9回目の“CEDEC AWARDS”で『スプラトゥーン』が快挙

 2016年8月24日~26日の3日間、パシフィコ横浜で開催されている、日本最大級のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス“CEDEC 2016”。会期2日目となる本日8月25日、“CEDEC AWARDS 2016”の授賞式が行われた。

『Splatoon(スプラトゥーン)』が三冠! “CEDEC AWARDS 2016”授賞式が開催【CEDEC 2016】_14

 CEDEC AWARDSは、コンピュータエンターテインメント開発の進歩へ顕著な功績のあった技術にフォーカスし、技術面から開発者の功績を称え表彰することで、開発技術の普及・啓蒙と産業の発展を目指す賞。 今回で9回目の開催となる。ノミネーションを決定するのは、昨年度のCEDECにおける聴講者アンケート結果上位者で構成されるCEDEC AWARDSノミネーション委員会。CEDEC運営委員会とともに協議のうえノミネーションリスト(優秀賞)を決定し、その中からCEDEC受講者による投票で、最優秀賞の受賞者が決定した。

 なお授賞式では、ゲーム音楽オーケストラのJAGMOが生演奏を披露。開演前には『クロノ・クロス』や『キングダム ハーツ』の楽曲を生演奏し、会場を盛り上げていた。

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 授賞式では各部門最優秀賞発表とともに、著述賞および特別賞も発表。その結果を、授賞コメントともに紹介する。ノミネーションリストなどの詳細は、CEDEC 2016公式サイトへ。

著述賞:CGWORLD編集部(ボーンデジタル)

◆授賞理由
 CG技術を基本から応用まで広く取り扱い、実際の制作現場でのアーティスト、エンジニアへのインタビューシリーズなど多彩な視点による記事で構成され、雑誌メディアとしてプロに限らず幅広い読者へ向けて最新のCG技術を認知、普及させることに、長きに渡り貢献している。

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◆授賞コメント
 CGWORLDは“変な雑誌”。CG専門誌と言われているが、ゲームや映画、アニメ、アナログな情報も扱っています。表現が高度になり、複雑化しているからこそ、うちのような“変な雑誌”が選ばれたのだと思います。ありがとうございました。

特別賞:襟川陽一氏(コーエーテクモホールディングス 代表取締役社長)

◆授賞理由
 ビデオゲームの黎明期に『川中島の合戦』を生み出し、現在も続く『信長の野望』、『三國志』シリーズなどにより歴史シミュレーションを根付かせた。ゲームプロデューサー“シブサワ・コウ”としていまもなお歴史を題材にしたゲームを中心に制作を続ける一方、経営者としてゲーム業界とゲーム学術の発展にも尽力している。

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◆授賞コメント
 36年間、ファンの方々にずっと応援・叱咤激励され、さまざまなタイトルを長く愛していただいた。まずはファンの方々に感謝を申し上げたい。同志である、コーエーテクモの役員や社員にも感謝したいと思います。やっと『仁王』のβ体験版が配信され、“卒業”も目前ということでやっと肩の荷が下りたかなというところです(笑)。家内と言いますか、私の上司の襟川恵子から「まだまだスマホのゲームで目立ったタイトルが出ていないよ」と尻を叩かれていますので(笑)、もうしばらくがんばらなきゃいけないかなという決意であります。ありがとうございます。

エンジニアリング部門:NVIDIA GameWorks(NVIDIA Corporation)

◆授賞理由
 グラフィックス技術者が最新技術に触れるための環境をとりまとめることで、業界全体のグラフィックス技術の向上に貢献。その取り組みを評価。

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◆授賞コメント
 NVIDIAとしてゲーム開発向きの描画とインタラクション、シュミレーションの美しい技術をがんばって作っていますので、認めていただいたことに感謝します。これからもっとがんばります。よろしくお願いします。

ビジュアル・アーツ部門:『Splatoon(スプラトゥーン)』開発チーム(任天堂)

◆授賞理由
 ポップで独創的なビジュアルがゲームデザインによくマッチしている。ゲーム内SNSでファンアートも取り込むなど、ビジュアルがゲームの楽しさをより高めることに成功している。

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◆授賞コメント
 『Splatoon(スプラトゥーン)』はたくさんのプレイヤーに遊んでいただいていますが、こういったアートの部分でも高い評価をいただき非常に光栄です。若いスタッフも含めて、みな自分の思い出の中に残っているような、昔憧れたものをふんだんに盛り込んだアートになっています。そういうところを皆さんに共感いただいたことが高い評価につながったのかなと思います。本日は本当にありがとうございました。

ゲームデザイン部門:『Splatoon(スプラトゥーン)』開発チーム(任天堂)

◆授賞理由
 システムはFPS、MOBAでありながら、コアではなくカジュアルな方向へ日本らしく作り上げた。無償でのバージョンアップやイベントなどでの定期的な盛り上げやバランス調整を行い、新しいユーザーの開拓や獲得に成功した。

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◆授賞コメント
 ビジュアル・アーツ部門に続き、本当に光栄に思っています。『Splatoon(スプラトゥーン)』はいわゆるコアゲーマー層からご家族までいろいろなお客様にお楽しみいただいていて、それが我々にとっては喜ばしいこと。ゲーム内のアップデートだけではなく、ゲームの外にゲームのよい思い出を持ってもらう取り組みをいろいろとしてきました。そういったことでゲームを世の中に認めていただいたり、こういうゲームを作ろうと思う方々の後押しになり、ゲームの発展の一助になればと思っています。本当にありがとうございます。

サウンド部門:『Splatoon(スプラトゥーン)』開発チーム(任天堂)

◆授賞理由
 ゲーム内に架空バンドを想定するなど、独自の音楽制作アプローチを通じて音楽世界観に高評価を得たことにとどまらず、ゲーム内CGキャラクター“シオカラーズ”をメインに据えたメディアミックス・ライブコンサートを実現し、新しいかたちの音楽メディアミックス展開を成功させた実績を評価。

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◆授賞コメント
 『Splatoon(スプラトゥーン)』はSEにも非常にこだわったゲーム。“シオカラーズ”のライブは我々としての取り組みで、暗中模索、手探りでコンテンツを作り上げていきました。ご協力をいただいたドワンゴさんや、関係各社にも深く御礼を申し上げ、喜びを分かち合いたいと思います。本当にありがとうございました。

 ちなみにトロフィーを授賞した増野宏之氏から“シオカラーズ”の命名の由来は? との質問も飛び出したが、その由来は「イカなんで塩辛というところなんですけど(笑)、英語で表記すると“Sea O' Colors”で“色の海”という意味のダブルミーニングなんです」とのこと。

 “VR元年”と謳われる今回のCEDECではVR関連セッションも積極的に行われ、また市場としてもコンシューマータイトルにとどまらず、多くのヒットタイトルが生まれている。果たしてどのようなタイトルや技術がノミネートされるのか、来年の“CEDEC AWARDS”にも期待しよう。

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