の総人口は2344万人で、そのうちアクティブなネットユーザーは1869万人。モバイル端末は3260万台が普及している。また、ゲームユーザー数は765万人(2015年)という統計があり、そのうち携帯ゲームユーザーが473万人と最も多いことからも、モバイルゲームに有利な環境であると言えそうだ。

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 また、2015年の台湾のゲーム市場規模(家庭用ゲーム機、モバイルゲーム、ブラウザゲーム、オンラインゲームの合計。業務用ゲームは含まず)は420億元(NTW)であり、毎年5%ほどの成長が見込まれているとのこと。やはり、モバイルゲームの貢献率が最も高い。ゲーム産業の営業収益において台湾が世界15位であるという、市場調査会社Newzooによるデータも発表された。

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日本のアニメを題材としたゲームを好む台湾ユーザー

 続いてTsai氏は、台湾がオープンな市場であることをアピール。たとえば、中国のアプリランキングは、政策上の問題もありトップ10中9タイトルを自国の製品が占めているそうだ。また、日本はユーザーの志向から、やはりトップ10中9タイトルがMade in Japan。これに比べ、韓国や台湾は比較的オープンな傾向が見られ、とくに台湾は日本製アプリが上位にランクされているという。

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 台湾のユーザーは、幼い頃から日本のアニメの影響を受けていて、ゲームでも日本のアニメを題材としたものを好むそうだ。また、お気に入りのジャンルは、モバイルでもPCでもRPGが1位。カードやパズルは、モバイル端末で遊びやすいことから、PCよりもモバイルで好まれる傾向にあるとのこと。課金に積極的なプレイヤーも多く、PCオンラインゲームでは8割、モバイルゲームでは5割超のユーザーが課金中というアンケート結果が紹介された。

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『台北国際ゲームショウ』は2017年1月に開催

 最後にTsai氏は、台湾でのゲームのマーケティングについて説明。台湾ではFacebookやLINEといったSNSの利用率が高く、多くのゲーム企業がこうしたSNSを通して宣伝活動を行なっているという。また、『バハムート』をはじめとした台湾独自のゲームメディアの影響力も無視できないそうだ。オフラインでは、人の多いところでのキャンペーンや屋外広告といった手法も使われているのだそう。

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 そして、2017年1月19日~24日まで開催される『台北国際ゲームショウ』が、B2Cにおいてのマーケティングでも、B2Bにおいてのビジネスマッチングの場としても、日本メーカーの台湾や世界進出への最高の舞台となるとし、出展を呼びかけてセッションを締めくくった。