アクションRPGらしさの軸となるシステムの情報が続々!

 ドイツ・ケルンにて、現地時間2016年8月17日~21日まで開催されている欧州最大級のゲームイベント、gamescom 2016。『Scalebound(スケイルバウンド)』ディレクターの神谷英樹氏と、クリエイティブ プロデューサーのジョーン・ピェール・ケラムス氏によるメディア向けプレゼンテーションが実施された。 
 
 本作は、主人公・ドルーと、相棒のドラゴン・トゥバンを軸としたアクションRPG。キャンペーンは、4人(+それぞれのトゥバン)でのオンラインマルチプレイが基本となる。本作のキーワードは“Never Fight Alone”で、これにはふたつの意味があり、「ひとつはトゥバンが常にいるので自分ひとりで戦うのではないということ。もうひとつは、協力プレイで仲間がいれば、さらに楽しくなるということ」(JP氏)。プレゼンテーションでは、そんな本作について、カスタマイズ要素の続報や新たなバトルシステムが開示された。

『Scalebound(スケイルバウンド)』はドラゴンのトゥバンも操作可能! よりテクニカルなアクションが可能に【gamescom 2016】_05
▲ディレクターの神谷英樹氏(右・文中は神谷)と、クリエイティブ プロデューサーのジョーン・ピェール・ケラムス氏(左・文中はJP)。

タイプと属性と防具の組み合わせで自分好みのドラゴンに

 ドラゴンであるトゥバンは、容姿や性能が異なる下記の3つのタイプに育成可能。最初はレックスタイプだが、段階を踏んでほかの2タイプにカスタマイズ可能になる。「この肉体的なカスタマイズを、“ドラゴンDNA”と呼んでいます。ドラゴンは、敵を倒して得られる“ジェム”というアイテムを使って変化させていくことができます」(神谷氏)。
 
【ドラゴンのタイプ(※開発名称)】
レックスタイプ……ゲームスタート時のタイプ。バランス型
タンクタイプ………四つ足で重く、攻撃や防御に秀でるが動きは遅い
ワイバーンタイプ…軽量で素早い代わりに、装甲は薄い
 
 ドラゴンのタイプは、“切り換える”のではなく、育成によって“変化させていく”。たとえば、レックスからタンクへと移行させたいのなら、ジェムの投与で、体型・ステータスともに徐々にタンクへと近づけていくのだ。プレゼンテーションでは、実際にどのように変化していくのか、モーフィング映像を確認できた。実際は少しずつ変化していくので、短時間での形状変化はないわけだが、生物らしさを損なわず、自然に体型が変わっていくため、途中段階でも違和感が出ることはない。「ドラゴンって、こういう進化(変化)をしそうだな」と、妙に納得してしまった。

 ドラゴンDNAでできることは、これだけではない。ドラゴンには頭、脚、体、翼、尾の5パーツがあり、それぞれに属性を付与できる。属性を変更すると外見にも反映されるほか、頭部を炎属性にすれば炎のブレスが吐けるといった具合に、トゥバンの能力にも大きな影響を与えるようだ。また、「ドルーのドラゴンフォーム(変身)のように、トゥバンにもパワーアップ能力があって、属性に応じた強力な技が使えます」(神谷氏)とのこと。

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▲各パーツが変化しているのが見て取れる。

 こうしたタイプや属性のカスタマイズは、前述の通り、ジェムによって行う。ジェムはそれ自体に属性があり、その投与量や組み合わせに従って、トゥバンの姿とそれにともなうステータス、属性が徐々に変化していく。神谷氏によると、ジェムには「この組み合わせなら、(トゥバンに)こういう変化が起きる、というレシピがある」のだそうで、そうしたレシピを駆使して望むタイプに寄せていくことになるようだ。

 また、ドラゴンDNAには、ドラゴンアーマー(防具)によるカスタマイズも含まれる。防具はドラゴンの5つのパーツに装着でき、ショップでゲーム内通貨と引き換えに購入したり、クエストの報酬として手に入れられる。ドラゴンアーマーには耐久値の概念があり、耐久値がゼロになると外れて消失してしまうため、リペアしながら使っていく必要がある。

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▲ドラゴンアーマー装着の一例。ちなみにスキンの変更もでき、色や模様のバリエーションも豊富。

 ドルーの成長システムについても触れておこう。ドルーは攻撃や仲間の回復などで得られるスキルポイントで成長する。カスタマイズ次第で「戦士タイプ、遠距離タイプ、後方支援タイプなどにでき、プレイヤー自身にも個性が出てくる」と神谷氏。トゥバンの能力との相性や、マルチプレイにおける役割に応じて方向性を決めていくことになるのだろう。なおドルーもトゥバンも、スキルツリーのようなもので新たな技を修得していけるようだ。

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トゥバンを直接操作するドラゴンリンクでテクニカルな連携も!

 これまで公開されてきたバトルシーンでは、AI制御のトゥバンと大型のモンスターが激突し、それをドルーがサポートするという場面が多かった。ドルーはドラゴンフォームになり、痛烈な攻撃を加えることもできるが、それはあくまで特別な攻撃手段となる。

 そこに今回、トゥバンの操作を行えるシステム“ドラゴンリンク”の存在が判明した。生命を共有しているドルーとトゥバンは、精神感応して意識を一体化できるため、これが可能になるのだという。ドラゴンリンクは、「『ベヨネッタ』のウィッチタイムや『大神』の筆しらべのように、遊びの根幹になるもので、最初から使えます。ただ最初は、本当に基本的なことだけ。成長で拡張されていきます」(神谷氏)。ただし、ドラゴンリンク中はドルーは身動きが取れないほか、後述のゲージの消費もあるため、長時間の操作は現実的ではなさそう?
 
 トゥバンを操作するといってもカメラがそちらに切り換わるわけではなく、視点はドルーの主観になる。ドルーの視点で、トゥバンを操作するのだ。これは、ワンボタンで両者の操作を切り換えられ、それによってドルーとトゥバンを交互に動かしながら、連続攻撃ができるようになっているからだろう。いちいちトゥバンの視点になっていては、状況把握が難しくなってしまう。

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▲こちらはトゥバンにドルーが乗って敵を攻撃するドラゴンライド。ドラゴンリンクとはまた別の要素になる。

 ここで、もう1本の映像を見ることができた。白い毛並みのヒヒのような巨大モンスターに挑む内容で、ドラゴンリンクでトゥバンを操作して敵をマヒさせ、ドルーに操作を戻して急所を攻撃、続いてトゥバンで相手を押さえつけ、ドルーが別の急所を破壊、さらにトゥバンがブレスを吐いて……といった具合に、つぎつぎと操作キャラを切り換えながら連携攻撃を決めるという、じつに鮮やかなバトルシーンが展開していった。これが流れるような見事な連携で、実際にこうした操作ができることに驚いてしまったほど。「ドラゴンリンクによってより戦略的になり、アクション的なテクニックが問われるということを想像していただけると思います」という神谷氏の言葉通りだ。
 
 そこまでのアクションが可能なのは、前述の視点の固定のほか、ドルーとトゥバンの基本操作が統一されている点も要因になる。両者は攻撃、ジャンプ、ダッシュ、防御といった操作が可能で、そのほかにコマンド技を使用可能。異なるキャラクターを直感的に、かつ自在に動かせるよう、ストレスのない設計になっていることがうかがえた。
 
 なお操作の切り換えには、パルスゲージが必要になる(“パルス”はこの世界のエネルギー)。このゲージは一定量までは自然回復するが、それ以上は攻撃を行うことで回復するといった方向で調整中とのこと。パルスゲージはドラゴンフォームへの変身にも使うので、何に費やすかを適宜考えていく必要があるだろう。
 
 最後に。オンラインマルチプレイのゲームでは役割分担が有効な以上、タイプをすぐに変えられるのかが気になり、その点を聞いてみた。たとえばパーティのドラゴンにタンクがおらず、1体欲しいとなったとき、すぐに補充ができるかできないかは、プレイスタイルに大きく影響する。答えは、トゥバンの育成による変化は緩やかなものであり、また、ドラゴン神殿(仮称)でジェムを投入するシステムになっていることから、タイプや性能をすぐに変えられるわけではないとのことだった。
 
 ゲームシステム的には不便に思える。しかしこれは、“自分が育成したドラゴン”に、より愛着が湧く仕掛けでもある。一生懸命育てたドラゴンとともに苦境を乗り越え、ときに仲間の力を借りて進んでいくのが醍醐味になるのではないだろうか。ホイホイ切り換えられたら、その点はどうしても薄れてしまう。そこに、本作が描く“ドルーとトゥバンの絆”の一端が表れているような気がして、ちょっと嬉しくなったのだった。

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