【ファミキャリ!会社探訪(39)】エンジニアのスペシャリストが集うトライフォートを訪問!_08

“ファミキャリ!会社探訪”第39回はトライフォート

 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍する各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。39回目となる今回は、トライフォートを訪問。
 2012年8月に創業され、現在では約180名の従業員が所属している同社。スタッフを“プロジェクト”と技術などの“ディビジョン”それぞれに所属させるマトリクス制を導入するなど、ユニークな組織運営を行っている。そこで今回は、同社の代表取締役CEO・大竹慎太郎氏に話を聞いた。


世界に通用する“ものづくり”を追求する

【ファミキャリ!会社探訪(39)】エンジニアのスペシャリストが集うトライフォートを訪問!_01
トライフォート
代表取締役CEO
大竹慎太郎氏

――大竹さんの経歴から教えてください。
大竹慎太郎氏(以下、大竹) まず、新卒でサイバーエージェントに入社しました。サイバーエージェントには5年ほど在籍したのですが、当時はまだ“Ameba”というサービスもいまの形はなく、ネット専業の広告代理店のような位置付けで、私も営業職の仕事をしていました。その後、勉強し直したくなって大学院に入って経営を学び、またその間の2年間は事業の立ち上げをしながら、大学院と両立していました。そして、2012年の8月にトライフォートを設立しました。私のような営業出身者は、当社のようなエンジニア中心の会社には珍しいと思います。

―――サイバーエージェントを志望した理由は何ですか?
大竹 大きく分けてふたつありました。ひとつ目は当時孫正義氏が「これからは情報産業だ」とおっしゃっていた時期で、これから若い層が活躍できるのはIT産業だろうということで、IT業界を志望しました。ふたつ目は、じつはサイバーエージェントは最初に受けた会社だったのですが、集団面接含め5回くらい面接がありました。その面接で、私自身が実際に働いている姿がイメージできたことが大きかったですね。

――御社はエンジニアの専門集団ということですが、なぜそのような会社を起こそうと思ったのですか?
大竹 営業出身の私が営業の会社を作るのはわかりやすいですが、それでは当たり前だと思います。設立当時に立てた仮説が、技術者を集めた会社のトップに技術者が立つのは、組織を作るという点ではうまくいかないのではないかというものです。私は、それまで会社や組織が大きくなっていくプロセスを見てきました。営業出身の私がトップに立つことで、これまでにないユニークさが会社の切り口になるのではないかと考えたわけです。

――社名の由来や、起業時の会社のビジョンについて教えてください。
大竹 起業当時、“ユニークな組織体制を持つ”会社にしたいと考えていました。組織が持ち味を出しながら、事業が成り立つ会社にしたいと思っていたので、どういった会社にするかというビジョンについて、徹底的に考えました。まず会社のビジョンについてですが、“世界トップレベルの技術(ものづくり)会社を創造し、常に「あたりまえ」を超えるサービスを生み出す”です。技術には“ものづくり”とルビを振っていますが、世界で通用するようなものづくりができる会社を作りたいという思いがあります。
 別の話になりますが、日本が戦後の高度経済成長を成し遂げられたのは、トヨタやホンダ、ソニーといった企業が生まれたからだと思っています。それらの会社はどういった会社だったかというと、当時新しいマーケット、さらに言うとこれから成長するであろう新しいマーケットにおいて、世界を相手に勝つことができたからこそ、日本も復興できたのだと思います。現在は、スマートフォン向けアプリやインターネットにおけるサービスも、ほとんどがアメリカを中心した海外がメインになってきています。そう言ったことからも、“ものづくり”において、世界で勝てる会社にしていきたいと考えています。
 また、社名の由来ですが、“トライ(tri=3)”と“フォート(fort=砦)”を掛け合わせています。こういった会社にしていきたいという3つのミッションがあり、さらに、それを守り続ける砦・要塞であり続けたい……という意味が込められています。

――では、その3つのミッションを簡単に説明してください。
大竹 ひとつ目は“環境変化に対応したものづくり力を高め続ける”です。インターネットビジネスや新しいマーケットの世界は、とにかく変化が激しいです。新しいデバイスが出てきたり、新しい会社が誕生したり、と。ですから、たとえばスマートフォンだけのことを念頭にビジネスをしていると、新しく別のデバイスが出てきたときに対応できません。さまざまな環境変化が起こりうるなかで、環境に応じたものづくりができる能力……それはエンジニアリングの能力かもしれませんし、デザインの能力かもしれません。変化に対応できるように、つねに能力を高めていきたい、と考えています。
 ふたつ目は“新しい価値観を生み出す”です。これは事業に関しても、組織に関しても同じですが、ほかの会社の事業や組織、成功事例を真似ることも重要ですが、自分たちの手でトライフォート流の組織やプロダクトを生み出し、新しい価値観を発信しなければいけないと思っています。模倣ばかりではなく、自分たちがゼロから何かを発信することが重要です。
 そして最後は、“関わる人すべてを幸せにする”です。経営陣や従業員、株主、サービスを利用しているユーザーもそう。関わった人たちすべてを幸せにしていきたいと思っています。経営陣のエゴでいろいろなことを進めるのもイヤですしね(笑)。