VRはインディーデベロッパーにとって絶好のチャンスになる
2016年7月9日~10日、京都市勧業館みやこめっせにてインディーゲームの祭典BitSummit 4thが開催。開催初日の9日に行われたSIEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏と、『パラッパラッパー』の生みの親、松浦雅也氏のトークセッションでは、現在のインディーシーンやPS VRの話題が飛び出した。
昨年に引き続き2回目の参加となるインディーゲームが大好きな吉田氏は、今回のBitSummit 4thについて「全体的にクオリティが上がってきている。国内外のメディアの方も来ていて、注目されていると実感した」と語る。また、今回の出展数については「今回は全部見回りきれないかも」と嬉しい(?)悲鳴を上げていた。
BitSummitに3回目の参加となる松浦氏は、「インディーゲーム発表の場と、ゲーマーどうしの交流の場という感じがいいと思います」とコメントした。
話題は松浦氏が手がける配信中のスマートフォン向け音楽ゲーム『古杣(ふるそま)』について。『古杣(ふるそま)』は日本に古くから伝わる“音だけ”の妖怪・古杣をキーボードで捕獲するというもの。本作は3名のクリエイターによって制作されており、当初は3ヵ月の制作期間を予定していたが、結果的に1年もかかってしまったそうだ。『古杣(ふるそま)』は音楽に合わせてキーボードで演奏することで、古杣というキャラクターたちを捕獲することができる、ただ単にリズムに合わせてボタンを押すようなリズムゲームではなく、音楽とシステムがインタラクティブ(互いに作用しあう)になるようなゲームを目指したそうで、非常に難しい課題でもあったとのこと。統合型サウンドミドルウェア「CRI ADX2」など、使えるツールはフルに活用して開発したと語った。
また、松浦氏が手がけた名作『ビブリボン』がVR化したら面白いのでは? という黒川氏の問いかけに対して、「現在はまだVR向けタイトルの開発は考えてないが、やってみたい気持ちもある」と前向きなコメントも。いまのVRを取り巻く環境は、初代プレーステーションが登場した時のような、クリエイターの熱気を感じると語った。
吉田氏はVRに対して、インディーゲームが目立つ絶好のチャンスであるとし、「インパクトがあるVR向けゲームは、大手があまり積極的に参入していない、いまこそやるべきである」とアドバイスする。「アイデアと熱意がある人は、この絶好の機会にぜひ賭けてみて欲しい」とアツく語った。
松浦氏はインディーデベロッパーへのアドバイスとして、20年後も作品を変わらず愛してもらえるような、「ストック性のある作品を作るように意識してほしい」と述べる。その為には、自分(作り手)が大切にしている・伝えたいメッセージやイメージをいかに作品に込めるかが重要だそうだ。また松浦氏は最後に、「組織(会社)のコマにならないで、自分のやりたいことを大切にしてほしい」とインディーゲーム開発者たちを鼓舞し、セッションは締めくくられた。
会社や組織に捕らわれず、自分の理想を大切にし形にしていく精神を大切にしている松浦氏。そしてインディーシーンとVRの発展に尽くす吉田氏。両者の今後の活躍にぜひ期待したい。