会場内は“楽しめる空間”を意識した作りに

 2016年8月7日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪 飛天の間にて、PC用オンライン対戦ゲーム『League of Legends』(以下、『LoL』)国内プロリーグのオフライン決勝戦“LJL 2016 Summer Split Final”が行われた。当日は最高気温が35度を超える猛暑日だったが、1000人超のファンが集結。大いに盛り上がったイベントと熱戦の模様をお届けする。

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 グランドプリンスホテル新高輪 飛天の間のロビーは、『LoL』のゲームマップのひとつである“サモナーズリフト”をイメージした装いになっていた。ドラゴンやバロン・ナッシャーといった中立モンスターやファンアートが飾られているなどが来場者を喜ばせていた。

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▲入口からすぐのホールに、バロン・ナッシャーが! 記念撮影のポイントとして好評だった様子。
▲ドラゴンも大迫力。5人がかりでも倒せなさそう!?
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▲サモナーズリフト内にあるジャングルも再現。ブッシュ(茂み)の中にはティーモの姿も。
▲ゲーム内のチャンピオンを描いたイラストがズラリ。どれも完成度が高い!
▲会場内ではミニオンコスプレのお姉さんたちが案内。

 これまでにもオフライン決勝戦は何度も行われてきたが、会場内にこうした“遊び”が取り入れられたのは、今回が初めて。場を楽しむ要素が加わったことで、単純に試合を観戦するだけでなく、一種のお祭りとして楽しめたのが印象的だった。

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▲カフェのような休憩スペースでは、『LoL』について熱く語り合う姿も。
▲自動掃除機の上にもミニオンが。会場内をウロウロする様子がかわいい。
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▲ちなみに当日はフリードリンク制。軽食の販売も行われていた。
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▲各チームへの応援コメントや繊細なイラストが描かれたメッセージボード。
▲お祭り的な会場の雰囲気を、来場者は思い思いに楽しんでいた。

勝って負けてのシーソーゲーム。そんな死闘を制したのは……?

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▲左から、司会・進行を務めた室川慎也氏、大久保聡美さん、試合実況を務めたeyes氏、解説のRevol氏。

 LJL 2016 Summer Split Finalでぶつかり合うのは、“Rampage(以下、RPG)”と“DetonatioN Focus Me(以下、DFM)”。LJL発足時から激闘をくり広げてきたライバル関係にある両チームは、“LJL 2015 GRAND CHAMPIONSHIP(2015年8月開催)”、“LJL 2016 Spring Split Final(2016年4月開催)”でも激突し、いずれもDFMが勝利を収めている。ここ近年は実力的にDFMがやや上回っているとされていたが、Summer SplitではRound 10における直接対決でRPGが勝利。ライバルを退けてのリーグ優勝という快挙を成し遂げた。

 そんな両チームの対決が、国際大会である“International Wildcard Qualifier(IWCQ)”の出場権を賭けて行われるということもあり、注目の一戦となった。

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▲会場には、超ワイドな巨大モニターを設置。3つの視点が同時に流され、試合の至る部分が確認できた。

 試合は、先に3勝したチームが勝利となるBO5形式。選手たちは最大5連戦の過酷な試合を戦い抜くことになる。

 第1試合は、両者ともに慎重な立ち上がりでスタート。試合が始まっても、なかなかキルが発生せず、ジリジリと時間が経過するロングゲームとなった。ターニングポイントとなったのは、22分ごろから始まった集団戦。倒すとチーム全体に強力なバフ効果を得られるドラゴンを狙うDFMに対し、RPGが一気に攻撃を仕掛けた。この集団戦でRPGが一方的に4キルを獲得し、大きく引き離した。ここからは終始RPGペース。DFMもバロンを獲得して反撃を試みるが、勢いに乗ったRPGが初戦を制した。

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▲RPGとしては最高の結果に終わった22分ごろの集団戦。Paz選手とTussle選手がDFMの核となる選手にフォーカスを合わせ、撃破していった。

 第2試合は1試合目とは打って変わって、序盤からDFMペースで進んだ。DayDream選手を中心に順調にキルを獲得し、徐々に差を広げていく。RPG側のミスを見逃さないDFMが2試合目を制した。

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▲終盤に発生した集団戦で、自陣に帰還するタイミングを見誤り、一瞬にしてRPGが壊滅。うまくいなしたDFMがそのまま勝利を手にした。

 続く第3試合は、RPG優勢の試合展開になった。序盤からキルを重ね、気付けば獲得ゴールド数で1万ゴールド以上も引き離したRPG。順調にDFM側に進攻して2勝目をつかみ、RPGが先に王手をかけた。

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▲Tussle選手の目覚ましい活躍もあり、一方的な試合展開となった3試合目。

 第4試合は派手な集団戦こそ発生しなかったものの、序盤から順調にタワーを破壊していったDFMが最初にペースをつかんだ。中盤からは完全に勢いに乗ってRPGを圧倒。3試合目の一方的な試合展開をそのままやり返すような形でDFMが勝利。優勝決定は最終戦までもつれ込むことになった。

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▲やられたらやり返すと言わんばかりに、DFMがペースを握り続けた。

 熱いシーソーゲーム展開となったSummer Split Final。お互いが優勝まで王手をかけた状態で臨んだ最終戦は、異様な熱気に包まれた状態でスタート。

 まず試合が動いたのは、試合開始から3分頃のトップレーン。Paz選手を狙ってDFMが3人がかりで攻撃に出るが、Paz選手は自身が倒れる前にYutapon選手をキル。絶望的な状況にも関わらず、見事にファーストブラッド(※)を獲得するスーパープレイを見せた。

(※:最初に敵を倒すこと。通常より多くのゴールドを得られるため、試合を有利に進められる)

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▲通常なら一方的にやられる展開だが、見事にYutapon選手をキルし、ファーストブラッドを獲得したPaz選手。

 Yutapon選手も意地を見せた。22分頃に発生した集団戦で3連続キルを獲得して猛反撃。やられたらやり返すという、これまでの試合を彷彿とさせる展開に、会場が沸いた。

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▲王者の維持を見せるDFM。キルを取られたら取り返す、今回の決勝戦を象徴するかのような一戦となった。

 試合を決定付けたのは、35分頃に発生した集団戦だ。Yutapon選手が相手の核となる選手を狙ったが、RPGのリーダーであるMeron選手がすさまじい反応を見せ、逆に敵をキルしていく。Meron選手を中心に絶妙な連携を見せたRPGは、そのままの勢いでDFM側の本拠地を破壊。Summer Split Finalは、RPGが3勝2敗でDFMを下しての優勝となった。

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▲優勝した瞬間に、喜びをあらわにするRPGのメンバー。

 近年の国際大会の切符を賭けた大会で、RPGは何度もDFMに苦渋を飲まされた。しかし、本大会では悲願の優勝を果たし、見事に国際大会であるIWCQの切符を手にした。

 試合後の勝利者インタビューでは、いまの心境を問われたリーダーであるMeron選手が「最高だ! 俺たちがいちばんだ!」と喜びを爆発させていた。ファンにひと言という問いに対しては「これからも俺たちを見てくれ!」とコメントした。

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 見事、優勝を果たしたRPGは、優勝トロフィーとともに、8月24日からブラジルにて開催されるIWCQの出場権を獲得。IWCQの上位2チームは、世界大会の本選であるWorld Championship(WCS)に進出できる。IWCQの模様は日本語解説付きで配信される予定なので、ぜひともRPGの雄姿を見届けてほしい。

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 余談ではあるが、いまやRPGのチームリーダーであるMeron選手は、RPG結成時はいちメンバーにすぎなかった。しかし、ときには腱鞘炎になるほど練習に励み、いまやチームに欠かせない存在になった。昨年開催の“LJL 2015 GRAND CHAMPIONSHIP”では、2本先取するもDFMに3連勝を許し、涙を見せていた。これまでに幾多の苦難を乗り越えてきたMeron選手が、悲願の優勝を果たし、喜びを爆発させている姿には涙を禁じ得ない。

 ゲームは自分でプレイするのも試合を見るのも楽しいが、選手の背景にあるドラマを追えば、より熱い気持ちで観戦できる。YoutubeのLJL公式チャンネルでは、選手たちの裏側を描くドキュメンタリー映像が公開されている。LJLでは今後もさまざまなドラマが描かれていくに違いない。LJLを最大限に楽しむためにも、ドキュメンタリー映像も合わせてチェックしてみてほしい。

※Youtube LJL公式チャンネルはこちら

ライアットゲームズのディレクター・齋藤亮介氏にプチインタビュー

 会場内では、ライアットゲームズのディレクター・齋藤亮介氏が積極的にプレイヤーたちと交流を図っていた。少しだけ時間をいただけたので、今回の施策について話を聞いてみた。

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▲急な取材に快く対応してくれた齋藤亮介氏(文中では齋藤)。

――会場内の造形がすごく凝っていますね。とくにバロン・ナッシャーがすごい迫力で。

齋藤 あのバロンの彫像は、アメリカのボストンにて開催されたPax Eastというイベントで使われたものと同じ作りなんです。

――ドラゴンのオブジェクトも、多くの来場者が記念撮影に利用されていましたね。

齋藤 手前味噌で恐縮ですが、なかなかのクオリティーに仕上がったなと(笑)。ドラゴンのオブジェクトは、簡単に持ち運べるように設計されているんです。今後、地方でイベントを開催する時にでも、また改めてお披露目できればな、と。

――ほかにも“ティーモからの挑戦状”というクイズがあったり、ミニオンが歩き回っていたり、ユニークな会場だなという印象を受けました。どういった点に気を付けたのでしょうか?

齋藤 日本でこれほどの規模のイベントを開催するのは“Spring Split Final”に続いて2回目ということで、エンターテイメント性に重きを置き、お客様が楽しめる空間作りを意識しました。プロ野球やメジャーリーグなどの場合、試合以外にも楽しむ要素が用意されているじゃないですか。それと同様に、試合を観戦して盛り上がるのはもちろんのこと、試合以外での楽しみを用意して、『LoL』というゲームの魅力を伝えていきたいですね。

――今回の決勝戦は、学生主動のパブリックビューイングも行われていますね。

齋藤 そうですね。全国7ヵ所で行っているという話を聞いております。

――大学のサークルもe-sports Uの取り組みで活発化していますよね。どういう印象を受けていますか?

齋藤 パブリックビューイングという形式が定着してきたような気がしますね。コミュニティーイベント自体の盛り上がりもそうですが、その後の懇親会も楽しみという話をよく聞きます。『LoL』をきっかけに、横のつながりを広げてくれたらうれしいですね。

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▲会場内で、気さくにファンたちに声をかける齋藤氏の姿が印象的だった。

 今回のリポートはここまで。悲願の優勝を果たしたRPGが、国際大会のIWCQで世界の強豪相手にどのような立ち回りを見せるのか。要注目だ。

 最後に、恒例(?)となったコスプレイヤーさんたちの写真をどうぞ。

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