日本代表チームを決める重要な一戦

 2016年8月21日、東京・秋葉原にあるJCG秋葉原スタジオにて、ゲーム大会を運営するJCGは、PC版『Overwatch』大会“JCG Overwatch Master”の夏季シーズン・オフライン決勝戦を開催した。

『オーバーウォッチ』圧倒的な力を見せたDeToNatorが優勝! JCG Overwatch Master 2016 Summer Finalsリポート_01

 JCG Overwatch Masterは、7月より4週に渡ってオンラインで開催。8月7日には好成績を残した13チームによる決勝トーナメントが実施された。決勝トーナメントは、一度負けると敗者枠のトーナメントに参加するダブルエリミネーション形式で実施。最終的に、勝者枠の1位と敗者枠の1位がオフライン決勝に進出する仕組みだ。

 決勝トーナメントを勝ち進んでオフライン決勝戦に駒を進めたのは、並み居る強豪チームに勝利した“CrestGaming.Blitz”(以下、CG.B)、敗者枠に落ちながらも地力の強さを見せたマルチプロゲーミングチーム“DeToNator”の『Overwatch』部門(以下、DTNow)。

 この2チームは勝者枠トーナメントの2回戦で戦っており、そのときは大方の予想を裏切ってCG.Bが勝利。本大会2度目の対決ではどちらに勝利の女神がほほ笑むのか、注目が集まった。

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▲優勝チームには賞金24万円とともに、2016年9月18日に東京ゲームショウ内で実施予定の、台湾代表とのエキシビジョンマッチへの出場権が与えられる。日本代表を決める重要な一戦となったのだ。

強豪チームどうしのハイレベルな試合が展開!

 決勝戦はBO5(5マップ中、3マップ先取で勝利)、各チームに同じヒーロー(プレイヤーが使用するキャラクターのこと)は1体までというルールで行われた。

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▲こちらが試合のレギュレーション。
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▲交互にマップを削除していき、残ったマップで試合を実施。
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 1試合目はのマップは“KING'S ROW”で、CG.Bが攻め側を選択してスタート。試合開始直後から、CG.Bは一気に攻め立てた。開始から1分もせずに最初の拠点を制圧すると、そのままほぼノンストップでつぎのチェックポイントまでペイロード(※)を運ぶことに成功。しかし、最後の難関であるS字カーブで、DTNowが底力を見せる。残り時間が6分近くあったものの、そこから高い連携力を見せつけて防衛に成功。ここではBG.Bの記録は66.38メートルに終わった。

(※ペイロードと呼ばれるオブジェクトを制限時間内に指定の場所まで運ぶのが勝利条件)

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▲攻め側にとって最後の難関となるS字カーブ。ULTIMATE ABILITYの応酬がくり広げられるも、DTNowが上回る結果となった。

 サイドを交替してDTNowが攻め側に回ると、やられたことをそのままやり返すと言わんばかりに、序盤からCG.Bを圧倒。最後の最後まで狙う相手を定めながら順調に敵の数を減らし、目標地点に到達。1マップ目を先取した。

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▲最後のS字カーブでもしっかりとフォーカスを合わせ、ひとりずつ倒していくDTNow。そのまま目的地点に到達して勝利となった。

 2試合目のマップはHOLLYWOODで、CG.Bの攻めからスタート。試合開始とともにラッシュをかけ、最初の拠点をスムーズに獲得するCG.Bだったが、ペイロードの護衛に入るとDTNowの固い守りに苦戦。結果的に最初のチェックポイントも通過できず、101.79メートルという記録となった。

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▲試合の最後には、XQQ選手の使うゲンジがULTIMATE ABILITY“龍撃剣”で敵をなぎ倒すスーパープレイも見られた。

 そして、サイドをチェンジしてDTNowが攻め側に。CG.Bが最初の拠点防衛で粘りを見せたが、DTNowの勢いは止まらなかった。残り45秒というギリギリの状況で見事に敵を殲滅し、拠点をゲット。ペイロードの護衛に入ってからはSiorin選手の使うウィンストンを先頭に、集団戦でつぎつぎに敵を撃破。そのまま戦線を敵のリスポーン地点まで押し上げ、2マップ目もDTNowが勝利した。

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▲オフェンスヒーローを担当するdelave選手とXQQ選手が大暴れ。ペイロード護衛になってからは、DTNowのほぼ一方的な攻めでそのまま勝利を収めた。

 3試合目のマップはNUMBANIが選ばれ、DTNowの攻めからスタート。DTNowはXQQ選手が攻め側では珍しいバスティオンを選択するという奇策を展開した。CG.BはMukai選手を中心に、最初の拠点を防衛。CG.Bがそのまま時間いっぱい守り切る形となった。

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▲機動力と引き換えに強力な攻撃が行えるようになるバスティオンは、防衛でピックされることが多いヒーローだ。DTNowは攻めで使用したが、その奇策もCG.Bの迅速な対応によって砕け散ることとなった。

 サイドチェンジして今度はCG.Bが攻め側に。試合開始直後からラッシュを仕掛け、順調に敵を倒していくCG.B。気づけば1分もせずに周囲の敵を殲滅し、そのまま拠点を獲得。3マップ目は完璧な立ち回りでCG.Bが勝利した。

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▲あっという間の勝利となったCG.Bの攻め。まさにパーフェクトゲーム。

 4マップ目の戦場はLIJIANG TOWER。これまでとは異なり、ひとつの拠点を取り合い、規定ポイントに先に達したチームの勝利となる。先に3勝したほうが、4マップ目の勝者となる。

 1マッチ目、2マッチ目ともに、DTNowが開始直後から主導権を握り、拠点を獲得。CG.Bも全員で拠点を奪おうと奮戦するも、そのまま一度も拠点を獲得されることなくDTNowが連勝。DTNowが王手をかけた状態になった。

 何とかして反撃したいCG.Bは3マッチ目で大健闘。拠点を取り合う展開をCG.Bが制して1本を取り返した。4マッチ目もCG.Bの善戦が光ったが、DTNowの勢いは止まらなかった。ULTIMATE ABILITYをうまく活用して敵を殲滅したDTNowが勝利を収め、DTNowの優勝が決定した。

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▲終始、主導権を握っていたDTNow。決勝トーナメントでの敗北から成長し、見事リベンジを果たす結果となった。

 優勝したDTNowには、賞金24万円とともに、2016年9月18日に開かれる東京ゲームショウで開催予定の“日台国際エキシビジョンマッチ”の出場権が与えられた。日本の代表チームとして台湾代表を相手にどう戦うのか、要注目だ。

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 ちなみに、DTNowが日本代表として台湾チームと戦うのは、これが初めてというわけではない。2016年5月28日に開催された台湾Blizzard Entertainment社主催の公式イベントの招待チームとして出場しており、このときは惜しくも敗北を喫してしまった。東京ゲームショウでの対戦相手は未定だが、今回の決勝戦のように、見事リベンジを果たすことを期待したい。

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