祝『DQX』誕生4周年! 『DQX』の“いままで”と“これから”とは?

 2016年は『ドラゴンクエスト』(以下、『DQ』)誕生30周年を迎えた記念すべき年だが、シリーズ初のオンラインゲームとなる『DQX』も、2016年8月2日でサービス開始から4周年を迎えた。2016年7月27日公開のインタビューに続き、今回は4周年に焦点を当てたロングインタビューを掲載! プロデューサーの齊藤陽介氏とディレクターの齋藤 力氏に、この4年を振り返りながら“これから”の『DQX』を訊く!

祝『ドラゴンクエストX オンライン』4周年! 齊藤陽介P&齋藤力Dに気になるアレコレを直撃する超ロングインタビュー!!_01
▲写真左より、『DQX』プロデューサーの齊藤陽介氏(文中はよーすぴ)、ディレクターの齋藤力氏(文中はりっきー)。

――4周年を迎えられたいまの心境をお聞かせください。

よーすぴ 正直、「もう4年なんだ」という感じですね。「10年は続ける」という意気込みで作っているので、いまは通過点でしかありませんが、非常に濃い4年間だったと思います。しかし、4年も続けられてきたのは、いまも楽しんでいただいている皆様のおかげです。これから、大きな節目となる5年へ向かう1年間が始まると思うと、気が引き締まりますね。

りっきー 「もう4年目か」というのが正直な感想ですね。言われると確かに4年が経ったけれど、「本当に?」と(笑)。

よーすぴ 数千時間もプレイするゲームは、そうそうないもんね。

りっきー イベント会場でファンの方に「9000時間は遊んでいます!」と声をかけていただいたことがあって。1年を8760時間に換算すると、この方は1年以上も遊んでくれているのか、とうれしくなりました(笑)。

――4年という歳月を忘れてしまうほど、怒涛のように作り続けてきた感じですか。

りっきー そうですね。つねに目の前に迫るアップデートに向かって作っていますし、オンラインゲームの開発に落ち着くタイミングはありませんから。

よーすぴ 1年365日、運営していますからね。

――経験したことのないゲーム開発でプレッシャーもあったと思いますが、それでも楽しく乗り越えてきた?

りっきー 楽しく乗り越えられたかと言われると、苦しい思い出のほうが多いのですが(笑)。まあ、新しいことだらけでした。プレイヤーに4年間も遊び続けていただけるゲームなんて、これまで作ったことがなかったので。

――ずっと遊んでいるプレイヤーと新しく始めるプレイヤーの両方を満足させるコンテンツを提供し続けるのは難しいですよね。

りっきー そうですね。数千時間も遊んでいる方と、昨日始めたばかりの方がいっしょに遊ぶゲームなので。こんなゲームはなかなかないと思いますし。

よーすぴ 先頭を走っているプレイヤーさんは新しいコンテンツが欲しいと思いますが、新しく初める方たちにとって楽しみやすくなる改善や新しいシステムは、つねに考えています。たとえば“DQX TV”で行っている“地味”コーナーで公開しているネタは、じつはまったく地味じゃない。ああいった、細かいものの積み重ねがいまにつながっている。パッと見は地味かもしれませんが、新しいコンテンツを作るのと同じくらい、たいへんな作業だったりするんです。

――世界が広がるほど、どこかで綻びが出てきてもおかしくない。それでも、遊びやすい環境をいつも整えられていると思いますが、終わりのない作業ですよね。

りっきー 作り切ることがないので。ここまで作れば落ち着いてくるかなと思ったところでも、まったくそんなことはなかったりしますし(笑)。

――現状を改良しつつ新しい要素も入れていますから。

よーすぴ いわゆる“死にコンテンツ”というものを作りたくないんですよ。せっかく作ったからには、遊び続けて欲しい。もちろん、“妖精図書館”のようなクエストは、1回きりで楽しめる遊びとして提供していますが、くり返し遊べるコンテンツに関しては、人が寄り付かなくなっちゃう状態にはなるべくしたくない。新しいものばかりではなく、既存のコンテンツに対するテコ入れは、現状はうまく回っている感じはしています。

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※画面は“目覚めし冒険者の広場”からの転載です。

――“魔法の迷宮”は実装されてから何年も経っていますが、まだ遊びの舞台としてにぎわっていますし。

よーすぴ セキバーンも出るしね(笑)。

バージョン4にも着手しています

――“DQX TV”もそうですし、“冒険者の広場”でもプロデューサーやディレクター自身がユーザーとコミュニケーションを取られています。これも『DQX』が長く愛される理由だと思います。

よーすぴ やはり作っている側が楽しんでいないと、おもしろいゲームにならないと思うんです。たとえば、“DQX TV”でボスバトルを放送したときに、キャラクターの動きを見ればプレイしているのか、していないのか、視聴者にはすぐわかりますよね。私たち開発スタッフも、プレイヤーの皆さんと同じ目線でプレイしていることを理解してもらえる場として、“DQX TV”はすばらしいと思います。そういえば、2016年8月27日にツクモ名古屋1号店さんで、200人規模でいっしょにプレイするイベントを開催します(詳細はコチラ)。こういったイベントをやるたびに「また東京ですか?」と言われてしまうので、なるべくあちこちに行って皆さんと接点を持ちたいと思っています。

――「全国のファンの皆さん、お待ちください!」ということで(笑)。この4年間は、ご自分でも満足できる内容になっていましたか?

りっきー 「出せる力は出し切っている」という感覚はありますね。つねに新しいものを作りたい気持ちがあるので、辛いこともありますが、挑戦しがいがあります。

よーすぴ いまはゲームとして健全な状態になってきたと感じています。アップデートでログイン数が一気に増えて、つぎのアップデートまでは緩やかな数字に落ち着いていく。これはいい循環と思います。『DQX』の世界は、“『DQ』が好きな人たちが集まる場所”です。ログインしたからにはコンテンツをガリガリ遊ぶというだけでなく、『DQ』が好きな人たちがログインして、みんなでコミュニケーションが取れる場所として機能し始めてきているかな、と。とにかく強い敵を倒したい、自分が強くなりたい、ドレスアップやハウジングが楽しい……プレイヤーによって、プレイする目的は異なると思いますが、そういう方たちが同じチームに入って遊んでいるのを見ると、うれしくなります。

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――しばらくログインしていなかった人が戻ったときに、まったく知らないコンテンツが流行していて、どうしたらいいかわからなくなってやめてしまう。そんな状況がMMORPGではよくあります。『DQX』にはそれがないので、ひさしぶりに戻ったとしても、すぐにみんなと遊べる安心感があります。

よーすぴ ありがとうございます。でも、その点はさらに強化したいですね。もっともっと親切丁寧に、戻ってきてくれたときに快適にプレイできる環境を作っていきたいと思っています。これは、堀井さん(堀井雄二氏。『DQ』生みの親であるゲームデザイナー)ともよく話す課題でもあるんですよね。たまにプレイヤーさんから「緩和しすぎでは?」というお言葉もいただきますが、先行してプレイしている方が手に入れられるものが、ある程度揃ったタイミングで、後続のプレイヤーが入手しやすい環境を作っているつもりです。もちろん、プレイ時間が長いほど強く上手くなっていきますが、そこにあまり差が開かないようにして、できるだけいっしょに遊べるようにしてあげたいと考えています。

りっきー バランスは難しいですが、後から始めた方と先行する方がまったく同じ速度では、絶対に追いつけません。そこは、緩やかになるよう調整していきたいですね。

よーすぴ いまの第5期初心者大使は、比較的ゆるやかに遊んでいると思っていたのですが、“DQX TV”で伝説の三悪魔を倒されたときに、「すごいスピードで成長しているな」と驚いたんです。後からプレイを始めた方でも、みんなといっしょに遊べるまでの時間をそんなに心配しないでもいいのかも、と思いました。

――新規のプレイヤーや期間を置いて再度始められたプレイヤーの数は、安定している状況ですか?

よーすぴ そうですね。ただ、これから新規で始められる方の人数は、現在開発しているプレイステーション4版やNX(開発コード名)版で大きな山場を迎えると思います。それまでは、新規の方々よりも、いま遊んでくれている方やカムバックしていただいた方を中心にしている形になりますね。

――『DQX』のプレイステーション4版は、どの程度まで開発が進んでいるのでしょうか?

よーすぴ 『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』も控えているので、いいタイミングで出せれば、とは思っています。

―――お答えいただける範囲でけっこうなのですが、今後予定している施策などがあればお聞かせください。バージョン4のこととか……。

りっきー バージョン4は、もちろんすでに動いていますよ。動いてはいますけれど、まだ何も言えないですね。

よーすぴ バージョン3を進めながらバージョン4も作っている状況です。バージョン3が終わった後に作っていたら、何もない期間が長くなってしまうので(笑)。すでに鳥山明先生に、キャラクターのイラストをお願いしていますよ。

りっきー バージョン3.3後期で新職業の占い師が出たばかりですが、バージョン4の新職業についても動き始めています。

――今回の3.3後期で、バージョン3のストーリー全体から見ると、どのくらいの割合まで進んだと考えればいいのでしょうか?

りっきー ちょうど真ん中くらいです。

よーすぴ いろいろと大きく動き始めてきましたからね。