ベータ体験版に手応えアリ

「『仁王』はさらにしっかりと磨いていく」早矢仕Dインタビュー&TGS試遊リポート【TGS 2016】_04
▲『仁王』ディレクターの早矢仕洋介氏。背後には『仁王』のオブジェが。

 2016年9月15日(木)から9月18日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ 2016(15日・16日はビジネスデイ)。コーエーテクモゲームスブースに出展されている『仁王』について、『仁王』担当編集者が早矢仕洋介ディレクターへのインタビュー。さらに、東京ゲームショウ試遊バージョンをプレイした際のリポートもお届けする。

−−今回のコーエーテクモゲームスブースは、『仁王』が目玉のひとつとなっています。試遊版も多数出展されていますが、プレイされているお客さんの反応はいかがですか?

早矢仕 『仁王』は、2度にわたって体験版を配信しました。体験版をやり込んでいて上手な方もたくさんいるので、そういった方は、試遊版の新ステージをクリアーされていました。また、初めて『仁王』に触れるという方にもたくさんチャレンジしていただいていますが、やはり落命(ゲームオーバー)されていて。

−−『仁王』は、何度も失敗しながらうまくなっていく”戦国死にゲー”ですものね(笑)。

早矢仕 そうですね(笑)。ともあれ、いろいろな層の方にプレイしていただけているという意味では、狙い通りかなと思います。

−−アルファ体験版やベータ体験版では、リアルタイムアタック(スタートからクリアーまでの実時間を競う遊び)に挑戦しているプレイヤーもいましたよね。それだけ、プレイヤーがやりごたえを感じていたのではないかと思うのですが。

早矢仕 このジャンルって、配信などでも盛り上がりますよね。体験版をゲーム実況に使っていただいている様子は我々も拝見していて、プレイヤーの中には、我々が意図していなかった攻略法を生み出している方もいました。それを見たときは、体験版を出してよかったと思いましたね。

−−プレイヤーが研究して独自の解法を生み出すというのは、開発側としては喜ばしい?

早矢仕 はい。『仁王』は、ゲームに”幅”を持たせることを大事にしています。攻略法はひとつではなくて、皆さんにいろいろ見つけていただこうと思っていました。そのような流れに体験版の時点からなったことは、嬉しかったです。ベータ体験版は(2016年)9月初頭まで配信していて、それに対するご意見やご感想をいただきましたが、とても好評でした。「製品版を早く遊びたい」という声をたくさんいただいて、しっかり製品版を作って皆さんにお届けしなければならないと感じましたね。ただ、我々としてはまだまだ満足しているわけではなく、さらにしっかりと磨いていきますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。

−−アルファ体験版が配信され、そこで挙げられた不満点などを解消したのがベータ体験版だったわけですが、アルファ体験版とベータ体験版で、プレイヤーから寄せられたメッセージの傾向に違いはありましたか?

早矢仕 アルファ体験版は、操作性などでゲームに未熟な部分が多く、「難しいがゆえのおもしろさはあるものの、理不尽ではないか」と言われていました。ベータ体験版はそのあたりに徹底的に手を入れたので、難しさはそのままに、操作性が向上しています。ですから、「自分のせいでやられたと実感し、より悔しさが増した」と言っていただけることが多かったです。我々としては、そう言っていただける水準に達したいと思っていたので、そこは達成できたかなと思っています。

−−僕も、アルファ体験版とベータ体験版の両方をプレイしましたが、アルファ体験版では敵から逃げてもずっと終われ続けたのが、ベータ体験版では敵が一定距離まで追いかけてきた後に引き返していくという挙動に変わっているなど、遊びやすくなった印象を受けました。ただ、一撃でも食らうと死が見えるという”戦国死にゲー”の本質は変わっておらず、とくにサブシナリオではヒリつく戦いができて、とてもおもしろかったです。

「『仁王』はさらにしっかりと磨いていく」早矢仕Dインタビュー&TGS試遊リポート【TGS 2016】_01

早矢仕 チャレンジングなものも用意しているというのを、ベータ体験版ではお見せできたと思います。

−−そんな本作の発売日が先日、2017年2月9日と発表されました。ここから、さらにブラッシュアップを重ねていくのでしょうか?

早矢仕 もともとは2016年発売と言っていたのですが、ちょっとだけ……。

−−あれは、”2016年度”ということだったんですかね?(笑)

早矢仕 だったということにさせていただくか、もしくは、2016年に卒業(発売)できると思っていたのが、卒業試験に落ちちゃったので、追試をすることになったということで(笑)。

−−追試なんですね(笑)。

早矢仕 ただ、卒業まではまだ時間がありますので、先ほどもお伝えした通り、まだまだ磨いていきます。

−−ニュースということですと、俳優さんの起用も発表されましたね。徳川家康役が市村正親さん、お勝役が武井咲さんということで。

早矢仕 最初は、死にゲーに俳優を起用する必要があるのかというご意見もあったのですが、トレーラーで家康やお勝が動いている姿が公開されると、その声が「いいね」という方向に変わりましたね。俳優さんが出演することによるストーリーの重厚さは、『仁王』には不可欠だろうとプロデューサーの鯉沼(久史氏。コーエーテクモゲームス代表取締役社長)と話していました。ゲームとしての魅力がより高まっていると思いますし、戦国モノが好きな方にもぜひ期待していただければと思います。

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▲徳川家康(写真左)とお勝(写真右)。

−−僕も週刊ファミ通の取材で、おふたりのアテレコに立ち会わせていただきましたが、演技に凄みがありました。

早矢仕 そうなんですよ。市村さんの決めゼリフなどは鳥肌が立つほどで。

−−オーラがありますよね。

早矢仕 そう! オーラがあります。ウィリアムが徳川家康に感化されて目覚めていくという物語なので、家康には重みが欲しかったんです。そこを考えたときに、市村さんしかいないと思っていたので、今回ご出演いただけて、とてもありがたいです。また武井さんも、華やかだけれど芯があるというところが出ていて。ゲームで見ていただけたら、きっと家康やお勝のファンになると思います。

−−ゲーム内でふたりがどのような活躍をするのか、実際に見てみるのが楽しみです。さて、今回会場で出展されている『仁王』は東京ゲームショウバージョンということで、2016年9月15日発売の週刊ファミ通で公開した本能寺ステージが遊べるということですが、どういった内容なのでしょうか?

早矢仕 本能寺というと、織田信長が命を落とした際の、炎上しているというイメージが強いと思います。『仁王』は1600年ごろのお話で、本能寺の変からしばらく経っているので、本能寺が朽ち落ちてしまって、さらに氷漬けになっていると。なぜ氷漬けになっているのかというと、織田信長の妻である濃姫が無念を晴らせずに雪女として妖怪化して、本能寺を凍らせてしまったんです。氷に閉ざされた本能寺って、いままでになかったと思いますので、ぜひ見ていただきたいですし、また新しい敵も配置しています。体験版を遊んだことがある方もぜひプレイしてほしいです。

−−新しい女性の妖怪もいるとか。

早矢仕 あれは、一反木綿です。一般的にイメージするようなペラペラな姿じゃなくて、妖艶な女性が布をまとっているという。

−−そうでした! ファミ通で紹介したんでした!

早矢仕 そうですよ!(笑)。

−−ファミ通に載っているよという巧妙な宣伝です、ということにしておいてください(笑)。ちなみに、これまで体験版などで主人公のウィリアムが旅をしてきた場所は、九州地方、中国地方、そして本能寺と来ていますよね。だんだん東に向かっているように見受けられますが……。

早矢仕 確かに、そうですね(笑)。最後はどこに行くんでしょうね〜。

−−ほうほう……。どこなんですか?

早矢仕 そこは今後の続報をお待ちいただきたいです。先ほどからお伝えしている通り、『仁王』はストーリーにも力を入れていますし、役者の皆さんにもいい演技をしていただいています。これからはシナリオのことも、徐々にお伝えしていきます。

−−おお、楽しみです。そういえば、今回のTGSバージョンをクリアーすると、もらえるものがあるとか?

早矢仕 そうなんです。木霊のストラップをお渡ししています。体験版をやり込んだ方にとっては新ステージですし、また、初めて『仁王』に触れるという方にとっても、アルファ体験版でいただいた意見を反映して、遊びやすくなっています。ご都合が合う方は、ぜひコーエーテクモゲームスブースに来てください。

プレイリポート:濃姫戦は薙刀の隙を突け

 今回の試遊では、約15分ほどプレイできる。15分と聞くと、これまでの体験版をプレイしたことのある方は、「初見15分でボスを倒すとか無理ゲーじゃね?」と思われるかもしれないが、心配は無用。アルファ体験版やベータ体験版のステージをクリアーできた人ならば、15分でボスを倒せる程度の長さにステージが調整されているのだ。
 装備もある程度揃っているが、道中の敵を倒したり、つづらを開けることで、よりいいものが手に入る。基本的に文字が白い武具よりも、黄色や水色、紫色のもののほうが性能が高いので、積極的に付け換えよう。使用する武器は、『仁王』未プレイの方ならば取り回しやすい太刀がオススメだ。近接武器は武器ごとに上段、中段、下段の構えをそれぞれ取れるが、バランスがいい中段構えから□ボタンで攻撃するのがいい。ただし、やみくもに攻撃せず、敵の攻撃を回避してから反撃を叩き込むようにすること。でないと死の危険がある(”戦国死にゲー”ですからね)。
 また、攻撃、回避、走行といった動作をすると、気力が減少する。気力がなくなった状態で攻撃を受けると無防備になり、非常に危険だ。攻撃の後、タイミングよくR1ボタンを押すことで気力を回復できるので、忘れずにやっておこう。

 道中で出てくる敵の中では、とくに一反木綿に注意。布的なものを伸ばした後、それを振り回すのがワンセットのようだったので、振り回しをかわしてから攻撃するといいだろう。

 ボスの濃姫は、氷を飛ばして攻撃してくる。L1ボタンでガードするか、もしくは×ボタンで避けよう。また、濃姫が氷を地面に叩きつけた後、円状に広がる範囲の中に入ってはいけない。円の中にいるあいだ、ダメージを受けてしまうからだ。体力が減ったら、アイテムを使ってすみやかに回復したいところ。でないとやっぱり死の危険がある(”戦国死にゲー”ですからね)。
 攻撃のチャンスは、濃姫が2連続で薙刀を振り回した後だ。濃姫が隙を見せるので、連撃を叩き込みたい。また、濃姫の体力ゲージの下にある気力ゲージを減らし、ゼロになって赤くなっているときは、濃姫に攻撃を当てると必ずひるむ。ガンガン攻めよう。また、画面左上の丸いゲージが溜まった状態で◯ボタンと△ボタンを同時に押すと、ウィリアムが”九十九武器”状態となる。ゲージがなくなるまで体力が減らなくなるので、ぜひ使うといい。

 今回の試遊バージョンは、プレイヤーにクリアーしてもらうのが目的とあって、難度は比較的やさしめになっているという印象を受けた。ぜひ挑戦して、木霊ストラップをゲットしてほしい!